龍魚について



古代魚の代表種と言えばアロワナと言う人は多いだろう。しかし、肺魚やガーパイク、アミア、ポリプテルスと比べると、比較的遅れて出現した種族でもある。アロワナの起源は中生代にまで遡る。中生代にはゴンドラワナという巨大大陸が存在していた。アロワナの祖先はその頃には出現していたようで、現在各地に姿をほとんど変えぬまま生息している。これらの仲間は大陸移動の根拠の1つにもなっている。
現在アロワナは、ブラジル〜ガイアナに生息するシルバーアロワナとネグロ河に生息するブラックアロワナのOsteoglossum2種。オーストラリア東部に生息するスポッテッドバラムンディ、オーストラリア北部とパプアニューギニアに生息するノーザンバラムンディ、マレーシアやインドネシアなどに生息しているアジアアロワナのScleropages3種。計5種が確認されている。ナイルアロワナ(ヘテロティス)はプランクトン食性の古代魚でアロワナと言う名前は付いているものの、アロワナよりはピラルクーに近い仲間である。
5種のどのアロワナにおいても長寿な魚で環境さえ整っていれば数十年生きる魚である。また、大型に成長する為、飼育には広い水槽が必要となる。どの種も独特の特徴があり、綺麗に育った個体の観賞価値は高い。シルバーアロワナ、ノーザンバラムンディにおいては比較的安価で出回っている。アジアアロワナにおいては安いものでも数万円、高い物では値段の付かないようなものもいる。しかし、すべてが手の届かないようなアロワナではない。アジアアロワナでも青龍(グリーンアロワナ)は1万円に満たない値で売られているのを見ることがある。しかし、この値段の差は生息域によるものも大きく、決して色彩が劣るという事ではない。
シルバーアロワナ、ブラックアロワナにおいてはアロワナの中では比較的性質はおとなしい個体が多く、他種の魚との混泳は容易であり、同種間の混泳も成功例が多い。バラムンディ2種については、性質は荒くあまり混泳には向かない。アジアアロワナについてもバラムンディに次いで性質は荒い個体が多い。基本的にアロワナは同種同属間で争う傾向が特に強くアロワナ同士の混泳は異種との混泳と比べると難しい。また、気性の激しさにも個体差が有り、混泳魚のサイズや混泳魚の個体数等のバランスも深く関連している。混泳出来るか否かはを実行するまでは判らない。これらのアロワナを混泳させるには多数を泳がせテリトリーを作らせないように飼育すれば成功率が高い。しかし実行できるような大型水槽を所持しているキーパーは数少ないだろう。混泳のメリットは餌食いが良くなる事、目落ち防止などいろいろあるそうだ。しかし、デメリットもあり、水が汚れやすい事、魚同士の喧嘩など特にアロワナ同士だと大きな喧嘩は少ないとは言えども多少のイザコザはなかなか避けられないようだ。どの種も単独で落ち着いた環境で飼育した方が深い色合いを持ち、傷の無い綺麗な個体になる。ダイナミックな混泳水槽を楽しむか、1匹に力を入れ綺麗な個体を育てるか、キーパーの好みで判断すればよいだろう。



飼育のポイント


〇 バランス良く餌を与える
これはどの熱帯魚にも言えることだが同じ物ばかり与えたり幼魚期の餌が少ないと体型が崩れてしまう。生き餌も含めいろいろな餌を与えると良い。

〇 なるべく広い水槽で飼育する
アロワナはとても大型になる魚であり、狭い水槽で飼育していると水槽のガラス面で顎を擦ったり、ぶつける等により、口髭を損傷することがある。成魚に近づくにつれ口髭の再生は難しくなってくる。やはり綺麗な個体に仕上げるなら大型の水槽で育てた方が良い。

〇 蓋をしっかりする
アロワナの飛び出しの事故は私も経験しており、ほんの少しの隙間からでも飛び出すので注意が必要。又、大型の個体についてはかなりの力があり蓋を飛ばしてしまう事もあるので蓋が飛ばされない工夫も必要となる。

〇 混泳について
アロワナは種によりバラつきがある物の比較的、気性の荒い個体が多い事を頭に入れて置かなければならない。特に同種同士で争そう傾向が強い。体型のかけ離れた種との混泳は、成功例が多い。同種同士の混泳は数が多ければうまく行く事が多いそうだが、多少の傷を負う事はほぼ避けられない。ペアを作る際に同種の多頭混泳は有効となる。他は上記を参照。

〇 エラ捲れについて
水質の悪化が原因でエラブタの先がひっくり返ってしまう事がある。初期に発見できたなら水質改善とエアーレーションで治るが、遅いと麻酔した後、エラブタの先を切断する。エラブタは再生するが老成魚となると再生にも時間が掛かる。

〇 目垂れについて
アロワナの目が徐々に下向きになり戻らなくなる症状を目垂れと言う。シルバーアロワナに特に多く見られ、次いでブラックアロワナにも多く見られる。アジアアロワナにも多数見られるが、バラムンディ二種は比較的発症し難い様に思う。発症原因は詳しく分かっていないが、例として、底物の混泳魚や、底面からの反射等により下部を長期に亘り見続けた事、又は、飼育者の位置より高い位置に水槽を設置する事によりアロワナの視線が下部に集中し、その事を原因に発症する説。もう一方、過剰な給餌による脂肪の付き過ぎにより眼球が内側から圧迫される事による説も有力である。発症しても飼育上の問題は無い。

〇 顎ずれについて
アロワナの下顎が異常に伸びる症状を特に顎ずれと言う。こちらも目垂れ同様シルバーアロワナに多く見られ、次いでブラックアロワナにも多く見られる。アジアアロワナの中でも紅龍(レッドアロワナ)に特に多く見受けられる。こちらもバラムンディ二種は比較的発症し難い様に思う。原因ははっきりしていないが餌の偏りによるものと思われる。上記のアロワナは昆虫食としての形態が強い為、生魚のみを餌として与えると発症を煽る事になりかねない。発症に気が付いた時から進行は止められるが、直す事は不可能に近い。日頃からバランスの良い給餌を心がける事が発症を未然に防ぐ事に繋がる。

〇 薬品の使用について
アロワナは薬品に弱く、規定の量で薬浴させてはいけない。薬浴させる場合は規定量よりかなり薄めて使用するようにしなければならない。



シルバーアロワナ



ブラジル〜ガイアナに生息する。全長は水槽飼育でも1mを越える事もしばしば見受ける。成長が早い為、早期に大型の水槽が必要となる。
アロワナの中で最も安価で以前は千円以下で売られている事も多々あった。そのため粗雑な扱いをされる傾向にあるが、丁寧に飼い込まれた本種は迫力と美しさの両方を持ち合わせ見応えがある。また、成魚に近づくに連れ、名前の通り体色は光沢のある白銀色になり、迫力が増す。その反面、他種と比較すると目垂れ、顎ズレに陥り易く、完璧に仕上げるのは最も難しいアロワナでもある。
性質は比較的、他のアロワナより穏やかで混泳は容易。冬期〜初春にかけての入荷量がもっとも多く、ヨークサックが取れたばかりのかわいらしい幼魚や若魚が大量に入荷されている。ブリード個体、ワイルド個体共に入荷が見られ、ワイルド個体に関しては産地による若干の体色の違いが見られる。
自然下では水面から飛び上がり、かなりの高さの木にとまっている虫を捕食する。その習性の為か、水槽でもよくジャンプをし、干からびる事故もしばしばあり注意が必要。本種の魅力を引き出すには大量に水替えを行なうよりはこまめに少量の水替えを行なう事が理想だろう。稚魚を口内で保護するマウスブルーダーである。




ブラックアロワナ



ネグロ河に生息する。シルバーアロワナと比較すると成長速度は遅いものの、本種もシルバーアロワナに次いで大型になる。自然下では1mを超える。生息域はブラックウォーターである。近年生息数が減少しており、入荷量、値段共に不安定である。
性質はシルバーアロワナと共に比較的穏やかで混泳は容易。幼魚の頃は名前の由来となっている黒地に黄色いラインが入る体色だが、成長すると次第にシルバーアロワナと似た体色となり、鱗にピンクとブルーの模様が入り、背鰭、腹鰭がブルーにオレンジに縁取られ、美しい。また、シルバーアロワナに比べ、やや頭部に丸みを持つ個体が多い。幼魚の頃は他のアロワナと比べると餌食いが悪くデリケートなため、落ち着いた環境で単独飼育が望ましい。本種もよくジャンプするので、水槽に飛び出す隙間を作らないようにする。




ノーザンバラムンディ



オーストラリアとパプアニューギニアに生息し、現地ではガルフサラトガと呼称されている。飼育下では大型化する事が少なく、最大で60cm程度。
性質は荒くなるべく単独飼育がよい。他のアロワナと比べ、機敏に泳ぐアロワナである為、水槽が狭いと口ひげを損失してしまうこともある。この種も安価で幼魚が3〜5千円程度。アジアアロワナに体型が若干似るが鱗が細かく、整ったスプーンヘッドを持つ個体が多い。拒食になる事が少なく、餌の選り好みも少ない個体が多い。このアロワナも事故のほとんどは飛び出しによるものなので飛び出す隙間を作らないこと。





スポッテッドバラムンディ



オーストラリアとパプアニューギニアに生息する。全長は70cmほど。自然下ではダム湖などに生息しており90cmを超える。他の種に比較し、低温にも耐える事が出来るそうだ。ノーザンバラムンディと共にサラトガと呼ばれ、スポーツフィッシングの対象魚となっている。
性質は大変荒く単独飼育が基本。ノーザンバラムンディと比べると本種はスマートな体系を持つ。柔軟性が無い為に大型の水槽が必要とされている。その上、本種は特に口髭が小さく、水槽の壁面でぶつけたり、擦り付ける事で口髭を損失してしまうことが多いので大きな水槽で飼育した方が見栄えも良く育つ事が多い。近年入荷量も安定してきたが、未だに少々高価であり、幼魚の値段が安価なアジアアロワナと大差無い。鱗に入るピンク色の美しいスポットが名前の由来。





アジアアロワナ



マレーシアやインドネシアなどに生息している。全長は60cmほど。ワシントン条約により、養殖された個体のみ輸入されている。輸入されてくる本種には個体識別の出来るチップが埋め込まれている。高価な魚であり、その美しい色彩から最も人気の高いアロワナである反面、多少気性の荒い個体が多い。
生息している地域による環境の差が激しく、その事から体色等に大きな違いが見られる。それによりそれぞれに名前がつけられている。純血種としては紅尾金龍(レッドテールゴールデン、スマトラゴールデン)、過背金龍(マレーシアゴールデン)、紅龍(レッドアロワナ)、青龍(グリーンアロワナ)、唐草金龍(チタニウムゴールデン)が存在する。
泥にごりの水域に金龍、タンニン、フミン等の腐植有機酸が含まれる水域に紅龍、クリアウォーターの水域にグリーンアロワナが生息すると言われており、それぞれの環境に適した自然に溶け込む色の表現であると思われる。
また一般的な品種として紅龍と青龍のハイブリッドである黄龍(バンジャールレッド)、紅龍と過背金龍のハイブリッドである紫紅金龍、過背金龍と紅尾金龍のハイブリッドである高背金龍等が見られる。近年の黄龍においては紅龍の血が濃くかけられている傾向にある。また、元々バンジャールマシンという原地で生息している個体群が黄龍と酷似しているという説もある。高背金龍に置いてはもともとは純血である紅尾金龍の背の近くまで金が巻いている個体を指していた。他にも青龍と金龍とのハイブリッドも存在しており、青龍のプラチナタイプとして出回る事が多い。丁寧な飼育をされる事が多い為か、拒食、餌の選り好みをする個体が多く見られ、特に過背金龍に神経質な個体が多く見られる。
稚魚を口内で保護するマウスブルーダーであるが、雌雄判別は難しくペアを得る事は困難。大型の水槽で多頭を混泳してペアを作る方法が最も有効とされる。繁殖期の雄個体は浮き袋を使い、低い音で鳴く事が知られる。国内ブリードでも最も力の入れられているアロワナでありその成功例も多い。