
「招待されて」(2010・10・1)
今年の夏は猛暑だった。
花は春に咲くものだと思っていたら、寒くならないと咲かない花もあることをこの歳になって知った。
彼岸花は気温が下がらないと開花しない。
待って待って・・待ちくたびれた頃に咲いた。
彼岸をとっくに過ぎて・・。
前日の新聞のトップが赤かった。彼岸花の写真だ。
彼岸花が見頃で、こんなに観光客が訪れていますとの記事だった。
(それっ!明日だ!明日は快晴だ!)
翌日の予定は決定した。
そして今日。
私が決めなくても「ごんぎつね」が招待してくれた。
その日の朝の体調で行けなくなるときもある。
元気はあった。
おにぎりをふたつとお茶を持って、出かけた。
普通電車しか止まらない駅だが、彼岸花の季節には乗降客が多い。
少し気温の低い日々が続いたが、今日は夏日か真夏日の暑さだった。
歩けば汗ばむほどの気温。
グループ連れ・夫婦連れ・ひとり者・・。
とにかく大勢の人達が彼岸花を愛でていた。
矢勝川には鯉や鰻を育てているとかで、時々水がはねる音がする。
この矢勝川沿いに何キロもの彼岸花が群生する。
全部は歩けないので、途中下車して南吉記念館へ入る。
ここも人が大勢いた。
特別展でCOOP10開催にちなんで、半島の自然が展示されていた。
この半島にはまだ狐が生息するようだ。
最近近場で狐の親子を撮った写真家は粘ったのだろう。
親子狐に出会うにはじっと待つしかないだろう。
知多半島の先にある森では、狐の動きを隠しカメラで撮っていた。
いやはや何とも可愛い仕草だ。
辺りを警戒しながら、餌に釣られて部屋に入り・・それを咥えて大急ぎで退散する。
そしてまたやって来る。
獣を捕獲する檻に捕まった狐の写真は、険悪な表情だった。
自然は動物だけではない。
植物も生き物のうちだが、南吉の童話に出てくる植物写真も展示してあった。
そこでゆったりした時間が流れた。殆どの写真と文を読んだ。
南吉の教え子にうちの息子が担任してもらった縁で、南吉が好きになった。
「こんにちわ、南吉さん。また来ました、来られましたよ」
南吉の像に向って小声で言う。
「難しい本を読んでいらっしゃいますねえ」シェークスピアの本は随分傷んでいた。
童話の本コーナーで2冊の童話を買った。
「ごん狐」「でんでん虫のかなしみ」
何度読んでも、すぐに忘れるので何度読んでも新鮮だ。
読み終えたら、みっちゃんにプレゼントするつもり。
小学四年生の教科書に「ごん狐」は出るらしい。
南吉の童話はどれも物哀しい。
しかし愛に溢れている。





