「よっこ、立山を散歩する」 (2010・8・3〜4)

まるで天から降って湧いたようなラッキーが訪れた。
しかし真夏の炎熱地獄のような日にである。
連日の猛暑日と熱帯夜とに少々降参していた。
「やせ」で有名な私はまず心配が先走った。
(夏バテはしないだろうか?)
体力に自信がないと全てにおいて自信が失せる。
しかし準備は着々と進んだ。
私の否応なしに・・。
実は連れ合いのネット友達からの誘いで「黒部立山アルペンルート」を散歩しようということになったのだ。
さあ、何の準備をしたらいいのか?
雨具の用意から、高山での衣類、大切な靴。
全て買い揃えた。
あとは時間が経つのを待った。
一週間後には88ヶ所巡拝の最後の「満願」の高野山へ行く予定がある。
全く知らない人との対面、会話はどうすればいいのか?心配性の私のマイナスが全面に出る。
まあ、いいや。山を好きな人とは話が合うだろう。それに多少の高山植物の名前も知っているし・・。

8月3日・・初日
夏の6時はもう陽が昇っている。
6時10分の電車で、名古屋へ出て、7時名古屋発の「特急しなの」に乗る。
指定席車両はほぼ満席だった。
家族連れが一組居て(親・子・孫)、幼い子供達が賑やかだった。
特急は快適で木曽路の緑を堪能した。
松本で乗り換えて、信濃大町で下りる。
路線バスに乗ってかなり走った。
扇沢で他方面からの同行者達と合流した。総勢で7名。
みんなネットをやっている人でハンドルネームと本名で紹介された。
緊張している私は一度や二度の紹介では覚えられなかった。
が、それを度々やってくれたので「さよなら」の頃にはやっと覚えた。

トロリーバスに乗って15分で、黒部に着いた。
地下の長い階段を昇り詰めたところに、黒部ダムを一望に見下ろせる展望台があった。
そこで各自持参したお弁当を食べた。
「黒部カレー」というここならではのメニューもあるそうだ。
食後展望台から下りて、ダムの堰堤を歩いた。
かなり広い堰堤道路だ。
湖には遊覧船が浮かび、放流している水で大きな虹が2本も描かれた。
山は高く深い。
ケーブル・ロープウェイ・トロリーバスと乗り継いで、下りた所が室堂というところ。
外は雨だった。
急遽、雨具を取り出して上下を着て、身支度を整える。
そこから自然を満喫した。
まだらに雪が残っていて、可憐な花が沢山咲いている。
世話をしてくださったリーダーの良導で何の不安もなく歩けた。
「みくりが池」を歩き、血の池を右手に見ながら前進する。
雨で濡れた石は滑りやすいので足元に力が入った。
慣れないリュックが肩に食い込む。
それでもみんな励ましあったり、リーダーが適当に休憩を取っていろんな説明をしてくれたので助かった。
リーダーの彼女は立山は今回で11回目になると言っていた。
眼をつむっていても道に迷うことはなかろう。
その夜は雷鳥沢ヒュッテに泊まった。
飛び込みでも泊まれるそうで、その夜は相当の客が居た。
食事もさることながら、温泉はよかった。
深夜に目覚めて、外を見たら満天の星が大きく瞬いていた。
まるで「よく来たね!」と、言っているようだった。
室堂は標高2450メートルの高所にあって、生まれて初めてもっとも星に近づけたわけだ。

8月4日・・2日目
朝の4時頃から廊下を歩く人の足音が絶えなかった。
早発ちする人なのだろう。
他の仲間は朝風呂に入ったようだ。
前夜に「明日は外湯にいきましょう」と、誘われていたが、朝の早いのには弱いからと断った。
目が覚めていても、横になっているだけで身体は休まる。
(今日はみんなに付いて歩けるだろうか?)
雨の中の石の上の歩行はかなり疲れた。
朝食をとって、午前7時半から歩き始めた。
荷物はヒュッテに置いて、お花畑を見てキャンプ村を横目で見て、木の橋を渡り、ちんぐるまの群生地に連れて行ってくれた。
「コバイケイソウ」「つがざくら」「りんどう」「山百合」「「ウスユキソウ」「イワウチワ」「ショウジョウバカマ」・・・
とても覚えきれない。
雪の上を歩き、雪解け水に手を入れてみた。冷たっ!
岩がゴロゴロしている水なし沢を横切って、元のヒュッテに帰る。
ここでコーヒータイムで一服。

さてお次ぎは地獄谷を歩く。硫黄の匂いが鼻をつく。
道に染み出た水に触るとあったかい。
沸騰している、まるで地獄の釜が開いたような場所だった。
そこから「剣岳」がはっきり見えた。
もう少し進めば、あれは富山だったのか小さくだが街並みが見えた」
「あ、日本海が見える〜」誰かが叫んだ。
時々休憩したり写真を撮りながら少しずつ進む。

天狗平への道で、シアワセに出会った。
「雷鳥が居るようだわ」リーダーの言葉にみんな静かになってカメラを構える。
なんと、雷鳥は目の前に居る!
動くものを見ると・・子供が6羽それぞれにちんぐるまの花を食んでいる。
お母さんが呼んでも、マイペースで食事をしている。
私達を見て安心したのか、母親はポーズをとった。
あっち向いたり、こっち向いたりして。
逃げる様子もない。
全員が忙しそうにシャッターを切る。
一家は目の前をゆうゆうと横断して行った。かなりな時間だった。
「思ったより小さい鳥なのね!」「雷鳥というほどだからもっと大鳥かと思ったわ」
「でもラッキーだったわねえ。立山に来て雷鳥に会えるなんて・・」
そう、みんな幸せいっぱいだ。
天狗平のバス停まで歩いて、そこから高原バスに乗って室堂へ帰った。

まるで夏の山は銀座並の込み様だ。
しかしこの涼風は下界では味わえない。

今回の立山室堂散歩を企画・実行・案内してくれたEさんに感謝だ。
観光ツワーに乗っかっての旅なら、こんなにのんびりあちこちを見て、雷鳥にも会えなかったろう。
まだ雷鳥との出会いから2日。
夢を見ていたのでは?と、肌をつねってみる。

  

      

  

     

  

     

  

     

  

     

  

     

  

      

  

     

  

     



     

  

    
             ワレモコウ                            松本駅ホーム