『本年の政治経済金融情勢の展望』

 

 新年明けましておめでとうございます。皆様お健やかに輝かしい新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。本年も何卒ご厚誼ならびにご支援賜りますよう謹んでお願い申し上げます。

 

 算命学の教えによりますと、日本は1997年から10年間続いた「動乱期」を終え、本年より「学習期」を迎えます。これからの5年間は「隠」と「陽」とが入り混じり始め、時代の大きな変化期に差し掛かってゆくことになるようです。

 

 2007年は、丁亥(ヒノトのイノシシ)の年にあたります。中国の五行説における「木」、「火」、「土」、「金」、「水」における「火性」の「陰」が「丁(ヒノト)」です。「丁火(テイカ)」とも言い、人工の火である「灯(ともしび)」にたとえられます。

 身近にあるもの、目先のものはしっかり見えても、多くのさまざまなものが闇の中に隠れて見えなくなる傾向があり、密かにこれらの時代を変えるさまざまなことがらが進行してゆくようになることが示唆されています。

 

 「丁」の文字にはさまざまな捉え方がありますが、釘の頭の意味、ものごとを止める、停止させる意味もあると言われています。昨年なかばからの「明るい」方向に向かう動きが停止し、「陰」の気が漂うことも頭に入れておく必要があります。

 また「陽」の干支の年は海外問題、「陰」の干支の年は国内問題に焦点が当たるとの暗示があり、国内の政治、経済問題の大きな変化の可能性を考えておく必要があるでしょう。

 

 「亥」を算命学では「陰の水性」と捉えています。伝統的な智恵と正統な学び、そして知識の意味があります。日本本来の「共生の思想」、「品格」が見直されてゆくことになるのではないでしょうか。

 「亥」に木偏をつけると「核」になります。大変なエネルギーが隠されているということでもあります。

 

 60年前の1947年は1月に吉田茂首相が労組指導者に問題発言し、官公庁は21日にゼネストを予定しましたが、GHQが中止命令を出しました。53日に日本国憲法が施行されました。衆参両院の選挙が実施され社会党が第一党になり片山哲内閣ができました。教育基本法と六・三制の学校教育法が公布されたのもこの年です。9月には関東地方をキャスリーン台風が襲い2247人の死者を出しました。

 過去の「丁亥」の年には、600年前の1407年に近畿地方で大地震、300年前の1707年に南海、東海大地震と富士山大噴火がありました。地震に注意が必要な年と言えそうです。

 

 今年の経済、金融情勢を読むポイントは、@米国経済、A日銀の金利引上げ政策を巡る国内の経済政策、B国内政治の変化の三つだと思われます。

 

 米国では、下落に転じた住宅価格が今後どの程度、住宅投資や個人消費に影響を与えるのかが焦点になります。15日に発表された12月雇用統計が米国経済の底堅さを示唆したため、米国金融政策の利下げへの転換期待が後退する一方、景気失速懸念も後退しました。

 今後も景気動向と金融政策両にらみの展開が予想されますが、バーナンキFRB議長が手堅い政策手腕を発揮しており、また原油価格も下落したために大きな混乱は生じにくいと考えられます。

 日米実質短期金利差は2%以上に広がっており、米国経済が堅調な間はドル高円安が進行し易い地合いにあります。円短期資金を調達し、ドル金利で運用する「キャリートレード」が広がっており、ドル高円安要因になっています。しかし、いずれか将来の時点で転換点に到達すれば一気に「巻き戻し」が発生し、急激な「円高・ドル安」が生じることに注意が必要です。ドル高進行後の「巻き戻し」には注意が必要です。

 

 A2007年前半は、日銀の金融政策に焦点が当たります。中長期の視点に立てば、日銀が小幅金利引上げを実行し、財政が「定率減税復活」などの形で、緊縮財政を小幅緩和することが望ましいのですが、安倍政権は今のところ緊縮財政政策のスタンスを大きく修正する姿勢を示していません。

 日銀は遅くとも3月までに金利引上げを実施すると思われますが、自民党の中川秀直幹事長が利上げ政策に強く反対しており、政府と日銀の意見対立が金融市場の波乱要因になりそうです。早期小幅利上げを実施する場合、短期的には円高と株価下落の反応が生まれると考えられますが、財政政策が柔軟に対応すれば、日本経済の成長持続にはプラスに作用するはずで、為替市場や株式市場の調整も一過性のものになると考えられます。

 

 問題は政府からの圧力で、日銀が利上げを先送りにする場合に生じてくると思います。短期的な反応としては、円安が進行し、輸出関連企業を中心に株価が上昇するかも知れませんが、徐々に株価上昇は頭打ちになり、長期金利がジワジワ上昇してゆきます。

 株価が下落に転じるなかで、円安防止もひとつの理由となって利上げを迫られることになりますが、この状況では利上げの実施がより難しい選択になり、金融市場の波乱が拡大し易くなります。

 政府と日銀が的確な連携を取ることが大事なのですが、現状では不安があると言わざるを得ません。

 日本の株価は絶対水準として割安な状態にあることに変化は無いので、中長期をにらんだ押し目買いか、「押し目買い吹き値売り」の戦術が有効と考えられます。ただし当面は波乱の多い展開が続く可能性が高く状況を見定める必要があると思われます。

 

 本年の最大の焦点は722日投票と見込まれる参議院選挙です。今年は12年に一度の統一地方選挙と参議院選挙が重なる年で、組織力を活かす政党にとっては息切れし易い参院選と言われています。

 非改選議席数は自民・公明の57議席に対して野党は合計で61議席(無所属・欠員の3議席を除く)です。参議院で過半数を確保するためには、自民・公明は63議席、野党は59議席を獲得すれば良いことになります。勝敗の鍵を握ると見られているのが29ある1人区で、島根、山口、和歌山以外は自民候補が安泰とは言えないと専門家は見ています。

 

 与党が過半数割れに陥ると、政府提出の法案の成立が難しくなります。政界大再編の可能性も浮上してきます。自民党の一部が民主党などと合流し、「市場主義重視・日米基軸路線」対「格差是正重視・日本の独自外交重視」という新しい二大政党体制に移行する可能性も皆無とは言えなくなってきます。

 この意味で2007年前半の経済、金融、経済政策から目を離せません。安倍政権の発足後、本間正明政府税調会長と佐田玄一郎規制改革担当大臣が辞任に追い込まれました。125日に召集される通常国会では、「政治とカネ」に関連する問題が大きく取り上げられることになると思います。安倍政権の内閣支持率の推移が注目されますが、与党が7月の参議院選挙で過半数割れに陥る場合には、安倍政権が9月から11月にかけて重大な局面を迎えることも考えられます。

 

 参議院選挙の前哨戦としては、24日の愛知県知事選と48日の東京都知事選が最大の注目を集めることになりそうです。

 「市場原理至上主義」から「共生の思想重視」へ、「格差拡大推進」から「格差是正・貧困解消重視」へ思潮が転換してゆくことが望まれます。

 

 皆様にとりまして本年がお健やかで幸多き一年になりますことを心よりお祈り申し上げます。

 

2007年丁亥110

植 草 一 秀