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Pは××のP 7

 ロイ・フォードという男にとって、ジム・ホーナーとの出会いは果たして救いだったのか、それとも不幸の始まりだったのか、今となっては分からない。

 ジムの全てを受け入れるようになってから、ロイの心理的負担は多少軽減されたものの、怒濤のように荒れ狂う波にもまれているように、毎週末、ロイは生きた心地がしなかった。
 頭も身体も霞が入ったような状態で、気がつくと日曜になっていることが多く、金曜の夜から日曜までの時間がどこかへ飛んでしまっていた。
 あまりにも耐え難く、気を失う余裕すらないとき、ロイは泣きをいれるはめにすらなる。ジムはさすがにそんなときには、ちゃんと手加減してくれるものの、「要訓練」を心に誓っているらしく、次のトライの時には全力投球を試みようとするのだ。
 そのせいか、ジムは最高に幸せらしく、毎日飛び跳ねるように楽しそうに仕事をし、週末が近づくにつれて、ますます顔が輝いてくる気さえする。

 日曜日、昼食を共にしたあと、ジムは家に戻る。
 本当なら月曜の朝まで一緒にベッドにいたいが訓練に堪えてはいけないからと、最大限の理性を絞り出してロイの家をあとにしているようだった。
 日曜の午後、ロイはやっとひとりになる。
 疲れ果て、ぼんやりとひとりの空間に取り残され、その頃には今夜も泊まってくれてもかまわないのに、とすら思う自分にあきれ果てる。そうなれば、月曜の仕事はまずこなせないはずだ、とお互いにわかっているからこその、しばしの休憩の時間だというのに。
 信じられないほど早めに床につき、ロイは眠る。
 眠って眠って、週末の疲れを癒し、身体を修復して日常に戻らなければならないのだ。         

 一週間の日常の疲れをジムが癒すならば、週末の疲れはある意味、幸せな余韻とも言えたが。
 そう――。
 ジムが愛しいと思う。仕事に障ってもいいから、一緒にいたい。壊れてしまってもかまわないほど、ジムが欲しいと思う。
 怒濤のように激しく、強い愛情と行為に耐えられないと泣きそうになりながらも、それを求めてもいる自分を自覚する。 
 すっかり、なにも考えず蕩ける快感のみを感じられるようになるまでは、まだまだ時間がかかりそうだった。
 けれどもきっと、これはロイとジムのふたりに与えられた、罪のない労苦なのだと思うと、この課程さえも愛しく思えた。
 恐いような、嬉しいような、来週末はどこかへ雲隠れしてしまおうかとさえ思うような――。
 あるいは、今からジムのアパートへ訪ねて、抱きしめて欲しいような――。
 日曜の夜、ロイは怠惰な身体と初恋を知ったばかりの少女のように、切ない気分を抱えてひとり過ごすのだ――。


  ロイが一人、再び将校クラブでグラスを傾けていると、匂いを嗅ぎつけたかのようにビリーが現れた。
「やっぱりいたな」
 ビリーは当然のように隣に座り込んだ。
 あの日、はしたない質問をしたロイとの会話をビリーは忘れているのか、珍しくその話題には触れず、相変わらず愚にもつかないことをしゃべっていたが、やがて酒が体内を巡り出すと、スイッチが入れ替わったようだった。
 つまり、内容が下ネタ御用達になってくるのだ。
「あ、そうそう、俺あんたに謝らなきゃなあ」
 ビリーがストリップショーの模様を話し終えた後、急に神妙そうな顔をした。
「なんだ?」
「いつかさあ、男と男のセックスの話、したろう?」
「……」
 酒を飲んで思い出したらしい、とロイは心の中で舌打ちした。
「ほら、ナニを使ってどうとか、奥まで挿れちまうとかの話だよ」
「……で?」
「あれな、嘘」
 ロイは持っていたグラスを、落としそうになった。
「嘘?」
「いや、嘘ってわけでもないけどさ、まあいろいろってことよ。全く挿れないで興めあう連中もいるし、お互いに挿しつ挿されつする場合もあるしな。もちろんモノによっては挿れるの無理だったりもするから、そんな場合はさ……」
 ロイはビリーに向き直り、正面から見据えた。
「そんな場合はなんだ?」
「え~と……、何でそんな怖い顔してるんだ?」
「なんだ? 続きを話せ」
 ロイの瞳が青みをおびた濃い色に変わるのを、ビリーは興味深そうに眺めた。
「いや、あまりにもばかでかかったりした場合、無理だろ? そんな場合は別に無理しないでもっと違うやり方で愛し合えばいいと……。挿れるのだけがセックスって事もないからな」
 ビリーは美しい上官が、なぜだかがっくりと肩を落とし、ため息をつくのを見ていた。「……たしかに、ジムのスティンガーは馬鹿みたいにでかいからな」
 ぼそっと吐かれた言葉に、ロイは思わずビリーの顎を殴りつけ、激しい勢いで外へ飛び出した。
 床に転がされたビリーは顎を押さえたまま、ぽかんとその後ろ姿を眺めていた。




















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