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Pは××のP 3

ジムは、繁華街にいた。
 あれからロイとの仲がギクシャクしてしまっていることに、深い後悔が押し寄せていた。  打ちしおれて連日、仕事が終わると盛り場をうろついていたが、今夜入った店は、ゲイの溜り場だったらしく、女の姿がなかった。 
ジムの座っているテーブルに、若い男が近づいてきて声をかけた。
「一緒にいい?」
 ジムが目を上げると、まだあどけないほどの顔をした東洋人だった。
中国か、韓国か、それとも日本人か、ジムには分からなかったが、彼は自分を『ジョージ』だと名乗った。
「あんた素敵だ。一緒にメイクラブしない?」
 ジョージの誘いに、ジムは追い払おうとしかけたが、急に思い立って質問してみた。
「おまえ、いつもこうやって誘ってるのか?」
「違うよ。彼と別れたばっかだから。ねえ、お兄さん、俺、ウリじゃないぜ。純粋にあんたのこと、気に入ったから。それにあんたの、大きそうだし」
「大きすぎて役にたたんよ。嫌がられるばっかりだ」
 ジムが今一番言われたくない言葉に敏感に反応すると、青年は目を輝かせた。
「俺、おっきいの、大好きなんだ。ねえ、お願いだよ」
 ジムは、しばらく考えていたが、不意に立ち上がった。ロイよりはるかに小柄なこの青年に試してみたいと思ったからだ。

 ジムには男の経験は、ロイ以外にはない。
単に愛してしまった相手に、受け入れる容器が備わっていないのが不幸だったが、他の男に欲情を感じることなどまったくなかった。
 だから、これまで我慢できたのだ。
用心に用心を重ね、傷つけないように気を配った。本当のところ、触れるだけでも震えが来るほどに愛しい相手なのだ。
そもそも、この手で愛せるなどとは、思ってもいなかった。
 けれども、欲は限りなくのさばっていくものだ。
少しでいいから触れてみたい、と思っていたものがキスをし、身体を開いてくれると、今度は全力で愛したくなる。だが、無理はさせたくないのも本音だ。
ましてや、長年のジムの自身の持ち物に対するコンプレックスを思うと、ロイに望んでいることが、そもそも無理なことなのではないかと思うと、ごり押しもできない。この青年がジムを受け入れられなければ、あきらめようと、ジムは思い立った。 



青年が連れて行ったホテルの中で、ジムはさんざんジョージを攻めた。
 ロイとはまったく違う反応で、ジョージは楽しそうにその責めを受けていた。
喉の奥深くまで飲み込むディープスロートを実践してみせ、いったいどこに入るのか、細い首をジムはしげしげと眺めてみたほどだった。
この男は、やはり娼夫なのかもしれない、とジムは思った。あまりにも手馴れている。  東洋人がみな小柄だとはいわないが、まだ少年のようにさえ見えるジョージはこれでも二十六歳なのだと言った。
その小柄な身体に、ジムは己を沈めてみる。大きな口をあけ、ジョージは喘ぎ、喜悦の声を漏らし続けた。
 大丈夫そうだと思い、ジムは更に深く進んでみる。うめき声が漏れ、青年が身体をのけぞらせたが、止めてくれとはいわないので、ジムは思い切って、全力でジョージを貫いた。  久しぶりに、爽快な快感がジムを襲った。
もちろん、ロイとの営みには深い満足感があり、比べくもなかったが、それでも何の気遣いもなく思うままに陶酔できる喜びは大きかった。
 さすがに苦しいのか、息を切らし、それでもジョージは喚起の悲鳴を上げ続け、やがて頂点に達すると、ベッドに突っ伏した。肩が上下して、苦しそうに眉をひそめている。
「……大丈夫か?」 
ジムが問うと、ジョージは微笑んで見せ、「すごかった…。こんなの初めて」と、ため息をついた。
「ああ、腰が抜けてるみたいだ」
 シャワーを浴びて服を付けていると、やっとベッドから立ち上がった青年が、ジムにしなだれかかってきた。
「もう終わりだ。俺は帰る」 
ジムが言うと、青年はジムに抱きついたまま顔を上げた。
「あんた、AVやってみる気ない? 俺スカウトマンなんだ。あんたのものなら、スターになれるよ」 ジムは、がくっと肩を落とした。
「俺はそんなもんに、興味はないよ」
「スターだぜ、絶対の主役だ。あんたがタチで、美青年たちを滅多切りにできるよ。せっかくのお宝を活かす、いい方法だろ?」
「なあ、お前、最初からこんなでかいの受け入れられたのか?」
「まさか、小指の1本から始めて、あとは数をこなしていったの。これも、訓練だよ」
「ありがとうな」
 ジムは部屋を出た。

 今夜のことは、ロイを裏切ったわけではない、とジムは自分に言い聞かせた。
 そもそもはジムが悪いのかもしれなかった。気を使いすぎて、すこし甘やかしすぎたのかもしれない。
もっと丹念に少しずつ、黙ってことを進めていけば、慣らしていくことだってできたはずなのに。
「何事も訓練、か……」
 後ろから足音が聞こえ、青年が追いかけてきた。
「ねえ、あんた、恋人があんたの受け入れられないんだろ?」
「…なんで……」
「そういうの、この世界じゃ多いんだ。なにせ巨根がウリのスターだろ? 映画の中ではいいけど、普通の相手を好きになったら大変だって言ってたもん」
「……かもな」
 青年はジムの手を引き、通りを歩き出した。
「どこへ行くんだ? 俺はもう帰る」 というジムに微笑んで見せ、「悩みを解決してあげる」と、ある店の中へ案内した。

 エロティックな写真があちこちに貼られ、何に使うのか分からないような品物が所狭しと並べてある。すこし奥に入ると、ディルドが飾り物のように立ててびっしりと並べてあった。

小さなサイズから普通のサイズ、目を瞠るほどの立派なもの。
 たとえジムでも適わないような、こんな代物を実際に使うために買う連中がいるのだろうか、とジムはいぶかしんだ。
「これ、いいよねえ」
 ジョージは特大のものをつかむと、愛しそうに抱きしめた。「あんたがいれば、こんなのいらないけど、俺、これ買っちゃおうかな」
 確かにお前なら使えるだろうよ、とジムは心の中で呟き、さらに店内を見回した。
 ジムだって未経験な場所ではない。
 だが、ゲイの専門ショップというのは初めてだった。

「ここで何をする気だ?」 
 ジムが言うと、青年はカラフルな蝋細工のような棒が五本ほどセットになった箱を取り上げた。卑猥なおもちゃには見えない。
 端から順に太くなっており、最初のは小指程度の太さで鉛筆くらいの長さだが、間反対のものはちょうど大人のペニスくらいの太さで、長さはプリングスの缶ほどの長さがあった。
「これ、いいんだよ、俺はこれ使ったんだ。これで訓練してやれば、あんたの彼もきっと喜ぶよ」 
 ジムはその箱を手に取り、自分がロイに使うところを想像した。
 それは目もくらむようなアブノーマルなイメージとなり、こんなもので鳴かされるロイの心中を思うと、また身体の芯がたぎるような気がした。
 だが、同時に現実的な問題として、そんなものを使うという提案をしただけで、ぶん殴られるのは目に見えていた。
「……せっかくだが、これは無理だよ。ものすご~く清らかな人なんだ。特に心がな」
「なに? まだこども?」
「大人だけどな、その方面に関しては、今の子供のほうがずっと詳しいかもしれん」
「押さえ込んでやっちゃえよ」
「……惚れた弱みだ」
 ジムは眉を下げて微笑んだ。
「いいな、その人。きっとすごく幸せだね。あんたは可愛そうだけど」
「ああ、そうだな。俺はかわいそうだ」
 ジムはつかの間、このジョージに救われた思いがした。















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