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Pは××のP 1

 薄いスタンドの灯りが、広いクィーンサイズのベッドを映し出す。
 うつ伏せにさせられた金色の髪が、うっとりと揺れ、背後に蹲る大きな体が丹念に創り出す、蕩けるような濃厚な快楽をもたらしている。
 滑らかなロイの躰を丁寧にほぐしながら、ジムは、今こそ決行すべき時がきていると、思っていた。
 すっかり柔らかくなった襞が、指に吸い付いてくるようだった。
 さっきから、しなってうっすらと汗をかいている白い背中にキスをし、背骨のへこみに舌を這わせると、ロイはぴくりと体を震わせた。すでにロイの躰にたっぷりとゼリーをつけ、愛の証を埋めることに意欲を燃やして、細い腰に両手をかけ、ジムは自分の腰に力をこめた。
「……ロイ、今日こそ俺をすべて受け止めてくれるか?」
「ン……。なに?」
 シーツにくぐもった声で、うつ伏せたままのロイが聞き返す。心ここにあらずと言った、甘えたような響きがある。
「あのな、これまで俺、遠慮してたんだ。あんたがつらいかと思ってな。けど、そろそろいいかと思って」
「……だから…何が?」
 ロイが顔を向けた。ちょっと不思議そうな顔をしている。
「……だから全部…な。その…、いい……かな?」
 その視線を、恥ずかしそうに受けて語尾が小さくなるジムを、ロイは黙って見ている。
「なにが全部……って? ……言ってる意味が分からない」
「俺をからかうなよ。真剣に話してるのに。じらすなよ、頼むから」
 ジムがいうと、ロイはちょっとむっとしたような顔で躰をひねった。
「分からないから分からないと言っているんだ。全部って…」
 ロイが言うのへ、ジムは顔の前で自分の大事な部分を指差した。
「あのな、だから…まだ全部はその……挿れたことがないんだ。壊しちまいそうで…。でもあんたもだいぶ慣れた……だろうし……とおもって……」
 また語尾が小さくなって、うつむいていくジムを怪訝そうな表情でロイが見返す。
「…全部……れ…たことない…って、まさか…」
 ロイはジムの指差すほうに視線を落とすと、蒼白になった。
 ジムはこっくりと頷いた。基地に仕込んである大砲もかくやと言わんばかりのものが、聳え立っている。
 ロイの片方の眉がつりあがった。かすかに眉間にしわがよっている。
「……ジム、お前、それ、は…」ロイが珍しくしどろもどろになっている。「それ…、まだ今まで……、まさか、そんなだとは…今からそれ、を……ぜん、全部…」
「大丈夫か? ロイ」ジムが肩に手をかけると、ロイはびくりと躰を振るわせた。
「で、も、い、今まで……は…」
「今までは、ほんの三分の一ってとこかな」
 ロイは、身を守るように上掛けを引き上げると、躰に巻きつけた。
「そ、それ……そんな…無茶…それ……」
「ロイ、そんなに怖がらなくたって」
 ジムがあきれたようにロイを見た。言葉を忘れたかのような、こんな彼を見るのは初めてだった。
 ロイは深呼吸をして息を整えると、一息に声を出した。
「そんなもの、たとえあと一センチだって耐えられるか! 今でもたいがいきついんだ!」 そう言ってから、ロイはうつむいて真っ赤になった。何の話をしているのかが、今更のように羞恥心とともに認識されたからだ。
「ロイ、でもそーっとやれば……、ほら人間成せば成るっていうし、いまよりちょっと奥に入るだけで」
「何がちょっとだ! 今までの三倍ってことだろう? そんなでかいぺニ……」
 ロイはあまりの自分の発言のはしたなさと、現実に目の前にある、三倍を実現した形を見て、めまいがした。
「……わかった。あきらめるよ」
 ジムがそういって手を伸ばすと、ロイは身をすくめていよいよ丸くなった。
「いや……、もうしたくない」
 確かに雰囲気はぶち壊れてしまっていた。
 ロイとセックスをしようと思ったら、長い時間をかけて、上手に場を盛り上げていかなければいけないことを、ジムは知っていた。
 たまに強引に押し倒して無理やりことを行うと、いやいやと言いながらも甘い声で鳴くくせに、終わってからが始末に終えなくなる。むこう一週間、口を利いてもらえないことを覚悟してでなければ、できたものではない。
 しまった、欲をかかねば良かった、と思ったときにはもう遅かった。ロイは背中を向けて眠る体制に入っている。
「…すまん、ロイ。俺は…。……でもこんなとき、オンナナラダイジョウブナノニ」
 拗ねたように小さくつぶやいた声が聞こえないわけはない。ロイは起き上がると、ガウンを引っ掛け、冷たい目を光らせてさっさと出て行った。
 しばらくしてから、ジムは様子を窺うためにドアを開けてみた。かすかにキッチンから明かりがさしている。
「ロイ……」
 キッチンのテーブルにボトルが置いてある。バーボンを飲んでいるのだ。
 入って来たジムを見ずに、ロイはグラスを呷っている。
「女性がいいなら、そうしたっていいんだぞ」
 やはり、先ほどの失言を根に持っているらしい、とジムはひやりとした。
「え~と、すまん。あれは嘘だ」
 ジムは、自分も椅子に座ると、片側にいるロイに照れたように言った。
「女性だからどうだというわけじゃないんだ。本当は」
 ぴくっとロイの手からグラスに移った振動が、中の液体を揺らした。
「……おまえのが立派だって、隊員たちも噂していた。女性だって大きいほうが……」また失言したことに気がつき、ロイは一人で赤くなった。
「まあ、たまにはばっちりの女もいるが……。そういうのは大抵俺自身より俺の息子目当てだったりしてな。俺はそんなはすっぱな女より、清純な方が好みだったから…。そうするとまだ経験が浅くて今度は俺のを見て、びびっちまうわけだ。やってれば慣れてくれるもんだけど、やっぱり気は使ってやらなきゃいけないし。……立派ったって、苦労はあるんだぜ」
 ジムはなぜ自分がこんなことを真剣に語っているのか、よく分からなくなってきた。
 相手はロイだというのに。少なくとも女談義を繰り広げていい相手じゃない。それも思い切りの下ネタだ。
「……けどなあ、ロイ。男は意外と大丈夫なもんらしいぜ。男はっていうか、いやもちろん女もだけど、意外と柔らかなもんだと友達が言ってたことがあるし……」
 ガン! と激しい音がして、グラスがテーブルに置かれた。
「そんなわけないだろう! お前はいつもやるほうだから分からないかもしれないけど、どれだけつらいか……あんなもの、たとえ小さくたって、ほんとは指だってあんな所に入れるのは大体むり……」
 ロイは息を切らせ、頭を抱えた。「……もう、ど、して…、こんな話を……、おかしくなる…」
 ジムは、自身で崩壊していくロイを、珍しそうに眺めた。
 ロイはしきりに深呼吸をし、また新たにボトルの液体を注ぐと、グラスをもって、不意に俯いた。
「お前を愛してる……、ジム」
「……ロイ」
「それを受け入れられなきゃ、お前は俺を嫌いになる……?」
 ロイの瞳は途方にくれていた。
 ジムは優しく手に触れ、頭を振った。
「もう忘れてくれ。ロイ。考えたら無茶なことを言ったと思う」
「だけど、お前は満足してないんだろう?」
「いや、欲張っただけだ。今でも満足してるさ。あんたをこの手で抱けるんだから」
 ロイは立ち上がって、ジムに抱きついた。大きなジムの体は、岩のように硬く、たくましい。それがいつもロイを安心させる部分の一つでもある。
「……どうしてお前はそんなに大きいんだ…」ロイは呟き、はっとして顔を上げた。「今のは躰、躰の大きさのことを言ったんだ。決してそれのことじゃ……、それ……、か、躰の……」
 珍しい生き物を観察するような顔で、ジムはロイを見た。
「分かってるよ。俺のペニスの話じゃないってことくらい」
 ロイは手に持ったままだったグラスを、思わず取り落とした。










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