[帰還]of [金の砂銀の砂]

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帰還

 ヘリが降り立って、ジムとビリーが真っ先にコムスキーの元へたどり着いた。
「他のふたりは?」
 コムスキーは喉をぜいぜいいわせながら眉を顰め、なにかをいったが聞き取れない。
「どうしたんだ? ふたりは……どこにいる?」
 せめて遺体だけでも連れて帰ろうと、ジムが怒鳴った。
 しゃべることを諦め、コムスキーが森を指さした。
「ふたりを……連れにいってくれ」
 ジムが駆け出す。ビリーが後を追い、ゲーリーとポールも続いた。
 張り出した枝を払いのけながら進むと、大きな木の根元に折り重なるようにして、蹲っている人間が見えた。すっかり泥だらけで人種の判別すら困難ではあったが、ジムにはそれが夢にまで見た相手だと、すぐに分かった。
 ばらばらではない、まっとうな姿でここまでたどり着いたのか……と、ジムはそばにしゃがみこんだ。
 ホイットモアの大柄な身体の上に、庇うかのように頭を乗せているロイの、泥だらけの頬をそっと指先で拭うと、ジムは目を逸らした。
 他の三人も、黙って突っ立ってるばかりで、声を立てることすらしない。
「……せっかく迎えに来たってのに」
 ビリーが呟くとポールが鼻をすすった。
「……ってた……」
「なんだ?」
 ビリーがジムに聞いたが、ジムも首を上げて見返した。
「ま…てた……」
「ロイ!」
 ジムは慌ててロイの身体を起こし、揺さぶった。睫が震え、微かに瞳が開いてロイが微笑んだ。
「生きてた……のか……ロイ」
「曹長、おまえ仮にも衛生兵だろが。脈ぐらいとれってんだ」
 ビリーが呆れたように、ホイットモアの首筋に指を当てた。

 心のどこかで、生きているはずがないと思いこんででもいたのか、あまりにもぼろ切れのように蹲っていたために、ジムは半分放心してしまっていたのだ。
 抱きしめて、泣き出したいくらいの衝動に駆られたが、ロイがジムの手を握って頷いたので、やっと思いとどまった。それと同時に後ろからゆったりと歩いてきた男の声にやっと現実に返った。
「……様子はどうだ?」
 コネリーが伺うように覗き込み、無事ですとジムが応えると「だったら早く運べ。長居はできん」といい残して自分はさっさと引き返し始めた。
 ホイットモアは、幾度か呼びかけられて目を開け、「閻魔様かと思った」と、にくたれ口を利き、皆をほっとさせた。
 ホイットモアは見るからに憔悴してはいるものの、見た目に負傷はないように見えた。ロイは右足首を添え木と厚い布に覆われており、どす黒い血が滲んでいた。
 右腕も同じように布でカバーされ、だらんと垂れている。
 ゲーリーとポールがホイットモアを立たせたが、無理だと首を振るので遺体搬送用にと折りたたんで持ってきていた担架を開いてそれに乗せた。
 ジムはビリーの助けを借りて、ロイを抱え上げた。
「痛まないか? どうだ?」
「……足が……下げるとつらい」
 ビリーが傍らで、それを支えるようにしてやると、ロイは「すまない」といいながらも頭をジムの胸に預けるようにして目を閉じた。
「ありがとう、みんな」
 すぐそばのビリーにすら気づかれない程度に、自分の首筋をロイの指がつまむのをジムは感じた。
 それが、ジム個人に対する、ロイの「ただいま」の合図だとジムには分かって、鼻の奥がつんと痛んだ。

 カーターはコムスキーに水を飲ませ、ふたりがまだ生きていることを聞いて、情けないことに腰が抜けそうになった。
 安堵の吐息が漏れ出てくる。脱出の前に、てっきり死んだと思っていたロイは生きている。 
 そして――そのはるか後方の森から、塊になった男達の姿が戻ってくるのが見えた。腰を落としてしまっていたカーターまでが駆けだした。
 カーターは、息が止まりそうに感動してそこに立ちつくしていた。
 ゲーリーとポールの担架に乗せられたホイットモア。
 ジムの腕に抱かれたロイ――
 神様、感謝します、とカーターは心の中で幾度も繰り返した。
 カーターの前を通るとき、ロイが瞼を開けて「デイン……」と呟き、片手を上げて見せた。

 彼らが乗り込むと同時に飛び立ったヘリの中で、全員が高揚した気持ちを三人にぶつけて歓迎した。
 ビリーが人目もはばからぬ勢いでロイに抱きつき、嬉しいぜ、と頬にキスまでしたのに対し、ジムはロイを下ろしたあとは、意外にも歓迎の輪の外から黙って様子を眺めているだけだった。ロイもまた、ジムにやあ、という挨拶すらしなかった。
 カーターは不思議な思いでそんなふたりを観察するように、見つめていた。
 今やっと、その騒ぎが一段落し、ジムが応急手当用のセットを取りだした。
 ジムはあくまでも曹長としての仮面を被るつもりなのか、個人的な会話はいっさいなく、「少佐、手当をしましょう」と、彼を横にしたものの、目線すら合わせてはいないように見えた。ジムは衛生兵の資格を持っている。
「ジム、ホイットモアを先に。見えないダメージがある」
 ジムは頷き、横たわっているホイットモアのそばにしゃがんだ。
 肋骨が折れているらしい、とジムは応急の処置をした。ホイットモアは、救出されて安心したのか目は開けていたが、すでに気力もないほどぐったりしている。ここでとれる処置は限られているので仕方がないが、ホイットモアは骨折もさることながら打撲痕がひどく、雨にも打たれたせいか発熱しており、かなり憔悴していた。
 コムスキーがジムをつつき、「早く少佐を。見た目より参っているはずです。出血がひどかったんで」
 ジムは頷いて点滴をし、ゲーリーに指示した。
「ホイッティに水を飲ませてやってくれ」 
 ポールが、コムスキーの打ち身や擦り傷の治療をしてくれているので、ジムはやっとロイのそばに戻った。口を真一文字に結んでロイの足を検分している。ロイもいわれるままに素直に従い、瞼を閉じた。
 ヘリの轟音の中で、機内は異様に静かだった。
 ブーツを脱がせ、ナイフで切り裂かれたズボンの右足首部分は、ひどい出血をしていた。
「かなり痛むんだろう? 弾が貫通してないみたいだな。骨が砕けているみたいだ……。右腕は撃たれてはいないがこの腫れようは、骨折だろう」
 ロイは眉を顰めて微かに頷いた。
 しゃべるのも大儀なようで、出血があったせいかホイットモアよりも青い顔をしていた。
「あんたも熱がある」というジムの言葉にコムスキーが頷いた。
「夕べの嵐で、全員びしょ濡れだった。そのせいで体温が奪われて……一時はふたりとも死んだかと思ったくらいです」
 コムスキーが意識をなくしかけたロイを、必死でマッサージしたことと、思ったよりも強い日差しが甦ったことで救われたのだ、とロイは語った。
 コムスキーが促されてコネリーに報告を始めた。
 ホイットモアの無線は、捕らえられて早々に外され壊されていた。
 ロイの報告によると、救出に侵入したものの、取り囲まれたらしい。そこで戦いになり、彼らの無線も不通になった。無線どころか、彼らが衣類を脱いだ素肌には、ひどい打ち身や痣があり、大きな負傷はないコムスキーですら頭にでかいこぶまでこさえていたのだから、いかに激しい戦いだったか分かる。
 ホイットモアを助け起こすためにコムスキーが入っていき、ロイがそのドア口で見張っていたものの、物陰から新手に狙撃され、室内に飛び込んだが足首に被弾した。
 ホイットモアの捕まっていた部屋のドアが銃撃されはじめ、バリケードで囲ってはいたものの時間の問題だと判断したロイは、空気抜け程度の小窓をコムスキーに壊させた。
 そこから飛び出る前に、ドアに穴があき、今しも兵士たちが飛び込んでこようとした瞬間に、爆薬を放ったのだという。
「まずかったのは、そこが武器を隠していた部屋だったらしくて。思っていたよりも大きな爆発をしてしまいました」点滴を施されながら、ロイが、眉を顰めていった。
 そのときの爆風で飛ばされ、右腕を痛めたらしい、とロイは自嘲気味にいった。
 ロイのことばに、消毒薬に顔を顰めながらもコムスキーが口を挟んだ。
「ですね。外に小さいが防空壕みたいのがあって、それに飛び込みました。爆発で埋もれてしまって脱出が大変だったけど、それがなかったらおそらく我々も爆風にやられていた」
「とんだ判断ミスだったようですね、フォード少佐」
 コネリーの冷たい声にロイは一瞬目を走らせ、瞼を閉じたが、なにも応えなかった。
 なんとでもいえばいい、と語っているようにロイは平然とした顔を崩さなかった。 

「ロイ、どうしてあの地点に来た? 無線は通じなかったんだろう?」
 ジムの傍らで覗き込みながらカーターが聞くと、ロイは瞳をあげた。
「……本来の目標地点方面へはとても行けなかったので。兵士が溢れるほどうろうろしていて。あの場所が一番いいだろうと判断しました。地雷はかなりやばい状況でしたが、とりあえずあのあたりに潜んで、いずれどこかで無線を調達するしかないと思っていました。休憩していたときに最初の救助ヘリが見えたんですが、そのときは間に合いませんでした」
 では、私と同じ判断であの地を選んだのだ、とカーターの胸は熱くなった。
「飛び立ってしまった後だったんで、取り残されたと覚悟を決めましたよ」
 コムスキーが力なく笑った。
「漁船に信号が届いたかどうかも分からなくて。敵に追われるように逃げましたから。我々はもう、動こうにも動けない状態で。俺は食べ物を探してうろうろしていたところでした」
「フォード少佐……」
 やっと少し気力が戻ったホイットモアが、横になったままいった。
「改めて、礼をいいます。あなたが来てくれなかったら、俺は拷問される寸前でした。あのでかいペンチが目の前に持ち上げられたときは、さすがに大事なものが縮み上がりましたよ」
 ロイは軽く微笑んで見せ、差し出された手を握った。
 コネリーは状況を報告するために、無線に向かって話をしており、みんなに背を向けていた。
「あの隊長なら、捨てて逃げたな」
 ゲーリーが小さく呟いた。
「ひとりで行く、と少佐はいったんだ」コムスキーが誰にともなくいった。
「ゲーリーに、後の連中を頼んで。死にに行こうと思っていたんでしょ? フォード少佐」
 いや、とロイは首をふった。
「行動すれば、きっとなんとかなると信じていただけだ。おまえがついてきたときは、どうしようと思ったんだが、いてくれてよかった」
 ロイが答えると、コムスキーはやっぱり、と頷いた。
「勝率が高ければ最初から俺を同行させたはずだ。やっぱりあなたは、ホイットモアと運命を共にしようとしたんだ」
 ロイはもう、それには答えず目を閉じていた。
 ホイットモアは、信じられないという顔をして、そんなロイの顔を見つめている。
「ぶあぁか。この冷静な隊長が、そんな無鉄砲な真似をするかよ。ひとりで充分だと判断しただけだって」
 ビリーが、なんてことない、という調子でみんなを制した。
「ちなみに俺だって足手まといがいるより、ひとりの方が気楽だぜ」
 コムスキーは気を悪くしたようでもなく、この口の悪い将校に微笑んで頷いた。
 治療がすんで、血に染まった手を拭くために背を向けたジムが、そっと目の辺りを拭ったように見えた。
「とにかく……よく、戻ってくれたな、みんな」
 カーターも、機内のぼろぼろになった兵士たち全員を見渡しながら、ひと拭い顔を袖で擦った。
 報告が終わったようなのに、コネリーは振り向きもせず、パイロットの方に身を乗り出して前方の景色を一心に見ていた。
 

 幸いにも、ロイの足首の手術も順調に終わり、状態は悪くはなさそうだとの診断が、運び込まれた海軍病院で下された。
 ただ、腕は単純な骨折で回復しやすいものだったが、撃たれた足首は時間がかかりそうだという報告に、待っていた者の間に少しだけ重い空気が漂った。
「でもまあ、生きているんだ。足はいずれ治る」
 ジムが一緒に待っていたバークとカーターを見て微笑んだ。
 他の隊員たちは、簡単なミーティングを終え、帰宅している。みんなが病院に残りたがったが、バークが追い返したのだ。

 ホイットモアはすでに治療がすんで、バークやカーターたちが見に行ったときは昏々と眠っていた。体力が消耗してはいるが、怪我そのものはそれほど深刻なものではないらしい。
 コムスキーは絆創膏だらけの顔で帰宅済みだ。
 ロイはすでに病室に運ばれていた。
 部分麻酔だったので、話もできそうだという。
 治療に当たった医師からそれを伝え聞いたあと、ジムが顔を輝かせ、上官たちの存在など忘れたように、挨拶もなしに告げられた病室を目指して階段を駆け上がっていった。
 奥まった待合室で一緒に待っていたバークが自分たちも病室へ行こう、といいながらエレベータに乗った。
 カーターは、聞いていた7階の病室へのボタンではなく、1階を押した。
「なんだ?」
 下がっていくデジタル数字を見て、いぶかしげなバークの腕をそっと叩いて促し、カーターは病院の外へ出た。
 バークは病院の玄関を振り返り、「ま、明日にでも出直そう」と頷くと、並んで歩き出した。カーターの意図を察したらしかった。“食えないじじい”というのは、確かなようだな、とカーターはひとり笑った。
 今、やっとジムは曹長の仮面を外しているはずだと、カーターも振り返って建物を見上げた。大らかな感情の赴くまま、抱きしめているかもしれない。あるいは、恋人同士が当然するように、口づけでも交わしているのだろうか。
 いずれにしても、ヘリの中からずっと自身を押さえ込んでいたジムに、時間を与えたかったのだ。
 数時間後には、隊員たちやビリーなどまでが殺到するはずで、そうなればジムはまた、輪の外から彼らを見つめる立場に戻るのだろう。
 相手がロイだからなのか、およそジム・ホーナーらしくないと思われる態度に、カーターは呆れてもいた。友人なのだから、再会を喜んで抱きしめるくらいなんということはない。
 それでも、ふたりはまるでただの仕事仲間でもとらないほどに、距離を置いた立場を貫いていた。

「……コネリーは残らなかったんですね」
 カーターは、任務から干された男の顔を思い浮かべた。
「怒っているみたいだからな。出動が決まりかけたとき、あいつをネヴァダの研究所に研修に出したから」
「じゃあ、最初から准将はロイをいかせるつもりで?」
「今回は特に危険な任務だったから、あのがたがたのチームじゃ駄目だと思ったんだ」
「でも、今後もまたロイを頼るわけにはいかないでしょう?」
「……今回外されたと思っているなら、コネリーも少しは理解したかもしれん。これで少しは自分の立場を考えていいように変わってくれることを期待している」
 カーターは歩きながら、今更私が彼の代わりにとはいえず、足下ばかりを見ていた。
 コネリーが反省して、今後のやり方を変えてくれるというのであれば、隊員たちも納得してくれるだろうか? いずれにしても、もうカーターに差し替えるということを諦めたかのように、その話題には触れようとしないバークに、少しショックを受けてもいた。
 だが、それも考えてみれば虫のいい話だとも思い直す。現状維持ができるのなら、それに越したことはない。
「ロイのチームは、ビリーやジムに任せておける。君もさりげなく、様子を見てやってくれ」
 了解しました、とカーターは息を吐いた。そう答えることしかできなかったし、今はとにかく全員が無事だった悦びに、落ち込み気分も長くは続かない。
「飯でも食いに行こう」
 車の助手席に座り、走り出したときにビリーの派手な濃紺のカマロとすれ違った。二人乗りのはずなのに、オープンカーの後部にも助手席にも満載に隊員たちが乗り込んでいる。
 そのすぐあとから、見慣れたゲーリーたちの車が二台ほど続いてきた。
 ジムの甘い時間は、あと数分で終わりだな、とカーターはひとり微笑みを浮かべた。
「ジムのヤツ、気の毒に」
 聞こえないほどの声で、“食えないじじい”が呟いた。

 改めてふたりきりになった部屋の中で、ジムはロイのベッドのそばに立っていた。ロイの傷ついていない側の手を握りしめ、長いことひっそりとジムはロイを見つめるばかりだった。
 ロイもまた、そんなジムから視線を外さず、握られた手の温かさに本当に戻れたのだという現実を噛みしめていた。
「おかえり……ロイ」
「ただいま、ジム」
「もう二度と、あんたにおかえりなんていわないぞ。今度代理任務があっても、俺も一緒でないと引き受けないでくれ」
 ロイは静かに頷いた。
 傷ついた足を高く上げられ、右腕すらもギプスをされたロイの痛々しい姿をジムは何度も眺め、頬に手を当てて輪郭を辿っては涙を流した。
「……よかった」
 ジムがやっと微笑み、自分の袖でぐいっと涙を拭うとはじめて気がついたように、隅にあった椅子を引き寄せ、座り込んだ。
 ホイットモアは二人部屋に入っているが、ロイは一人部屋で、いわゆる特別室というのではないらしいが、割合落ち着いた部屋だ。
「ホイットモアは?」
「眠っているらしい。あとで見てくるよ。コムスは帰った。あいつは元気だよ」
 もう一度手を引き寄せて、ジムはその白い指を唇に当て、また黙り込んだ。拾ってこないといけないと、思いこんでいた指は、ちゃんとロイの身体についている。
「しばらく……動けない。今度の長期訓練には参加できないな……」
 ロイのチームは、年中行事である訓練のひとつを、今回今の時期に行うことに決まっていた。空母に乗り込み、どこかの島へ乗り込んだり、潜って数々の訓練を受けるのだ。行けば三週間は戻らない。
「仕方ないさ。その間は危急の呼び出しもない。ゆっくり休んで早く治してくれ」
 そうだな、とロイは微笑み、ジムの手から指を外してジムの頬に手を当てた。
「……会いたかった……おまえのいない任務は…きつい」
 当然だろ、とジムも笑い、その髪に手を当て、くしゃくしゃにした。
 ジムがやっと落ち着いて、ロイにキスをしかけたとき、コンコンとドアがノックされた。
「しまった。連中が来たぞ」
 ジムは慌てたように、ちゅっと音をさせてロイの唇に触れ、その一瞬後に「よお」とビリーの声がした。後ろからポールも入ってくる。
「ああ、少佐」
 ポールが嬉しそうに花かごを見せ、「元気そうだ」と笑って見せた。
「おまえたち、……早いな」
「当然よ。なんだ? 邪魔したかな?」
 ビリーに馬鹿野郎と拳を振っていると、廊下にざわめきが聞こえ、ゲーリー達が入ってきた。
「やあ、みんな」
 ロイが、取り囲んだ仲間達をひとりひとり眺めた。
「……くそ、早くしておけば良かった」ジムがこっそりと呟くと、ビリーが眉を上げた。
「なにをだよ、曹長」
 からかうようなビリーの頭を今度は軽く小突いた。
「うるさいな、おまえは」
 そういいながらもジムは部屋の隅の壁に立ち、満足げにロイと隊員達を眺めている。
「……さっさとしねえからだよ」
 ビリーが誰にも聞こえないような小さな声でののしり、愉快そうにそんなジムを見た。






硝子の破片

哀しみの追憶

後日憚―哀しみの追憶―

観客

おもちゃ屋探検

おもちゃ談議

キャンディーバー

Pは××のP

金の砂銀の砂第一部

金の砂銀の砂第二部

金の砂銀の砂第三部

僕が彼を憎んだわけ

ロイとジムの映画評