[心揺らす男]of [金の砂銀の砂]

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心揺らす男

 帰りの車の中で、ロイは普段と変わりない態度をとった。
 もちろんカーターも、射撃場での話を蒸し返すことはしなかった。
 彼らがどういう関係であったからといって、関係はないのだし、もともと、猫科の動物を思わせる性格のロイが、恋人の話をしたがらないのも、不自然ではない。
 どちらかというと、その存在があると気軽にいったことのほうが不思議な気がする。
 ジムもまた、基地で顔を合わせたときに、夕べの電話でのことなどまるでなかったようにふるまっていた。
 そう、カーターには関係ないことなのだ。
 彼らが本当にそういう間柄で、それを隠していたからといって、気を悪くするようなことでもない。ただ、なんとなくぎくしゃくとしたものを感じることが、間に割って入ったような居心地の悪さを覚えているだけだ。
 そもそも、ロイが家に来いと呼んでくれたのだから、余計な気遣いはかえって迷惑に違いないと、多少開き直りつつもあった。
「今夜はなにを食べる?」
 カーターが聞くと、ロイは小首を傾げた。
「あなたの食べたいものを。デイン」
「その前に、少し衣類を買い足したいんだが」
 わかりました、とロイは基地とバージアビーチの中程にある大型のショッピングモールへ向かった。

 広い敷地に、いくつものデパートが入ったモールの中を、カーターとロイは並んで歩いた。
 あまり高級な店でなくてもいい。普段着を買うんだから、などと軽口を叩きながら、最初に目についた紳士用衣料店を覗いて、手近な商品を手に取った。
 冬に向けて、厚手のセーターと普段使いのジャケットを一着ずつ欲しい。カーターは買い物が得意ではない。うろうろと、次の店を見ては入り、決めかねてまた通路に出る。ロイは黙ってついてきていたが、とうとう笑い出した。
「お好きなメーカーとかはないんですか?」
「ないな。覚えきれない。気に入ったものであれば、どこのでもかまわないんだが。……私が優柔不断だと笑ってるな」
「一軒に決めてしまえばいいんです。気に入った店を。そこの中で探してなければ、次に出るようにするんです」
「どこかオススメの店があるか? 君がいつも買うのはどこだ?」
 それならと、ロイは自分がいつも行くという、少しばかり洒落た佇まいの店へ案内した。
 確かに、値段は高めだがどの商品もいい感じだ。シンプルで垢抜けた仕立てのよさがウリらしい。どれを見ても、ロイの顔がついているようで、好みが一貫しているのが分かる。
「これなんか、どうだ?」
 一着、ジャケットをハンガーからはずして羽織って見せると、ロイは似合っていますと頷いた。隣のものも悪くはないと、さらにそれに手を伸ばす。
 目に入った棚にある靴下の類も、襟巻きなどの小物も、ついでに買っておこうかと思う。なるほど、これなら一軒の店でほとんどが手に入りそうな気がする。
 ロイ、これは――と言いかけて、傍らに立っている男が意識を他へ逸らしていることに気づいた。
 ロイの身体はこちらを向いているものの、顔は明らかに店の外を見ている。カーターはその目線をたどった。
 モールの中心にある広場の噴水の前に、背中に両腕を回した男が立っていた。黒い長めのコートをまとい、じっとこちらを見つめているように見える。その視線が明らかにロイに絡んでいるようで、カーターは手にしたジャケットが皺になるほど力を込めた。
 それほどに、ロイから漂ってくる緊張感がカーターを怯えさせた。
「――ロイ」
 やっと声をかけたが、ロイは気づかぬふうで、いつの間にか傍らのハンガーがかかったディスプレイ用のポールに手をかけていた。その手が微かに震えている。
「ペイジ……」
 噛みしめた唇から漏れ出た名前が、すぐには検索できずに目まぐるしく脳をシャッフルする。もう一度外に目を向け、広い肩幅と背丈に似合わない、小さな頭のアンバランスな姿に脳みそのピントが合った。
 カーターはやっと、黒装束の男が誰なのか、思い出した――が、まさかという思いに、本当にその男なのだろうか、ともう一度店外に目をこらした。

 いきなり、洋服の掛かったポールが傾いた。
 力を込めていたロイが、頽れるように体重をかけたからだ。カーターは、ポールに片手をかけ、支えながらロイの身体に腕を回した。
「ロイ!」
 店員が駆け寄ってくる。
「どうかなさいましたか?」
「……すみません。ちょっと気分が悪くなったようで」
 代わりに店員に謝り、腕に支えた男の顔を覗き込む。
「おい、どうした?」
「大丈夫です。申し訳……ない」
 足を踏ん張ってロイは身を起こし、やっとまっすぐに背筋を伸ばした。
「外にいます」
 いわれて目をやると、さっきの男はもう消えていた。
 ロイは店を出て行くと、男の立ち去って行ったらしい方向を探るように見つめている。
 怖いほどの目つきで、一方を睨んでいたロイは、やがてうなだれるように噴水の前のベンチに腰を下ろした。
 頭を下げたまま、男が去って行った方角にまだ目線を送っている。カーターもたまらず店を出ようと歩きかけた。
「それ、購入されますか?」
 襟元をくしゃくしゃにしてしまったものを、店員が迷惑そうに見ている。
 カーターは手にしていたジャケットを店員に渡し、カードを出しかけて思い直し、百ドル札を三枚出して包んでくれるように頼んだ。急いでロイのそばに行くべきだと思ったのだ。
「店の外にいるから、持ってきてくれ」
 店員はころりと態度を変えて頷いた。
 店の外の噴水が、なだらかな放物線を描いては落ちていく。四方へ目を走らせたが、さっきの男の姿はすでになかった。
「真っ青だぞ。ロイ、さっきの男はあの……あの時のペイジなのか?」
 ロイはうなだれたまま、首を横に振った。
「ちがう?」
「人違いでした……」
「人違い?」
 なんだ、と笑いかけ、思わずそれを引っ込めた。ロイの膝の上で組まれた両手が、微かに震えているのが見えたからだ。
 その男だと思ったからこそのショック状態なのだと思えば、笑ってすまされない。
 似ている男を見かけただけで、まだこんななのだとカーターは胸が痛む想いで立ちすくんでしまっていた。

 その男を見たとき、ロイの心は凍り付いた。
 長いコートを着た、背丈と顔のバランスが思い切り悪い、小さな顔立ちの男。
 洋服店の硝子越しに見える、モールのフリースペースで、立っていた男がこちらを見ていることに気づいたとき、思わずよろめくほどに身体が硬直していた。
 間違いないようにも思え、人違いのようにも思えた。
 広いフリースペースには噴水まである。離れていて、はっきりとした顔が見えない。すでに三年ほども会ってはいないのだ。いや、人違いだろうと思わず店を出たときには、もう男の姿はなかった。
 あれはもう、ずいぶん昔のことだ。
 彼はロイを辱め、そして車でどこかへ連れ去ろうとまでした。
 いろいろなことが霞の中に埋もれていながら、ペイジのことだけははっきりと覚えている。それほどに、ロイを恐怖させ、まるで猫が捕らえた獲物をつつき回すようにいたぶった時の残忍な表情を忘れることはできない。
 もう、ヴァージニアじたいにいないと、情報を得てもいる。どこか遠い国へ逃げるように去っていったと、彼の部下だった男から聞いたのだ。いやたとえ、本人だったとしても、怯えることなどない。文句があるのなら受けて立てばいいだけで、以前の追い詰められて弱っていた頃のロイとは違うのだ。そう思いながらも気分すら悪くなって、ロイは吐き気を堪えた。
 今さらだ、と思えば思うほど、たったこれだけのことで容易に精神の均整を崩しかける自分を恥ずかしく思う。
 案の定、カーターが気遣っている。
 これまで会うこともなかったというのに、よりによってこの男がいるときに、こんな無様な姿を見せることになるなんて、とロイは歯がみした。

 デビッド・ペイジは軍に関わる調査部に所属する人間だった。
 彼には人を愛する行為に悪癖があり、無理矢理手に入れては相手を容赦なくぼろぼろにする。その男が、かつて捕虜になって残虐なレイプを受けたロイの報告書を作るという名目で関わってきたのだ。
 ペイジはロイを調べ上げ、追い詰め、そして――
 詳細はカーターには知らされていない。知っているのはバークだけのはずだった。
 だが、あの男がロイになにをしたのか、なぜロイが冷たい海に身を落とすほどのダメージを負ってしまったのかは、想像でしかないが、間違った想像ではないはずだ。
 しかも彼は、その後自身を喪失して幼児のようになったロイを誘拐しかけた男だ。

「あの男は証拠不十分で、起訴には至らなかったんだったな? 君への不当な扱いで職場は解雇されたけど、刑事的処罰は受けなかった」
 当時のロイの記憶に対して信頼性がおけなかったことと、目撃者もはっきりと顔を見ておらず、証拠も満足に出なかったことから、ペイジは誘拐犯の汚名から解放されたのだ。
 調査室そのものが、いわゆる軍の運営とは別組織で構成されているため、軍法会議にもかけられず、最も重い罰は解雇という形でとられたのだ。
 ということは、本物の彼とばったり出会う可能性だってないとはいえない。
 もっとも、こんなノーフォークくんだりまで出向いてくるとは思えないが、他の場所、たとえばペイジが住んでいたはずのワシントンあたりの都会ならあり得る。そしてそこへはロイも仕事で出向くことがあるのだ。
「まあ、なんにしても人違いでよかったよ」
 カーターはちょっとだけロイの髪に触れ、傍らのベンチに腰を下ろした。
 店員が、店名のロゴの入った紙袋を持って現れた。
 釣り銭とレシートを渡して、丁寧に礼をいう。
 カーターは釣り銭をしまわずに、そのまま反対側に見えたジューススタンドへ行って、オレンジジュースを買ってきた。ストローのささったプラスチックのカップを差し出すと、ロイはそれを一口飲んで、息を吐いた。
 ロイが記憶を取り戻したあの当時、最終的に基地を訪ねてきたペイジにどれほど鮮やかに対処したか、カーターはその隣の部屋で逐一聞いていた。
 落ち着き、威厳を持ってロイはペイジに立ち向かった。
 彼がペイジに鉄拳をふるったのは、自身への侮辱ではなく、私たち仲間に対してペイジが吐いた言葉によるものだ。
 怒りを抑え、ある意味ペイジを哀れみさえした。
 彼は職場を去り、もう二度と姿を見せることもないだろうと誰もが思っていた。
 ジュースのカップを持ったロイの手は、まだ微かに震えているように見えた。

 ――ほんとうに人違いだったのか? カーターは内心訝しんだ。
 ロイの視力は人よりもずば抜けていい。双眼鏡に頼らず、誰にも見えない敵の姿をいち早くキャッチするほどだし、そんな他愛もない勘違いをするほど抜けた男にも思えなかった。それに、さっきの男はじっとロイを見つめていたように思えた――
 カーターに心配をかけまいとして、嘘をついているのかもしれない。
 いや、心配はしてはいない。たとえそうであっても心配など必要ない。
 今、あの男がロイに寄ってきたとして、ロイがそれに負けるはずなどない。ロイはもう、傷ついて弱っていた彼ではないのだ。つけいられる隙などない。
 それでも、あの洋服の下がったポールが倒そうになるほど、それに縋るようにロイは頽れかけたのだ。
 
 
 食材などもう買う気にもならず、カーターはロイをうながして駐車場へ歩いた。
 当たり前のように運転席に座り、ロイはハンドルを握った。平静そのものの顔ではいたが、ひとことも言葉を発しなかった。
 カーターもまた、なにを話しかければいいのか当惑し、無言のまま、車の揺れに身を任せていた。
 まっすぐに戻るかと思っていたが、いつもの食品専用スーパーで、ロイは車を止め、店内に入る頃にはすっかり普通の状態に戻ったようだった。
「デイン、チリは好きですか?」
「好きだよ。君はあれを作れるのか? 私は何度かチャレンジしたが……はっきりいって美味いというにはほど遠いものしか作れなかった」
 ロイは笑って、今夜はそれにしましょうと籠に幾種類もの豆を放り込んだ。
 ロイが支払いをしている間、カーターは先に外へ出てジムに電話をかけた。
 さっきの話をすれば、ジムは飛んでくるに違いない。自分では力不足だ。ジムの耳に入れておくべきだろうと思ったからだ。
「……ペイジ……だって?」
 ジムの、怒ったような驚いた声が携帯ごしに耳に届いた。
「人違いだったようなんだが……かなりショックを受けたように見えた」
 そりゃそうでしょう、とジムがうなり声を発した。「たとえ人違いでも、無理もない。で、今は?」
「買い物をしている。いつものスーパーだ。すっかり普段の彼に戻ってるようには見える」
「だったら、心配ないでしょう」
 ジムの返事にカーターは驚いた。
「でも、どうなんだろう。君が来て、話をしてやったほうがいいんじゃないか? 傷をえぐられるような気分になったのは間違いないぞ。それにほんとは勘違いじゃなくて、本人だったんじゃないかと……」
「デイン……」
「ロイがチリを作ってくれるそうだ。なんなら私は席をはずして――」
「俺は行きません。そのことで話すことなんかない」
「ジム、本物かどうかはともかく、その男を見て、ロイは倒れかけたんだぞ?」
 少し大袈裟ないい方だと思ったが、まんざら嘘でもない。カーターが支えなかったら、少なくとも縋ったポールは倒れたはずだ。
「お任せします。ロイのチリは美味い。あの人がそれを作れるくらいなら、落ち着いているんでしょう」
「でもジム……」
「大袈裟ですよ、デイン。こないだあなたもいったとおり、俺が出向いて行ったって、ロイは怒るだけだ。むしろ、心弱いと思わせるような態度を見せたことのほうがつらいはずだ。あなたには八つ当たりはしないでしょうから、安心していい」
「君になら八つ当たりをするのか?」
 落ち着いたロイの顔を思い浮かべながら、カーターは少しおかしくなった。
「見せてやりたいほどにね。理性がぶっとぶほど、荒れ狂いますよ。わざわざそんな目に遭いに行くのはごめんです」
 ジムはそれだけいうと、電話を切った。
 スーパーの扉が開いて、紙袋を抱えたロイが出てくるのが見えた。
 携帯をポケットにしまい、買い物を済ませた妻を待つ夫のように、カーターはロイに片手をあげた。

 
 夕食にチリを作り、ゆったりとリビングでカーターとふたり過ごすことで、ロイは夕方の出来事を封印した。
 結局、その夜はいつもと変わりなく過ぎつつあった。
 ジムがいったとおり、チリはびっくりするほど美味しくできあがり、焼きたてのフランスパンとシーザーサラダに蛸と烏賊を使ったカルパッチョまでついて、カーターとロイはレストラン並みの食事をした。
 土地にしか販売しないメーカーのヴァージニアワインのメルローを楽しみ、ふたりはなんということもない会話をしながらゆっくりと時間をかけた。
 風邪の症状は、ほとんど夕べ制御したらしく、ロイはさっきの出来事など忘れたように落ち着いており、その後は穏やかにリビングで過ごした。
 仕事に関連した本を読むロイ。
 ラップトップのキーを打つカーター。
 今やカーターの指は、I(私)の代わりにRばかりを押していた。
 ロイの身に起こった過去のこと、カーターがロイの唇に触れたくて触れられなかったこと、一緒に狭いベッドで眠ったときの夢、そんなもので変化した自分自身のこと。今日見たペイジ、あるいはそれに似た男のこと――
 とてもひと息では書けないほど、ここ数日でロイの話が満載に頭に詰まってしまっている。そして、ロイとジムの関わり方の不思議――
 恋人同士だというのは、カーターの勘違いかとも思うほど、ふたりはお互いに距離を挟んでいるように見える。すっかり落ち着いているとはいえ、さっきのショッピングモールでのロイの青ざめた顔を思い出すたび、なぜジムが駆けつけて来ないのかカーターには分からない。
 風邪で寝ているといっただけでひどく心配していた様子とまるで違う。今日のほうがよほど重要に思えるというのに。
 それなのに、ジムの予見が正しかったのは、間違いない。もしジムがあわてふためいてかけつけ、ペイジに似た男のことをあれこれ問いただしたり慰めたりしたら、ロイはきっと不機嫌に裡にこもってしまったのかもしれない。
 荒れ狂うというのがどの程度かは知らないが、見てみたいなとちょっと笑った。
 熱中してキーボードを叩いていると、ロイが立ち上がった。
「今夜はもう、早めに失礼します」
「うん。おやすみ」
 なにか話したいことはないか、と喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。代わりに、風邪がぶりかえさないようにしろよ、と声をかけると、ロイは頷いてリビングから出て行った。
 できれば何か話したかったのだ。
 できれば、さっきの出来事のことを。
 できれば、ロイがもっとショックを受けた態度を見せ続けることを、なぜだかカーターは自分が望んでいるような気すらした。
 それならば、もっとおおっぴらに慰めることができるから?
 ロイの一番弱い部分に触れることができるから、だろうか?
 分からない、とカーターはキーを打った。
 強い彼の復活をあれほど望んでいたにもかかわらず、カーターはもう一度ロイを抱きしめたいのかもしれない。
 大丈夫だ、なにも怖くはないよ、私がそばについている。そういって、頭を撫で、安心させてやりたいのかもしれない。
 そんなものは、今やまるで必要のない男に対して。

 シャワーを浴び、ベッドに横になってロイは瞼を閉じた。
 なんだか、無性にジムの顔を見たい。いや、あの腕に包まれて今日の無様な自分の様子を話したかった。でも現実には多分できないだろう。
 全面的にジムに頼っていながらも、そういったロイの未だ弱いと思える部分を敢えてジムに話したりすれば、せっかくいい関係を築きつつあるものが壊れてしまいそうな気もする。
 ジムは友情を結び始めてすぐに、ロイと共に捕らえられ、悲惨な現場を目の当たりにして以来、ロイのことを見守ってくれていた。
 だが、そこまで気遣われるとかえって居心地が悪く、ジムから離れたくなってしまう。その意志がやっとここ数年のつきあいの中で変化して、お互いに無用な干渉はしないでおくことも必要なのだと分かり合えてきたように思う。
 今、ロイがジムに会いたいのは――
 少し火照り始めたような身体に、ロイは狼狽えた。
 また熱がぶり返してきただけなのかもしれない、と思いつつ毛布に潜り込む。そうではない、という証が自覚されはじめ、ロイは眉を顰めた。
 いつだってロイを抱きたがるのはジムだ、とロイは諦めにも似た気分で身を任せることが多い。
 それが、いつの間にかそうではなく、自らがジムを欲していると気づいたのはいつからだっただろう。
 ジムに抱かれた当初、当然のように求めてくるジムに戸惑い、自分が常に女性のように身を任せてしまうことに嫌悪を感じたことすらある。それでも、いったんジムの腕の中に入ってしまうとそんなことは忘れてしまい、激情が去ったあとに訪れる後悔にも似た気分に浸ることも多かった。
 今、ただ会たいと思っているのは決してそんなことを求めているわけではなく……と否定しつつもロイは身もだえるような気分に頭まで毛布に潜り込んだ。







硝子の破片

哀しみの追憶

後日憚―哀しみの追憶―

観客

おもちゃ屋探検

おもちゃ談議

キャンディーバー

Pは××のP

金の砂銀の砂第一部

金の砂銀の砂第二部

金の砂銀の砂第三部

僕が彼を憎んだわけ

ロイとジムの映画評