[歓迎の儀式] of [硝子の破片]


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第二章 歓迎の儀式

 隊員達は大抵ガタイが大きく、すらりと痩せたロイと同じ身長でも、ひとまわり大きく見える。もちろん小柄な者もいるが、こういうとき先鞭をとるのは、大きな男たちと決まっていた。
 窓辺でひとりの隊員と話をして、グラスを傾けていたロイの所に、二人の大柄な隊員が近づいて、いきなり双方から両腕を取った。
「なんだ?」
 ロイが言うと、ばらばらと他の隊員達もそばに集まった。ロイの手からグラスが奪われる。ジムは部屋の隅にあるソファに蹲り、黙って酒を飲み続けた。
「大尉、我々には必ず通らねばならない儀式があるんですよ」
 ポールが馬鹿丁寧に言った。手には髭そり用の剃刀を持っている。
「すみません、大尉。これを通過しないと仲間とは認められないんです」
 ジャックが心底申し訳ないように付け足した。「今からあなたを裸にして、毛を剃らせていただきます」
 ジムは上目遣いにロイの顔を伺った。まっすぐにポールを見詰めている大尉の顔は、別段動揺するわけでもなく、落ち着き払っている。
 一瞬息を飲む音が聞こえた。当の本人ではなく、見詰められているポールの喉元から発せられた音だった。周りにいた連中も、戸惑ったように勢いを失いつつある。普通なら驚くのはもちろん、怯えたり怒り出したりと何らかの反応があり、それを点火材にして、一斉にことが始まるのだ。
 期待していた反応のない大尉に、みんな飛びかかるきっかけを失ってしまっていた。 大尉の勝ちかもしれん。こいつらは大尉に飲まれている。
 ジムは心の中で嗤った。
 さあ、お開きだとジムが言いかけた時、ロイが逃げようとするかのように動いた。
 なぜこの時点で、優勢だったはずの大尉が動いたのか、ジムは微かに疑問を持った。
 祭りの花火が打ち上がるように、空気がいっせいに変わった。
 腕を掴んでいたリックが、そしてもう片方にいたジョンが、勢いをつけて大尉を壁に押しつけた。わっと歓声が上がり、全員が動き出した。
 壁にもたれたまま、ロイが強烈な蹴りをニックの脇腹にめり込ませ、返す勢いでジョンの顎をぶちのめした。
 目の覚めるようなワンツーだ。飲んでいる割には肩が綺麗に入れ替わって、かなりな威力であるはずだと、ジムは唸った。
「くそっ」
 次から次にロイに襲いかかる連中が蹲っては、後続が入れ替わる。
「壁に背を向けさせたのが敗因だな」
ジムは冷静に分析した。まだまだ訓練が足りないようだ。細っこいロイ・フォードひとりに、近づくこともできないでいる。
 ほとんど全員がやられたようだが、このまま引けるわけもない男達は、ロイの周りを囲んだまま、じりじりと近づいていった。
 そろそろ止め時かもしれん、とジムはグラスを傍らのミニテーブルに置いた。このまま乱闘が続くと、明日カーター少佐だけでなく、その上のバーク大佐にまで報告書をあげなければならなくなる。それどころか、酒と共に逆上した連中の手で、大尉が袋だたきになりかねない。そうなってくると、毛を剃るだけでは収まらなくなる可能性だって出てくる。いくら強いとはいえ、相手は十一人もいるのだ。
 だが、事態は一変した。腰を浮かしかけたジムは、はっとして立ち上がった。
 ニックの蹴りを腕で受けた拍子に一斉に多人数で押しつつまれ、あっという間に大尉の身体は数人の手で持ち上げられていた。
 テーブルの上に置かれていたあらゆる物がはたき落とされ、何もなくなった天板に、ロイは四肢を押さえつけられて横たえられた。
 乱闘と異様な興奮のためか、みんな肩を上下させ、テーブルの周りを取り囲んでいる。「では大尉。失礼します」
 リックがロイのシャツのボタンを丁寧にはずしていく。二枚重ねたシャツがはだけられると、下着をつけていない白い胸が露わになった。
 暴れたばかりの息がそのうっすらと筋肉のついた胸を上下させていた。
誰かがおお、と声をあげた。
「……」
 ロイは無言で天井を見詰めていた。金粉を撒いたような髪がテーブルの上で乱れ、それが妙に淫猥に見える。
 別の手でスラックスのベルトがはずされ、下着と一緒に勢いよく膝のあたりまでずり下げられると、見詰めていた男達のため息が一斉に漏れた。
 髪の色よりやや濃い蜂蜜色をした、その部分からすべてがむき出しにされたロイの身体は、確かに男であるにもかかわらず、戯れ事に晒したことに妙な罪悪感を覚えさせた。
 ジムは人垣の合間からその様子を覗き、我にもなく心臓の鼓動が早くなるのに焦っていた。
 こんなことは毎度のことで、男の裸など飽きるほど見てきた。
 だが、まるで鮫を捕らえたら美しい人魚がかかっていたかのように、ジムだけではなく全員が息を飲んでいた。
――白く、艶めかしいまでの身体が、リビングの灯りの下で、色香すら放って見えた。                        「ええと……」
 ジャックがバスルームから持ってきていた、シェイビングクリームを手にした。いつまでも晒し者にするわけにはいかないことに、気付いたらしかった。
 他の連中もやっと我に返ったように、ざわざわとした声が響き始めた。
 クリームをたっぷりと塗りつけられると、ロイは眉間にきつく皺を寄せた。唇が結ばれ、瞼が閉じられた。
 前回の新入りである若い隊員に剃刀が渡された。微かに手が震えている。
「おい、オーエン、大尉を傷つけるなよ」
 ポールに言われ、オーエンは深呼吸をして、体制を整えた。
カミソリが当たるとき、わずかにぴくりと腰が揺れたが、それ以上身動きはしなかった。もっとも、ぶちのめされた男達が、絶対に離すまいと、何本もの手で両手両足を幾重にも押さえ込んでいるため、動くことなどできないのだが。
 するりと、カミソリが這わされる。
 ジムはふと、ロイが泣きだすんじゃないかと思った。
 それを必死で堪えている……ように見えて、どきりとする。
 表情が微妙に変わっているが、分からない。
 ……あるいは笑い出す? まさか、と心の裡で否定する。 いずれにしても、すました顔をし続けることなど、できるはずがない。
 さすがに、怒るなり泣くなり、なんなりの人間らしい反応が見られるはずだ。
 ――このあと、この大尉はどうするだろう?
 あれだけ抵抗するほど嫌がったのだ。
まさか、泣いたりするタイプではあるまいが、鬱々と考え込むことはあり得る。
 明日から全員とひと言も口を効かなくなるんじゃないかと思うと、ジムの心は沈んだ。できれば、傷つけずにこのまま終わらせたかったが、連中は納得しないだろう。
 泡にまみれた、金色の塊がオーエンの手の甲に乗せられた。それほどの量ではない。全体的に剃られたからといって、肝心な部分以外は、見た目それほど変わりはないかもしれない。それ程に、この男の身体は白くなめらかだ。
 訓練で、日に焼けているはずの身体とは思えなかった。
 これが手始めだ。一番恥ずかしい場所を押さえられたら、あとはもうどうでもよくなる。
 これから本格的に丸裸に剥かれ、脇の下からすね毛まで、身体の隅々まで連中は事を進めて行くに違いない。
 大人の証を失ったロイ・フォードの全身が、いきなり幼い少年のように見えた。顔と同じように潔癖そうにすら見えるそこが、いっそうそう見せるのかもしれなかった。
 そんなものを晒し者にされただけで、酷い屈辱を覚えているに違いない。
 まな板に乗せられて、腹を割かれる魚みたいなものだ。 
「よし、もう終わりだ」
 ジムが言うと、テーブルを囲んでいた顔が一斉に振り向いた。
「曹長? ま、まだ……。これから…」
「終わりだ。もう十分だろう」
 ジムは人垣を分け入って、ロイのズボンを引き上げた。シャツを前に寄せながら手を見ると、ロイの手の平が真っ白になっている。必要以上の力で、押さえつけられているらしい。
「いい加減で手を離せ。なんだってそんな鬼みたいに力を入れてるんだ。大尉が痺れてしまうだろう?」 
 ジムが言うと、それぞれがはっとしたように手をどけた。
 ロイはゆっくりと身体を起こすと、身繕いを始めた。
 だが、押さえられた手が痺れて、うまくボタンが留まらないらしい。
 ジムは、黙ってロイのシャツのボタンを留め始めた。
 ロイはじっとされるに任せていたが、ジムの手元を見る、その横顔が冷たく、思わず周りが後じさるのが感じられた。
 高まっていた空気が、一気に氷を落とされたように冷え切ってしまっていた。
「大尉、酒の上のことだ。許してください」
 ジムがそういうと、ロイは立ち上がってシャツをたくし入れながら、頷いた。
「仲間になるのに、必要な儀式なんだろう?」
「え?」
 みんなが黙っているので、ロイがベルトを締める音だけが響いた。
「それなら仕方がない」
 ロイはそう言う、全員の顔を見渡した。
「もう、帰ってもいいか?」
「は、も、もちろんです。大尉……」
 どぎまぎとポールが返事をすると、ロイは片方だけ脱げて転がっていた靴を履いて立ち上がり、ドアを出て行った。
 ジムはあわててロイの後を追った。
「大尉!」
 ドアの外に出たロイを追って、ジャックが飛び出してきた。あとから全員があわてふためいたように次々に現れる。
 ジャックは振り向いたロイの姿に一瞬戸惑ったような表情をしたが、この大男独特の穏やかな微笑みを浮かべて右手を差し出した。
「……歓迎します。我々のチームにようこそ」
「ようこそ、大尉」
 次々と声が飛ぶ。 
 ロイは並んだ男達をひとりひとり見ると、うっすらと微笑み、ジャックの手の平に軽く拳を打ち付けた。
 そして気高く顔を上げて歩き出した。
「……ほえ~」
 誰かの気の抜けた声がした。
「なあ、ちょっとすごくないか?」
 去っていく大尉と曹長の後ろ姿を見詰めながら、ポールがジャックに語りかける。
「綺麗だったなあ、大尉」
 ぼうっとしたような顔で、ジャックが上の空の返事を返した。
「ああ、確かにな。何食わせればあんな人間が作れるんだ?」
 ポールはやたらと自分の口髭をむしっている。
「あ~、俺、なんかむらむらしたから、今から街へ行ってくる」
 ジョンが言うと、他にも四~五人連れだって去っていく。 
 ジャックは小さくなっていく大尉の後ろ姿を、いつまでも見ていた。


 ジムは、ロイと肩を並べて歩きながら、疑問を口にした。
「あの……、まさか儀式のこと分かってて行ったんですか?」
「まさか」
 前を向いたまま、ロイが答える。「ただ、曹長が言ったように、もっと馴染む必要があるならと、思っただけだ」
「でも……だったら死ぬほど頭にきたでしょ?」
「なぜだ?」
 ジムは肩すかしをくってぽかんとしたが、だんだん笑いがこみ上げてきた。
「ちくちくしますよ。しばらくは。あの連中、大尉の戦利品、コレクションするかも」
「ばかな。でも曹長のおかげで、全身やられなくて良かった」
 ロイは、気を悪くした風でもなく、照れたような微笑みを浮かべた。
 前にもそう感じたのだが、この男が笑うと思わず両手で頬を撫でてやりたくなるような幼さが覗く。端正な顔をして、もっとくだらない自尊心の塊かと思っていたが、これでも一応馴染もうとしていたのだ。
「感想はいかがです? 手荒い新入りの儀式の」
「情けない気分だな。当分、鏡は見たくない」
 ジムは派手な笑い声を立てた。
 ロイも、くつくつと笑っている。
 なかなかな副隊長だこの人は、とジムは思い、ロイという男のおもしろさに、深い興味を覚えた。 
 美しく、不器用で、それでいてどこか素直な将校。
 この人をもっと知りたい。チームがふたつに分かれるなら、ぜひこの人の部下として、そばで働いてみたい。 
 けれども、ジムのそのささやかな希望が打ち砕かれることになるとは、この時思ってもいなかった。

 ロイは、特殊部隊という男たちのむさくるしさに、むせるような心地がしていた。
 士官学校や、訓練学校のときはもっと切羽詰った状態で、笑うことすらできないほどのハードな訓練の連続だったために、そんなことも考えなかったが、こうして実際の部隊に入ってみると、むさくるしさが気持ちよくすら感じられた。
 命知らずと謳われるチームの男たちには、たぎるような情熱と、一体化せんばかりの絆の深さが感じられる。
 子供のような温かい気持ちの者が多いように思われた。

 アパートの階段を登っていると、ジムが二階の手前の部屋から顔を出した。
「大尉、良かったらいっしょに飯を食いませんか? でかいローストビーフを手に入れたんです」
「ああ。じゃあ着替えてくる。何か、持って来ようか?」
「いや、酒もあるし。バーボンですが」
「じゃあ、ワインを持ってくる」
 古いアパートの階段を四階まで上る。一番奥がロイの部屋だ。ほとんどが海軍の独身男が住んでいるアパートは、エレベーターもなく狭いが、気は楽だ。特にロイの部屋の隣はいつも留守で、船乗りのはずだとジムが教えてくれた。大きな船に乗っているものは、ほとんどが海洋で過ごすため、たまにしか戻らないらしい。
 チームのメンバーはジムとロイしか住んでいない。当然行き来が多くなる。
 ロイは手早く着替えると、先日買ったばかりの赤ワインを手に取り、ジムの部屋へ下りて行った。
隊員たちの噂話をしながら、ジムはよく笑った。
穏やかな、包み込むような笑顔が人をほっとさせる何かを感じさせ、ロイはこの男が気に入っていた。
ジム・ホーナーという叩き上げの兵士らしい、若いのに落ち着いたな雰囲気を持った男の存在がありがたかった。若いとはいえ、ロイよりは三つか四つは上のはずだ。それでいて、ロイを立て、隊士たちとの間をこまめに結ぼうとしてくれている。
 隊長のカーターもジムより少し年長らしいが、ジムを信頼してチームのことをすっかり任せている様子が窺えた。
「それにしても、君は大きいな。二メートルは超えているだろう?」
 ジムは照れくさそうに笑った。
「入隊したときはそこまでなかったはずなんですがね。どうも成長し続けたみたいで」
「すごいな。それにしては身が軽い」
「改めて言われると、照れますよ。ジャックは俺以上だし、うちのチームはみんなガタイが大きいですからね。大尉ももっと肉をつけたほうがいい」
 ロイは苦笑した。
 ロイはこれまで小さいなどと言われたことはなかった。180センチを超えているのに、ロイはチームの中にいて、むしろ小柄にさえ見えた。まるで、バレーボールやバスケのチームにいるかのようだ。175センチのカイル・デミなど子供のように見える。
 ロイの場合も、身長の問題と言うよりも、体格そのものの違いがあった。体脂肪が低すぎるのもあるが、もともとが骨細かいのかもしれなかった。
「ここへ来てよかった」
ロイが思わず呟くと、ジムがちょっと首をかしげて微笑んだ。
「そりゃ良かった。俺もあなたに会えて良かったですよ」

 ロイの訓練の指導は厳しかった。
「カーター少佐は、ほどほど。ホーナー曹長は、きついけどけっこう息をつかせてくれる。でもフォード大尉は、死ぬまで鍛えるつもりだ」
 ポールがぜいぜいと息をつく真似をして、ジムに言った。
「ああ、かなりなもんだな」
ジムも同感だった。
「でもね、あの人、みんなより多くこなしてるんです。気付いてました?」
 ジムはそうか? と、聞き返した。
「――です。例えばですけど、腕立て100回やらされるでしょ? きちんとやってなくて、追加を命じられる者がいる。すると大尉はそいつと一緒にまたやってる。命じた以上、必ずやってる」
「ふうん」
ジムは、ロイの指導をみんながちゃんとやれているか、チェックするためにそんなところまで見てはいなかった。
だが、ロイの訓練の厳しさは確かにジムでさえ音をあげそうだ。それ以上に自身がこなしているとすれば、並大抵の体力ではない。
 カーターは、ロイが指導をするときは、一番後ろでみんなと同じメニューを黙々とこなして、なるべくロイに任せようとしているらしい。
 そんな時のカーターも、やはりロイと一緒に罰を受けている隊員と、同じ数をこなしているのだとポールは言った。
「おまえ、よく観察してるもんだな」
「趣味なもんで」
 ポールは綺麗に整えた口髭を撫でて、人のいい笑みを浮かべた。
隊員たちはみな、反感の気配も見せず、隊員達の彼を見る目は、日に日に信頼を増していった。
 全員が、彼の戦闘能力の高さを身をもって体験していたことも大きかった。
 それでいて、服を剥いだときの可憐なまでの風情が、男達の保護本能をくすぐってもいるようだった。高貴な女王に仕える、荒くれた騎士団といえば、ロイは怒るだろうが。
 あとで考えるとひとりに一発ずつ、それ以上もそれ以下もなく、間違いなく全員をぶん殴ったという。一人残さずですよ、とポールがしつこく言っていた。
 多勢に無勢だからだと思っていたが、その後は割と簡単に押さえ込めたらしい。これから起こることに、それ以上の拒否をするつもりがなかったということなのだろうか。
 そういえば、壁に押さえられたとき、なんで今動いたんだ、と思ったことを思い出した。
 皆が圧倒されて動けずに、このまま解散かと思っていたのに、罠に飛び込むような真似をするな、とジムはあの時感じたのだ。
 横たえて押さえ込んだとき、必要以上に力が入っていたのも、状況を愉しむと言うより、まるで強姦魔にでもなったかのような異常な気分だったと、ポールが告白した。

 隊長のカーターに、ジムが話のついでに模様を語って聞かせると、げらげらと笑い声をたてた。
「……実は私も彼がすこし怖かったんだ、曹長。それは惜しいことをした。その場に居合わせて、私も彼の足を押さえたかったな」
 カーターの言葉に、ジムも笑った。
「いい年をして、ほんとに人見知りする質みたいですね。いい感じになってきました。もっとも、あの人の大笑いの図を見てみたい気はしますが」
 ――うまくいく。
 ジムはそう確信していた。
 いずれロイが隊長となっても、チームはますます結束を固めていけそうな気がする。
 それだけではなく、個人的にももっとロイのことが知りたい……。
 ジムは自分が、そんなふうに自分の心の襞に感じていることを、まだ自覚してはいなかったが。

 日々の訓練の繰り返しのある日、金網の外からじっと見ている男がいるのに、ジムは気づいた。
 ここではさほど驚かないが、背広姿の背が高く、がっしりとした体つきの割に、小さめの、頭の占める割合がアンバランスな男だった。
 見学者は普通そうは来ないが、なにかの縁故で訪れるものもいる。風格からいって、関係者かとも思われた。
 その男の目線が、明らかに動いたことで、なにげなくジムはそれを辿った。
 その先に、チームの輪からひとり外れて、カーターに報告へ行くロイの姿が映った。
 この男は、ロイを見に来ている――?
 ジムはなんだか、不安な気分になっていた。




硝子の破片

哀しみの追憶

後日憚―哀しみの追憶―

観客

おもちゃ屋探検

おもちゃ談議

キャンディーバー

Pは××のP

金の砂銀の砂第一部

金の砂銀の砂第二部

金の砂銀の砂第三部

僕が彼を憎んだわけ

ロイとジムの映画評