高峰秀子、森雅之 ※ストーリーの結末を載せていますので、映画をご覧になっていない方は、ご了承下さい。 監督…成瀬巳喜男(キネマ旬報監督賞) 製作…藤本真澄 原作…林芙美子『浮雲』 脚本…水木洋子 撮影…玉井正夫 美術…中古智 編集…大井英史 録音…下永尚 照明…石井長四郎 音楽…斎藤一郎 監督助手… 岡本喜八 出演…高峰秀子(タイピスト後にパンパン/幸田ゆき子)(キネマ旬報主演女優賞) ………森雅之(農林省の技師/富岡兼吾)(キネマ旬報主演男優賞) ………中北千枝子(富岡の妻/邦子) ………岡田茉莉子(向井清吉の女房/おせい) ………山形勲(伊庭杉夫) ………加東大介(向井清吉) 成瀬巳喜男監督が、「人間を男と女の問題としてとりあげていって、その絶頂みたいなものをつきつめてみた」とあった。(1996.6.30新聞記事『「ラブシーン」のときめき』山田宏一著 参考) 正に、男と女の複雑な心理を描いた最高傑作だ。 主役ゆき子に高峰秀子、富田に森雅之。このキャスティングがいい。 昭和18年にゆき子は、農林省のタイピストとして仏印へ渡った。
二人は関係を持つようになるが終戦になり、妻と別れるといって富田は先に引き揚げてゆく。
なじられても、傷つけられても、好きだから離れられないゆき子と、優柔不断で女を引き込んで行く富田。
引き帰すことの出来ないところまで追いつめられているゆき子に、
離れ小島(屋久島)に向う途中に病で倒れるゆき子。
やっと、島にたどりつくが、ゆき子の病状は思わしくない。 幾分、気分が良くなったと思われた日、富田は、何時ものようにからかう。
ゆき子の死に顔を見詰め、明かりを持って来てゆき子の唇に口紅をつけてやる富田。
動かぬゆき子にすがりついて泣く富田。 “花のいのちはみじかくて苦しきことのみ多かりき”と林芙美子の詩が画面に… 森雅之の演じた優柔不断の男・富田が実にいい。
それに、ゆき子役の高峰秀子のけだるそうな表情・やるせない表情・惨めな面持ちが、切なく迫ってくる。 二人の名演と、成瀬巳喜男監督の男と女の内面をえぐる演出が旨く絡み合っている。 特に、成瀬監督の女心をえぐる演出は、素晴らしく、引き込まれて行く。 伊香保温泉のおせい(岡田茉莉子)の、ぞくっとさせる色気や、加東大介の味のある演技も見ものだ。
この作品を観終えた時、私は、フェリーニの『道』のラストシーンを思い浮かべた。
※小津安二郎監督は、『浮雲』を観て「私には撮れない」と言い、成瀬巳喜男監督を絶賛したそうである。
1995
1995年の[日本 映画オールタイム・ベストテン]映画100年特別企画は、映画100年を総括する特別企画として、評論家・作家・ジャーナリストなど104人の選考委員の 全体点数(各個人選出ベストテンの第1位を10点、第2位を9点、以下第10位を1点)を集計、合計数の多い作品 から抽出するという方法で、映画史を通 じての日本映画ベストテンを発表した。 2000
映画誌『キネマ旬報』が、映画評論家や俳優、脚本家ら74人に回答を求めて「20世紀の映画スター」を選出し、ランキングを発表した。 Top
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