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韓国料理研究家  金 裕美
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韓國料理、その人気の秘密

金 裕美


調理食品と技術

2001年  NO.2 Vol.7

日本調理食品研究会


 


韓国料理、その人気の秘密


1.韓国料理の歴史的な流れ

 韓民族の先祖はアジア大陸北部の騎馬民族で、肉食をしていましたが、より温かい土地を求めて南下して中国東北部や韓半島に達し、一部は日本に渡ったとされます。南下するにつれ、農耕へと定着して来たようです。
 その後,高句麗(紀元前〜668)、百済(?〜660)、新羅(?〜935)の三国時代を迎えますが、372年に高句麗に仏教が伝わり、高麗(918〜1392)時代に盛んになります。殺生を禁じた仏教の伝播以後、肉食が衰退し、野菜中心の食生活になります。
 高麗末の1231年、蒙古が侵入して、肉食が復活する事になります。

          
 朝鮮王朝(1392〜1910)になりますと、儒教が生活規範となります。年長者を敬う儒教の影響を受けて、健康のため栄養バランスに配慮したものへと韓国料理も変化していき、現在の韓国料理の基本的な考え方が出来上がります。
 17世紀になると唐辛子が伝わります。南米原産の唐辛子は、コロンブスの新大陸発見により、世界各地に広まったとされますが、中国、韓国よりも先に伝わった日本では、肉食をしなかったため定着しなかったそうです。
 唐辛子は、肉食と良く合い、栄養的にもビタミンCが多く、酸化防止や乳酸菌の繁殖促進など優れた効果を持ち、18世紀になると山椒や高価な胡椒などにとって代わり、料理に使われます。韓国料理が、ここで初めて赤くなって行った訳で、歴史的には未だ浅いと言えるでしょう。
 それまで山椒、胡椒などで漬け、白かったキムチも現在のように赤く染まり食欲をそそるものへと一大変身したのです。その後19世紀にはキムチに塩辛も使うようになり、動物性と植物性の栄養素が醗酵により見事に調和した完全栄養食品と評価されるまでになります。

2.韓国料理の考え方

 儒教に徹底した韓国人は、食べる事にも積極的な意味を見つけ、食べる事が身体に良いという薬食同源の考えを貫きます。それも薬膳料理のような特別なものでなく、普段の日常の食事で健康と体力を維持しようとします。
 その基本は栄養バランスに置かれます。ほとんどの料理が植物性と動物性の食材、すなわち陰と陽を調和させ、同時に五味五色の食材で栄養バランスをはかります。

 五味は塩辛い、甘い、酸っぱい、辛い、苦いで、五色は赤、緑、黄、白、黒の食材です。主食材、副食材も栄養的に配慮し、足りないところは薬念(ヤンニョム・調味料、香辛料)で補いながら、最大限に栄養価を引き出す調理法を行います。
 食べて身体に良い薬になる事を念じる意味で調味札香辛料を総称して薬念(ヤンニョム)といいます。素材は、韓国料理でよく使われるものとして、塩、醤油、酢、蜂蜜、胡椒、芥子、山椒、生姜などに、ごま、ごま油、にんにく、唐辛子、ねぎ、コチュジャンなど薬効のあるものが良く使われます。
 この頃の日本での韓国料理の人気の秘密は、その理由の一つとして韓国料理の基本的な考え方にあると言えるでしょう。
 栄養バランスをはかると言うことは、現代にも通じる事で、韓国料理のイメージは、従来の焼肉を中心にした辛い、にんにく臭い、栄養スタミナ食、食欲増進にプラスして、本来の韓国料理が知られるにつれて、野菜などもバランスよく食べる、おいしい健康美容食としてのイメージができつつあります。
 明治以降、肉食をはじめた日本では、130年後の今ではすっかり一般化し、同時に肉食と良く合う唐辛子やにんにくに違和感を持たず、おいしく食べるようになりました。
 キムチは身体に良いイメージから消費が急増して今や完全に定着しておりますが、高齢化社会を迎え、健康に関心を持つようになり、同時に女性は、ダイエットや美肌など美容に関心を寄せ、比較的食べやすく、おいしい韓国料理に注目し始めたと思われます。
 料理は、ただ食べて満腹する時代から、見て美しく、食べておいしい時代を経て、今や身体に良い事が求められています。
 昔から身体によい事を追求してさた韓同料理が、21世紀を前にして、いよいよ日本でも脚光を浴びる時代になったのかも知れません。日本人が肉食をする限り、韓国料理は益々受け容れられて行く事でしょう。
          
3.韓国料理の調理法
                   
1)主食:
ご飯:五穀飯、のり巻(キムパプ)、炊き込みご飯、ビビムパプなど。
お粥:あわび粥、ごま粥、松の実粥、かぼちゃ粥など。
麺:温麺、冷麺、ビビム麺など。
饅頭:餃子、水饅頭など。

2)汁物:拙著「韓国のスープ」(旭屋出版)参照。
タン(湯)、クク(汁):汁の事ですが、タンは漢字言葉で、古代では、煎じ薬を指す言葉だったようです。ククは韓国固有の言葉です。主に肉や骨、いりこなどでスープを取り、野菜や海藻、魚介などを煮て、旨みを引き出します。料理名と調理法が必ずしも一致しない事があります。
  
○マルグンクク(澄まし汁):ジャンクク、塩,醤油などで調味したあっさり味のスープ。にんにく、唐辛子、ねぎ、ごま油などの薬念が風味をつけ、栄養バランスを高めます。身体を芯から温め、咳を鎮めるなど、おいしくて栄養補給に効き目のあるスープ、辛くないスープなど、日本人の口にもよく合います。

あさりスープ、干し明太スープ、ねぎスープ、キャベツスープ、よもぎ団子スープ、魚団子スープ、ざくろ餃子スープ、大豆もやしスープ、わかめスープ、豆乳冷スープ麺、きゅうり冷スープ、鶏肉とごまの冷スープetc.

○トジャンクク(みそ汁):昔からの韓国のみそは、大豆の姿が少し残り素朴な味わいがします。具が野菜だけの時、米のとぎ汁やいりこを加えるとまろやかな味になります。いりこを煮込みすぎると少々くどい感じになりますが、韓国では取らずにそのまま食し、カルシウムを摂取します。

キムチ牡蠣スープ、白菜スープ、ほうれん草スープ、どじょう汁etc.

○チゲ(具の多い煮込み汁):
チゲは具が多くて、スープが少し濃いのが特徴。みそ味、コチュジャン味、すまし風があり、キムチ、牛肉、みそ、豆腐、野菜、魚、蟹など、種類が豊富。韓国人が好む料理で、大衆的で食べやすく栄養価が高い。宮中ではジョチと呼びます。

海老チゲ、じゃがいもチゲ、おぼろ豆腐辛味チゲ、ズッキーニチゲ、甘鯛チゲ、牡蠣と豆腐とアミの塩辛チゲetc.



○コムタン(煮込み汁):
コムタンは長い時間コトコト煮込んだスープ、素材が軟らかく、旨みや栄養分がスープの中に溶け出し、消化吸収が容易になります。骨を煮ると髄まで溶け出し、コラーゲンもたっぷりの美容健康食に。意外にも塩味のあっさり味や醤油味、唐辛子味などいろいろ。 牛辛味スープ、テールスープ、

カルビスープ、里芋スープ、参鶏湯etc.

○ジョンゴル(鍋):
いわゆる鍋料理です。神仙炉、豆腐鍋、鯛鋼などの宮中の鍋料理は、手間をかけて調理された具が、美しく盛り付けられ、色鮮やかで優雅な寡囲気で、辛くない上品な味です。庶民の鍋料理は、具があまり下ごしらえしないで、ちょっと辛めに煮込まれます。キムチ鍋、きのこ鍋、海鮮鍋、豆腐鍋、

てっちゃん鍋、鯛鍋、神仙炉etc.


3)漬物:キムチ
白菜、大根、きゅうり、からし菜、水キムチなど200種以上。

4)お浸し:ナムル(和え物)以下は拙著「韓国の人気おかず」(旭屋出版)参照
食用になる山菜、野草、木の芽、根、栽培野菜、きのこ、海藻など多彩で、冬などは乾燥させた干し野菜なども使い、季節を超えて野菜を食する調理法もあります。味付けの薬念は、主に醤油、コチュジャン、みそ、ごま油、ごま、塩辛、洋辛子、酢、木の実など。

○スクチェ(熟菜):
火を通して調理、茹でたり、蒸したり、炒めたり、また茹でて炒めたり、塩をして炒めたりなどして調理します。

ぜんまいナムル、人参ナムル、大豆もやしナムル、ほうれん草ナムル、韓国かぼちゃナムル、たけのこナムル、せりナムル、なすナムル、ふきナムル、大根ナムル、椎茸ナムルetc.

○センチェ(生菜):
生野菜に、そのまま味をつけたり、塩をして和えたりします。冷めた物を食べる関係から、脂気のない肉や材料と組み合せたりします。

わかめの酢の物、韓国風サラダ、白菜の酢の物、筍と芹の酢の物、大根センチェ、きゅうりのセンチェ、白瓜センチェetc.

          

5)雑菜:ジャプチェ。(炒め+和え物)
春雨炒めでなく、炒めた野菜と茹でた春雨を和えたもの。辛くなく、栄養バランスも良く、おいしい。日本人も好さな料理。お祝い、祝日などハレの日の料理。

6)衣焼き:ジョン(煎)。プチムゲ。
ピカタのように溶き卵を付けて鉄板で焼く料理。宮中料理では、ジョニュオと言い、野菜、きのこ、魚貝、肉類などを小麦粉や卵の衣を付けてフライパンで両面を焼さます。酢醤油か薬念醤油を付けて食します。辛くなく、誰にでも食べ易く好まれる料理です。

ホタテのジョン、牡蠣のジョン、甘鯛のジョン、アサリのジョン、玉ねぎのジョン、わらびのジョン、シラウオのジョン、唐辛子のジョン、韓国かぼちゃのジョン、生椎茸のジョン、えごまの葉のジョン、パジョン(ねぎと海鮮)、肉団子のジョン、レバーのジョンetc.

7)薄焼き:チヂミ(ミルジョンビョン)
小麦粉などを溶いた生地に野菜、魚貝、肉類などを混ぜ合せ、薄く焼く料理法をプチンゲ、ミルジョンビョンといいます。日本では、いつの間にか薄焼きの事をチヂミと呼びますが、チヂミは元々汁気のある料理であるなど、諸説があります。

にらのチヂミ、韓国かぼちゃのチヂミ、じゃがいものチヂミetc.

8)塩辛:ジョッカル(塩辛)
塩辛は、醗酵保存食で、魚貝類、肉、内臓などを材料により、塩分の高い物や低塩分の物があり、また長期熟成させ、沈澱物を取り除いた物をジョックク(塩辛汁)と言います。薬念をしてご飯のおかずや調味料、キムチを漬ける時にも使われます。

イカの塩辛、牡蠣の塩辛、いわしの塩辛、アミの塩辛etc.


9)醤油漬ニジャンアチ(醤油漬け)。酢漬カプチヤングァ。
長く保存できる貯蔵食品で、醤油漬、みそ漬、コチュジャン漬、酢漬などがあります。
種類により、あまり長く保存できないものや醗酵してから1年程度がおいしく食べられるものもあります。漬けてすぐ食べられるようにしたのが、カプチヤングァです。

にんにく酢漬け、にんにく醤油漬け、なす醤油漬け、淡竹醤油漬け、きゅうり醤油漬け、白瓜醤油漬け、つる人参コチュジャン漬け、きゅうり炒め物醤油漬け風、大根醤油炒め、ワタリガニ醤油漬け(ケジャン)etc.

10)蒸し物:チム(蒸し物、煮込み、蒸し煮)
材料を大きく切って蒸す料理ですが、水蒸気を利用した本来の蒸し物と長時間茹でる物、材料と汁を入れ蒸して煮付けるもの(蒸し煮)などがあります。主材料として肉、えびなどの魚貝類、豆腐などがあり、野菜、きのこなどは主に副材料として利用されます。

豚カルビ煮込み、牛カルビ煮込み、大根と牛肉の蒸し煮、鶏肉と干し明太の蒸し煮、甘鯛の蒸し物、えごまの葉の蒸し物、キムチ入りロールキャベツetc.

11)煮付け:ジョリム(煮物)
肉類、魚介類、野菜類、干し魚類など、材料により、充分に味付けして弱火で、長時間調理する方法と醤油などを先に煮付け後で材料を入れて調理する方法などがあります。味付けを濃くすれば、佃煮のように貯蔵性が高まります。

なすの煮物、じゃがいもの煮物、れんこんの煮物、白菜キムチとツナの炒め煮、サンマの煮物、鯛の煮物、豆腐の煮物、牛肉醤油煮etc.

12)炒め物:ボックム
肉、野菜、干し魚、海藻などを下ごしらえして油で炒める料理ですが、高い熱量で油だけで炒め、汁の無い調理や薬念で味付けし、少し汁が出る調理などがあります。

チリメンジャコ炒め、豚ロースのピリ辛炒め、牛肉醤油炒め、イカのピリ辛炒め、キムチ野菜炒め、きのこ炒めetc.
          

13)焼き物:クイ(焼き)。魚、肉、野菜。串焼き
焼き物には串、鉄板、網などがあります。
韓国で、焼肉のことをプルコギ(火肉)と言いますが、肉から出る汁も味わいます。日本では、肉だけを食べる傾向にありますが、栄養バランスを重視する韓国では、色々なたくさんの野菜で包んで食べます。

プルコギ(焼肉)、豚肉ピリ辛焼き、鶏肉ブルコギ、ブリ焼き、イシモチの焼き物、干し明太の焼き物、干しシラウオの焼き物、焼き海苔、豆腐の焼き物、焼き准茸、松茸と牛肉の串焼き、キムチ串焼さ、たらの芽と牛肉の串焼きetc.

14)和え物:ムチム
干し魚や野菜、海藻、海鮮物などを薬念して和えたり、乾燥材料を汁気無しで和えて保存食にしたり、野菜と魚介類などの和え物があります。材料の持ち味を生かす薬念で和え、栄養的にも補い、高めます。また保存性の出るのもあります。

さきイカの和え物、岩海苔の和え物、干し塩タラの和え物、チヤンジヤ(スケソウダラの腸の塩辛)の和え物、辛子明太子の和え物、干し大根の和え物、しし唐辛子の和え物、どんぐりムクの和え物、イカときゅうりの和え物etc.

15)刺身:フェ(刺身)。センフェ(生刺身)、スクフェ(熱刺身)。
新鮮な魚貝類、牛肉などを切って、生で食するのが、センフェで、さっと茹でて食するのが、スクフェです。薬念は、酢醤油、酢コチュジャンなどで、ねぎ、にんにく、生姜などを加えます。肉の刺身(ユツケ)は味付けにごま油を使い、肝は塩も使います。

生レバー、ユツケ、生せんまい、ホヤ、ハマチ、鯛、マグロ、タコ、イカ、ナマコetc.

16)膳:ソン
チムと同じような調理をしますが、主材料が植物性で、切れ目に牛肉、きのこなどを挟み込み、野菜と肉系を組み合せます。膳に特別な意味はなく、良い食べ物と言うような意味です。

きゅうりのソン、韓国かぼちゃのソン、豆腐のソンetc.

17)干し物:ポ(干し物)。ジャパン。
干し肉、干し魚など肉類、魚、海鮮物、野菜などを貯蔵して食べられるように、塩をして乾燥させたり、油で揚げたりしたものです。食べ物を保存する昔からの知恵ですが、生とはまた違った味(旨み)と栄養、独特の風味などが好まれています。

干し肉、干し魚etc.

18)揚物:ティガク(揚物)。プガク。
昆布は出汁を取り、グルタミン酸などの旨みが料理をおいしくします。その栄養と旨みのかたまりを油で素揚げして、サクサクと煎餅のお菓子のような物にします。砕いて料理に混ぜれば、天然調味料の隠し味にもなります。

昆布の揚物etc.

19)お摘み:マルンアンジュ(乾いたおつまみ)。
肉、魚貝類、野菜、果物などの干し物やのり、昆布などの揚物などをおつまみにしたもの。

干し柿、スルメ、くるみ、干し明太、松の実、銀杏、栗、なつめetc.

20)腸詰:スンデ(腸詰)。
牛の腸に豆腐、ねぎ、椎茸、肉などを薬念して茹でたもので、栄養価の高い酒の肴です。凍太スンデ、イカスンデなどもあります。

スンデ、凍太スンデ、イカスンデetc.

21)餅、お菓子、お茶:
お菓子、お茶の中には、身体に良いものがあります。

シルトク、ヤクパプetc.
 




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