■日本人と乳

  牛乳を飲んだらお腹が張って、お腹がゆるくなる!!そして下痢。皆さんはどうでしょうか?「乳糖不耐症」(にゅうとうふたいしょう)ってご存じですか?良く日本人はアルコールを分解する酵素をあんまり持っていないので酒に強い人が欧米に比べて少ない!!と言われますよね。それと同じで日本人などの有色人種には牛乳に多く含まれる乳糖(ラクトース)を分解する酵素ラクターゼ(βーガラクトシダーゼ)の活性が低いとか、欠損している場合が多く、牛乳を飲んだ時にお腹が張ったり、下痢症状を引き起こしてしまうんです。以下にその概略について示します。

 ◎通常の乳糖の分解吸収

乳糖(ラクトース)→(小腸粘膜上皮細胞微絨毛に存在するラクターゼが作用)→グルコース+ガラクトースに分解→吸収

 ●ラクターゼ活性低下、欠損状態時

乳糖(ラクトース)→(小腸粘膜上皮細胞微絨毛に存在するラクターゼがほとんど作用しない)→乳糖(ラクトース)大量に残留→腸内の浸透圧が高くなる→多量の水分が腸内に入ってくる→残留した乳糖(ラクトース)は乳酸菌などの腸内細菌により二酸化炭素、水、短鎖有機酸に分解→発生した二酸化炭素などのガスが膨張を起こす、有機酸などは腸壁を刺激し腸内の水溶物が合わさって下痢が起こる

 しかしながら一見悪者扱いの乳糖(ラクトース)も人体では多くの役割を果たしているんです。

1.乳児の脳の発達や髄鞘形成に重要な役割を持つ 2.腸管からのカルシウムやマグネシウムの吸収促進を促す効果がある 3.腸内の潜在的な病原性最近の腸内定着が排除されうる

 

ここでヨーグルトの登場!!

 牛乳中には4−5%の乳糖(ラクトース)が含まれているのですが、これが乳酸菌の発酵作用で生み出されるヨーグルト中では約3%程に減少するんです。ちなみにヨーグルト中に含まれる乳酸菌も腸まで届く事によって腸内での乳糖(ラクトース)の分解に寄与している場合がありますので、さらに乳糖が分解されやすい状態になると言えます。付け加えると、チーズやバターでも同じように乳糖(ラクトース)が減少しており、以上のような発酵乳製品、乳製品などは下痢症状を起こしにくいのです。

 その他にもヨーグルトには整腸作用、血圧降下作用、血中コレステロール低減などの生体調節機能(ただし発酵に使用する菌種によっては前述のような効果がない場合やその他の効果がある場合があります)が確認されており近年日本でも飛躍的に発酵乳の消費量が増加しています。ヨーグルトの機能性については話題が尽きませんので改めてコーナーを設けたいと思います。

*豆知識

 乳酸菌は摂取してもほとんどの場合は胃酸でやられてしまいます。しかしながら乳酸菌の菌体に含まれる成分(特に細胞壁の成分)は抗腫瘍性、抗変異原性、血圧降下作用、血清コレステロール低下作用を示します。注意点としては、乳酸菌の菌体成分が直接ガン細胞を破壊するのではなく、我々の生体防御機能を高める事によるガン細胞増殖抑制という点なのです

 こうして考えてみると我々日本人の体には非常に優しいヨーグルト。多量摂取でおなががゆるくなることがあったり、乳アレルギーを示したりすることもあるようですので自己責任で摂取していただかなければなりませんが、健康維持・増進のためにも必要不可欠になりつつありますね。

参考文献:乳酸菌の科学と技術