
[496] ダンス物語(7) 投稿者:管理人 投稿日:2009/09/10(Thu) 19:56:51 No.496
対抗戦は、アウェイで行われた。
法華大の学生会館ホールは、桜材の床で、広かった。
「成海ちゃん、ちょっと。」
試合前に、成海の銀色に輝くサンダルに気がついたひとみは、成海を呼び止めた。
「会田先輩、何でしょう。」
「成海ちゃん、それおニューでしょう。」
「へへっ。晴れ舞台なので、奮発しちゃった。」
「だめ、だめ、だめ。いつものシューズ、持ってきた。」
「ええ。」
「シューズは、ダンスの命。しっかり、フィットしたシューズで踊らなきゃダメなの。おニューは、
ご法度、早く履き替えて。」
「えー、残念だけど、先輩がそう言うのなら・・・」
1年生のルンバの予選が始まった。
「黒いオルフェ」の曲が、ホール全体に流れた。
東都大、法華大の12カップルが一斉に踊り始めた。
「なかなか、いいわね。」
「デビュー戦なのに、みんなやるわね。」
「フレー。フレー。帝都。」
[497] ダンス物語(8) 投稿者:管理人 投稿日:2009/09/10(Thu) 20:26:18 No.497 [返信]
会場が熱気に包まれた。
学生は、控えの選手の声援が心地よい。
長い1分半が終わった。
審査結果は、競技会同様、会場の外の廊下の掲示板に張り出された。
「帝都と法華が3組づつね。」
「帝都は、あけみと成海と里子。全部、星雲だ。」
星雲で、ただひとり落ちた若菜は、唇をかみ締めて、ボードをにらみつけていた。
『それでは、1年生の部、ルンバ決勝です。』
「ある愛の詩」の曲が流れ始めた。
「みんな、落ち着いているわ。」
「1年生に見えないね。」
あっという間の2分間であった。
『それでは、1年生の部、ルンバの結果発表です。』
『優勝は、帝都大、内村・渡辺組。』
成海である。
場内にどよめきが走った。
結局、あけみが3位、里子が6位で、1年生ルンバはかろうじて、帝都大が勝った。
審査委員長のコメントである。
『1年生のルンバは、初々しさが大変良かったと思います。ダンスは、観ている人を感動させること
が大事です。私は、ちょっと感動しました。普通は、初めての大会は、何を踊っているのか判らない
くらい緊張するのですが、流石名門の帝都と法華、堂々としていました。特に女子のリズムとヒップ・
アクション。ああ、ここに注意しているのだなというのが伝わってきました。これからも、是非、基本を
大事にダンスを勉強してください。ひとつだけ、申し添えます。7番の選手(里子の組である)、なぜ
スライディング・ドアで、女性のスパイラルを挿入したのでしょうか。規定フィガー違反です。1回目は
警告なのですが、決勝の終わりの方だったので、警告無しに、審査員の協議で、失格ではなく、6位
ということで落ち着きました。ルールは守るよう、くれぐれも注意してください。』