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| ★長吉西中学校 |
| 中学校一年の終わりに、転校することになった。 それまでいた中学校は、その地区ではかなり荒れていた方だった。 入学したての頃、校舎の間を歩いていると、上から水の入った風船が降って来た。 目前で割れた風船に驚きながら、見上げると先輩たちが屋上で笑っていた。 僕らは、廊下以外はすばやく小走りで移動するすべを覚えた。 水入り風船ならまだいいのだけど、つばや筆箱、コーヒーなど何が振ってくるか 油断できなかったからだ。 日常的に先輩たちに挑戦してくる他校の生徒がやってくる。 ある時など他校の不良集団約7、8名が授業中に校門目指してくるのが、 三階の僕たち一年のクラスの教室から見えた。 先生の注意もそっちのけで、クラスの皆は事の顛末に興味津々だった。 皆で窓ガラスにはりついていると、番長格の先輩が一人で校舎から駆け出して、校門に一直線に走っていくのが見えた。 その右手には木刀が、、、。 予想外の展開に慌てたのだろうか、なんと他校の不良集団約7,8名は大急ぎで回れ右して、 逃げ帰ってしまった。 恐るべし。 と、思う反面、少し頼もしかった。 僕の兄貴というのが、僕が入学した時の卒業生で、けっこう悪たれだったらしく、 「おまえが、弟か」 と各先生に目をつけられたが、しかし、僕はふざけてはいるが勉強は出来たため、かわいがられたのだ。 学校自体にも自由な雰囲気があった。 制服はあったけれど、髪型は自由だったし、先生や友達にも言いたいことを言いながら楽しく過ごしていた。 僕は不良ではなかったと思うが、つっぱったグループとも仲良くやっていた。 なぜか、僕をしたう山田君(男子)という子がいて、 「兄貴、兄貴!」 とところかまわず呼ぶので非常に面映かった。いや、むしろ困った。 つっぱりたちには、 「ほう、舎弟がいるのかね(笑)」 と、be-bop風にからかわれるし、先生には、 「いじめてるんちゃうか?お?」 などと勘ぐられるし。 思い出した。 入学してまもなくの時に、、ホームルームの時に僕の発言をからかってくる級友がいて、 名前は忘れたけどそいつのおかげで、クラスは笑いの渦になったのだ。 僕は笑いものだ。 これから友人をつくるぞ!と思っている時だし、クラスの半数を占める女子の印象も悪い。 腹の奥で何かが、コトリ、と音をたてた。 「奴は、許せない。このままでは俺の中学校生活はやばい。」 そう思った僕は、授業が終わるや否や、そいつの座っている席に自分の椅子を投げた。 そのまま、突進して右ストレートをやつの右頬に力任せにぶちかました。 一言も言葉を発さずに勝負はついた。 その後から、山田は妙になついてきたんだった。 そんなこともあったが、僕はたくさんの友人に恵まれて過ごしていた。 友達も出来たし、グループ交際というのかわからんけど、いろんなところへ皆で遊びに言った。 人気者だったと言っていいと思う。 そんな風に楽しく、初めての社会生活(小学生から比べれば)を満喫していた。 そこへ、家族で引越しすることが決まった。 実をいうと最初の一週間は元の中学校に通っていた。 別れ難かった。 最後の日。 僕が、自転車で去っていく時、クラスの皆が校舎の廊下の窓から手を振って叫んでくれた。 「元気でなー!」 涙がいっぱい出たよ。 「ありがとう。みんな。 新しい街で、皆のような素敵な友達みつけるよ。 みんなも、がんばれよーー!」 振り返る視界の中でだんだん皆の姿が小さくなっていった。 あんまり、振り返ったらチャリンコこけてしまうから、時々振り返るから、 振り向くたびに、どんどん、遠ざかっていった。 大切なもんがだんだん遠くなっていった。 |