東中野氏の徹底検証 4
反日撹乱工作隊(3)


 以上、東中野氏が「反日撹乱工作隊」の証拠としてあげる記事は、いずれも根拠の薄いものであることを見てきました。

 ところが、ここから東中野氏は、外国人が経験した「日本軍の乱暴狼藉」はすべて「反日撹乱工作隊」の仕業だった、と言わんばかりの、無茶な議論を始めてしまいます。

 
東中野修道氏『南京虐殺の徹底検証』より

 他方、東京裁判でマギーが証言したことも興味深い。
日本の兵隊が家屋に侵入してきた場合には、私達が其処に行きますと、直ぐ日本の兵隊達は逃げたのであります。是は何時も私達は、どう云うわけで自分達が行くと逃げるのだろうと思って不思議がったのであります。>

 しかし、マギーの疑問も、王信労たちの自作自演の掠奪強姦劇を考慮に入れて、「日本の兵隊」を支那の兵隊と読み替える時、たちどころに氷解するのではないか。
もし日本の兵隊が行ったのであれば、その犯罪には、それ相応の処分が待っていた。従って、日本兵は、何よりも目撃者の存在を恐れた。そこで、欧米人が来る前に、いち早く逃げたであろう。あるいは、欧米人の姿が消えるのを待って、実行したことであろう。

 ところが、そうではなかった。これ見よがしに、欧米人の前で、実行されたというのである。これはおかしい。

 では、支那の兵隊ならば、どうであったろうか。

 彼らは掠奪・放火・強姦を、欧米人に目撃してもらわなければ、所期の目的(煽動)を達したことにならない。しかも、現場に日本軍が急行すれば、逮捕される。長居は無用であったから、欧米人の目撃を確認するや、すぐに姿を隠さなければならなかった。

 従って、マギーが呼ばれて駆けつけた時、侵入していた家屋から「直ぐ逃げた」のは、日本兵に扮した支那兵であったのであろう。それを、支那兵ではなく日本兵がやったと信じて疑わないマギーたちこそ、不思議といえば不思議であった。

(P278〜P279)


 ちょっと考えても、「日本兵に扮した支那兵」説には、いくらでも疑問が湧いてきます。

 「支那兵」はどこで「日本兵」の軍服を入手したのか。「日本兵」に偽装したことを、中国人の「被害者」や「目撃者」に見抜かれるリスクを考えなかったのか。 「宣伝」に使いたいのであれば確実な 「日本軍の乱暴狼藉」事例がいくらでもあるのに、なぜ「偽装」までしてその「事例」を増やす必要があったのか。他の都市では全く見られない「偽装」戦術が、なぜ南京だけで実行されたのか・・・。

 しかもその「証明材料」は、事実上、先に見た2つの記事だけです。上の記述での「材料」は、マギーらの姿を見ると「直ぐ日本の兵隊達は逃げた」、という一点しかありません。

それも、よく読むと、東中野氏はマギーの証言をかなり歪めています。マギーは「私達が其処に行きますと、直ぐ日本の兵隊達は逃げた」 と証言しているのに、東中野氏は、これをいつのまにか、「これ見よがしに、欧米人の前で、実行された」と、かなりイメージが異なる表現に「翻訳」してしまっています。




 さて、「極東軍事裁判」における、マギー証言をめぐるやりとりを見てみましょう。

極東軍事裁判 マギー証言

マギー証人 (略) それは私がさう云ふことを見ないと云ふのは理由があるのであります。 と云ふのは、日本の兵隊が家屋に侵入して来た場合に、私達が其処に行きますと、直ぐ日本の兵隊達は逃げたのであります。是は何時も私達は、どう云ふわけで自分達が行くと逃げるのだろうと思つて不思議がったのであります。

 但し中国の男の場合には、それを助けることは出来ませぬでしたが、中国の婦人の場合には、必ず日本兵は逃げたのであります。

ブルックス弁護人 其の逃げたのは、多分其の犯人が誰であるかと云ふ風なことが分つた場合には、処罰せられたり、上の将校に告げられることを惧れたりした為めではなかつたでないでせうか。

マギー証人 私は証拠はありませぬが、どうも日本の兵隊は「アメリカ」人に関しては干渉するな、放っておけと云ふような命令を受けて居たやうに思われました。

(「南京大残虐事件資料集 第1巻」P104)


 「逃げた理由」について、ブルックス弁護人は、ごく常識的な判断を行っています。 弁護側ですら思いつきもしない「反日撹乱工作隊」説を、東中野氏は貧弱な根拠から「妄想」しているわけです。

(2002.12 記)


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