世の中には、弓に関係する言葉が意外に存在しています。
ここでは、一般的に使われている、弓に関する言葉を並べてみました。

お読みいただき「ほ〜〜」と、うなずいていただければ幸いです。
また、おかしいところがありましたら、お知らせください。m(_ _)m

「正射必中」top

その一

「手ぐすねを引いて待つ」
 
 「くすね(薬煉)」とは、松やにと油を練り合わせたもので、弦を固めたりする粘着材。それを弓を執る左手につけることで「弓返り」をしないようにし、迅速に矢番えできるようにしたらしい。つまり、そういう準備をして臨んだことが、鎌倉時代から連綿と、今でも立派に常套句として残っている。
 「満を持す」
 
 弓を十分に引いてそのまま構えること。十分に準備をして機会を待つこと。
 「手の内」
 
 腕前、力の範囲、心の内で計画していること。
 「的」
  めあて、目標。はげしい攻撃にさらされるもの。「羨望の的」とか。
 「的外れ」・「正鵠(せいこく)を射る」「図星」「的を射る」「的中」
 
 核心や急所をついているかいないか。「正鵠」も「星」も、的のど真ん中のこと。最近は「的を得る」と言っている人がいるけれども、これは「当を得る」と「的を射る」を混同した間違い。
 「矢継ぎ早」「矢数」
 
 とにかく物事をぽんぽんと休みなく続けること。例えば「矢数俳諧」とは、弓の「大矢数(三十三間堂の通矢が有名)」にならって、一夜一日もしくは一日の内に独吟で早く多くの句を作り続けて、句数を競う俳諧のこと。
 「矢の催促」
 
 「矢継ぎ早」な厳しく頻繁な催促。
 「矢面」
 
 敵の矢が飛んで来る正面のこと。転じて、質問・非難などの集中する立場。「質問の矢面に立たされる」とか使われる。
 「白羽の矢が立つ」
 
 人身御供を求める神が、その望む少女の家の屋根に人知れず白羽の矢を立てるという俗伝から、多くの人の中で、これぞと思う人が特に選び定められること。また、犠牲者になること。
 「矢も楯もたまらない」
 
 一途な気持をこらえることができない。
 「矢先」
 
 まさに事が始まろうとする時、あるいはその直後。「始まった矢先に邪魔が入った」とか。
 「光陰矢のごとし」
  時間のたつのは速いものだ。これと「走馬灯のように……」は、卒業式には決まって使われる。
 「一矢報いる」
 
 相手から受けた攻撃・非難に対して反撃し、反駁(はんばく)を加える。
 「矢でも鉄砲でも持って来い」
 
 こちらはびくともしないから、どんな手段を使ってでもかかってこい。
 「矢庭に」
 
 その場で。たちどころに。少しの猶予もなく、いきなり、突然に。
 「やばい」
 
 これの「やば」とは「矢場」のこと。とはいっても、現在の弓道場ではなく、盛り場などにあった「楊弓場」といういかがわしげ(?)なところのことらしい。
 「弓折れ矢尽きる」
 
 力尽きてどうすることもできないたとえ。「刀折れ矢尽きる」ともいう。
 「弓を引く」
 
 反抗する。背く。楯つく。
 「筈」
 
 矢の筈と弦とが合うことから、当然のこと。当たり前のこと。「ここに置いておいた筈なのに」とか、忘れっぽい私はよく使っている。
 「にべも無い」
 
 愛嬌もない。思いやりもない。とりつきようがない。「にべ」とは「にかわ(接着剤)」のことで、弓を作る時、木と竹を接(は)ぎ合わせるのに使われている。……けれども、現在は合成接着剤が主流で、かなり希少なものになっているらしい。
 「射止める」
 
 射あてて自分のものにする。射とる。「彼の心を射止める」となれば、恋愛小説の決まり文句。
 「にじ(rainbow)」
 
 誰でも知っているこの単語、「雨(rain)」の「弓(bow)」。日本では外側から順に「赤・橙・黄・緑・青・藍・紫」で七色だけれど、英米でも「red(赤), orange(橙), yellow(黄),green(緑), blue(青), indigo(藍),violet(紫)」の七色。ただし、「indigo(藍)」と「blue(青)」の区別がなく、六色と考えられる場合もあり、常に七色とは限らないらしい。
 
  一般的にはこの辺りが良く使われるし聞かれると思う。そしてここからは、辞書で見つけたカルトな部分。

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その二

 「いくさ」
 
 合戦とか、戦いをいう「いくさ」は、「射ふ(いくう;射る、射交わす)」の「射(いくさ)」から来ている。だから、「謀反」=「弓を引く」で、「弓馬の家・弓馬の道」=「武家・武道」なのだろう。軍記物では、この武将は強い、と表現するのに、天下一の弓引き、とかいうらしいし。ちなみに、「的」を「いくは」とも読む。
 「さち」
 
 「幸い」・「幸福」の「さち」。「矢」の古称は「サ(辞書では「箭」の字が当てられていた)」で、「矢の霊力」を「サチ」といい、矢の獲物、転じて幸福を「さち」という。掘り下げてみると、猟に用いる矢は「さちや(幸矢・猟矢)」とあった。ちなみに、戦争で使う矢は「征矢(そや)」、的を引く矢は「的矢(まとや)」、遠くへ飛ばす矢は「遠矢(とおや)」という。
 「ひじ(elbow)」
 
 古英語「elboga (腕eln+弓boga=弓になった腕の部分→ひじ)」から。実は、今回初めてスペルを見た。プロレスの「エルボー(つまりカタカナ)」しか覚えがないもので。
 「ほらをふく(draw the longbow)」
 
 直訳すれば「長い弓を引く」? しかし、日本の弓は長いぞ。
 「はつ」
 
 「発」の旧字の「發」。「癶(ハツ)」は、左足と右足をひらいた形を描いた象形文字。それに殳(動詞の記号)を加えた字「(ハツ)」は、左右にひらく動作を表し、それを音符として弓を加えた字「發」は、弓をはじいて発射すること。
 
  それにしても、弓矢に関する言葉の多さには、なかなか驚かされた。よく使われる言葉ということで、ざっと流して見てみただけなのに、これだけの量だ。この他にも当て字として「矢張り(やはり)」「矢鱈(やたら)などがあったりする。
 
  そして最後に、漢和辞典で見つけたこの言葉。

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その三
 
 「射幸心・射倖心(しゃこうしん)
 
 まぐれを願う心。
 「金的(きんてき)
 
 あこがれている最高の目標。
 「恃自直之箭百世無矢(じちょくのやをたのめばひゃくせいやなし)
 
 自然に真っ直ぐな矢竹の出来るのを待っていれば、どんなに長い時間待っていても矢を得ることは出来ない。すなわち、修養せずに優れた人間は出来上がらない。
 
  ……まさに弓のポイントをつかんだ言葉、だと思う。

 

「矯(た)めつ眇(すが)めつ」
(前略)もとは弓に関わる言葉で、「矯めつしら(調)めつ」ともいう。矢柄をたわめてみては、それを目もとにもっていって、その強弱、曲直を吟味するさまをいったもの。(中略)
 この矢柄を吟味するという原義での用例は「矯む」だけのものしか見当たらない。「責来る敵をふせがんと云うことに、弓しらべ矢をため、やりをとりなをし、太刀をひっそばめ」<三略抄>。合戦を前にして、矢がねらいどおりに飛んでいくよう形を整えているのである。
 転じて、物事の実際を、いろいろな角度から見定めようとする意味で使われるようになると、「すがむ」「しらむ」をつけて強調している。(後略)

「かけがえのない」
(前略)「掛け替えのない」という言葉は弓術から出たらしいのである。『俗語考』に「掛け替え」の語源に関するいくつかの説が記されているが、その中の一つに「かけがへ 万の物に掛替と云あり。弓の弦より出たる歟(か)」とある。(中略)
 ただ弓にかかわる「掛け替えのない」という語源説の一つに、鞣(かけ)から出たとする説もある。弓を引く際、右手に用いる皮製の手袋を鞣というのだが、これは「弓を貸しても鞣は貸すな」といわれるほど大切なものとされている。鞣は替えられないほど大切だというところから「掛け替えのない」という言葉が生じたのだ、と弓道関係者の一部に伝えられているようだが、今のところこれを裏づける文献的な資料は見当たらない。

 ところで! またしても 弓のおことば? が出てきてしまいました。以下の情報も、何かありましたらお願いします。

「中(あた)らずと雖(い)えども遠(とお)からず」
 そのものズバリではないけれどもおしいところにある、といった意味で、けっこう現在でも使われているこの言葉、しかしもともとは『大学(だいがく;儒教の経書。もともとは「礼記」の一編)』にあり「心誠(まこと)にこれを求むれば」の後を受けた語句で、「心底から希求するならば完璧とはいかなくとも、それに近いところまでは求められる」という意味だった。何だか「あたらず」に「中」の字をあてているあたり、弓と関係しているように感じられてならなかったりする。古代中国では「六芸(りくげい)」といって、その中の一つ「射」も支配者階級が修めるべきものとされていたし。

「肩入(かたい)れ」
 ひいきすること、力添えをすること。弓で肩入れといえば、「素引(すびき;矢を番えずに弓を一杯に引くこと)」のことで、一見するとまったく弓と接点がないけれど、ひょっとしてあるかも知れないなどと考えてしまう。

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その四
  
ここからは、「DMA」の方々に教えていただいたことばです。(感謝<(_ _)>)

「切羽詰まる」
 
最後の所まだきてしまって、もうどうにもしかたが無くなる。
「切羽」刀のつばが、つかとさやに接する場所にそえる、薄い金物。
な〜んか、私のいつもの懐かな?と思ったりして。

「つばぜり合い」
 
まったく互角に激しく勝敗を争う。
刀を鍔のところで打ち合わせて互いに押し合うこと。(思わず足が出たりして)

「手の内」
 
勢力や支配権の及ぶ範囲。
しっかりと自分の手のひらに握れるほどのもの。しっかりと自分の掌中に握っている。
「手の内を証さず」絶対に教えることができないこと、基本は、こうだと言うだけ。「十人十色」だそうです。
そのうち、私なりの手の内が・・・・・なんてね。弓道では、弓を握っている方の手、下手に握っていると
痛い思いをします。曰く、握るのではなくて、つかむだそうです。
ただいま親指にまめが出来てしまい、痛いです。

「見切る」
 
・見終わる・見捨てる、見限る・情勢、様子を見届ける・すっかり見る。
今のところ(ずっと)こんなことはあり得ないと、つくづく思い知らされています。
ひたすら、見捨てられないようと。

「矢らずの雨」
 
来客を帰さないためであるかのように、降ってくる雨。
こういう雨なら歓迎ですね。我が家のHPにも、雨を降らせようかな〜

「矢ははなたれた」

 

      まだまだありそうなのですが、・・・
     ご存じの方ありましたら情報お待ちしています。

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