2. 重さ

初級編

軽量ラケット全盛の時代


テニスのラケットは近年軽量化が進んでいます。
現在店頭に並んでいるラケットは、
軽いものは175gくらいから、重いものは280gくらいのものまであります。

普通、
グラウンドストロークが主な仕事の後衛は重めのものを、
細かいラケット操作が必要な前衛は軽めのものを選びます。

ラケットは軽いものほどボールがよく飛び、速い球が打てると考えていいと思います。
原則的に、誰が振ってもスイングスピードを速くできるからです。
ただ、あまりにも軽いラケットは、楽にボールを飛ばせますが、
相手の速いボールに力負けすることもありますし、
正確で安定したストロークを打つのに適しません。
自分の筋力と相談して、重すぎず軽すぎないものを選ばなくてはなりません。




ラケットの重さの表示


ラケットの重さは、フレームのどこかに「UL2」などのように表示されています。
この「UL」がそのラケットの重さです。
「2」というのは、グリップの太さを表しています。
ラケットのメーカーには、
ヨネックス、ミズノ、ダンロップ、ゴーセン、カワサキ、ウィングハート、レッドソン、
などがありますが、重さの分類はほぼ各社共通です(表示が多少異なることはあります)。

例1 ヨネックスのラケットの重量区分
重さ (g)
(G) 〜200
XFL 201〜215
UXL 216〜230
UL 231〜245
SL 246〜260
B34 268〜282
F36 258〜272




XFLより軽いモデルは表示がなく、グリップサイズ(G)のみ表示されます。
(B34は上級者後衛向け別注でトップヘビー。グリップの形も通常と異なる。)
(F36は上級者前衛向け別注でトップライト。グリップの形も通常と異なる。)





例2 ミズノのラケットの重量区分
重さ (g)
α (αSL) 〜200
Z (ZSL) 201〜215
X (XSL) 216〜230
U (USL) 231〜245
S (SL) 246〜260
L (L) 261〜275
E34 不明
F36 不明





ミズノは最近重さの表示が変更になりました。
カッコ内は古い表示です。







なお、上の表はフレームのみ(ガットを張っていない状態)の重さです。
ガットを張ると20g前後重くなります。
20gというと、バランサー(鉛のおもり)を6〜7個貼り付けたくらいの重さです。
店頭でガットを張る前のラケットを持っただけで判断するのは危険です。

選ぶ際は、実際にガットを張った状態のものを振ってみて、
ちょっと重めかなと感じるくらいのものにするとよいでしょう。
ただ、中学生くらいならUL(U)より軽めのモデルにしたほうが無難でしょう。


上級編

本当に軽いラケットのほうが速い球を打てるのか


初級編では、軽いラケットのほうが速い球を打てると書きましたが、
正確には少し(かなり?)違います。

軽いラケットは、それなりに速い球が楽に打てます。
しかし、しっかり構えて腰を入れて打っても、それ以上スピードが上がらない感じがある上、
相手の速いボールを速いボールで返すのが難しいです。
これは、ボールの重さにラケットが負けているからです。
軽いラケットで速いボールに負けないようにするためには、
インパクトの瞬間に正確に、強い力でグリップを握りこむ必要があります。
それができれば軽いラケットでも、剛球を打ち込むことができます。
しかし、これはとても難しい技術です。

重いラケットは、それなりに速い球を打つのも一苦労です。
しかし、しっかり構えて腰を入れて打つと、それに見合ったスピードの球が打てます。
もちろん、そのためにはある程度の技術と経験が要求されます。
こちらはインパクトの瞬間に力んだりする必要があまりなく、
スイングもスムーズで自然なものになります。

これはレーシングカーに似ています。
例えるなら、軽いラケットは加速重視の車です。
そこそこのスピードは簡単に出せるけど、最高速が伸びないっていう、
ちょうどあんな感じです。
逆に、重いラケットは最高速重視の車なわけです。




なぜ後衛のラケットは重いほうがいいのか


実は重いラケットと軽いラケットとでは、主にグラウンドストロークにおいて、
振り方や振るときに使う筋肉が違ってきます。

重いラケットは振り始めに大きなパワーが必要とされますが、
その後はラケットがひとりでに回転してくれます。
車は急に止まれない。あれと同じことです。
ラケットの振りはじめに使うのは体の軸(腰)の回転です。
体の軸の回転とラケット自体の重さを使ってスイングするイメージです。

軽いラケットは振り始めにどんなに大きな力を加えても、自動的に回転してくれません。
常に力を加え続ける必要があります。
だから、軸の回転でもっていくというより、腕の力でぐいぐい引っ張っていく感じです。
また上にも書いたように、インパクト時の衝撃が大きいため、それにも備えなくてはなりません。
なので、軽いラケットを振るときは、ある程度手打ちにならざるをえないのです。

この違いは、大会などプレッシャーのかかる場面で実際問題として現れます。
誰だって極度に緊張したとき、腕がガチガチになり、
どうやってラケットを振ってよいのかわからなくなるものです。
人間は緊張すると、体の芯から遠い部分ほど思うように動かせなくなります。
そういう状況下では、最初から最後まで腕力で引っ張っていかなければならない軽いラケットよりも、
最初だけドンと力を加えれば、あとは全自動の重いラケットのほうが有利です。
後衛が重めのラケットを好むのは、ここにも一因があると思います。

また上にも書いたように、
理論的には、ラケットは重いほうが力強くて速いボール(重いボール)が打てます。
特に、相手の速いボールを速いボールで返すことが容易になります。
しかし、
重いラケットは、まずそれを振り回すための筋力(腕ではなく主に下半身の筋力)が必要です。
さらに、振り始めに大きなパワーが必要ですから、ボールに早く追いつき、
しっかり構えることができる脚力と経験も必要です。




速いサービスを打つには


速いサービスを打つには、どちらかというと軽いラケットのほうが適しています。
これは、サービスが他のストロークと違い、止まっているボールを打つため、
しっかりとラケットを握っておく力や、ラケット自体の重さがあまり必要ないからです。

また、コンチネンタルグリップでサービスを打つ場合は、
ボールを手首のひねりで弾き飛ばす打ち方が必要になりますが、
そのような動作に重いラケットは不向きです。

ただし、強靭な腹筋背筋を持ち合わせている場合には、
ラケットが軽すぎると、筋力の伝達が上手く行かず、力が入らないという事態も起こってきます。
そのような場合はある程度重さのあるものを選ぶとよいでしょう。



3. 形へ進む