老人保健施設を知ろう

老人保健施設のリハビリテーション

 老人保健施設(以下、老健施設)とは70歳、場合によっては65歳以上で 寝たきりやそれに近い状態のお年寄り、認知症の有るお年寄りに利用されてい ます。病気や障害の容態が安定していて、病院での治療や入院の必要はないの ですが、看護やリハビリテーション、介護、身の回りのお世話などを必要とす るお年寄りのための施設です。

 リハビリテーションとは、心身に障害のある人が、いまもっている能力(残 存能力)を活用して、心や身体の働きを回復したり改善したりして、家庭や職 場復帰できるようにすることです。主に作業療法士や理学療法士といった資格 を持つスタッフが担当し、運動やマッサージ、電気刺激などの物理的な方法( 理学療法)、手芸や園芸などの趣味的な作業を通じて、基本的な動作や複雑な 動作などができるようにします。

 老健施設のリハビリテーションは病院の医療的なリハビリテーションと異な って、お年寄りの生活の自立や家庭に戻ることをめざし、日常生活に根ざして いることが特徴です。つまり、老健施設におけるリハビリテーションでは、辛 い激しいリハビリテーションは必要ではなく、生き生きと普段の生活を楽しむ ことが目標となります。従ってそのリハビリテーションは、無理せず楽しく自 分でできる動作となります。

老人保健施設の役割

 老健施設は、リハビリテーションのみを行っている施設ではなく、日常生活 のお世話を含む様々なケアサービスを行います。リハビリテーションの効果が 出てきて、家庭で自分の望む自立した生活ができるようになれば、家庭に戻る ことになりますが、そのために必要となるリハビリテーションや普段の生活の お世話とか、あらゆる支援を行うのが老健施設です。短い期間の施設の利用で あっても快適に過ごすことができるよう老健施設では家庭のように明るく、落 ち着いた雰囲気も大切にしています。

 老健施設には医師、看護師が毎日、勤務し、施設の近隣には協力関係のある 病院や診療所もあって、専門的な診療を受ける場合でも心配ありません。

 以上のことから、わかりますように、老健施設は医療要素の強い看護(医療 的なサービス)とともに介護や日常生活上お世話(福祉的なサービス)など、 お年寄りに必要なケアを総合的に提供できる新しいタイプのケアサービス施設 ということになります。

デイサービスとショートステイ

 在宅支援サービスの1つであるデイサービスとは、家から老健施設に通って 、朝から夕方ぐらいまで施設で、リハビリテーションや看護・介護、食事や入 浴などのケアサービスを利用することです。移動が大変な場合には、施設の車 で送迎をすることがあります。また、認知症のあるお年寄りが夜まで過ごす認 知症老人ナイト・ケアは、お年寄り本人のためだけではなく、介護する家族の 夕方から夜にかけての負担を軽減する意味で「家族支援」という側面ももって います。

 ショートステイは、心身の状態が急変するなどして一時的に家庭での生活が 困難になったお年寄りや介護者の病気や怪我によって家庭での介護が受けられ なくなったお年寄りが、短い間、老健施設に入所してケアサービスを利用する ことで、このサービスは在宅支援サービスと言われます。老健施設では、こう した緊急入所に対応できるように態勢を整えています。

ケアサービスの基になるケアプラン

 ケアプランはお年寄り一人一人に見合ったケアサービスができるように作成 されたケアサービスの計画のことです。老健施設には医師、看護職、看護職、 理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、管理栄養士、相談指導員など様々 なスタッフが仕事をしています。スタッフ全員が目標を1つにして、常時、最 高のケアサービスの提供を実現するために、ケアプランは欠かすことのできな いものです。ケアプランの内容は細かく具体的に記述されていて施設で提供さ れるケアサービスは、これを基にして行われます。また、ケアプランの内容は 、お年寄り本人やその家族、老健施設スタッフによって繰り返し確認や見直し ・修正が行われることになっています。

老健施設の様々な職種のスタッフが、一丸となってお年寄りの自立支援、家 庭復帰などの目的実現のために施設を利用するお年寄り一人一人に関わります 。従って、老健施設で従事する全てのスタッフが、各々の職種のお互いの役割 しっかりと理解し、専門的知識・技能を十分に発揮しながら1人のお年寄りに 関わることができるようチームワークが重要になります。

病院や老人ホームとの違いは?

施 設 内  容
病院  病気や怪我の治療が重点。

 病気の進み方が非常に早い か、重い症状のお年寄りが利用する。
老人健康施設  家庭復帰をめざす。

 病気の状態が安定している お年寄りや認知症のあるお年寄りが利用する。

 リハビリテーション と看護・介護に力を入れて、お年寄りが家庭復帰したあとも、デイサービスな どにより在宅生活を支援する。
特別養護老人ホーム  介護の専門的施設。治療の必要はないが、常に介護が 必要で、家庭での介護が困難な寝たきりや認知症があるお年寄りが利用する。

 居室が広く造られるなど安心できる暮らしの場としての配慮がある。

老人保健施設の基本理念

老健施設の基本理念
 @利用者の家庭復帰をめざす

 老健施設は 、リハビリテーション、看護・介護といったケアを必要とする寝たきりのお年 寄りなどに医療的ケアと日常生活サービスを提供しながら、お年寄りが家庭に 復帰できるように心身の自立を支援する。
 Aケアサービス施設

 老健施設は、医療的サービスと 福祉的サービスをともに提供する。つまり、「ケアサービス施設」というまったく新し タイプの高齢者施設である。
 B在宅ケアを支援する

 老健施設の役割は、利用者が 家庭に復帰した時点で終わるものではない。老健施設は、退所者の家庭での生活を少し でも長く快適に維持できるよう、退所後も退所者やその家族に対して様々な在宅支援ケ アサービスを行う。
 C地域に開かれた施設

 老健施設は、開かれた施設と して、地域の住民のニーズに敏速にきめ細かく応え、さらに教育・啓発活動など幅広い 活動を通じ、地域の高齢者ケアの向上に貢献する。

(※2006.03.01(Wed)初版作成)