梅原稜子  Ryoko Umebara

1942年愛媛県生まれ。早稲田大学卒業後、出版社勤務を経て執筆活動へ。


潮呼びの群火


  

潮呼びの群火  ★★☆☆☆

2004/09発行  新潮社

 南愛媛の町で蒲団製造工場を営む織井の妻・沢子。以前に上京した後に織井の本棚に増えた1冊の画集を見るうちに「兵頭珠江」という作家の名前が目につきます。それは織井が独身時代に付き合っていた女性です。もう過去のことで再び出会っても自分の方が有利な立場にあるとわかりながらも沢子には嫉妬心がわき、上京の折に珠江と会ってみようと思い立ちます。

 ”七人みさき”の伝説に翻弄されるかのように運命を変えられてきた二世代の家族が中心となっている重いラブストーリーです。彼岸を迎えていない海で遭難した七人の亡霊が御先(みさき)という名の神の使いとなって、成仏するために新しく海に誰かを引きづりこむというのが”七人みさき”の伝説です。この伝説に翻弄されるのは主人公となっている沢子夫婦を中心とする恋愛模様です。そして沢子の両親もまた戦争という非常事態に大きく翻弄されて生きてきました。恋愛であっても人生であっても、本当は受け入れたくはないのに必然的に待っている運命ってあるのかもしれません。なんだかそんなことが不思議に感じました。ちょっと登場人物が多くて混乱しながら読了しました。人物描写がかぶるっていうのも血縁のせいなのかしら。

2004/11/03up

  

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