babsonlogo.bmpバブソン留学日記 blankcenter1.bmp

このバブソン留学日記は、2004年5月にバブソン大学MBAを卒業した私(横川和光)が2年間の個人的な体験を簡潔にまとめたものである。まったくの主観に基づいて書かれており、誤解を招く表現があることは承知している。それでもバブソンに興味を持ってくれる人々と私の留学生活を少しでも共有でき、そして何か伝えられれば幸いに思う。
(この留学日記は私の先輩が作られたウエッブサイト に刺激され作成したことを記す) 


Top of the page

1. バブソン大学とは? 50year1.jpg
バブソン大学をまったく知らない人のために簡単に本校を紹介する。バブソン大学MBAはアントレプレナーシップ(起業家教育)に特化した非常にユニークな学校であり、U.S. News & World ReportUSNews.jpg のMBAランキングにて11年連続でアントレプレナーシップNo.1に輝いている 。他校でもアントレプレナーシップと呼ばれる授業はあるが、バブソンではその量、質ともに群を抜いている点が評価されている。アントレプレナーシップとは狭義にはスタートアップや起業家を指すが、バブソンの教えるアントレプレナーシップはあらゆる組織における変革を指し、大企業、非営利企業、ファミリービジネスへの変革なども含まれている。ほとんどの学生はアントレプレナーシップというキーワードを元にバブソンに集まっている。詳細は現役の日本人学生が運営しているウエッブサイトを参照されたい。


以下はオムニバス形式に表題にそって個人的な体験、感想を記述する。


Top of the page

2. ケースディスカッション cases.jpg
バブソンの特徴として殆どすべての授業がケースディスカッションで進められている。バブソン、ハーバード、INSEADなどの学校で作成されたケースを用いて、実企業におけるビジネス上の問題点を議論する。今日のビジネス上の問題点は複雑で多面的な考察を必要としており、学生はこのケースディスカッションを通して多様な意見を交換する。そして複雑な問題でもイシューを理解し分析することによって、解決策を生み出す力を養う。ただしディスカッションの質を上げるために学生は常に深い分析や多様な見方をすることが求められ授業中に絶えずプレッシャーを受けることになる。

私がバブソンを選んだ理由の一つにこのケースディスカッション形式の教え方がある。私の通った日本の大学は殆どの授業がレクチャー形式であり、生徒は先生の話を聞き必死にノートを取るだけでつまらなかった。そこで全く別の教え方であるケースディスカッションに興味があった。実際にバブソンで授業を受けてみて、ケースは実企業を取り扱うため非常に興味深く面白いと感じた。また印象的なケースや白熱したディスカッションは2年経っても未だに覚えており体に染み付いている気がする。一方、予習は1ケースにつき2〜3時間以上を費やす必要があり、レクチャー形式と比べ2倍以上は勉強時間を費やす必要があった。そのため多忙であった。バブソン大学MBAは、Princeton Review誌princetonlogo.jpg で「軍隊のように厳しい・忙しいプログラム(boot camp)」として全米で五本の指に入ったことがある。


Top of the page

3. TechMarkの授業
1年目の授業はTechMarkで始まる。TechMarkとは6人チームで3日かけて行うシュミレーションゲームである。このゲームにはビジネス判断に必要な要素が多く含まれており、例えば市場分析、競合他社の分析、商品の選択と集中、商品開発そしてチームワークなどを疑似体験できる。3日間でビジネスに必要な要素をたくさん学べるため、ビジネススクールのスタートとしては最適であった。

バブソンでは学生全体の30%が外国人であるため6人チームの2人程度が外国人となる。私のチームはもう一人の外国人がイギリス出身であったため、英語がネイティブでない人間は私だけであった。ディスカッションでは友達の言っていることが分からなく、また話すスピードにも圧倒され、なんと初日の9時間は一言も話さずに過ぎてしまった!カルチャーショック、劣等感、失望感を感じ、このままでは問題だと思い夜遅くまで復習と予習をやることにした。2日目はわずかだが発言をすることができチームに貢献することができた。とは言ってもチームの一員として認められるためにはディスカッションで適切な発言をし、チームをゴールに導くことが必要である。これから英語力、コミュニケーション力をかなり上達させなければならないと誓ったのを覚えている。


Top of the page

4. 複数の先生が一つのケースを教える合同授業
バブソンの特徴として一つのケースを複数の先生が教える授業が多くある。これはビジネス上の問題点を鳥瞰的、かつ多面的に分析する手法を学生に身に付けさせる目的がある。例えばマーケティングとアカウンティング、リーダーシップとファイナンスといった合同授業がある。また試験でも一つのケースを渡され複数の視点から分析することを要求される。アントレプレナー教育では、細かなアカウンティングやマーケティング手法を教えることはなく、むしろ常に経営者(起業家)の目線で問題を考える手法を教える。この合同授業はメリットが多く、MBAプログラムを作成する先生がこの合同授業の割合は毎年多くしていると言っていた。

例えば、ある紙容器の製造会社を対象にアカウンティング、マーケティング、オペレーション、データモデリングを学ぶ授業があった。この会社は厳しい競争に直面し損失を出しているが経営層は表面的な損失という問題点しか理解していない。そこでまずアカウンティングの先生がABCアカウンティング手法を用いて正しいコスト分析を行い、これまでの価格設定が誤っていたことを明らかにする。次にマーケティングの先生が市場分析から顧客のバリューを考えた適正価格と市場成長性を分析し商品の選択と集中を行う。そして一層のコスト削減を行うためにオペレーションの先生がセル方式を導入しコスト削減を図る。最後にデータモデリングの先生がモンテカルロシュミレーションを用いて将来の収益予測を行う。この臨場感は実際に授業を受けた人しか分からないが、数時間のうちに1つの問題点を各方面から分析しバラエティにとんだ質の高い解決策を生み出す手法には感動した。このような授業が1年目に何十回も(例えば冬学期は9週間で25回以上あった)ある点がバブソンの大きな魅力である。


Top of the page

5. コンサルティングプロジェクト(BCAP)の授業  bcap3.jpg
バブソンには10月から始まり8ヶ月間通して行うコンサルティングプロジェクト(BCAPと呼ばれる)がある。1チーム6人で地元企業(スタートアップからFortune 500の大企業まで)をコンサルティングする。多くのMBAスクールにて実企業を対象にしたコンサルティングプロジェクトは行われているが、バブソンのBCAPには二つ特徴がある。一つ目は10月から始まる点である。マーケティング授業の開始と同時にプロジェクトが始まり、まさに前日に授業で習った市場分析、競合分析の手法をBCAPで活用できる。また有価証券報告書の分析も数日前にアカウンティングで学んだ手法を用いることができる。10月という早い時期から始めることで授業とBCAPがうまく組み合わさっており、より実践的なMBAプログラムになっている。

二つ目は担当教授のコミットメントである。このBCAPがMBAプログラムの核を構成していることを教授陣は理解しており、気合の入れ方や時間のかけ方が違う。例えば私のチームは学長であるDean Riceが担当となった。学内で最も忙しい学長が担当となることに疑問を思った私は「なぜ時間が限られているにも拘らず、プロジェクトの担当教授をやろうとしたのか?」と率直な質問をぶつけてみた。すると「学長としてBCAPの中身をより深く知ること、そして学生とコミュニケーションを取ることでより良いMBAプログラムにすることができるため」と答えた。BCAPの中でDean Riceは知り合いのP&G社のSenior VP、Colgate社のCIOなどを紹介してくれ、我々は彼らにインタビューを行うことができた。学長は「学生は卒業してから社内外にて役職の高い人々と話す機会が多くあるだろう。そのためには今からそれ相応の人々と話す必要がある」と言い、自分のネットワークを活用してその機会を我々に与えてくれたのである。


Top of the page

6. 先生について
学生数が1学年150人と少なく、学生に対する先生の比率が高いこともあり、どの先生も非常に面倒見がよい。最初の数週間で全生徒の名前を覚え、一人一人の特徴まで理解してしまう教授も少なくない。リーダーシップの授業を受け持つDonnellon先生は面倒見の良い先生の一人で授業外でもよく相談に乗ってくれる。ただし彼女の愛情の裏返しとして、授業中にはよく学生をコールドコール(突然発言を求めること)しプレッシャーをかける。3週目の授業でそれまで発言の少なかった私は突然指名され、50人のクラスメートの前で友達とロールプレイ(ケースの登場人物になりきり二人で主張しあう)をやらされた。2年後の卒業式で「あのロールプレイで大勢の前で発言する勇気がついた」と話したらDonnellon先生はその時の様子を事細かに覚えており「あの時にあなたをコールドコールするのはリスクがあったが、あなたならできると思ったよ」と言われた。先生が覚えていてくれたことと思いやりに非常に感動した。

Sales.jpg また前述したがバブソンの学長はMBAプログラムの向上に積極的に関わっている。通常、学長は学外に向けたスポークスマン、企業献金の斡旋、卒業生や企業とのコネクション作りなどで多忙だが、Dean Riceは忙しい合間をぬって積極的に学内にも目を向けて学生と交流する。その活動の1つとして1学期に3日間だけセールスの授業を受け持つ。マーケティングやアカウティングはどのMBAプログラムにもあるがセールスの授業は見当たらない、とDean Riceは言う。ビジネスをやる上でセールスは必ず関わってくるのだから学生はセールスを学ぶべきと主張して、自らが学生相手にMBA流セールスの授業を教えている。私もこの考えに賛同しまた興味があったので彼の授業を取った。クラスでは積極的に学長と話をすることで良好な関係を築くことができた(つまり授業中にコールドコールを良く受けたということ(笑))。通常は学長は近寄りがたい存在であるが、このように学生に対して教育熱心な学長は珍しいのではないか。私はDean Riceは学長である以前に教育者であると思い、”Entrepreneurial Educatorである”と伝えたら非常に喜んでいた。


Top of the page

7. NewYorkTripの企画 NFL2.jpg
バブソンではぜひ大学運営へ深くコミットしようと思っていた。アメリカの学生は母校に対する愛校心が強く学校をより良くしようと色々な企画や課外活動を行う。前々からそのような態度に感心をしていた私はぜひ学校に貢献しようと思い友達と一緒に春休みにNewYorkへの企業訪問旅行を企画した。20人の学生を引き連れて2日間で合計8社を巡る企画であったが、参加者を集め、訪問企業にコンタクトを取り、2日間の過密スケジュールを組むのは非常に大変であった。また授業で忙しいためそんなに多くの時間を割くこともできず、出発日の数週間前まで本当に実現できるのかと不安になっていた。

それでも友達一緒にバブソンの卒業生に100件以上の電話をかけてNewYorkの大手企業(JP Morgan、UBS、McKinsey、NFLなど)を訪問することができた。またテロ事件により一般向けには非公開となったニューヨーク証券取引所も卒業生のコネクションを使って見学することができた。卒業生、アルムナイオフィスやキャリアオフィスの人々の助けを借りながら、実りの多い企画に仕上げることができた。後で聞いてみると英語がネイティブでない私が実行委員と言うことで不安に思っていたとの声もあったが・・・。


Top of the page

8. 夏はシリコンバレーでインターン   YellowStone2.jpgYellowValley.jpg
夏はカリフォルニアのシリコンバレーにあるコンサルティング会社でインターンをした。ボストンからカリフォルニアまでは車で大陸を横断することにし、毎日、妻と二人で800キロ(東京大阪の往復ぐらい)を運転した。途中で何時間を走っても景色の変わらない草原やロッキー山脈にあるイエローストーン国立公園などを巡り、無事に9日間で合計6,000キロをドライブした。帰り道はグランドキャニオンやその周りの国立公園を合計15ヶ所以上は訪れた。途中から国立公園のマグネットを集めるようになり、今では冷蔵庫がマグネットでいっぱいになっている。大陸往復旅行は合計で16,000キロに及ぶ走行距離であったが、愛車の2000年式ホンダ・シビックは一度も故障をせずに走りぬいた(さすが日本車!)。

SanFrancisco.jpg インターン先のコンサルティング会社 は日本の大企業を飛び出した起業家が経営しており、大企業からの派遣留学生の私にとって彼の生き様は非常に興味深かった。3ヶ月間を一緒に生活することで、スタートアップの厳しさ、ポジティブな思考、ネットワークを大切にすること、そして未来への希望を決して忘れないといった起業家マインドを学んだ。他の日本人起業家とも話をしたが総じて似たようなマインドを持っていた。親と同年代の大先輩の下で働くことで起業の良い点も悪い点も見ることができたと思う。

Apple.jpg またスタートアップ企業は一般的にインターン学生の賃金を支払う余裕がないため、バブソンではスタートアップでインターンをする学生向けに奨学金を用意している。私は運良くKauffman ScholarshipKauffman.jpg と言う奨学金を手に入れることができた。ただし奨学金を受け取る代わりに、起業家のケースを作成する必要があった。そこでシリコンバレーで著名な日本人起業家にインタビューをして彼がなぜ米国で起業をしたか、ビジネス上の問題点に直面した時に何を考えたかを記述した。このケースは内容と"運"がよければ授業で使われるとのことだが、未だに連絡がない(笑)。また同時期にシリコンバレーにいたMBA仲間と会う機会がありお互いを刺激することができ楽しかった。


Top of the page

9. Forum on Entrepreneurshipの企画 feandi_170.jpg
テクノロジーのバックグラウンドのある私は授業でテクノロジーの議論になると積極的に発言していた。友達からはクラスディスカッションは自己アピールの場であり、今後も付き合っていきたい友達かを判断する場でもあるとも忠告されていたためプレッシャーを感じていた。そんな折に友達がバブソンで最大のフォーラムであるForum on Entrepreneurshipのテクノロジーの実行委員にならないか?と声をかけてきた。自分のスキルを発揮でき、大学運営にもコミットできるため私は二つ返事で引き受けた。11月に開催予定のフォーラムに向けて、半年前の5月から7人の実行委員が準備をしていた。夏休み中には、東はロンドン、西はカリフォルニアに散らばったチームのために電話会議や掲示板などを利用して着々と準備を進めていった。

私は主にウエッブサイト 、オンライン登録サイトやオンラインアンケートの作成を行い、またテクノロジーを用いたマーケティング手法もサポートした。各自がそれぞれプロフェッショナルとして行動しており、お互いを助け合った非常によいチームであった。我々は学生のみならずバブソンの卒業生や社会人などの幅広い層を招待しようと考え、新聞やラジオなど様々なメディアを活用し宣伝した。その甲斐ありフォーラムは500人以上を集め大盛況となった。その後、学長が我々を昼食会へ招待してくれ、またアルムナイオフィスやトラスティーからも特別に感謝された。


Top of the page

10. 2年目の授業、課外活動
2年目になると授業は選択科目となり自分で好きな科目を選択できる。金融機関のテクノロジー戦略とマーケティングに興味があったため、金融機関経営論、金融商品のマーケティング、サービス企業の戦略などの授業を取った。どの授業もケースを元に進められ、学生はディスカッションへの参加を求められる点は1年目の授業と変わらない。ただし授業内容の自由度が少し高くなりプロジェクトやペーパーは自分で好きな内容を選択することができる。例えば私は自分の興味のある米国金融機関におけるWirelessテクノロジーの活用度合いについてレポートを書いた。そして実際にバブソンの卒業生であるFidelityのWirelessディレクターにインタビューをした。またサービス企業の戦略ではMBAツアー社 の社長にインタビューをして彼女の考えるサービスをケースに纏め上げた。各学生のキャリアはそれぞれ異なるため、自分にとって最適な科目やプロジェクトを選択することができる点はとても良かった。FIP3.jpg

 また2年生になると英語に慣れてきたこともあり授業以外に時間が取れるようになった。前述のフォーラム以外にもアジアクラブ、テクノロジークラブ、ファイナンスクラブの実行委員も兼任した。さすがに4つの実行委員をやる人は少なく最初は無謀に思えた。それでも私は就職活動をする必要がなく、その分の空いた時間があると考えて課外活動に精を出すことにした。それぞれのクラブでフォーラムやネットワークイベントの企画を行い、ビジネスパーソンをスピーカーとしてキャンパスに連れてきた。企画を行うことは楽しく、友達とも仲良くなれ、学校に貢献でき、そして英語が上達するなど課外活動のメリットは非常に多かった。


Top of the page

11. Award(成績優秀賞、Who's Who賞)
なんと私は成績優秀賞を取ることができた。クラスの成績の30%〜40%は個人のテストかレポート、20%〜30%はクラスへの貢献度、残りはグループワークというのが一般的であり、優秀賞を取るためにはどのクラスでもこの3つを満遍なくこなすことが必要であった。私の場合は優秀なグループが多く、また興味のある授業を積極的に取ったことで常に平均点以上の成績を取ることができた。成績が上位20%の人々が優秀賞を受け取ることができるが、その内の大部分をアメリカ人、英語圏の大学を卒業したインターナショナルが占める。そのため純粋なインターナショナルでとった人は多くない。

またWho's Who Award Among Students in American Universitieswhoswho.jpg と言う賞も取ることができた。Who's Whoとは日本の人名図鑑や役員四季報などと似ており、全米1,900校以上にて推薦された学生達が特別な本に掲載される。バブソンでは、学業成績が優秀でかつ課外活動でバブソン・コミュニティーに貢献した5%の学生が受け取ることができる。幸運にも私の課外活動の成果を選考委員の教授達がよく見ていてくれていたようだ。卒業式前日にAwardを受け取る人達が招待されるパーティがあったが、その会場ではお互いに切磋琢磨して課外活動を行っていた友人達がいた。我々はお互いに刺激をしあう事で、結果として学生全体の中でも非常に貢献度の高い学生となりこのAwardの授賞式をしたのであろう。


Top of the page

12. 卒業に向けて Commencement1.jpg
卒業前の最後の一週間はGrad Weekと呼ばれ、ゴルフ、飲み会、パーティ、ソフトボールなどの企画が目白押しであった。私は帰国が間近に迫っていたが、友達と別れを惜しみながらここぞとばかりに一緒に遊んだ。お分かりの通りこのGrad Weekも学生自身が企画し運営していく。「もう課外活動をやる必要はない、自分のために時間を使いなさい」と妻に言われていたにも拘らず、Grad Weekのテクノロジーディレクターをやってしまった・・・。

さて、2年間の終わりである2004年5月15日(土)の卒業式は30度を超える暑い天気の中で開催された。バブソンの慣習の1つとして、自分の座席には仲の良い友達からのメッセージカードが置いてあった。式では卒業生の名前が呼ばれ一人一人壇上に上がるのだが、そのたびに歓声(奇声?)が上がる。学長から卒業証書を受け取り、握手をして壇上から降りる。400人に及ぶ卒業生がいるため式の進行は長時間にわたるが、それでもこの瞬間を待つために2年間頑張ってきたのであるから感無量である。


Top of the page

13. 最後に
最後にEntrepreneurshipとは何であろうか。バブソンの誰もが口をそろえて「機会を見つけて(Opportunity recognition)、行動するマインドセット」と言う。バブソンのEntrepreneurship教育では、機会を見つける力をつけるために鳥瞰的かつ多面的に分析する手法を教える。学生は2年間で何百ものケースや多くの合同授業を受けることで分析手法を"体に"染み込ませることができる。一方、行動するマインドセットは一朝一夕に身につくものではない。だからこそバブソンのプログラムには意図的に多くの仕掛けが埋め込まれている。この仕掛けを経験することで学生は今いる居心地のよい環境から抜け出す力(Getting out of your comfort zone)をつけることができる。代表的な仕掛けは1年目の最初に経験するクリエティビティと呼ばれる授業である。学生は即興劇、詩の朗読、音楽の演奏、絵画などこれまでに経験したことの無いアートに挑戦して全校生徒の前で発表する。ある友達は「自分にこんなことができるなんて知らなかった」と感嘆していた。これらの経験を通して新たな環境でも行動できる勇気、マインドセットを身につけることができる。

この2年間、私は貪欲にがむしゃらに目の前にある全てのopportunityを得ようと思った。不思議なことであるが、何か1つ達成すると自然と次の機会が見つかる。例えばアジアクラブの実行役員も私の課外活動の貢献を見て先輩が推薦してくれた。Grad Weekのテクノロジーディレクターも友達が私のことを頼りに相談しにきた。バブソンの新聞がインターナショナル学生のインタビュー記事 を載せたが最初に呼ばれた人は私である 。こつこつと一つ一つ課題をクリアーすることで、最後には教授達が私をWho's Who賞に推薦してくれた。バブソンに来たときはこの2年間でどのような機会があるか全く分からなかった。初日などは全く喋れなかった。それでも私のことを周りの友達、先生が支えて後押しをしてくれた。そして機会を見つけて率先して行動することで最後にはプログラムを統括する教授から「君はインターナショナル学生のリーダーだった」と言われた。

Party1.jpg 私は入学時にDean Riceから「この2年間はできるだけopen(何事も受け入れる状態)でいなさい。さすれば卒業時までにはあなたにtransformationが起きてまったく違った人物になっているであろう」と言われた。その当時はこの言葉が本当かどうか分からなかったが、今ではDean Riceの言葉は正しかったと言える。卒業を間近にして先生から「これまで10年間、日本人学生を見ていたがここまで成長した学生は始めてである」と言われた。最初がよくなかったのか、最後が凄く良くなったのか分からないが、この2年間でかなり成長したことは確かである。

最後にバブソンでは多くの刺激的な友達、卒業生、教授などに出会えることができた。その中には生涯付き合える友達もできた。このような貴重な経験を与えてくれたバブソンに非常に感謝している。これからもお互いに刺激を与えながら付き合って行きたい。

2004年5月16日
帰国する飛行機の中にて

横川 和光(Class of 2004, Babson College MBA)


Top of the page