モーツアルト交響曲を聞く36  交響曲第32番ト長調K.318

作曲  1779年4月26日 ザルツブルク 
楽器編成 フルート2、オーボエ2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、弦楽

モーツアルトは不運であったパリ旅行後、1779年から1780年にかけて3曲の交響曲(第32番、第33番、第34番)を作曲している。これらの曲はメヌエットを持たない3楽章構成であり、第一楽章に反復記号がつけられていない。これらはザルツブルクの趣味にあわせたとのことである。

3楽章構成や楽器編成などの点で前作第32番の「パリ」交響曲との繋がりも感じられるが、形式的には第26番(K.184)の形に近い。

H・アーベルト:「展開部と(短縮された)再現部の間にゆっくりな楽章を挿入した形であり、モーツアルトがパリのオペラ・コミックで特にアンドレ・グレートリー(1741-1813)などのオペラの序曲で習得した方法と同じである。」

ランドン:「この曲はザルツブルクコンチェルタンテ(軽くて鈍重さがない管楽器の独奏)の要素、マンハイム楽派の豊かな管弦楽語法(ピアニッシモからフォルティッシモに至るクレシェンドの多用)、それに「ハイドンの形式原理が溶け合っている。」

何らかのオペラの序曲として書かれたのであろう。
「エジプト王タモス」K.345、「ツアイーデ」K.344などがこれまでに挙げられている。しかし時期的に合わない。
又、後にフランチェスコ・ビアンキのオペラ・ブッファ「誘惑された村娘」(1783年)ウィーン上演用の序曲として提供している。 

第1楽章  長調、4/4拍子 アレグロ・スピリトーソ  ソナタ形式
  トウッティの激しい動機による第1主題が提示され、ニ長調に変化、フォルテによるニ音の総奏(A)の後、
     ピアノで第一バイオリンにより生き生きとして楽しげな主題(B)が現れる。この曲屈指の歌謡性に富んだ旋律である。

モーツアルトとしては初めて、バロック時代の伝統である「バッソ」がファゴット、チェロ、コントラバスのための独立したパートに分解され、斬新な音色効果を生み出している。

第2楽章 ト長調、3/8拍子 アンダンテ ロンド形式
A-B-A'-C-A”−B'のロンド形式
第1楽章の展開風の途中で緩徐楽章のこちらに入り第一バイオリンにより第一主題が奏され、
    第二主題はオーボエとホルンにより奏される。 

 第3楽章 ト長調、4/4拍子 テンポ・プリモ 
テンポ・プリモによって第3楽章に入る。第1楽章の再現部分と考えられる。第2主題が戻る6小節前。第2主題がト長調で現れ、クレシェンドによる盛り上がりも再現され、コーダで第1主題が現れて、クレシェンドで輝かしく曲を閉じる。

全体の形式は非対称なアーチ型、あるいは鏡像型となる。つまり第1楽章第1主題をA、第2主題をB、アンダンテをCとすると、A−B−C−B’−A’という構造が見いだされるのである。 

スコア  http://burrito.whatbox.ca:15263/imglnks/usimg/1/1d/IMSLP00064-Mozart_-_Symphony_No_32_in_G_Major__K318.pdf

動画  リンク先  演奏者 
全曲  https://www.youtube.com/watch?v=iwAzR7c0sT8  ニコラス・アーノンクール指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
全曲 https://www.youtube.com/watch?v=gdcn34vbFVI クリストファー・ホグウッド指揮エンシェント室内管弦楽団

   カール・ベーム指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
小生にとっては実に馴染んだ演奏である。LPはプラハやハフナーとのカップリングであったので他の曲以上にこの曲は親しんできたのかも知れない。イタリア風序曲なので、ベームのかっちりした演奏でも充分にその明るさを楽しむことができる。というよりもオーボエやホルンの美しい響きに魅了される。
  クリストファー・ホグウッド指揮エンシェント室内管弦楽団
ピリオド楽器によるトップクラスの演奏である。これとリンクしてあるアーノンクールがやはり双璧であろうか。