
雑誌「航空情報」の別冊として出たムックである。タイトル通り、世界の名機100機を選び、写真・図版を載せ解説を加えている。この種の本は数多く出ており、それだけなら「奇書」というには当たらない。本書をここで紹介する所以は、宮崎駿のアニメに登場する飛行機が、何機も本書に紹介されているためである。
『魔女の宅急便』で、魔女の修行に夜空に飛び立ったキキを、後方から巨大な旅客機が追い越してゆく場面がある。複葉で、特徴的なエンジンの配置を持つ飛行機である。「ハンドレページ HP42」という1930年に英国で作られた機体であることが、本書を見ればよく分かる。参考までに、本書にある「ハンドレページ」の図面を下に掲げる。

『紅の豚』の末尾近く、イタリア空軍の大編隊が一瞬描かれるが、その双胴・串型双発の飛行艇は「サボイア・マルケッティS.55」である。また、加藤登紀子が歌う「時には昔の話を」に乗せてスタッフの名前がスクロールするエンディングで、「監督 宮崎駿」が表示される時、雑嚢を担いだパイロットが飛行機へ向かって歩いてゆく後ろ姿の挿絵が置かれる。その飛行機は、どうやら1934年にフランスで生まれた「コードロンシムーン C.630」という小型機のようである。そして、これ等の飛行機は、全て本書に取り上げられているのだ。しかも、「サボイア・マルケッティ」や「コードロンシムーン」は、とても粋な飛行機として。
本書は、ひょっとすると、宮崎アニメの重要なタネ本の一つかも知れないのだ。
【書誌】
「航空史をつくった 名機100」航空情報別冊 昭和46年5月・初版 顔ナ燈社 A4版
(このページの制作には昭和55年5月刊の第三版を使用した)