四阿山(あずまやさん/蟻ケ城址)・観ノ山(かんのやま)・
 離山(はなれやま/大岡)
 〜目立たないが地域に根ざした素朴な山々〜標高1,028m(四阿山)・950m(観ノ山)・903m(離山)〜
 平成の大合併で今は長野市の一部になった旧大岡村の中牧地区にある素朴な山々。
 「四阿山」は「蟻ケ城」という戦国時代の山城址の山。地形図上には山名表示がなく、また三角点もない標高点のみの山だが、『長野縣町村誌 北信篇』の「中牧村」の項を参照すると、「蟻ケ城」として「村の東南の方にあり
四阿山の嶺上、一平地をなし、東西十間、南北八間、今芝地となる。四方嶮峻北の方二重に堀切あり、某の物見跡なりしや不詳。」との記事があることにより、「四阿山」という名の山であることが知れる。(注:別途地元出身の人にも確認した結果、今も確かにそういう山名で呼称している旨。なお『長野縣町村誌』中の挿入図解には「阿妻屋社」の祠の表記があるので、「阿妻屋山」とする場合もあるのだろう。)
 また「観ノ山」は、先の「四阿山」の西に位置し、一見目立たない山ながら、山中には「観ノ山百体観音」なる長野市指定有形文化財の見事な石仏群があって一見に値する。登り口の案内看板によれば、かつてこの山中から秩父、西国、坂東の札所巡りの旅に出るのは容易でなかったが、その巡礼を終えた人たちが、ここ観ノ山に観音像を建立したとのこと。実際に歩いてみると、さすがに長野市指定有形文化財だけあって、個々の石像がいずれも見応えあるのはもちろん、それらが集合して醸し出す、いかにも庶民の信仰の拠点らしい一種独特な雰囲気には特筆すべきものがある。
 これらの山々に登るには、長野市の篠ノ井線稲荷山駅付近から信更町方面へと向かう車道に入り、途中で「南長野GC」の案内看板を目印に旧大岡村方面への道に折れて進む。「大花見池」の畔を過ぎ、「南長野GC」の入口を過ぎて間もなく、「芦沼池」の畔あたりで進行方向左手に「観ノ山百体観音」の案内看板が目につく。そこが登り口。付近に地元の人の迷惑にならないように駐車したら、まずは前述の長野市指定有形文化財の百体観音を拝みながら観ノ山の頂上へ。観音石像は最初秩父1番から34番まで続き、さらにその奥で道が二手に分かれ、右が順路で西国1番から33番と続いて観ノ山頂上、そして下りは坂東1番から33番までで先刻の分岐点に戻るという配置になっている。したがって、観ノ山だけに訪問する場合は、頂上から坂東1番〜33番を周回して元来た道に戻ればよいのだが、蟻ケ城址のある「四阿山」に向けてたどる場合は、坂東の観音巡りは割愛し、さらに南へ山稜を進む。その場合、観ノ山頂上から先はあまり人が通うこともないとみえ、踏跡はあるものの薮がきつくて鬱陶しい進行となるので留意のこと。まずはすぐ南の、観ノ山より20mほど高い峰に上がるが樹林の中で何もない。ここで山稜は東に折れるが、50mほど南に進んでから折れるので注意。後はそのまま山稜伝いに薮をかきわけつつ辛抱して歩いていけば、そのうち最後の登りを経て、『長野縣町村誌』の挿入図解通り「阿妻屋社」の祠のある一角にひょっこりと飛び出る。頂上はそのすぐ上で、例によって標識一つないが、北に派生する山稜上には、これまた『長野縣町村誌』の記述通り、二重の堀切の遺構がみられる。なお先の観ノ山付近にも、空堀の遺構とおぼしき地形や、明らかに人工的なものと思われる削平地が目につくが、これもあるいは蟻ケ城の遺構の一部であろうか?
 四阿山からの下りは元来た鬱陶しい薮の山稜を戻るよりは、南西側に明瞭な道が一直線に急降下しているので、それをたどるとよい。下りが一段落した所に頂上の祠の里宮らしき素朴な神社があり、その少し先で細い車道に出て下れば、じき「離山」なる、本当にそこだけ山稜から離れて鎮座している小丘の鼻先へ下りつく。ここで車道を北に600〜700mほど歩けば、登行開始点の観ノ山登り口に戻れるが、どうせなら折角だから件の「離山」にも参考までに訪れた上で帰るとよい。この「離山」、小さいながら三角点のある峰であり、また登り口付近に馬頭観世音、頂上に石祠と、これまた地域の人々の生活の中に根ざした山であることが実感できる地であるからだ。
 以上、観ノ山〜四阿山〜離山、と周回して戻る所要時間は、ゆっくり歩いても3時間程度。ちなみに観ノ山訪問だけなら登り口から往復30分程度、また離山は登り口から10〜15分もあれば簡単に往復可能。
 (注:本項中「離山」について、他所の同様の名称の山と区別するため、見出しには混同を避ける意味で山名の後に所在地域名を付して紹介している。
なお、当初は他との区別の便宜上、山名の前に所在地域名を冠し「大岡離山」として紹介していたが、本来の山名でない呼称が流布するのは好ましくないと思われたため、上記のような紹介方法に改めた次第。)
平成19年6月30日撮影

 ← 蟻ケ城址の四阿山を望む(旧大岡村中牧の芦沼池畔より)

【緯度】363125 【経度】1380057
(「芦沼池」の南東の1,028m標高点が四阿山、その北北西約500mの峰が観ノ山です。)



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