西根鍛冶工場/秋田県森吉町

森吉町の西根鍛冶店ご主人の西根登さんは、阿仁町の西根鍛冶の分家の二代目で、西根稔さん(故人)とは親戚の関係。いかにも野鍛冶らしい佇まいの店先には、鍬、鎌、鉈、斧、トビ、包丁などの農具や山林道具や日用品の他、カナカンジキ(長靴用の鍛造アイゼン)、森吉町特産のマルメロの芯取りの道具、川漁用の大小様々なヤスなど、森吉山麓の山里の暮らしの様々な場面で使われる道具類が並んでいる。打刃物ファンには興味の尽きないワンダーランドで、私のお目当てのナガサも様々なタイプが揃っていて、価格もかなり良心的だった。私は色々とこの店の製品を所有しているのだが、渓流釣りや山スキーなどの折々に今まで3回ほど伺って、その都度注文して買い足していたらそうなっちゃったので、一度にドーンとまとめ買いした訳ではありませんので念のため。現在、亡くなられた西根稔(三代目西根正剛)さんの意志を継いで、「西根正剛」銘の袋ナガサも手がけている。
阿仁前田駅のすぐ近く・右の建物が工場(店舗) ナガサの鞘に革紐を結んでもらっているところ
トビ・丸太を転がしたり引っ張たりする道具 「こうやって使うんだ」と実演してもらえた

山刀(ナガサ) 刃長7寸(約21cm)・左利き用・片刃
親の代に分家した親戚の鍛冶屋さんどうしのことはあって、阿仁の西根正剛作の又鬼山刀と瓜二つで、全く同等の品物。裏に「森吉 前田 登作」と刻印されている。「森吉 前田」というのは地名。鞘は、革紐をベルトに通すことも、革紐を外して腰紐を直接通して結ぶことも、両方出来るようにうまく工夫されている。

山刀(ナガサ) 刃長5寸(約16cm)・左利き用・片刃
太枝や薪を積極的に伐らないことが予想されるような山行にぴったりの小型の剣鉈。一時期、登山でメインに持ち歩いて使っていたので、鞘などはけっこう草臥れて来てます。

山刀(ナガサ) 刃長4寸5分(約13.5cm)・両刃
獲物の解体を意識して作られた両刃の小型刀だが、コヨリと呼ばれる解体用の刃物とも違う形状なので、一応、ナガサに分類しました。

角鉈 刃長6寸(約18.6cm)・左利き用・片刃
以前、栃木県内で山登りの帰りに警察の検問に遭い、たまたま車の助手席にナガサが置いてあったのを目ざとく発見され、「なんだこの先が尖った鉈は?何でこんなの持ってるんだ?」と執拗に問いつめられて参ったことがあったので、普段の山歩きでも携行し易いように短めで軽い角鉈を注文して作ってもらった。西根さんは「この辺じゃ尖った鉈は普通だから、車さ置いてあっても秋田の警察ならとやかく言わねべな」と笑っていた。

カナカンジキ(長靴用の鍛造アイゼン)
カチカチに凍結してアイスバーンになった冬の山林での狩猟や山仕事に使う鍛造アイゼン。歯は鋼で出来ていて、並のアイゼンとは鋭さが違う。実際使ってみると、氷化した雪もなんのその…ではあるが、歯の鋭さ故に、足元が狂って片方の足を踏み抜きでもしたら大怪我間違いなしなので、そっちに神経を使う。

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