2005年夏・南イタリア旅行記
  〜カプリ島・青の洞窟〜
 南イタリアでも屈指の景勝ポイント、カプリ島「青の洞窟」(grotta azzurra)をぜひ見たいと兼ねてから思っていた。それが今回ようやく実現できそうだ。とは言っても、事前の情報では地球温暖化の影響なのか、水位が上がり、近年入洞できる可能性がどんどん低下傾向にあるらしい。とにかく、現場に到着してみないと分らないが、ここまで来たからにはぜひとも入りたい。
 カプリ島(Isola di Capri)は、ナポリから35kmほど南にあるリゾートアイランドで周囲17kmとこじんまりとした島だ。この島の北西部にこの青の洞窟がある。

 カプリ島へはナポリを起点とするのが一般的で、中でも、ナポリの東側にあるべべレッロ港(Beverello)から多くの船会社が高速船やフェリーを出している。ナポリ中央駅前のガリバルディ広場からはバスR2またはトラム1系統が港の近くを通る。今回は便数の多いバスを利用した。駅前広場から10分ほど乗車し、ムニチーピオ広場の手前で下車すると正面にレンガ造りの
ヌォーボ城が見える。船着き場は、このヌォーボ城のちょうど南側でバス停から徒歩5分ほどで着いた。
 港には大型客船も停泊し立派な海の玄関という感じだ。チケットオフィスに向かうと、すでに大勢の観光客で混雑していた。皆、カプリを目指すのだろうか。船会社ごとに窓口が分かれていて直近の出発便がある窓口に行列ができていた。案内板をみると8時35分のN.L.G便がちょうどよさ
そうだったので列に並びカプリ島行きの片道切符を購入。往復切符もあるが、カプリ島からの帰路の時間の都合で同じ船会社に乗船するとは限らないので片道とした。カプリ行きの代表的な船会社は、SNAVNLGCaremarなどがありナポリ間を頻繁に往復している。
(時刻表)

 船内は自由席で、やはり開放的なデッキ
席に人気がありここは満席状態。しかたなく船室に席を確保した。船は定刻に出港。べべレッロ港を後にした。船から見るナポリの風景もなかなかのものだ。たいして揺れる事もなく40分ほどでカプリ島・マリーナグランデの港に到着。無事上陸した。
 さあ、いよいよ青の洞窟を目指すが、まずは入れるかどうかだ。波は穏やかそうに見えるが、なにしろ洞窟の入り口が小さいため、ちょっと波があるとすぐに閉鎖になる。特に冬場は、波が荒れる日が多く、3〜4日に1日くらいしか入れないらしい。比較的確立の高い夏場でも1/3は、入れないとの事。もうその時の運しかない。もっともカプリ島は青の洞窟だけでなく、南イタリアのリゾートアイランドとして自然豊かで風光明媚な島なので、他にも十分散策して楽
しめる。とは言ってもやはり青の洞窟が見れないのでは心残りだ。
 船から降りた乗客はツアー客がほとんどらしく、皆それぞれ添乗員について分かれて行ってしまった。
 青の洞窟へは、このマリーナ・グランデから観光船が出ている。港にはそれらしき船が停泊しているが、よく分らないままうろうろしていると切符売場があった。「Grotta Azzurra」「Giro dell'isola」と
表示されている。"Grotta"は洞窟。
"Azzurra"は青。そして"Giro"は回る。
"isola"は島。つまり「青の洞窟」行きと「島一周」の切符売り場だ。せっかくなので青の洞窟観光とカプリ島を一周する10時発の「Giro dell'isola」の切符を購入する事にした。料金は10ユーロ。同じ料金のGiroでも時間によっては青の洞窟を通過するものもあるので要注意だ。(9:30、14:30、15:30発は青の洞窟に寄らない →)
ちなみに青の洞窟のみ往復のGrottaは7ユーロだった。選んだ船会社は、「レーザーカプリ」だったが、この他にもたくさんのボートが出ている。
 ともあれ、幸運にも今日は青の洞窟への船は出ているようだ。10時になってマリーナ・グランデを出港すると反時計周りに進み、10分ほどすると前方に大小ボートがたくさん集まっている。多分ここだ!。海の色もなんとなくブルーに近い。
 青の洞窟へは、マリーナ・グランデからボートで来る以外に、陸路でアナカプリの北側まで行き、断崖の斜面を降りて来る方法がある。いずれにしても、洞窟に入るには、小さな洞窟専用の小舟に乗り換える必要がある。青の洞窟に入る小舟の船頭はちゃんと資格を持っているらしい。

 洞窟内に入るためには、ここで小舟の順番待ちだが、見ていると、洞窟には、波のタイミングを見計らって、1隻づつ入って行くが、一度に5〜6隻しか入れないため、それらの舟が一通り入って、出て来るまで、次の舟が待機している。順次この繰り返しなので結構待たされる。

 20分ほどして、ようやく順番が回って来た。この間、波が高くなったりで中止にならないかと心配だったが、なんとかここまできた。1つの小舟に前後分かれて4人くらい乗り移っていく。日焼けをした船頭さんは、片言の日本語を話し、なれたものだ。

 「ドウクツ、ニュウジョウのオカネ。8.5ユーロ!デス。」と言われ、屋根のついた小舟に横付け、言われるままにお金を支払った。たしかに舟の看板に、入場料4ユーロ、舟賃4.5ユーロと書かれてあり、すべての舟がここに立ち寄り、客が直接支払っている。洞窟に入る料金と、この小舟代は別料金だ。
 さあ、いよいよ洞窟が近づいて来た。近くで見ると入口は本当に狭い。ちょっとした波で隠れてしまう。船頭に言われ、姿勢を低く頭を上にした。青空が見えたと思ったら、一気に洞窟に入った。一瞬真っ暗。姿勢を戻すと、そこには見事なまでの水の青さ。神秘的すぎる。いつのまにか船頭は、♪オーソレミヨ〜・・・と声をはりあげていた。うまいとは言えないが洞窟にこだまして、それなりの雰囲気はある。

 海水の青さは、石灰質を多く含んだ洞窟内の水に狭い入口からそそぐ太陽の光の反射によるもので、特に午前中のほうがあざやかな青色に輝くとの事。
 ゆっくりと洞窟内を周回すると、と言っても狭い洞窟内、あっという間に出口に近づいた。すると船頭が「モウ1カイ、マワル?」と言って、特別にもう1周してくれた。1周目は写真を撮るのが精一杯だったのでよく見れなかったが、2周目はじっくりと肉眼で鑑賞できた。
 洞窟内から出る時は、外からの波の状態がよく見えないので、さらにタイミングが難しい。波が落ち着いた一瞬を見計らって、船頭がくさりをたぐると一気に外へ出た。
 2周回ってくれた気さくな船頭にチップをはずみ(実はチップいくらと言ってくる)、再び元のボートに乗り換えた。ボートでは皆、満足そうな顔ではしゃいでいた。念願だった青の洞窟を後にし、さらにカプリ島周回の船旅を継続する。少しは海岸沿いに平地があってもよさそうだが、ずーと険しい断崖絶壁が続く。それだけに見応えのある様々な景観が楽しめ飽きがこない。ここまで来て青の洞窟だけで引き返すのはもったいない。「Giro dell'isola」のコースにしてよかった。

 青の洞窟からは40分ほどかけてカプリ島を周回し、元のマリーナ・グランデに戻って来た。青の洞窟に立寄ったため、出発からすると合計1時間50分。総経費は28.5ユーロの観光だった。ともあれ青の洞窟もゆっくり見る事ができ満足した。

 港に上がると、やたら人が増えていた。カプリ島には平地がないため、島の山腹が中心地(カプリとアナカプリ)になっていて、そこへは、ケーブルカーまたはバスが行き来している。しかし、朝来た時は動いていたケーブルカーがどうも故障して止まっているようだ。それで、バス停に向かって混雑しているのだ。ちょっと歩いて行ける距離ではないので、しかたなく、バス乗り場の行列に並ぶ事にした。
 40分ほどしてようやくカプリ行きのバスに乗車。山肌に沿って、マリーナ・グランデ通りを上り、ローマ通りに入ると終点カプリに到着である。ここから、徒歩でこの島の中心地、ランドマークでもある「ウンベルト一世広場」を目指す。道は結構狭い。両側はカラフルな店舗がぎっしり並んでいる。きょろきょろ左右を見ながら、しばらく行くと行き止まりになっていて、ここがその広場らしい。

 ケーブルカーだとマリーナ・グランデからこの広場に到着する。ちょっとした展望台、ケーブルカーの駅舎、そして教会に囲まれている。人が多いせいかも知れないが広場といっても想像よりずっと狭かった。気温は高いが、湿度は低く風は気持いい。だいぶ登って来ただけあって展望台からの海の眺めはすばらしい。

 しばし、眺望を楽しんだ後は、せっかくここまで来たので海の見えるレストランを捜し、ランチをとる事にした。とは言っても、よさそうな所は混雑していて、席すら空いていない状況だ。しばらくうろうろしていたが、ロンガノ(Longano)通りの奥まった所にいいレストランを見つけた。店先からだと気が付かないが中に進むと、海の見える席が空いていた。まずは冷たいビールで喉を潤し、そして、あさりのパスタとシーフードフライを注文。広場から少し離れているので静かにランチをいただく事ができた。

 ウンベルト一世広場に戻ってみると、止まっていたケーブルカーが再開していた。またいつ故障するかも知れないので、下へ降りるなら今の内だ。バスよりケーブルカーの方が快適だし、時間的にも早い。今度は並ばずに乗れたが、やはり車内は混雑はしていた。発車すると5分ほどで、マリーナ・グランデに到着。埠頭でナポリ行きの船の時間を調べ、まずは帰りの切符を確保。あとは港で少し買い物をして、帰路はSNAVの便でカプリ島を後にした。