笈ヶ岳
2009年(平成21年)4月29日


メ モ
笈ヶ岳は石川、富山、岐阜の県境にある標高1841mの山で、伊吹山から続く両白山地の最北部に位置する。これまでのこの山についての知識は、登山道はなく、深いヤブのため対象となるのは積雪期に限られており、私のような一介の素人登山者にはとても無理な山というものであった。しかしインターネットで調べていくうちに白山スーパー林道入り口の自然保護センターから日帰りで可能ということが分かってきたが、登ることが出来るのはやはり残雪期で、しかも登山口となっている自然保護センターから往復10時間以上もかかるという、なかなか厳しい条件も付いていた。
この11日に同じ白山山系の野伏ヶ岳に登ったが、この山も登山道はなく、登るのはやはり積雪期に限られると云うものであった。野伏ヶ岳に比べれば笈ヶ岳の困難さは数段上を行くものと思われたが、このGWの前半は天気が良さそうなので、行けるところまで行こうと云う気持ちで28日の午後11時に出掛けることにした。
北陸道の小松ICを出て国道360号を走り、標高600mの自然保護センターの駐車場に着いたのは29日の午前3時20分ごろだった。一里野からここまでの間は24日に開通したばかりで、駐車場には既にかなりの車が止まっていた。夜明けまでには少し時間があるので仮眠をとろうと積んできた寝袋に入って少し微睡んだころまわりが騒がしくなる。時計を見ると4時過ぎだったがもう支度をして出発して行く人たちがいた。予定では5時頃に出掛けることにしていたが、なんだか気が急いてきたので起きて支度をし、薄明るくなってきた4時45分に駐車場を出発した。

行 程
(国土地理院地図)

 
自然保護センター−ジライ谷出合−冬瓜(かもうり)山−シリタカ山−笈(おいずる)ヶ岳(往復)

天 候 晴れ


白山スーパー林道の入り口にある自然保護センターから出発する

遊歩道入り口には“笈ヶ岳には登山路がありません”と書かれた看板があった

遊歩道を緩く登って行くと小さな尾根を抜けるトンネルがあった。またその少し先にはスノーシェルター(写真)が設けられていた

遊歩道を20分ほど歩いて野猿観察施設のあるジライ谷に着く。ここで沢を渡って左岸の踏み跡を辿って行く

沢を渡るとすぐに急な登りになる。
ロープや針金を頼りに両手両足を使って慎重に登って行く

ジライ谷出合いから先にもしっかりした登山路があり、迷う心配はない

登山道の様子

ジライ谷出合いから30分ほど登ったころようやく背後の白山に朝日が差してくる
登山路の道標となる大岩。ジライ谷出合いから50分ほどのところにある

ブナの大木にも朝日があたってきた
ブナの大木から10分ほどでP1271に着く。ジライ沢ノ頭とでも言えるようなところだ。
標高1250mほどのそのピークからは更に続く尾根の果てに冬瓜山の小さな頂きを認めることが出来た。
目指す笈ヶ岳はあの山の向うでまだまだ先は長そうだ

ジライ沢ノ頭から藪っぽい痩せ尾根を40分ほど登ると休憩適地の小広い平坦地に着く。
そこからは朝日に輝く白山がよく見えた。中央には主峰群。そこから左に続く白い稜線が白山主稜線、
その手前の尾根が主脈から分岐する中宮道、中央の尾根が七倉山から発する岩間道、右の白い稜線が四塚山からの加賀禅定道。
いづれも長大な山並みで白山の大きさがよくわかる。手前のピークはジライ沢ノ頭

振り返ると遠くに冬瓜山が見えた。あと30分くらいだろうか 冬瓜山に向かって登りを続ける。道(あるのかどうか分からないが)は完全に雪に覆われている

白山を展望した所から15分ほどで山毛欅尾山からの尾根と合流する
尾根の合流点から右に折れて冬瓜山を目指す。始めは写真のような緩やかな道だったが、やがて藪っぽく歩きにくい登りになる

途中で木々の間から白山を見る

冬瓜山直下まで来たところで今日一番緊張した登りが始まる。写真には写っていない下は両側が切れ落ちた小さな鞍部になっている

落ちたら一巻の終わりという雪の付いた垂直の道をロープや木の根を頼りにして登り切り、危険なナイフリッジ(写真)の下を巻いて山頂に出る

3時間半かかって辿り着いた冬瓜山の山頂

狭い冬瓜山の山頂からは待望の笈ヶ岳を眺めることが出来た。しかしその遠さに、あとどれだけの時間がかかるのだろうか
と不安感におそわれるのだった(中央に笈ヶ岳、左奥に大笠山、右にシリタカ山)

冬瓜山での休憩も早めに切り上げて一路笈ヶ岳を目指す。数日前の雪のおかげで、この時期としては綺麗な雪原を見ることが出来た

まずはシリタカ山に向かう

樹林帯を出たところから冬瓜山を振り返る

小さな雪屁を乗り越えて行く

シリタカ山へ登る途中から見た笈ヶ岳

辿り着いたシリタカ山から冬瓜山を振り返る

冬瓜山とは対照的にシリタカ山の山頂は広い雪原だった。
そのシリタカ山から見た白山は春霞の中で赤っぽくなってきている

白山と反対側の笈ヶ岳の眺めは感動ものだった
(画像をクリックすると拡大されます)

冬瓜山からシリタカ山までは30分ほどで、意外に早く着いた。
あとは笈ヶ岳までの最後の登りがあるのみだ

と思ったが、一度鞍部まで大きく下らなければならなかった。
登り返しがきつそう

鞍部付近からシリタカ山を振り返る

鞍部で休憩し腹拵えをしてから最後の登りに向かう。写真は間近に迫った笈ヶ岳

白山主稜線に向かう

しばし急登の後、白山主稜線に合流する。あとは雪の稜線を辿って行くのみ

小笈ヶ岳(手前)の奥に笈ヶ岳が見える
小笈ヶ岳からの笈ヶ岳。右は大笠山
冬瓜山から2時間で笈ヶ岳に到達する。登山口から5時間40分。
しかし帰りのことを考えると未だ半分の距離しか歩いていない

笈ヶ岳の山頂は灌木に囲まれていて、あまり眺めがよくなかったのは残念だった。
写真は北にどっしりとした山容を横たえる大笠山。
伊吹山から延々と続いた長大な山並みもこのあと医王山などを経て高度を落として行く

南側には辿ってきた冬瓜山からシリタカ山にかけての山容を一望することが出来た
登ってきた主稜線を振り返る。
手前の丸いピークは仙人窟岳、その後ろには三方岩岳、野谷荘司山、妙法山などの山々が見える。
右遠くの高い山は奥三方岳だろうか

北東の彼方には人形山が見えた。
また東側には北アルプスが見えるはずだが、今日のように霞がかかった状態では諦めるしかない

一通りの展望を確認してから帰途に着く。まずはシリタカ山に向かう

シリタカ山に登り直し。帰途での最も厳しい登りだった
シリタカ山を登り返して振り返り見た笈ヶ岳
(画像をクリックすると拡大されます)

シリタカ山から笈ヶ岳を振り返る

冬瓜山から笈ヶ岳とシリタカ山を振り返る
このあと恐怖の垂直路を慎重に下り、鞍部についてほっと一息つく

冬瓜山からジライ沢の頭へと下って行く。
白山方面は雲に覆われてきている

ジライ沢ノ頭から冬瓜山を振り返る。
ここから先はロープや木の根を頼りに急斜面を下るところも多く、疲労度もかなりのものになってきた

疲労困憊の状態でジライ谷に下り立ち、朝よりも水量が増えた沢を慎重に渡って辿ってきた道にお別れをする

新緑の遊歩道を戻って行く。トンネルに入ると冷たい風が吹き抜け、火照った顔に心地よくあたる

道端に咲いていたヒトリシズカ

自然保護センターの近くにはニリンソウなどの花が咲いている。しかし楽しみにしていたカタクリはもう盛りを過ぎていた

戻ってきた自然保護センターのまわりは新緑が綺麗だった 一里野温泉の“天領”に浸かってさっぱりとした気分になり、午後5時過ぎ枚方に向かって帰途についた


コースタイム
往路  自然保護センタ(4:45)−ジライ谷出合(5:05)−ジライ沢ノ頭(6:35)−冬瓜山(8:15-8:25)
     −シリタカ山(8:55-9:00)−笈ヶ岳(10:25)
復路  笈ヶ岳(10:45)−シリタカ山(11:45)−冬瓜山(12:20-12:30)−ジライ沢ノ頭(13:45-13:55)
     −ジライ谷出合(15:15)
自然保護センター(15:40)

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