OVER-COACHING (by: Jeff Pill)

 引用文献: 「コーチングの技術」 オーエス出版

Over-coachingって何?

 Over-coachingとはコーチの行き過ぎた指導の事です。
 「前へパスしろ」 「ドリブルしろ」 「シュートを打て」・・・などなど。
 これは指導ではなく「指示」になってしまっています。

 過度の指導・指示はプレイヤーの能力・才能を衰弱させます。そして、発達を抑圧してしまいます。
 一言で言うと、コーチがプレイヤーの代わりをしてしまっているという事です。
 プレイヤーの決定・判断の全てを代わりにしてしまっているのです。
 Over-coachingは問題だと思いませんか?たびたび起こっているように思いませんか?

 コーチは試合に勝つ為に不適切なプレッシャーを感じ、「指示」をし過ぎてしまうのです。
 その結果、練習中も試合中も絶え間のない「指示」が・・・。
 子供たちは心からサッカーを楽しむ事ができません。
 グラウンドで活き活きとプレーを表現する事が難しくなってしまいます。

Over-coachingによって長期的・短期的にどのような影響が出てくるのでしょうか?

 多くの場合、プレイヤーはサッカーをやめてしまいます。
 子供たちはこの「嫌な」環境に支配されることを望んではいません。
 そしてこの圧力とコーチに反発しようとします。
 もしこのままサッカーを続けても、彼らが年齢を重ねていったとき、そのプレーには創造性が欠けてしまうでしょう。
 また、試合中の問題を自分で解決する能力も貧しいものとなってしまいます。
 このように子供たちの成長は妨げられ、次のレベルに進むことが難しくなってきます。

どのようにしたらコーチがOver-coachingをしてしまっていると気付けるでしょうか?

 大抵、子供たちは楽しんでいないという合図(態度)で知らせてきます。
 プレイ中においてはとても神経質になってしまうことでしょう。
 また、子供たちはコーチを恐れてしまい、滅多に質問をしてくる事もありません。
 子供たちは練習にも試合にも来なくなってしまうかもしれません。
 少なくとも心から楽しみで来るという事はなくなってしまうでしょう。
 どのようなコーチングを行っていけば、子供たちの成長の手助けとなれるのでしょうか?
 練習中に子供たちに問いかけ、自ら考える事ができるよう方向づけてあげるのが良いでしょう。
 例えば「どうやったらもっとまっすぐ蹴れるようになると思う?」「今、シュートを打たれたけど今度からはどうすればいいと思う?」「どうしたらあのチームに勝てると思う?」などなど。
 子供たちがどのような答えをしても「よし、それでやってみよう!!」と自ら考えたという事実を認めてあげることが大事です。
 うまく行けばそれで良し。うまく行かなかったら違う方法を考えるように勧めましょう。
 もし子供たちがどうしても答えることができない場合、ヒントを与えてあげましょう。

 子供たちが自分で考え、成功すれば、大きな達成感を味わう事ができます。
 この積み重ねは自信を持ってプレーする事につながっていきます。
 良いプレーを安定して行うには自信をつける事が重要なのです。

 また、自分で考える力を身につける事によって、スランプに落ち込んだとき自力で早期に解決することもできるでしょう。
 スランプに落ち込む状況そのものがなくなるかも知れません。

 コーチという役割は子供たちの将来に影響を及ぼします。
 大きな喜びを感じる事ができると同時に重大な責任があるのです。
 (子供たちが社会人になったときの事を考えてみてください。指示を待つだけの人間になってしまうのか。それとも自ら考え、創造的でやりがいのある仕事を行える人間になるのか。もしかしたらあなたの接し方にかかっているのかもしれません。)

 長い目で見た場合、本当に子供たちのためになるのはどのような事なのか?
 サッカーを心の底から楽しめるような環境を子供たちのために作り上げていく事。
 これが少年サッカーにおけるコーチの本当の役割なのではないでしょうか?

追伸

 現在までのスポーツコーチングの研究の中で2つの画期的な発見がありました。
(1) コーチが「適切な環境作り」をするだけで、教えなくてもプレイヤーは自然に必要なスキルを身につけていくという事。
(2) その場合の技術習得に要する労力と時間は「教える」時に比べてわずかですむという事。



 何度か掲示板に書き込んだ「オーバーコーチングについて」です。サッカーに限らず、少年の指導者の方々にぜひ一度読んで頂きたいと思い、また自戒の念も含めて、アップしておきます。問題があれば、管理人まで連絡してください。(管理人)

もどる
2003 Kazuki Yamazaki