教育とは何か!
都築学園グループの実像を追う

「岩田屋」本館・新館の買収で注目された「都築学園グループ」が今年9月、多額の申告漏れという不名誉な話題で再び脚光を浴びた。同学園グループの実態を追跡すると「教育」の理想とは程遠い姿が見えてきた。改めて、同学園グループの生い立ちから今日までを検証する。

利益優先の教育方針

都築学園グループとは

 そもそも同学園グループの出発点は、福岡市南区玉川町にある「福岡第一高等学校」である。
 1956年(昭和31年)、現理事長である都築泰壽氏の先代が設立、順調に発展し、6つの学校法人でグループを形づくり、本拠地・福岡を中心に、北海道・東京・仙台・大阪・名古屋・神戸・広島・鹿児島等に大学・専門学校・高校・幼稚園を経営する全国でも指折りの学校法人グループとなった。
 中核校「福岡第一高校」は、かつて夏の甲子園で準優勝、また最近では若手演歌歌手の氷川きよしを送り出すなど、派手な話題を提供することも多く、県外でも名前の知られた高校として認知されている。
 福岡第一高校の地元、南区玉川町(ちなみに都築理事長の自宅も同町内)周辺で、同学園への評判を拾ってみたが、創設者である先代ご夫妻の評判には素晴らしい方々だったという声や地元の住民にも親しく接していたという話が多い。まさに「教育者」としての顔を持つご夫妻だったようである。
 しかし、現理事長夫妻が都築学園グループを取り仕切るようになってから、グループが飛躍的な発展を遂げるとともに、同校生徒の質が低下(もちろん一部の生徒だろうが)、近隣で様々な被害が出始めたという。もちろん、現在の同学園に対する評判はさんざんである。
 この話から、同学園グループが「教育」から「経営」に主眼を置くように転換していった軌跡を思い描かずにはいられない。念のため、ここ十年ほどの同学園グループがマスコミに登場した事件を探ってみた。

水増し入学で問題化

 1991年(平成3年)、太宰府市の第一経済大学が定員の12倍である5,900人余りを入学させていたことが判明、大きな問題として取り上げられた。
 しかも4月時点では、「定員の6倍の3,015人が入学」とウソの発表をしていたことまで明らかとなり、教育機関としての姿勢を厳しく問われることとなった。件の第一経済大学は、都築学園グループ(本部:福岡市南区玉川町、理事長:都築泰壽)の基幹をなす大学の一つであり、その他に第一薬科大学、第一工業大学、第一保育短期大学、第一幼児教育短大の4つの大学を有している。
 いずれにしても、同学園グループは私学助成金を受けていないことで文部省(現・文部科学省)からの制裁を受けたり、厳しい処分が下されることがないという状態にあり、いわば、やりたい放題の学校経営であったと言わざるをえない。
 起こるべくして起こった事件だったのである。

岩田屋買収で注目集める

 平成11年、夏。地場老舗の百貨店「岩田屋」は経営不振から天神本館と新館を205億円で都築学園グループに売却することを発表。世間をアッと言わせる売却劇であった。
 天神の一等地であり、商業施設に向いても、教育施設として本当に利用できるのかという疑問の声が上がったのは事実。
 新館を先行取得した都築学園グループだったが、華々しく立ち上げたベンチャー企業育成事業は、現在までのところ何の成果も出していない。関係者の話によると、入居した企業に出資を持ち掛けるなど企業側が不信感を持って退去したケースもあるという。
 岩田屋・中牟田健一氏と都築学園グループの総帥・都築泰壽氏が親交があったとされているが、すっきりしない買収劇であったことは否めない。
 都築学園グループが今後岩田屋の新館・本館をどう利用していくのか注目されるところである。
 いずれにしても、学校法人は学生・生徒等から入学金や学費を徴収して利益をあげているわけであり、その金で天神の一等地のデパートの土地と建物を買収することが、教育機関として芳しいとは思えない。
 他方、買い手がつけばどこでも良かったというのなら、「岩田屋」とはほとほと情けない百貨店である。

申告漏れ発覚で再び注目

 本年9月、同学園グループの「都築育英学園」「俊英学園」等の学校法人が法人所得の申告漏れを国税当局から指摘されていたことが判明。マスコミ報道で再び注目を集めることになった。
 悪質な所得隠しと判断された分を含めて、追徴総額は2億数千万円に上ったとされている。
 この他、都築理事長夫妻ともに法人からの退職金について、退職金ではなく個人所得とみなされ、同じく追徴課税されている。
 平成3年の水増し入学、岩田屋本・新館の買収、そして今回の申告漏れと、どうも同学園グループには、およそ「教育機関」としての面影はない。

相次ぐ地元住民とのトラブルと金権体質

 平成10年1月、福岡第一高校の所在地である南区玉川町に、一斉に「福岡第一高校の学生寮建設反対」の立て看板が林立した。
 当時の状況を町民に聞くと、この地区では長年、同校の一部不良学生により、自転車の盗難、住居への不法侵入、喫煙、お年寄りへの威嚇行為等が頻発し、町内に学生寮などとんでもないということで、寮建設反対運動は盛り上がったのだという。
 幸い、反対運動は成果を挙げ、学生寮建設は中止されたというが、被害はその後も続いているという。
 問題はむしろその後のことである。学生寮建設問題を中止した直後、同学園関係者が、町内に大量のビール券を配布、怒った町民が、回収しつき返すという事件まで発生した。
 また同じ時期に行われた南区玉川校区の「新年交流会」に現れた福岡第一高校の都築校長(理事長夫人)ら都築学園グループの職員が、いきなり100万円を寄付し領収書さえ要求しなかったとされており、100万円を寄付された地元関係団体は、その処理に困り、一年余り議論を重ねたという。
 どうもこの「教育者」グループの価値観の上位には、お金というものが来ているとしか思えない。

再燃する地元住民とのトラブル

 同校グループの地元を取材する中、今月に入り、同校と地元住民との間に、再びトラブルが発生していることが判明した。今回もまた、マンション内への不法侵入と喫煙(しかも、火を消さぬまま捨てていく)、子供への威嚇等の被害が出ている様子だが、一歩間違えば、出火していたと思われるケースなど刑事事件になりかねない被害も出ており、地元の自治会をはじめ、小学校側からも学園側に猛烈な抗議がなされているという。
 しかし、こうしたトラブルのたび、出向いてくるのは教頭だけ。校長である都築理事長夫人は、一度も住民と対話することはないのだという。
 同じ町内に住みながら、一度も顔を見たことのない地域住民から、校長である理事長夫人に「教育者失格」の声が挙がるのは当然であろう。
 なぜなら、彼女が校長である限り、教育者であらねばならず、問題のたびに人任せでは子供に人の道を説く資格はないのではあるまいか。
 今後、同校と地元のトラブルについてはさらに取材を続ける。なぜなら、この都築校長の姿勢にこそ、同学園グループの全てが語られているからである。

「教育」と金もうけは両立するのか?

 小泉純一郎首相は「米百俵」の話を引用し、今の痛みに耐えて、国の将来を創造することを力説する。「米百俵」では、主役の小林虎三郎が送られてきた米を学校創設のために使い、将来の人材育成の重要性を説くわけだが、「教育」とは、それほどまでに崇高なものでなければならない。「教育」に主眼を置けば、生徒、学生の質は高くなるはずである。それが低下する一方だとすれば、教育方針に間違いがあると言わざるをえない。
 「教育」と金もうけは両立しない。都築学園グループは今、襟を正すべきではなかろうか。

source:2000九州情報経済新聞