DM私的処方箋

治療環境と生活環境の改善のために

2000/11/27 月曜日

DMをめぐる環境
治療環境
生活環境
経済環境
インターネットの活用

  DMをめぐる環境  
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DMをめぐる環境を改善したいというのは、全ての患者の願いです。
しかし、何をどのように改善すればよいのか、その希望はそれぞれの立場、環境、病態の違いによって変わってきます。
また、あまりにも漠然としすぎて、問題点さえわからないという方もおられます。
もちろん、まったく問題を感じない方もおられます。
問題点をはっきりさせないことには、その方策も立てられません。

DMをめぐる環境は、大きく分けて3つあります。

1つは治療環境であり、今1つは生活環境です。
そしてその2つに共通する問題が、経済環境です。

この3つの問題について、私なりに考えてみました。

  治療環境  
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何よりも専門医が少ない、という点につきると思います。
患者が医療機関を選択するための情報が少なすぎます。
また、DMという病気について、十分な説明、患者教育がなされているかどうか、という点が重要です。

初期のDMは自覚症状がなく、病態が改善されると検査結果にも反映されなくなるため、病気の自覚が薄くなりがちです。DMについてのしっかりした知識を持っていないと、コントロールの継続の重要性が理解できません。結果として、病院から足が遠のき、普通の生活に戻り、再発させることになります。

薬を飲んでいるから大丈夫、程度の認識では、合併症を防ぐことはできません。
医療側も、力不足を感じる時は、速やかに適切な医療機関を紹介すべきです。

また、インスリンの使用を頑強に拒む患者があります。インスリンを使うようになると末期である、といった過去のイメージに囚われた誤った認識を持っている人です。拒み続けて、結果として合併症になってしまっては、それこそ過去の症例と同じ結果にしかなりません。

  生活環境  
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もっとも重要なのは、世間の無知と無理解の改善です。

贅沢病である、自業自得である、といった誤った認識のせいで、DMであることを公表できない患者が多く存在します。結果として、食事療法の不徹底など、コントロールの障害となっています。

また、公表している患者の中には、不愉快な冗談の種にされたり、仕事などにおいて不当な扱いを受けるといった、不利益を蒙っている人もあります。就職差別を受けている人もあります。

  経済環境  
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医療費の増大は誰しも避けたいところです。特に一生インスリン注射が必要な1型や合併症が出しまったDM患者には切実な問題です。
しかし、他にも多くの疾病があり、高齢者医療の問題などを考えますと、医療及び福祉の予算が限られている以上、全額公費負担というのは、当然無理があります。
それでも命がかかっている私たちとしては、できうる限りの方策を望みます。

そのためにはどうすればよいのか。

まず、第1の対策として、これ以上新たな仲間(DM患者)を増やさない努力をすることです。
患者数の増加は、限られた予算の配分で1人あたりの医療費を圧迫することになります。
膵臓のβ細胞が破壊される1型患者はどうしようもありませんが、日本のDM患者の大部分は生活環境の改善によって、ある程度は予防可能な2型患者です。DMを発症させないための啓蒙と教育に力を注ぐべきです。
また、既にDMになってしまった人は
重症化させないことです。適切なコントロールを継続することによって、食事療法と運動療法だけですむ状態を維持できれば、また、合併症を起こさずにすめば、医療費支出の増大を抑制できます。
自己血糖値測定をしている人はコントロールの成績がよいというデータがあります。2型のインスリンを使っていない患者にも積極的に導入すべきではないでしょうか?

第2に、第1の問題解決のために、DMの早期発見が重要です。
とれる手段はすべてとるべきです。
食前空腹時の血糖値検査だけでは意味がありません。食後2時間の血糖値も調べるべきです。
大阪市の場合、保健所の集団検診では、血液検査は尿検査などで異常のあった人と希望者だけです。尿検査では初期のDMは発見できません。インスリン使用者が使っている
簡易型血糖値測定機を導入することを提案します。操作は簡単で針で突いた程度の血液で測定でき、血液検査と違ってその場で結果がわかります。これで食後2時間の血糖値を調べれば、境界型も含めて初期のDM患者を把握できると考えられます。

第3に、DMについての正しい知識を普及する必要があります。
医療環境及び生活環境の改善のためにも、重要な問題です。
せっかく発見した境界型や初期のDM患者が、DMに対する無知から、適切な医療を受けようとしないケースも多くあります。せっかく早期発見しながら、みすみす合併症になるまで放置させてはなりません。
昨今の2型DM発症の低年齢化を考えますと、学校教育に取り入れるぐらいの覚悟が必要です。それも、通り一遍の生活習慣病としてのアプローチではなく、1型や耐糖能異常も含めた幅広い知識の普及が望まれます。
生活習慣病としての面を強調しすぎれば、結局は偏見と差別を助長する恐れがあります。現代社会では誰もがなり得る可能性のある病気であることを、周知徹底することです。
平行して、栄養学(家庭科・食物)の教育にも力を入れるべきです。
受験に役立たない科目は切り捨てられる傾向が強い昨今ですが、何よりも重要なのは、自分の健康と生活を守ることのできる生活力を養うことではないでしょうか?

第4に、矛盾するようですが、医療機関が正当な医療報酬を得られるようにすると同時に、薬価などを常に適正に保つことです。
今もそうなのかもしれませんが、薬をたくさん出さないと儲からない、という時代がありました。現在は、入院が3ヶ月以上になると儲からないため、入院患者はジプシーの如くさすらう傾向があります。
DMは、初期の場合は投薬の必要がありません。薬を出さねば儲からないようなシステムですと、不要な薬を出したり、儲けの少ない医療に消極的になる可能性が出てきます。
指導料の評判が悪いようですが、適切な診療報酬を約束することは重要なことです。

  インターネットの活用  
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最新の情報を手に入れる手段として、また、新たな連帯の始まりとして、インターネットは、私たちに道を開いてくれました。
そして、それ以上に大事なのは、私たちの方からも情報を発信する手段が手に入ったということです。
これまでは、私たちが何を知りたいのか、何を苦にしているのか、世間に発信する手段がありませんでしたが、インターネットがそれを可能にしてくれました。 

インターネットを利用する上で気をつけたいことは、情報が玉石混淆である、という点でしょう。民間療法の餌食にならないように気をつけねばなりません。情報を判断する目が必要になります。

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