「一病息災」で暮らすために

2001/11/21 水曜日

食事療法   運動療法   薬物療法
HbA1c   油断大敵   インスリン療法
自己血糖値測定   民間療法を試す前に   低血糖に注意
まだDMではないあなたへ   DMの私たちに理解と協力を   やがて明ける夜
       

食事療法 〜これが基本です〜  

食べてはいけないと思うと、ストレスが溜まります。
食べてはいけないものはほとんどありません。問題は、量だけ。
神経質になりすぎる必要はありません。
決められたカロリーを、バランス良く食べましょう。

境界型の人は、食餌療法を生活に取り入れることによって、糖尿病をある程度予防することができます。
また、糖尿病食は栄養のバランスがとれた健康食ですから、みんなで食べれば家族の健康にも寄与します。

私は「ダイエット5」というシェアウェアソフトを利用してカロリー管理をしています。

運動療法 〜主治医のOKが必要です〜  

運動だけでは血糖値は下がりません。食事療法や薬物療法などと組み合わせて、初めて威力を発揮します。
運動することによって、体がインスリンに反応しやすくなります。

私の場合は、万歩計を腰に、片道15分程度の書店を目指して、毎食後歩いています。
最初は家の近所を歩いていたのですが、目的地を決めて歩いたほうが気分的に歩きやすいのです。万一に備えて、ペットシュガーと缶コーヒー、PHSなどを入れたショルダーを持っています。これからは暑くなるので、帽子と汗拭き用のタオルとお茶の入った水筒が必需品になりますね。(結構重い・・・)
インターネットのサイトに登録して、ヴァーチャルワールド・ウォーキングを楽しんでいます。

グローバル・ネイチャー・ライフの健康ウォーキングのページ

http://gnl.cplaza.ne.jp/walking/index.html

薬物療法
 〜食事療法と運動療法だけでは効果がない人〜
 

 薬物療法を導入しても、食事療法や運動療法は必要です。薬を使っているからと、手を抜かないように。
インスリンを使っている人は、勝手に量を増やして食事療法を怠けてはいけません。

経口血糖降下薬

  • 服用量、服用時期を守りましょう。
  • 自己判断で服用を止めたり、量を変更しないようにしましょう。病気などの場合は、主治医に相談しましょう。
  • 他の薬との併用で、効果が強められたり、弱まったりする場合があります。
  • 他の薬を服用している場合は医師に申し出てください。
    また、他の病気で受診する時も、糖尿病であることと服用している薬剤を申し出てください。
  • 健康食品や民間療法の薬には同様の成分が含まれている場合があります。
    主治医に無断で安易に使用しないようにしましょう。
  •  経口血糖降下剤を用いてはならない場合
    1. インスリン依存性糖尿病(1型、IDDM)
    2. 感染症、手術、外傷のとき(軽症は除く)
    3. 妊娠計画中、妊娠中、授乳中の女性
    4. 肝臓や腎臓が悪い人(軽症には用いることがある)
    5. 特別な薬剤を服用していて血糖が上がった時(副腎皮質ステロイド薬など)
    6. 副作用の出た人

  • 比較的軽いNIDDMの目安

    食後2時間の血糖値がおよそ200mg/dl以上で、空腹時血糖値がおよそ160mg/dl未満(空腹時血糖値が110〜140mg/dl程度、食後血糖値でも250mg/dl以下)の場合

スルホニル尿素剤(SU剤)
  • 食事療法と運動療法を行っても満足な血糖コントロールを得られない人。
    (空腹時血糖値が140mg/dl以上のときなど)
  • 飲み薬の中では一番作用が強い。
    膵臓のΒ細胞を刺激して、インスリンの分泌を促す。
  • インスリン抵抗性の高い人には不向き。
  • 空腹時の血糖値が140以上の人が対象だが、太っている人はますます肥満が進み、動脈硬化を進行させる可能性がある。
  • 通常、半錠か1錠から始め、血糖値を見ながら増量していく。だいたい1錠か2錠でコントロールがつく。3錠くらいまでは増やすこともあるが、それより増やしてもあまり効果は上がらない。
    3錠用いても血糖値がコントロールできない時は、膵臓のインスリン分泌能力はもう限界と思われ、インスリン注射が必要となる。

副作用

  • 低血糖
  • 肥満・動脈硬化の促進
  • 長年服用するとインスリンの効きが悪くなり、インスリンの必要量が増える
  • アルコールによって薬の効き目が強くなりすぎたり、アルコールの作用が強くなる場合がある
新スルホニル尿素剤(SU剤)
  • 既存のSU剤と同等の血糖降下作用を示すが、インスリン分泌促進作用はさほど強くない。
  • 膵β細胞にあまり負担をかけずに血糖値を下げられると考えられる。
速効型インスリン分泌促進剤
  • SU剤と同様、膵臓を刺激してインスリンの分泌を促進するが、効果が服用してすぐ現れ、短時間でなくなるのが特徴。
    食事の始まる直前に服用して食後の血糖値が上がるのを防ぐ。
  • 体重増加や低血糖の可能性はSU剤より少ない。
  • 空腹時血糖値が140以下の軽症糖尿病には使いやすい。
ビグアナイド剤(BG剤)
  • スルフォニル尿素剤では効果が不十分なものの、まだインスリン注射を行わなくとも血糖のコントロールができると判断された人。
  • 腸からのブドウ糖の吸収を抑えたり、肝臓が血液中にブドウ糖を送り出すのを抑えたりする。
  • 肥満や動脈硬化の促進などの心配が少ない。
  • 単独では効果が弱いため、SU剤などと併用して使われる。
  • 高齢者や、肝臓、腎臓障害がある人には使えない。

副作用

  • 乳酸アシドーシス(血中に乳酸がたまり、昏睡を誘発する)の危険
  • 食欲不振、吐き気、下痢、便秘などの消化器症状
    これらの症状は、乳酸アシドーシスの初期症状の場合もある
糖質吸収阻害剤(α-グルコシダーゼ阻害薬)
  • 食前の血糖値は高くはないが、食後の血糖値が高くなりやすい比較的軽いNIDDMで、食事療法と運動療法だけでは十分にコントロールできない人。
  • α-グルコシダーゼという糖質分解酵素の働きを抑制し、炭水化物の消化を遅らせる作用がある。
  • 腸管からのブドウ糖の吸収が遅くなるため、食後の血糖値の急上昇を抑える。
  • 食後の血糖値が200以上になる人が対象。

副作用

  • お腹が張ったり、おならが出やすくなる
  • 低血糖を起こしたときは、砂糖ではなくブドウ糖を飲む必要がある
インスリン抵抗性改善剤
  • 血中インスリン値が高いにもかかわらず高血糖が続く人。
  • インスリンの効きをよくすることにより、血糖値が下がる。
    インスリンの効きが悪い肥満糖尿病が対象。

副作用

  • 貧血、むくみ、体重増加など
  • 時に重症の肝炎
その他

 

 

 

インスリン・・・副作用は低血糖ぐらい  

インスリン療法が必要な人は

  • IDDM(インスリン依存型)
  • 経口薬の効果がないNIDDM
  • 手術を受ける時
  • 感染症や他の病気にかかった時
  • 大怪我をした時
  • 妊娠、出産

タバコを吸う人は吸わない人に比べてインスリンの吸収率が低いという報告があります。

インスリンの種類

  • 速効型(R)・・・注射後30分で効果あり。作用時間は約6〜8時間と短い。
  • 中間型(N)・・・注射後90分で効果あり。作用時間は約20〜24時間くらい。
  • 混合型(10R〜50R)・・・注射後30分で効果あり。作用時間は約20〜24時間くらい。
  • 持続型(U)・・・ゆっくり効果が出始め、作用時間が約30時間以上続く。

自己血糖値測定  

インスリン注射の患者は保険適用です。一般患者は保険適用外ですが、自己血糖値測定をしている人は、治療意欲が高いという研究結果があります。

最近は血圧も家庭で手軽に測れるようになりました。血圧は病院で測ると、人によっては緊張から普段より血圧が上がる(白衣性高血圧)ことが知られていますから、普段の血圧が測れるというのは、高血圧の治療などでは役に立ちます。
血糖値測定機も最近では性能のよいものが出回っています。血圧のように自宅で手軽に測れるようになれば、糖尿病の治療だけでなく、予防にも役立つと思います。

簡易血糖測定器

測定方式

電極法 血液中のブドウ糖と測定用電極の化学物質が反応して生じる電流を測定するもので、血液を測定器の電極(使い捨て)の先端につけて測定する。
試験紙法 血液中のブドウ糖による試験紙の変色を器械が判読するもので、試験紙に血液を1滴つけて測定する。

主な簡易血糖測定器の種類

製品名 測定範囲
(mg/dl)
電源 問い合わせ先
測定方法 使用する試験紙
又は測定用電極
測定時間 本体希望小売価格(円)
グルテストエースGT−1640 20〜600 3Vリチウム電池×2個 (株)三和化学研究所
電極法 グルテストセンサー 30秒 10,000 0120−078130
ノボアシスト 0〜500 3V単4アルカリ電池×2個 ノボノルディスクファーマ(株)
試験紙法 ノボアシストペーパー 約30秒 11,800 0120−180−363
メディセーフ 20〜600 3Vリチウム電池×2個 テルモ(株)
試験紙法 メディセーフチップ 18秒 9,800 03−3374−8150
デキスターZ 10〜600 3Vリチウム電池×2個 バイエル メディカル(株)
電極法 デキスターZセンサー 30秒 オープン価格 0120−123119
プレシジョンQ・I・D 20〜600 電池内臓(約4000回使用可能) ダイナボット(株)
電極法 プレシジョンプラス 20秒 14,500 03−5695−6061
グルコカードGT−1640 20〜600 3Vリチウム電池×2個 ヘキスト・マリオン・ルセル(株)
電極法 ダイアセンサー 30秒 10,000 0120−49−7010

 

HbA1c (ヘモグロビン・エー・ワン・シー)  

ブドウ糖と結びついた赤血球の割合を調べることによって、過去2ヶ月くらいの血糖値のコントロール状態がわかります。6%にコントロールできれば、合併症の危険はかなり小さくなります。

HbA1c 4〜6% 6〜7% 7〜9% 9〜11% 11%以上
コントロール状態 ほぼ正常 良好 やや不良 不良 危険

ただし、いくらHbA1cの数値がよくても、それが低血糖を繰り返した結果では意味がありません。血糖値の乱高下が続いては、いくら数値がよくても無意味です。

HbA1cより短期間の血糖コントロールを調べるには、フルトクサミン検査、グリコアルブミン検査があります。
この2つの検査は過去1〜2週間の血糖コントロールを反映するので、低血糖、高血糖を繰り返しやすい人のコントロールの指標としたり、薬物療法を始めるときの薬の効き具合を調べるときに参考になります。

また、1.5-AG検査(1.5アンヒドログルシトール検査)は、血液中の血糖の状態に敏感に反応し、食事や運動の影響を受けないため、過去数日間の指標となります。
旅行や年末年始など、短期間のコントロール状態を知る上で有効です。
食事療法や運動療法の効果はすぐ検査値にあらわれます。
また、比較的軽度の高血糖に敏感に反応する特徴があります。

フルトクサミン検査(基準値 200〜285μmol/L)

血液中の蛋白質にブドウ糖が結びついてできるフルトクサミンの量を調べることで、血液中のブドウ糖がどれくらい増えているのかを間接的に調べることができる。

グリコアルブミン(GA)検査(基準値 12.4〜16.3%)

血液中の蛋白質の主成分であるアルブミンがどのくらいの割合でブドウ糖と結合しているかを調べる。

1.5アンヒドログルシトール(血漿1.5AG)検査(基準値 14.0μg/ml以上)

1.5アンヒドログルシトールは、血液中にブドウ糖についで多く含まれる糖で、糖の排泄が多くなると、腎臓で再吸収することができなくなり、血中濃度が低下する。

C-ペプチド(CPR)検査(基準値 50〜100μg/日)

C-ペプチドは、膵臓でインスリンが作られる過程で生じる物質で、血糖値が上がってインスリンが分泌されるときに一緒に血液中に出てくる。分泌されたC-ペプチドの約1/10が、腎臓を通って尿中に排泄される。尿中のC-ペプチドの量を測ることで、インスリンの分泌量を推測できる。
C-ペプチド検査は、一般には24時間分の尿を溜めておき(蓄尿)、それを対象にして調べる。
C-ペプチドの値が大きい場合には、膵臓のインスリン分泌能力が残っていることを意味する。値が小さい場合は、膵臓があまりインスリンを分泌していないことを示す。

尿中ケトン体検査(陰性(−))

ケトン体は、体内の脂肪をエネルギー源として燃焼した時に血液中に生じてくる物質で、血液中に増えてくると、尿中にも排泄されるようになる。
インスリンが十分に働かなくなって体内のブドウ糖をエネルギー源として利用できなくなると、エネルギー源として脂肪を利用するため、ケトン体がたくさん作られ、尿中に出てくる。
ケトン体が血液中に増えてくると、血液が酸性になり(ケトアシドーシス)、昏睡状態に陥ることがある。

コントロール状態の指標となる検査と判定基準

指  標 コントロール状態
良 好 不 良





血糖 空腹時(mg/dl) 70〜120 70以下 or 200以上
食後2時間(mg/dl) 130〜180 70以下 or 250以上
グリコヘモグロビン HbA1c(%) 6.5以下 8.0以上
尿糖 空腹時 (−) (++)
食後2時間 (−)〜(+) (+++)
尿ケトン体 (−) しばしば(+)
血清脂質(動脈硬化指数) 正常範囲内(4.0以下) 著名な異常(5.0以上)
その他の代謝異常 特になし 種々の異常あり







肥満度 (%) 80〜110 80以下200以上
血管障害 心電図 特になし しばしば重症の合併症あり
眼底検査
尿蛋白
神経伝達速度


自覚症状 特になし 急性症状あり
(口渇、多飲、多尿、体重減少)
自己管理状況 良 好 不 良
受診状況 規則的 不規則

双葉社刊「聖路加国際病院健康講座・糖尿病」より

血糖コントロール状態の指標と評価

コントロールの評価 不可
HbA1c値(%) 5.8未満 5.8〜6.5 6.6〜7.9 8.0以上
空腹時の血糖値(mg/dl) 100未満 100〜119 120〜139 140以上
食後2時間の血糖値(mg/dl) 120未満 120〜169 170〜199 200以上

日本糖尿病学会編「糖尿病治療ガイド2000」より

低血糖に注意  

インスリンや経口血糖降下薬を使用している人は要注意

低血糖とは血糖値が50ml/dlを下回る状態です(ただし個人差がある。危険ゾーンは70以下)。

血糖値が下がりすぎると低血糖昏睡を起こすことがあります。
また、低血糖を起こしたあとで著しい高血糖になることがあります。これは、低血糖のせいで体が血糖を上げる様々なホルモンを分泌するために起こります。この影響は2〜3日間残り、血糖値が200〜300といった高血糖状態が続きます。これは
リバウンド現象といって、血糖コントロールを大きく乱す原因になります。
自覚症状に注意し、早めに対策を取りましょう。
病気の時、食事が取れなかった時、激しい運動をした時、薬の量を間違えた時、時差の大きい外国へ出かける時など、特に注意しましょう。

経口剤で低血糖を起こしやすい人も

  • 飲酒をやめられない人
    飲み薬はアルコールによって作用が強められることがある。

  • 肝臓の働きが悪い人
    肝臓の働きが悪いと、飲み薬が代謝されずにそのまま体内に蓄積してしまう。

  • 高齢者や腎機能に障害を持つ人
    高齢者や腎機能に障害があると、蓄積しやすくなるため、作用時間が長くなる。

自覚症状は

  • 異常な空腹感

  • 冷汗、手足の震え、脱力感、目のちらつき

  • 動悸、頻脈(脈拍数が多いこと)

  • 頭痛、ぼんやりしたりふらつく、いつもと違う異常な言動、思考力の低下

低血糖らしい症状が出たときは、我慢しないで早めに対策を取ってください。

対策は

  • 砂糖やブドウ糖を取る。(ジュースなど。飴やチョコレートは吸収に時間がかかるので不向き)

  • 自分で取れない状態の時は病院でブドウ糖の点滴をしてもらいます。

  • 応急処置として家族がグルカゴン(血糖値を上げるホルモン)の皮下注射をすることもあります。

  • 万一に備えて糖尿病手帳や病気のことを記載したカードを持つ。

予防するには

  • 薬の量や使用法を守る。

  • 食事療法を守る。不規則な食べ方や、みだりに量を減らしたり、食事を抜いたりしない。

  • 酒の飲みすぎ、激しい運動、下痢などは低血糖を起こしやすいので注意が必要です。

  • 別の薬を飲む時は主治医に相談します。また、他の医師にかかるときはDMであることと使っている薬を申告します。

  • 病気の時は主治医の指示を仰ぎましょう。

シックデイ対策 〜他の病気で体調を崩したときは〜

  • 食事が取れなくとも、薬を止めてはいけない場合があります。下痢や嘔吐がある場合は点滴が必要なこともあります。勝手に判断せずに主治医の診察と指示を受けましょう。

  • 風邪などの感染症にかかると、血糖値が上がりやすくなります。そして、血糖値が上がると、感染症がひどくなりがちです。

  • 安静にし、食事はできるだけ普段どおりにします。
    食欲が落ちたときは食べやすいものに変えたり、1回の量を減らして回数を増やすなどの工夫をしましょう。
    食欲がまったくないときは、さしあたり糖質食品をとります。口当たりのよい果物やお粥、軽いビスケットなどです。固形物が無理なときは、ジュースやソフトドリンク、アイスクリームなど、喉を通るものならなんでもかまいません。
    また、水分を十分とるようにします。できれば、ミネラルの補給もできるように、スポーツドリンクやスープ、味噌汁などをとりましょう。

油断大敵
 〜コントロールがうまくいったときこそ要注意〜
 

未だ合併症が出ていない初期のDM患者は、食事療法と運動療法だけで良好なコントロールが可能です。中には病気が治ったような錯覚に陥る人もあります。

特に自覚症状もなく、検査値も正常な人と大差ない状態が続くと、病気の自覚が薄れてしまうのも無理はありません。でも、ここで手を抜くと、元の木阿弥になってしまいます。良好なコントロールができているときこそ、その状態を維持するための努力を忘れないでください。

もう通院しなくてもいいだろう。
少しぐらい食べても大丈夫さ。

甘えたツケは、何年も経ってから合併症の発症という請求書となって返ってきます。

民間療法を試す前に  

巷には様々な情報が満ち溢れています。
書店の健康コーナーには、「これで治る」式の本がたくさん並んでいます。
もっともらしい体験談とともに、奇跡の妙薬が紹介されています。
一生治らないと言われ、今までの気ままな生活を続ければ恐ろしい合併症になると脅かされ、暗澹(あんたん)たる気分の時、このような情報はとても魅力的です。
でも、飛びつく前に、考えてみてください。
毒にも薬にもならなければ金銭的被害だけですみますが、無害のものばかりとはかぎりません。また、そういうものに頼ってコントロールを崩せば、合併症で苦しむことになります。

最近、掲示板に健康食品や民間療法を紹介する個人の書き込みが目立ちます。ときには知らない人からメールが舞い込みます(ついでにウィルスがついていたりしますが)。
健康食品の販売に、マルチ商法まがいの手段をとる会社があります。子会員をつのって販売すればリベートが入るということで、たくさん買い込みすぎた人かもしれませんね。

悪質な業者ほど、高額な商品を、一度にたくさん買わせようとします。

DMは、出てくる症状は同じでも原因は人それぞれ。誰にでも同様に効果のある方法はあるのだろうか? 1型と2型の区別にさえ言及していないものがほとんどです。
2型にしても、インスリン分泌があまりない人や分泌のタイミングが遅れる人、十分あるのに抵抗性がある人と、いろいろですから。
初期の2型DMは食事療法と運動療法だけでも良好なコントロールが得られる。それをその薬(健康食品)の効果であると誤認していないだろうか? 食事療法と運動療法は基本中の基本です。
食事療法の必要がなくなるという薬を試すのは命懸けです。
食事療法は続けなさいというのであれば、効果は食事療法のお陰である可能性が大です。
1型も治るように書かれていることがあるが、それは膵臓の機能が回復するということだろうか? 膵臓のインスリン分泌機能を回復させることができるというのなら、国家規模で研究すべきです。
DMの薬の代わりにその妙薬(健康食品)を一生とり続けなければならないとしたら、何ら変わりはないのではないか? それならば、効果も副作用もはっきりしている保険適用の薬のほうが、経済的負担も少なく安全ではないでしょうか。
外国でDMの薬として認可されているというものがあるが、その国の医療事情はどうなっているのだろうか? 先進諸国では普通に使われている薬でも、国によっては手に入りにくかったり高価だったりします。そういう地域では同様の効果のある食品などが薬として使用されていることでしょう。
インスリン注射の苦痛や副作用を過大に書いているのは、事実に反しているのではないか? 現在使われているペン式注射器は針も細く取り扱いも簡単になっています。インスリンの主な副作用は低血糖ぐらいですが、文中ではいかにも重大な副作用があるように書かれています。また、耐えがたい苦痛があるような表現でインスリン注射に対する恐怖感をあおっています。インスリン療法をすると膵臓が働かなくなると説く本もありますが、これも事実に反しています。
漢方薬だから副作用がない?

食品だから安全?

高価だからよく効く?

漢方薬でも副作用はあります。用い方を誤れば命にかかわるような劇薬もあります。
食べ物でアレルギーを起こす人があることを考えると、食品だから安全とは言いきれません。
価格と効能が正比例するものばかりではありません。
高く売りつけることで、粗悪さを覆い隠している場合もあります。
実例紹介を載せるのなら、少なくとも病態、経過、他の療法との併用の有無、臨床データと追跡調査のデータを載せるべきではないのか? 臨床データが詳しく載っていたとしても、それが捏造(ねつぞう)ではないという保証はありません。また、都合の良いデータだけを載せている可能性もあります。
やれ血糖値がいくらになった、医者がびっくりしたといった記述が並んでいますが、DM患者の私の目には、医者が喜ぶような回復とは言いがたい数値が多々あります。作文を書いた人は、DMについてのお勉強をあまりしなかったようです。
もっともらしい体験談が宣伝のための作文である可能性もある。 同じ体験談が別の薬の体験談として紹介されいるのを見たことがあります。写真がついていても、それが本人であるという保証はありません。
もっともらしい研究機関や肩書を名乗っていても 信用させるための手口として、よく使われます。実際にそういうものが存在することはまずありません。

 

まだDMではないあなたへ
〜境界型と言われたら〜
 

まだ大丈夫と思っているあなたは、DM予備軍です。

境界型はDMと診断されるのに後一歩に近づいたということです。
動脈硬化はすでに始まっています。
生活を見なおしてみてください。
警告を受けただけでも、あなたは恵まれているのです。
その警告を生かすも無にするも、あなた次第です。

DMへの道は、一度踏み出せば、もうひき返せないのですから。

 

DMの私たちに理解と協力を  

良好なコントロールを続けるためには、周囲の理解と協力が必要不可欠です。
万一、高血糖や低血糖による昏睡を起こした時、皆さんの助けが必要です。
食事療法や運動療法といったコントロールに疲れた時、皆さんの励ましが力になります。
絶望ではなく、生きる勇気を与えてください。

迷信や誤解に基づいた心無い言葉は、やる気を殺いでしまいます。
これくらいは大丈夫だと、食事療法を崩すような誘惑のタネを蒔かないでください。
善意から、民間療法や健康食品を薦めないでください。

DMを理解してください。明日は我が身かもしれませんよ。

御家族の方へ

コントロールを続ける上でもっとも大事なのは、患者本人のコントロールを続ける意志です。そして、それを支えるのは、家族を思う心です。

自分が必要とされているという思い。
家族の思い遣りに応えたいという思い。
少しでも長く共にありたいという思い。

人は、自分のため以上に、大切な誰かのためにこそ、少しでも健康であり続けたいと願うのではないでしょうか。

 

やがて明ける夜
・・・かすかな曙光に希望を託して
 

糖尿病は治らない。それが今現在の悲しい常識です。
しかし、近い将来、遺伝子治療が実用化されれば、その常識が変わるかもしれません。

胚性幹細胞は、遺伝子操作を加えることで、どんな細胞にもなり得る万能細胞です。この細胞をインスリン分泌細胞(膵β細胞)に変換させる研究が進められています。
また、人体の臓器内に幹細胞のあることも見つかっており、遺伝子操作のウィルスを体内に入れることにより、体内に新しいβ細胞が作られれば、根治療法も夢ではありません。
NHKの報道によれば、小腸にインスリン分泌能力を持たせる研究も進められているそうです。また、まだ動物実験の段階ですが、糖尿病マウスへのβ細胞移植手術に成功したそうです。

かすかな希望に過ぎないかもしれませんが、わずかでも光明が見え始めているのです。
その日まで、諦めずに頑張りましょう。