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休日や夜間に耳が痛くなったら (2010.1.12 二年ぶりに更新)

耳が痛いと言って泣き出したけど、耳鼻科の時間外診療はやってないし・・・


中耳炎?

 カゼで鼻水が出ている時などに、耳が痛いといって泣き出したりする場合、そのほとんどが急性中耳炎です。鼓膜の内側にある中耳と呼ばれる小さな空間に、細菌やウイルスなどで炎症が起こり、圧がかかることで痛くなります。熱が出ることもあります。カゼの途中で中耳炎を合併すると熱がなかなか下がらないことがあります。


中耳炎はなぜ痛いの?

 空気の抜け道は耳管といって鼻咽腔(のどと鼻の奥の中間ぐらいのところ)に開口しています。高いところに移動したとき、聞こえが悪くなったり突然良く聞こえるようになったりしたことはありませんか? それは空気がこの耳管を通ったり通らなかったりすることで起こります。ここから菌が入ったりすると中耳炎の始まりです。炎症があれば痛みを感じるようになりますが、これに加えて腫れなどの原因で耳管の通りが悪くなると、圧がかかり、鼓膜が押されることで激痛になってきます。鼓膜に抜け道が出来て、耳垂れが起こることもあります。この場合は圧が下がり、多くは痛みがなくなります。


とりあえず夜間に家庭でできる対処法は?

 まず寝ていれば、座らせるか出来れば立たせましょう。鼻咽頭粘膜の血管の拡張がやや収まり、耳管機能の改善が見られることがあります。次に、夏ならエアコンを使って涼しくしたり、涼しい日なら窓を開けたり、ベランダなどで夜風に当たるのも良いでしょう。積極的に冷やすには、ビニール袋に氷水を入れて口を縛りタオルでくるみ、痛い方の耳に当てて冷やしてみましょう。また、冷水を少量ずつ分けて与えてみてもよいでしょう。鼻閉(鼻づまり)を改善するプリビナやトークといった点鼻薬で、本人に処方されたものがあれば、鼻閉がなくても指示された用法で使ってみましょう。噴霧より仰臥位(あおむけ)で一滴ずつ点鼻して奥まで流した方が効果が良いでしょう。点鼻の後はすぐに痛い方が下になるように側臥位を数十秒保ちます。(容器によっては逆さにすると大量に出てしまうものがあるので一度試してからにしましょう)これも耳管機能の改善が期待できます。痛みには鎮痛剤ですが、これは解熱剤としておなじみの座薬(アンヒバ、アルピニー、カロナール)などがそうです。もちろん飲み薬(カロナール、ピリナジン、アセトアミノフェン)でも大丈夫です。冷蔵庫をさがして本人のものがあればそれでかまいません。抗生物質は最近本人にもらったものが余っていれば、受診までの代替薬と割り切って飲ませてもかまいません。(ただし、最近のガイドラインでは、症状軽いものは抗生物質は使わずに経過を見ることになっています)メイアクトMS、ファロム、クラバモックス、ユナシン、オーグメンチンなどなら合格、サワシリン、パセトシン、ワイドシリン、アモキシシリン、フロモックス、トミロンといったものても大丈夫です。オゼックス(トスフロキサシン)やクラビット(レボフロキサシン)などの抗生物質の点眼薬があれば、上を向かせて左右の鼻の穴から鼻腔へ1〜2滴ずつ点鼻してみてもよいでしょう。(これは経口抗生物質の効果が優れない場合も局所補助療法として有効な場合があります)この場合も点鼻の後はすぐに痛い方が下になるように側臥位を数十秒保ちます。クリニックで処置を行う場合は、これらに加えて点鼻の前に鼻咽腔吸引を行うこともあります。
 夜間に中耳炎で来院したときに、痛みが軽減しているのをよく経験しますが、これは夜に起こされて車に乗ったり(座位)歩いたり(立位)し、夜風や車のエアコンで全身が適度に冷やされ、痛みを軽減するためと考えられます。逆に暖まると痛みが増強することもありますので、熱いお風呂は好ましくありません。

※ここに書かれている治療法は、「夜間の中耳炎はほぼ全例を小児科医が対応する」という不変の医療状況のなかで、いまだに多くの施設で鎮痛剤による対症療法のみであったり、診療時間まで痛みを我慢する以外に何が出来るかを、筆者が考案し経験してきたことに基づいた応急処置であり、確立された治療法ではないことをご承知ください。しかしながらこれらを組み合わせると効果的で、鎮痛剤を使わなくとも、痛みが消失する例が少なからずあります。最近になって夜間の耳痛対処法に鼻閉の治療が有効とされる耳鼻科医の意見が海外で出ていました。
抗生物質の使用に関しては様々で、最新の文献やガイドラインでも意見が異なる場合があります。この理由を一言でいうと、「抗生剤の効果的な使用」と「使用することでの耐性化の問題」のどちらに視点が置かれているかの違いです。従来、日本での抗生剤の処方は、明らかに不要な疾患であっても使用されていることが多いという悪しき歴史がありました。この状況を変えなければいけないという考えは徐々に広がりつつあり、たいへん良い傾向なのですが、一方で、使用が望ましい状況でも処方されないケースがやや増えている状況もあります。必要性をより正確に判断するためには診察時に出来るだけ多くの非侵襲的な情報を得て、それでも不足なら最小限の侵襲的な検査も行って病状を把握することが重要です。(ですから耳垢をとってでも診ることは大事なのです)外来診療においてガイドラインを尊重した治療を行おうとしても、現実には抗生剤の必要性はクリアカットに分けられるものではありません。飲むか飲まないかの選択に苦慮する場合は、出来る限り短期投与を心掛けるだけでも使用量は減少し、耐性化を先延ばしすることができます。夜間に中耳炎の応急処置と割り切って手持ちの抗生物質を1回だけ服用することは、カゼに数日分の抗生剤を投与することに比べたら微々たるものです。


そのあとはどうすればいいの?・・・

 痛みが治まっても治療が必要です。程度により抗生物質を服用する場合がありますので、翌日には受診してください。鼓膜の発赤、痛みや発熱が続く時は、長引かないうちに耳鼻咽喉科を受診して頂いて、鼓膜切開の適応を検討していただくことがあります。鼓膜切開をしても治らなければ・・・小児科でセフトリアキソン(CTRX)という抗生物質を使います。(なお、CTRXは点滴/注射剤であり安易に用いる薬ではありません)

※鼓膜切開は幼児にとっては苦痛と恐怖を与えることが少なくないため、絶対的適応例は別にして相対的適応例には慎重に行うべきだと思いますし、痛みがほとんどなく全身状態の良いボーダーライン以下ではまず内科的な治療で12〜48時間程度は経過を見た方が良いと考えます。ただし、浸出性中耳炎への移行や、高熱が持続する場合は化膿性髄膜炎の合併といったことを念頭に置くぐらいの慎重さが必要となります。


 
応急処置のまとめ (詳細は上記を読んでください)


※マークは薬があればとても効果的です。時間外診療を行っている小児科の先生方もぜひお試しください。
  • 寝ていれば、座らせる、可能なら立たせる。
  • 耳を冷やしたり室温を下げて涼しくし、冷水を少量ずつ与えてみる。
  • プリビナやトークがあれば、点鼻法で使ってみる。(※)
  • 解熱剤を痛み止めとして使う。(使用法の詳細)
  • 抗生物質の点眼薬(↓)があれば点鼻薬として使用する。
    クラビット(レボフロキサシン)・オゼックス(トスフロキサシン)推奨(※)
  • 本人に処方された手持ちの抗生物質があれば与える。(なくても良い)

  • ※プリビナなどは最近は低年齢や長期の使用は制限されています。使用の際は生理食塩水で適切に希釈した上で短期間にとどめる必要があります。(長期にわたって使用すると鼻閉が悪化する場合があります)とはいえ新生児病棟に入院中の赤ちゃんに鼻閉が流行し、紹介した耳鼻科から原液で処方されて使われていたのを数十例ほど見ていて、大きな問題はなかったと記憶していますが、鼻閉が治りにくかったのはこれが原因だったのかもしれません。(ずいぶん昔、制限のなかった頃のことです)



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