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自由刑の種類とその特徴


自由刑とは
 自由刑とは、自由を剥奪する刑罰の総称であり、近代国家においては罰金刑と並び刑罰の中核をなすものである。
 わが国においては、懲役、禁錮および拘留が存在し、懲役は刑事施設に拘置して所定の作業を強制される。禁錮・拘留は、刑事施設に拘置されるが、所定の作業を強制されることはない。ただし、請願により作業に従事することができる。

仮釈放制度
 仮釈放制度とは、自由刑に処せられた者を、一定の要件を満たした場合に、刑期途中で条件を付けて仮に釈放する刑事政策上の制度であり、画一的な拘禁によるデメリットを回避し、受刑者に希望をもたせるとともにその改善更生にも役立たせることを目的とするものである。
 自由刑に処せられた者に仮釈放の可能性がなかったならば、たとえば、刑期が10年の者の場合、過ちを悔いて真面目に服役した場合も、不真面目な態度で服役した場合も、画一的に10年拘禁されることなるが、そのような場合、自由刑の目的の一つである「改善更生を促す」ということが効果的に実現しがたくなるため、希望を持たせて改善更生に役立てるという、いわば「アメ」のようなものとして「刑期途中の条件付釈放」である「仮釈放」の制度が存在しているのである。
 仮釈放は、批判の多い制度ではあるが、その有用性は全面的には否定できず、実際、仮釈放の制度は近代国家にほぼ共通して存在しているものである。

自由刑の期間
 以下、自由刑の種類とその特徴について刑期という観点から概説していく。
 なお、「刑期」とは「刑そのものの性格」を示すものであり、「仮釈放制度」とは刑期途中において条件つきで釈放する刑事政策上の制度であって、両者は本来分けて説明されるべきものであり、混同されるべきものではなく、また実質論に終始して説明されるべきものでもないことに注意が必要である。つまり、「刑期(建前上の拘禁期間)」と「実際の拘禁期間」は、刑期終了による釈放(満期釈放)の場合でなければ一致しないのである。

無期の自由刑(無期刑)
 この刑罰それ自体は、「ずっと、永久に、いつまでも刑務所に入っていなさい」という性格の刑罰であり、あらゆる自由刑の中で最も重いものである。すなわち、刑の終期の無い、一生の期間にわたる自由刑を意味し、英語では、「life imprisonment」または「life sentence」との語が、仏語では「perpetuite」との語が充てられるものである。
 ただし、その無期刑の受刑者にも「仮釈放」の余地が認められている法制と、認められていない法制があり、わが国の現行法制では前者のみが採用されている。以下、無期の自由刑と仮釈放制度の関係について説明していく。

仮釈放のない無期刑(絶対的無期刑)
 これは、受刑者を死に至るまで仮釈放の可能性を認めず拘禁し続ける刑罰であり、自由刑の窮極である。
 死刑廃止議員連盟の法案(2008年の「重無期刑創設および死刑評決全員一致法案」、2003年の「重無期刑の創設および死刑制度調査会の設置等に関する法律案」)にある重無期懲役は、この絶対的無期刑である。
 いわば「本当の無期懲役」であり、巷間「終身刑」と言われているものは、この絶対的無期刑を指す。また、絶対的無期刑は、絶対的終身刑といわれることもある。
 絶対的無期刑(life imprisonment without parole)は、社会復帰の望みが全くなく、受刑者に絶望感を抱かせるため、受刑者を自暴自棄にしがちであり、処遇にも困難を伴うことなどから、問題点が多いともいわれている。一方、社会感情や特別予防の面からは、死刑に匹敵する効果を発揮できるため、導入を歓迎する者も多く、死刑を廃止すべきとの立場の者からも、死刑に代わるものとしてしばし導入が主張される。
 ただ、上記のような問題点があることから、この制度を採用している国は、米国、中国、オランダ、豪州(一部の州)など、比較的少数にとどまっており、この制度を採用している国においても、刑期短縮制度、再審査、恩赦などによる社会復帰の途を残している場合がある。

仮釈放の認められうる無期刑
 これは、無期刑であるが、一定の要件を満たした場合に仮釈放が認められるものである。
 建前的には、一生拘禁することを内容とするものであるが、その期間の途中での仮釈放が可能であるため、実質において、仮釈放条件期間(仮釈放を許すことが可能となるまでの期間)を下限とする上限なしの不定期刑的な要素を持ち備えている。
 わが国の現行法制における無期刑は、この、仮釈放の認められる無期刑(life imprisonment with parole)である。
 仮釈放の要件については、刑法28条が「懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の三分の一を、無期刑については十年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができる」と規定するとともに、「仮釈放、仮出場及び仮退院並びに保護観察等に関する規則」32条が「仮釈放は、次に掲げる事由を総合的に判断し、保護観察に付することが本人の改善更生のために相当であると認められるときに許すものとする。_悟の情が認められること、更生の意欲が認められること、再犯のおそれがないと認められること、ぜ匆颪隆蕎陲仮釈放を是認すると認められること」と規定し、また同規則31条は「仮釈放、仮出場及 び仮退院の決定に当たっては、本人の資質、生活歴、矯正施設内における生活状況、将来の生活計画、帰住後の環境等を総合的に考慮しなければならない」と規定している。仮釈放は、これらの要件が満たされた場合にはじめて適用されるというのが、規定上の建前であり、これらの要件が満たされない場合は、一生拘禁されることになる。
 わが国では、無期刑といえども、現行法制上、10年を経過すれば仮釈放されうることから、死刑との格差が指摘されることがあり、その格差を問題視する者も多い。一方、この10年という期間は、「仮釈放を許すことが可能となるまでの期間」であって、「処遇の結果、誰もが認める真の改善更生に至ったのであれば、その期間で仮釈放が検討されることもありうる」というように、希望を持たせるために幅を広く取っているにすぎず、近年における仮釈放制度の運用の実情に鑑みると、その一事をもって死刑との格差を強調するのは適切でないとする見解もある。
 下表は、各国における無期刑の仮釈放条件期間等について見たものである。

各国の無期刑の仮釈放条件期間
国名現地名称条件期間備考
ロシアПожизненное заключение25年 
ドイツLebenslange Freiheitsstrafe15年 
オーストリアLebenslangen Freiheitsstrafe15年 
フランスdetention criminelle a perpetuite
reclusion criminelle a perpetuite
18年ただし、裁判所は特別の
判決をもって条件期間を22年
まで延長することができる。
累犯者は22年。
特殊例外あり。
有期刑への減刑等も可能。
ポーランドKara dozywotniego pozbawienia wolnosci25年 
スウェーデンLivstids fängelsewithout paroleただし、運用上必ず恩赦
による有期刑への減刑
が行われる。
ルーマニアinchisoare corectionala pe viata20年 
イギリスlife sentence
(life imprisonment)
タリフに応じる犯時21歳以上の者による
極めて重大な謀殺の場合、
タリフ(最低服役期間)を終
生とすることができる
(ただし、犯時21歳未満の場合
のタリフの上限は30年)。
タリフを終生とする場合においても
25年後の再審査あり。
イタリアErgastolo26年 
カナダl' emprisonnement a perpetuite25年(第1級殺人)第2級殺人の場合は
10〜25年の範囲内で
裁判官が決定。
韓国表示不能(こちらを参照) 10年 
台湾無期徒刑25年 
中国无期徒刑without parole
(累犯及び暴力犯罪の場合)
10年
(その他の場合)
有期刑への減刑が可能。
(中国刑法78条)
日本無期懲役
無期禁錮
10年 
参照条文:ロシア刑法79条5項、ドイツ刑法57条a、オーストリア刑法46条5項、フランス刑法132-23条、ポーランド刑法78条3項、スウェーデン刑法26章6条、ルーマニア刑法55条1項、イギリス2003年量刑ガイドライン法附則21章等、イタリア刑法176条、カナダ刑法745条a号、韓国刑法72条1項、台湾刑法77条、中国刑法81条、日本刑法28条。

有期の自由刑(有期刑)
 これは、刑の終期の有る自由刑であり、いわば有限の刑であることから、その性格上、無期の自由刑とは質的に異なるものである。
 わが国における有期刑の期間は、原則として、下限1月、上限20年であり、刑を加重する場合および死刑・無期刑を減軽する場合には、その上限は30年に至ることができ、刑を減軽する場合には、その下限は7日に至ることができる。また、刑期途中における仮釈放も可能であり、刑期の3分の1を経過し、前記仮釈放規則所定の要件が満たされていることがその条件である。それら要件が満たされない場合は、満期に至るまで拘禁されることになる。なお、この3分の1という仮釈放条件期間については、死刑を求刑された事案において、無期刑を飛び越えて有期刑の判決が下されることが皆無であることなどから、批判されることは少ない。
 下表は、各国における有期刑の仮釈放条件期間について見たものである。

各国の有期刑の仮釈放条件期間
国名条件期間備考
ロシア3分の2
(刑期が10年以下の者)
4分の3
(刑期が10年を超える者)
 
オーストリア2分の1可罰的行為をするおそれがない限り3分の2で必要的に仮釈放
ドイツ3分の2通常より厳格な要件下で2分の1経過後の仮釈放が可能
フランス2分の1特別の判決をもって条件期間を3分の2へ延長可
累犯者の条件期間は3分の2
ルーマニア3分の1
(通常犯罪の場合)
2分の1
(重大な犯罪の場合)
3分の2
(特に重大な犯罪の場合)
 
ポーランド2分の1累犯者については累犯の種類により条件期間は3分の2または4分の3
25年の自由刑の場合の条件期間は15年
オランダ3分の2 
スウェーデン3分の2 
フィンランド2分の16分の5で必要的に仮釈放
カナダ3分の1または7年(短い方)一定の重大犯罪の場合は条件期間を2分の1又は10年(短い方)に延長可
可罰的行為をするおそれがない限り3分の2で必要的に仮釈放
台湾2分の1累犯者の条件期間は3分の2
特定の累犯は仮釈放なし
中国2分の1累犯者および暴力犯罪の場合は仮釈放なし
(ただし刑法78条所定の減刑は可能)
韓国3分の1 
日本3分の1 
参照条文:ロシア刑法79条3項、ドイツ刑法57条1項・同2項、オーストリア刑法46条1項・同2項、フランス刑法132-23条、ポーランド刑法78条1項・同2項、オランダ刑法15条、スウェーデン刑法26章6条、フィンランド行刑法2章13条、ルーマニア刑法59条、カナダ仮釈放法120条1項・127条3項、カナダ刑法743-6条1項、韓国刑法72条1項、台湾刑法77条、中国刑法81条、日本刑法28条。

極めて長期の有期自由刑
 大陸法系の国では、有期の自由刑について、上限(科刑制限)を設けている国が多く、有期刑の上限は、たとえば、ドイツでは15年、オーストリア・中国では20年、ポーランド・ポルトガル・韓国では25年、フランス・イタリア・ルーマニア・ベトナムでは30年、セルビアでは40年である。
 一方、英米法系の国やスペイン、中南米では、有期刑の上限を規定していない国があり、主として重大犯罪を複数回にわたって起こした場合、極めて長期の有期刑の宣告がなされることがある。ただし、それらをそのまま額面どおりに解するのは適当でない場合が多い。たとえば、カナダにおいては、有期刑の上限は無制限とされているが、有期刑に処せられた者については、「刑期の3分の1または7年(短い方)」の経過により仮釈放を許すことが可能であり(カナダ仮釈放法120条1項)、たとえば、21年の自由刑に処せられた場合も、35年の自由刑に処せられた場合も、7年を経過すれば、仮釈放を許すことが可能となる。またカナダでは、有期刑に処せられた者については、特定の重大犯罪を犯すおそれがない限り刑期の3分の2の時点における法定釈放が規定されている(カナダ仮釈放法127条3項)。英国は、有期刑の上限を無制限としているが、量刑ガイドラインにより、事実上、上限が設定されている。スペイン、ブラジル、メキシコなどでは、有期刑の上限を無制限としているが、収容上限(刑務所に収容できる期間の上限)を設けており、その期間は、スペインでは30年(ただし、テロによる場合は40年)、ブラジルでは30年、メキシコでは40年である。したがって、どれだけ長期の有期自由刑に処された場合においても、この期間を超えて収容されることはない。米国では、有期刑の上限は無制限であり、それとともに、有期刑に処せられた者に仮釈放の可能性を認めない法制を置いている州が存在する。その場合における極めて長期の有期自由刑は、事実上、絶対的無期刑と相違ない。仮釈放を認めている法制においては、極めて長期の有期自由刑は、その期間にもよるが、基本的に仮釈放の認められうる無期刑と相違ない。もっとも、米国においては、有期自由刑に処せられた者に対して、善時式の減刑制度(一定の要件が満たされた場合に刑期を短縮する制度)を置いている州もあり、その法制の下では、極めて長期の有期自由刑であっても、やはり無期自由刑とは質的に異なるものとみなければならない。すなわち、極めて長期の有期自由刑についても、_昭疂の有無、仮釈放条件期間、∨…蠎疂・収容上限等の有無によって、その実質的内容は異なってくることに注意が必要である。

不定期刑Indeterminate sentence
 これは、刑期を定めず、その執行状況に応じて刑期を満了させるものである。刑期不定の、不確定の期間にわたる自由刑である。
 刑期をまったく定めない絶対的不定期刑と、刑期の長期と短期を定めて言渡す相対的不定期刑とがある。前者は、刑罰の程度を法定する趣旨を没却することになるため、罪刑法定主義の派生原則として許されないものとされており、わが国では採用されていない。これに対して、一定の長期および短期を定めて言い渡す相対的不定期刑は、わが国では、少年法で採用されている。
 わが国の少年法52条は、その第1項が「少年に対して長期三年以上の有期の懲役又は禁錮をもつて処断すべきときは、その刑の範囲内において、長期と短期を定めてこれを言い渡す。但し、短期が五年を越える刑をもつて処断すべきときは、短期を五年に短縮する」と規定しているとともに、第2項が「前項の規定によつて言い渡すべき刑については、短期は五年、長期は十年を越えることはできない」と規定している。わが国において少年に不定期刑が採用されている趣旨は、少年は成人に比して改善更生の可能性が高いとされることから、刑期に幅を認め、処遇に弾力性を持たせるためである。
 少年法の不定期刑については、処断刑(法定刑に、科刑上一罪の処理、刑種選択、法律上の加重・減軽、酌量減軽の操作を経て得られたもの)の長期が3年以上である場合に適用され、その範囲内(ただし、処断刑の短期が5年を超える場合はこれを5年に短縮する)において長期と短期を定めて刑を宣告するが、短期は5年を超えることができず、長期は10年を超えることができない。したがって、「懲役5年以上10年以下」という刑が少年法の不定期刑における最高刑である。少年法の不定期刑の場合、短期の3分の1を経過すれば、仮釈放を許すことが可能となる(少年法58条1項3号)。また、不定期刑であるから、本釈放という形での出所も可能である。したがって、「懲役5年以上10年以下」の刑に処された者に対し、たとえば、5年後に刑期満了により出所させることも、2年後に仮釈放を許すことも、理論上可能である。
 ところで、仮釈放制度に着目すれば、すべての自由刑は、実質において、不定期刑的な要素を持ち備えているということができる。すなわち、仮釈放制度によって刑期途中で出所できうるという点に着目するとき、無期刑であれば、仮釈放条件期間を下限とする、上限なしの不定期刑的な要素を持ち、定期の有期刑は、仮釈放条件期間を下限とし、刑期を上限とする相対的不定期刑の要素を持ち備えているといえるのである。そのように考えるとき、たとえば、わが国においては、懲役20年の刑は実質において「懲役6年8ヶ月以上20年以下の不定期刑」であり、「懲役5年以上10年以下」の刑も実質において「懲役1年8ヶ月以上10年以下の不定期刑」である。受刑者の改善更生を促すための「アメ」を排除しない限り、すべての自由刑は、実質において不定期刑的な側面を持たざるをえないということもできる。絶対的無期刑を採用している国が比較的少数にとどまっているのも、このためであると考えることができる。
 下表は、各国の自由刑の状況(体系)について見たものである

各国の自由刑の状況
国名LWOPLife有期刑の上限特記事項
ロシア30年 
ドイツ15年 
オーストリア20年 
フランス30年 
ルーマニア30年 
ポーランド25年 
ベルギー30年 
スウェーデン18年LWOPは全て恩赦により減刑
セルビア40年 
キプロス20年 
ポルトガル25年 
ノルウェー21年 
オランダ30年 
スペイン無制限収容上限30年(テロは同40年)
イタリア30年 
英国無制限有期刑は量刑ガイドラインによる
事実上の上限あり
フィンランド  
ナミビア  
カナダ無制限有期刑は最大7年経過後
仮釈放可能
米国無制限州により法制異なる
チリ  
パナマ20年 
メキシコ無制限収容上限40年
ブラジル無制限収容上限30年
豪州 LWOPは一部の州
ニュージーランド  
トルコ LWOPはテロに限る
マレーシア  
キルギス30年 
韓国25年 
中国20年有期刑への減刑可(刑法77条)
澳門25年(例外的に30年) 
台湾30年 
日本30年 
出典:各国の刑法典および文献による
略語:LWOP=Life imprisonment without parole(絶対的無期刑)
    Life=Life imprisonment with parole(仮釈放の認められうる無期刑)


参考文献
藤本哲也「刑事政策概論 全訂第6版」青林書院,2008年
岩井宜子「刑事政策(第3版)」尚学社,2005年
本間一也他「LIVE刑事法(補訂版)」成文堂,2005年
森下忠「刑事政策大綱(新版第2版)」成文堂,1996年
森下忠「刑事政策の論点供彑文堂,1994年
田宮裕他「注釈少年法(改訂版)」有斐閣,2001年
「第47回人権擁護大会シンポ第3分科会基調報告書」日弁連,2004年
「刑法(全) 第3版補訂2版」有斐閣,2008年
「条解刑法 第2版」弘文堂,2007年
他多数

後注
準備中
参照
各国の刑法典
column
[諸外国の刑罰体系に関する誤解]
 まず前提として、無期刑と終身刑は、刑法用語の本来の定義、刑そのものの性格からすれば意味の違いはなく、いずれも「一生の期間にわたる自由刑」をいい、本来は仮釈放の有無によって区別されない。いずれも英語では「Life imprisonment」または「Life sentence」との語が充てられ(尾崎哲夫「法律英語用語辞典」、森下忠「刑事政策の論点供廖峽沙政策大綱」を参照)、「仮釈放のない無期刑(絶対的無期刑)」「仮釈放のない終身刑(絶対的終身刑)」は「Life imprisonment without parole(LWOP)」との語が充てられる。
 刑法用語の観点から、両者(無期刑と終身刑)の違いを強いて挙げるなら、原語の訳し方の違いに過ぎず、現地の刑名を日本語に「直訳」した場合には、アジア圏のそれは「無期懲役」という訳となることが多く、アジア圏以外のそれは「人生」や「生涯」に相当する語が用いられている場合が多いため、「終身刑」という訳となることが多いというだけのことにすぎない。例を挙げれば、イギリスの場合は「Life sentence」、ドイツの場合は「Lebenslange Freiheitsstrafe」、フランスの場合は「Reclusion criminelle a perpetuite」、ロシアの場合は「Пожизненное заключение」、中国の場合は「无期徒刑」である。
 しかしながら、わが国においては、巷間的に、刑法用語の本来の定義とは別の定義が多用されており、恩赦がない限り一生を必ず刑務所で過ごさなければならない刑が「終身刑」と呼称されるとともに、「仮釈放の可能性のある無期刑」のみが「無期刑」と呼称されて、両者は区別される場合が多い。また、それにもかかわらず、諸外国の「無期刑」が「仮釈放のない無期刑」ではなく「仮釈放の可能性のある無期刑」である場合であっても、「終身刑」と(特にマスコミなどから)日本語に「直訳」される場合が多いため、諸外国の刑罰体系に関する様々な誤解や混乱が蔓延している
が、前述のとおり、仮釈放の制度は、近代国家にほぼ共通して存在しているものであり、いわゆる終身刑(仮釈放のない無期刑;絶対的無期刑ないし重無期刑ともいう)は、アメリカ合衆国(一部の州を除く)、オーストラリアのヴィクトリア州、オランダ、中国などに存在する、世界的にもむしろ少数派の制度である。

[関連]
わが国の無期懲役