ふたりの時間2

 


 

夕暮れの千里山女子麻雀部の部室。

いつもの膝枕スタイルでリラックスしている二人がいた。

園城寺怜と清水谷竜華だ。

元々、怜の体調の悪い時に竜華がしてあげていた膝枕だったが、

近頃では体調など関係なく、膝枕が通常になっていた。

 

「あぁ、竜華とスケベな事したいなぁ。竜華犯したいわぁ」

ふと、思い出したように怜が呟いた。

怜のとんでもない発言に、関西人らしくすかさず竜華がツッコむ。

「人の膝の上で何怖い事言うとんねん」

「竜華、人の心勝手に読まんといてー」

「普通に口に出しとったわ」

「口になんて出さへんで。中で出したるわ」

「何をや」

「精液」

「出えへんやろ」

「せやな」

最近、二人の会話が色々と酷い。

下ネタが多くなり、恥じらいがなくなり、一言で言うなら下品になった。

もちろん二人きりの時に限った話だが。

そんな状況を竜華は若干憂いていた。

このままでは二人とも女としてアカンのではないか、と。

 

竜華が控えめに怜を嗜める。

「怜は最近下ネタが過ぎるわ。女子高生の会話とは思えへんで」

「仕方ないやん、好きなんやから」

「下ネタが好きな女子高生ってどうなん?」

「ちゃうで?ウチが好きなのは下ネタやなくて、竜華や」

「なんで私の事が好きやと下ネタが多くなんねん」

「好きな子にセクハラしたくなるのは仕方ない事やん」

「おっさんか」

「ウチ、どうやら前世はおっさんやったみたいやわ」

「そうなんや…。妙に納得出来るのはなんでなんやろな…」

こんな会話をしてても、二人は見紛う事なき女子高生であり、

さらに言えば一般的に見て二人ともかなりの美少女であり、

もっと言ってしまえば今年のインターハイの注目選手である。

とても世間にはお見せする事の出来ない真実の姿だった。

現実とは残酷なものである。

 

さらに酷い会話は続く。

「あぁ、おちんちん欲しいわぁ。竜華孕ませたいなぁ」

本当に酷かった。

「それええな。私、怜の赤ちゃん欲しいわ」

竜華も止めるどころか同調してしまっていた。

これでは酷さが加速するだけだった。

さらに怜が被せてくる。

「竜華を押さえつけて力ずくで無理矢理犯したいわぁ」

「…怜って実はドSなん?」

「そんな事あらへんで。ウチはSであり、Mでもあるで」

「じゃあ私が怜の事犯してもええんやな?」

「それもええなぁ。普段優しい竜華がベッドでは荒ぶる竜になるんやな」

「でも私、怜に乱暴な事はできひんわー」

「乱暴したらウチ死んでしまいそうやもんな。あはははは」

「いや、それ笑えんわ…」

「せやな…ウチ、ホンマに死んでしまいそうやもんな…」

二人で落ち込んだ。

 

気を取り直して竜華がツッコむ。

「ってか普通のでええやん!なんで無理矢理とかなん!?」

「竜華はアブノーマルなのは嫌いなん?」

「アブノーマルって例えば?」

「ん〜、例えば…×××に○○を△△△△△したり…」

「……?」

竜華の頭にクエスチョンマークが浮かぶ。

「他にも竜華を四つん這いにさせて@@@を入れたまま????に※※※したり…」

「え…え…?」

「後は両手を縛って目隠ししてから◎◎に×××を塗って※※※※を…」

「ちょ…怜、待って!」

さすがに竜華がストップをかけた。

これは酷すぎた。

というより竜華は怜の言葉の意味を理解出来ていなかった。

「竜華、どないしたん?」

「なんやそれ!?今、6つくらい聞いた事もない単語があったんやけど!?」

「え?竜華、意外と何も知らんのやな」

「ってか、怜はどこでそんなの覚えてくるん!?」

竜華の言葉に、怜は得意気に言う。

「ふっふっふっふ…だてに入院生活長くないで。本で仕入れた知識は豊富やでっ」

「怜…怖いわぁ〜。怜に任せてたらなんや色んなもん失ってしまいそうや…」

意外と耳年増な親友にショックを受けつつ、自分の身を案じる竜華。

そんな竜華に怜は逆に訊ねる。

「ところで竜華、×××って何?@@@ってどんなん?」

「自分で言うて意味分かっとらんのかい」

「そりゃあ本だけで得られる知識には限界があるもんやで」

「ちょっと安心したわ…」

竜華は本気で胸を撫で下ろす。

怜は竜華の太ももを優しく撫でつつ呟く。

「ウチは、こうして竜華に膝枕してもらってるだけで幸せやで…」

「私もや」

「こんな風に膝枕して…」

「うん」

「おっぱい触って」

「…うん」

「パンツ見たり、匂い嗅いだり」

「うん?」

「脱ぎたてのパンツを持ち帰ったり…」

「ちょっ…今何言うた?怜、そんな事してるん?」

竜華のツッコミに、怜はちょっとだけ「しまった」という顔をしたあと、

すぐに普段通りの顔に戻り、言い放った。

「竜華……、今のは、全部嘘やで!」

「嘘ちゃうやろ!」

真偽はともかく、竜華としては聞き捨てのならない話だった。

だが怜はその追求を華麗に躱す。

「そういえばな、今思いついたんやけど」

「え……う、うん…?」

「今度、竜華のオナニー見てみたいなぁ、って」

最低な発言だった。

それまでの発言を全て書き換えるほどの最低さ。

竜華は当然全力で拒否する。

「そんなんあかんに決まってるやろ!」

「え……あ、あかんの…?なんで…?」

「なんでそんな意外そうな反応なん!?当然やろ!」

「竜華…あかんのぉ…?(うるうる)」

上目使いで怜が"お願い"する。

だがそれは竜華には通用しなかった。

もうその攻撃には慣れてしまっていた。

「怜!そういう可愛い顔でお願いしたらなんでも言う事聞くと思ったら大間違いやで!」

「えー、でもこの前おっぱい見せてくれたやん」

「あ、あれは……と、とにかくもうせえへんのっ」

「そっか…残念…。じゃあセーラに見せてもらうわ…」

「いや、セーラはそんな事せえへんやろ」

「でもお願いするだけしてみるわ。万が一って事もあるかもしれへん」

「もしOKしてくれたら私もちょっと見たいわ」

「じゃあちょっとお願いしてみるわ(めるめるめるめる)。送信、っと」

そんなメールを受け取ったセーラも困惑するだろう。

というか怜の女の子へのセクハラが酷い。

最近では竜華のみならず、セーラや浩子へのセクハラも行っていた。

証拠が残ってしまうメールでのセクハラは、訴訟の際に不利になるだろう。

 

メールを送り終えた怜が竜華に聞く。

「でも、セーラってオナニーとかするんやろか?」

「ん〜せえへんやろうなぁ。想像つかんわ」

「でもセーラ、乙女モードの時めっちゃかわええやんな?」

「うん、可愛い。ずっとあの格好でいたらええのに」

「あの恥ずかしがってる表情がむっちゃたまらんわ。ハァハァ」

「おっさんか」

「ウチな、前世はおっさんだったのかもしれへん」

「さっき聞いたわ」

その時、怜の携帯が鳴った。

「お、セーラから返信きたで」

「なんて?」

「『オナニーってなに?』やて」

「純情やなぁ」

「ホンマかわええわー」

「………いや、私達が汚れてるだけかもしれへんな」

「せやな…」

二人で落ち込んだ。

 

「船Qに聞くとええで、って返しとくわ(めるめるめるめる)」

「鬼か」

「船Q物知りやからちゃんと教えてくれるやろ」

「怒るやろ」

すぐに携帯が鳴った。

「はやっ、返ってきた。『怒られた』やて」

「そりゃ怒るやろうなぁ」

「じゃあ次は泉や!(めるめるめるめる)」

「泉は恥ずかしがりそうやなぁ」

「お、返ってきたで。『顔真っ赤にして逃げてしもうた』やて」

「かわええわ〜」

「純情やな〜。ってか、ウチら、終わってんな…」

「せやな……」

また二人して落ち込んでしまった。

 

その後も二人の最低な会話は続く。

明日も明後日も明々後日も。

まさか千里山の先鋒と大将がこんな会話をしてると知れたら、

麻雀界にさぞ衝撃が走るだろう。

だが、当の二人が楽しんでいるのだから何の問題もない。

 


 

トップへ  SS一覧へ