
学生フォーミュラの真の目標は学生の育成です.
せっかくですので調べたことは公開し,情報を共有しませんか?
音色というと特定の周波数が強調された音です.生理的にいい音色は倍音成分を含んだ音だったりします.音質のチューニングをするほど僕らに余裕はないでしょう.
加振に対する対策が必要なので強度設計よりも剛性設計が支配的だと思われる.
振動放射音対策により動剛性が決定される.静剛性と強度は車両の加減速・コーナリングで発生する慣性力(体積力)より求められる.
もしも触媒を搭載するのならば,最適動作温度内に置きたいので重要である.その対策としては
等がある.3番目の方法は独立マニフォールドとトレードオフになる.
また,1次の共鳴加給効果が非現実的な高回転にシフトする.ただし,2次や3次なら少々期待できる.競技用車両だと採用は難しい.
200℃下げるとエキゾーストノイズは5〜6dB低減されるので出来るだけ排気温度は下げたい方法としては肉厚パイプの採用等がある
やはり,耐熱合金を使用したくなければエキマニの冷却を考慮する必要があるだろう.
実用的にはステンレスで十分,金があればチタンがいいだろう.エキマニの出口付近のみならばインコネルも有効だが誰が加工するんだよ.というかそんな冒険できない.
集合管はバイクチューニングの神POPヨシムラが何の気なしに開発したことであまりにも有名である.
これら全ての用件を兼ね備えたエキマニを通称「タコ足」という。
マフラー【muffler】
排気系からの騒音は以下の2種に大別できる
脈動圧力波の周波数は一秒間あたりのエンジンの爆発回数であり,エンジン回転数[rpm]×気等数÷60となる.
中高周波成分
音圧により細い繊維などを振動させて熱エネルギーに変換する。
吸音材としてはグラスウール,ロービングウール,バサルトウール等がある.
100Hz以下の低周波をピンポイントで.
行き止まりの共鳴室(レゾネーター)をマフラー内に設け,排気パイプを接続し,パイプ出口と共鳴室の間を音波が行き来させながら,そのエネルギーを摩擦抵抗によって減衰し,熱エネルギーに変換する.
全域で効果絶大
排気管断面積の急激な拡大により排ガスを膨張・回折・分散し,マフラー隔壁にぶつけて乱反射させ,減衰させる.
チューニング次第でどのような周波数もピンポイントで対応可能
排ガス流路を二股に分岐させ,流路差を与えて再度合流させる.流路差によって生じる位相差を利用して互いの騒音を干渉,消音させる.排気系の取り回しを考えると現実的ではないし,ピンポイントでしか効かない.
排気音をマイクで拾って音圧と位相を測定しアクティブスピーカーにより同音圧逆相違音波を発生.それを排気ガスにぶつけて干渉させる.
スピーカーの動特性により,対応できる周波数に限界がある.現在の技術では500Hz程度だといわれている.
スピーカーのエンクロージャーボックスと同じく,チャンバーに対向する平行平面があると定常波が発生するので良くない.究極の理想は球体だがパッケージングと生産性を考えるとあまりに非現実的.せめて楕円形なんてどうだろう.直方体のマフラーなんて動剛性的にも最悪である.
マフラー膨張室において仕切り板に凹凸をつけて消音させることも出来る。
エキパイの曲率がきついところは断面積をそのままか,ちょっと広げた楕円断面にすることで,内部の進行方向に対して直角方向にできる立て渦を低減して損失を減らすことができるのだが,輪切りマフラーかハイドロフォーミングが必要となり現実的ではない.
同じ効果をマフラー内部に板を立てることで発揮することができるが,板の存在による損失増加と立て渦減少による損失現象のどちらが支配的になるのか,実験しないと分からない.たぶん,板にまとわりつく境界層排除厚さ分を補うだけの断面積増加が必要だ.やはり,難しい.
現在のところ弁を使用した可変マフラーには下記に挙げるとおりの3種類があるようだ.弁にはバタフライバルブなどを使用し,エンジン回転数やアクセル開度の関数としてオープンループ制御すればよい.
1はバイクではよくやる手法である.スズキが得意だ.
2は車でよく採用される.例えばタイコ内のパイプ入り口に排圧で作動する弁を設け,低速では拡張室として使っている部屋を高速では膨張室に利用することで,低速での低周波騒音と高速での中高周波騒音を,中高速域での排圧損失を最小にしながら両立させるメカニズムがある.
3の例としてはヤマハのEXUPなどがそうだ.
乗用車では排気パイプにはSUS409(Fe-11%Crのフェライト系)が加工性と応力腐食割れが起きにくいため使用される,が,formulaにはどうでもいい.乗用車マフラーというか正確にはサイレンサー(タイコ)にはSUS430系も使用される.
耐食性と強度に優れるのでマフラーの構造材としては大変優れた素材である.500℃以上では強度低下.600℃以上では酸化が進むため,エキマニ直下の放熱対策はある程度必要となる.加工性と経済性は悪い.βチタン以外は何でも良さそうだ.
純チタンは純度が高い方いと性能がいいかも.必要にして十分な機械的性質を持っている.
もしチタンマフラーをつくりたいなら妥当な材料だ.
αチタンは純チタンより耐食性に優れる.まあレーシングカーにはどうでもいいことだ.
また,高温強度やクリープ特性にも優れるため,エキパイにうってつけである.
α+βチタンは時効熱処理による析出硬化合金である.純チタンやαチタンよりも強度,靭性が高く,加工性にも優れる最強のチタン合金である.溶接性も良いため,これまたエキパイにはうってつけである.しかし少々オーバースペックのきらいがある.余力があれば挑戦したい.
βチタンは焼き入れや析出硬化により最も高い強度を誇るが,焼き入れ時の冷却速度を間違えるとぜい化が起こるらしいが,エンジンぶん回して水溜りに突っ込んだらいったいどうなるだろう?
高温強度や対酸化性はそれほど良くないのでマフラーにする意義は特にない.
どちらにせよα+β型とβ型は温度変化の激しい排気バルブ直下だと熱処理も台無しになるかもね.
インコネルを代表とするニッケルベースの各種耐熱合金は比重が重いので扱い難い.比強度,比剛性が悪い訳ではないので上手に設計製作すれば軽く作れるが,そんな薄肉パイプを入手できるかどうか.あと色々謎が多くてなんとも.
僕らにとっては色々な意味でオーバースペックである.
ステンレスは必要にして十分な機械的性質を持つ.これで十分である.しかし,多少重くなるかもしれない.耐熱鋼も同じく.
一昔前の乗用車用エキゾーストマニフォールドは大半がこれだが,どうしても肉厚を落とせないので重すぎる.型を起こすのも面倒くさいし,競技用自動車に使う理由は何一つ無い.
出力と音響特性の高度な両立,ひいては環境性能と動力性能の妥協無き追求を目指すのが我がチームの最終目標であるため,その方向性は量産乗用車に酷似していると考えられる.
ただ,軽量化に対する要請は量産車の比ではないし,生産手法が全く異なるため,その構造と材質は全く異なるものになることが予想される.
静音設計と低排圧は相反する用件だが,拡張消音の使用を控える事である程度は達成できると考えられる.戦略としては高周波領域を吸音により,低周波域は共鳴によって消音すればよいと思われる.
排気システムの可変装置の有効性はかなり高い,と思うよ俺は.ヤマハ発動機のEXUPのような可変排圧機構もコンパクトで効果が高い.何らかの可変機構はプレゼンテーションでのポイント稼ぎに多少有効かもしれない.
メカニカル干渉消音は重く,かさばるので競技車両に搭載するにはかなりの工夫が必要とされるだろう.排気温度を抑えるには熱交換器を付けるか,パイプの肉厚を増やす必要があるが,重量の増加は免れないだろう.
エキゾーストマニフォールドの設計スペックはエンジン排気バルブから集合部までの音響長さとパイプ径,集合部形状,集合方法などがある.また,触媒の有無によりその形状は変化するだろう.
パイプ径と音響長さはエンジンが狙うトルクバンドによって決定される.
これは吸気管での共鳴加給効果/慣性加給効果と同じ関係であり,共鳴加給(吸出し)効果のピーク回転数はエキマニの長さを,慣性加給(吸出し)効果の発生回転数はエキマニ直径を決定する.
排気バルブより吐出された圧力波が集合部に到達する時間を各気筒等しく合わせた排気系を等長エキゾーストマニフォールドという.等長とは実際の長さではなく,音響長さのことである.
集合部を自由端として反射された圧力波は,再び排気バルブ付近へ戻ってくる.そして次の排気サイクル時に排気バルブ近傍に到達した圧力波が負圧波であれば,排気ガスは強制的に吸いだされる.これを脈動(共鳴)加給(吸出し)効果という.音響管長が長ければ到達まで時間がかかるため,低回転域で,短ければ高回転域でその効果を発揮する.また,セッティング次第では高回転域で一往復目(1次),低回転領域で2往復目の圧力波にて慣性加給を行う事もできる.これは4-1集合で顕著に現れるのだが,中速域にトルクの谷ができるため,ドライバビリティーに難がある.対して4-2-1集合にすると自由端となる集合部が2箇所できるため,圧力波は2回到達することになる.その圧力波同士で干渉するためか,脈動加給のピークはハッキリと出ない上にピークも若干落ちるが,中速でのトルクの谷もなくなる.また,爆発間隔が離れた気筒同士を4-2でまとめることによる気筒間干渉低減によりピークパワーの落ち込みはある程度回復させることもできる.
つまり,ピークパワーなら4-1集合が,ドライバビリティーは4-2-1集合が良いことになる.
吸排気管における慣性加給効果とは平たく言えば水力学における水撃作用であり,その効果は流速の一乗のオーダーである.
作動ガスの慣性力によって発生する圧力は適切に設計すれば吸気をシリンダーに押し込んだり,排気をシリンダーから吸いだしたりすることが可能となります.
しかし,ただ単に流速を上げればいいという単純な話ではなく,バルブタイミング,特にオーバーラップと協調したセッティングを必要とします.
流速を上げるには管径を絞ればいいのだが,際限なく絞ろうものなら,ふん詰まりになって流量が裁けないことうけあい.
吸気系の話だがエンジンチューニングの本でポートは広げれば広げるほど良いって書いてある奴がまれにあるけどそれは嘘です.騙されちゃあいけません.実際には流量と流速を両立させなきゃいかんのです.目指すは狙った最大トルク発生回転数で吸気流速をどれだけ音速近くに持っていけるかだ.
というか,むしろ目標最高出力から混合気の必要流量を計算して,その流量を達成できる範囲内で極限までポート系は絞るべきなのだ!
あと,ポート壁面の平滑度と流量の関係はそのうち調べてUPりますね.
最大トルク発生回転数,つまりトルクバンドでシリンダーへの混合気の充填率を最大とするような管径は,管径の細さで獲得した流速による水撃作用の圧力と管径の太さから与えられる流量により決定される.
つまり管径を太くすれば最大充填率を得られる回転数が高回転へシフトし,管径を絞れば低回転へシフトするのです.
ちなみに二輪でのREVやHYPER-VTEC,4輪でのVTEC-E,3stageVTECなど,ホンダが得意とするバルブ休止機構は可変吸気管断面機構であり,慣性加給を全回転数領域で使用するための機構だと言えます.その点はBMWのバルブトロニックやいわゆる普通のVTECに代表される可変バルブストロークとは少々趣が異なるのです.
要約すれば,パワーバンドを低回転にシフトするには太くて短い吸排気管を,パワーバンドを高回転にシフトするには細長い吸排気管にすればよい事が分かります.
Formula-SAEでは吸気を20mmのリストリクターで絞るため,必然的にトルクバンドを低回転にシフトする必要があります.そのため,吸排気管を最適化すればノーマルと比べ,より細長い形状になると予想されます.ドライバビリティーはもちろんのこと,高出力化のためにもこれは必然です.
我らののマシンはクリーンさも売りにしたいので是が非にでも触媒を搭載したいものですが,触媒の温度コントロール,特に始動時のエミッションコントロールのためにエキマニにグラスウールなどの断熱材を巻きつける必要があるかもしれません.そうなるとエキマニの音響長さが実質的に短くなるため,より長いエキマニが必要となり,重量と取り回しの面では不利になるかもしれません.
他方,エンジンの排気音は低く抑える必要があるのでテールエンドでの排気温度は極力下げる必要があります.そのためにはアルミなどの熱拡散率の高い素材を使用する必要があります.排気システムの最下流に位置するサイレンサーはエキゾーストパイプほど耐熱性が要求されない部位であり,前例もありますので,アルミサイレンサーは現実的です.
管の肉厚を適度に厚くすると放熱性は良くなりますが,重量との兼ね合いを考えると得策ではありません.
バルブタイミングに手を付けずにECUのセッティングのみでパワーバンドをシフトするとなると,オーバーラップが大きすぎると思いますのでトルクを確保するにはある程度の排圧が必要となるかもしれません.そうなれば拡張消音なども効果的に利用できますのでかなりの低騒音を実現できる可能性があります.
静音性を考えるにあたって,排気系の次に問題となるのは車体の風切り音とドライブチェーンです.音にこだわるならばサイレントチェーンやコッグド・ベルトの採用も視野に入れる必要があります.また,チェーンの騒音は高周波を多く含むため,フルカバードにするだけでかなりの騒音低減が見込めます.選択肢としては普通のチェーンをフルカバーするか,サイレントチェーンです.そのどちらかをトータルでの重量とコストを考えて採用する事になると考えられます.
超・クルマはかくしてつくられる 福野礼一郎 二玄社