3次元球面の回転によるスピン1/2の二価性と角運動量の導出
2016/07/10
公開日 2013/05/19
K. Sugiyama[1]
本論文では、通常の三次元空間以外の余剰四次元空間に存在する余剰三次元球面の回転で、スピン1/2の二価性と角運動量を導出する。
図 3‑8: スピン1/2の粒子の波動関数
スピンの二価性を次のように導出する。
通常三次元空間(x, y, z)以外の余剰四次元空間(W,X,Y,Z)に存在する三次元球面S3を導入する。その三次元球面S3の回転角度を波動関数の位相と解釈する。この三次元球面S3の表面積を波動関数の絶対値と解釈する。
三次元球面は2個の円の半径の平方和が一定の多様体で表現できる。一方の円の半径が最大となった時、他方の円の半径は0となる。このため、円を自然に裏返すことができる。裏返した円を元の円と結合すれば、多様体は節を持つトーラスとなる。このトーラスの節を360度回転させると、トーラスの表と裏が入れ替わる。このトーラスの節を720度回転すると、トーラスは元の状態に戻る。この性質はスピンの性質と一致する。
スピンの角運動量を次のように導出する。
三次元球面S3の一点を取り、三次元球体とする。また通常の三次元空間(x, y, z)の一点を取ると二次元球面状の境界ができる。それらの境界を結合する。これを繰り返すと、三次元の螺旋空間を構成できる。
三次元球面S3の回転角度は三次元の螺旋空間内の回転角度である。一方、三次元の螺旋空間内の回転角度は、通常の三次元空間の座標(x, y, z)と解釈できる。従って、三次元球面S3の角運動量は、通常空間内の角運動量と解釈できる。
目次
カルツァ=クライン理論では、重力と電磁気力を統一するために、余剰次元空間にある一次元球面を導入した。本論文では、スピン1/2の二価性と角運動量を導出するために、余剰次元空間にある三次元球面を導入する。
多くの研究者が、重力の量子化を試みてきたが、成功には至っていない。この重力の量子化は物理学の重要な課題となっている。
重力を量子化する方法の一つは、点粒子を一次元多様体である弦と解釈する方法だった。従って、スピンの波動関数を多様体と解釈することは、重力の量子化に有効であると推測できる。
ジョージ・ウーレンベックとサミュエル・ゴーズミットは、1925年に電子のスピン(自転)を発見した。ヴォルフガング・パウリは、1927年にパウリ行列でスピンを定式化した。ポール・ディラックは、1928年にディラック方程式でスピンを導出した。
アルベルト・アインシュタインは、1916年に四次元リーマン多様体で一般相対性理論を構成した。テオドール・カルツァ[2]とオスカル・クライン[3]は、1926年に一次元の円で、カルツァ=クライン理論を構成した。
三次元球面の一点を取り、三次元球体とする。一方、通常の三次元空間の一点を取ると二次元球面状の境界ができる。それらの境界を結合する。これを繰り返すと、三次元の螺旋空間を構成できる。
三次元球面の回転角度は三次元の螺旋空間内の回転角度である。一方、三次元の螺旋空間内の回転角度は、通常の三次元空間の座標と解釈できる。従って、三次元球面の角運動量は、通常空間内の角運動量と解釈できる。
パウリはスピンを表現するため、1927年に次のパウリ行列を定義した。
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(2.1) |
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(2.2) |
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(2.3) |
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(2.4) |
積は次のとおり。
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(2.5) |
ここで、次の行列を定義する。
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(2.6) |
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(2.7) |
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(2.8) |
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(2.9) |
積は次のとおり。
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(2.10) |
これは次の四元数の行列表現である。
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(2.11) |
四元数は、ウィリアム・ローワン・ハミルトンが1843年に発見した。
ラウチ[4]とウェルナー[5]が1975年に中性子干渉法による実験でスピンの二価性を検証した。本節では、スピンの二価性を確認する。
z軸周りで回転している粒子の波動関数はパウリ行列で次のように表現できる。
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(2.12) |
回転角度θを360度回転すると、位相は同じ状態に戻らず、反対の位相の状態となる。回転角度θを720度回転すると、元の状態に戻る。
図 2‑1: スピンの二価性を検証する実験
中性子を経路 L と経路 R に分割する。経路
L の中性子は磁場のない領域を通る。経路
Rの中性子は磁場のある領域を通る。その結果、磁場は経路
R を通る中性子の位相を変化させる。位相の変化量
は次のとおり。
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(2.13) |
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(2.14) |
ここで、変数 ω は中性子のスピンの歳差運動の角振動数である。変数 T は中性子が磁場を通過する時間である。変数 gn は中性子のg因子である。定数 e は素電荷である。変数Bは磁場の強さである。変数 m は中性子の質量である。
経路 L と経路 R を通った中性子は位置 I で合流する。中性子は位置 E または位置 F で観測できる。
位置 E または位置 F では波動関数の重ね合わせが発生するため、位相変化を観測できる。実験の結果、この位相変化が実際に観測された。
この実験によりスピンが二価性を持つことが明らかとなった。
アインシュタインとドハース[6]は1915年に、次のような実験で、スピンの角運動量を検証した。
図 2‑2: スピンの角運動量を検証する実験
実験は次のように行われた。
磁性体の円盤に磁場をかける。そして、円盤を静止状態にする。その後、磁場をとめる。すると円盤は回り始める。この効果はアインシュタイン=ドハース効果と呼ばれている。この実験によって、スピンが角運動量を持つことが明らかとなった。
点粒子の回転半径は零のため、点粒子は回転できない。回転半径、零で有限の角運動量を得るには、無限大の運動量が必要となる。
角運動量 L は半径 r と運動量 p で次のように表現できる。演算子 × は外積である。
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(3.1) |
角運動量 L が有限で、半径 r が零ならば、運動量 p は無限大となる。
一方、二次元球面の回転ではスピンの二価性を導出できない。そこで、三次元球面の回転を考察する。
三次元球面 S3 は、次の図の2個の三次元球体 B3 の表面を張り合わせることで表現できる。
図 3‑1: 三次元球面
次の図に示すように、三次元球面には、 R1, R2, R3, R4, R5, R6 の6種類の自転がある。
図 3‑2: 三次元球面の回転
自転 R1, R2, R3 の考察は困難でない。しかし、自転 R4, R5, R6 の考察は困難である。
三次元球面は四次元空間に存在するため、考察困難である。そこで、三次元球面の2枚の断面図を同時に見ることで、三次元球面の考察を試みる。
このように2枚の断面図を同時に見る手法を同時断面法と呼ぶこととする。
最初に、二次元球面に同時断面法を適用する。なぜなら、二次元球面は三次元球面よりも考察が容易なためである。
座標(X, Y, Z) で指定される余剰三次元空間に二次元球面S2があると仮定する。二次元球面の半径を1とすると、二次元球面は次の式を満たす。
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(3.2) |
この球面は、X-Y 平面の断面図と、Z軸上の位置で表現できる。
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(3.3) |
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(3.4) |
ここで、角度θは次の式を満たす。
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(3.5) |
同時断面法を適用した二次元球面を次の図に示す。
図 3‑3: 二次元球面の同時断面図
角度θでのX-Y 平面の円の半径と位置Zを次の表に示す。
表 3-1: 角度θでのX-Y平面の円の半径と位置Z
角度θ |
X-Y平面の円の半径 |
位置Z |
0° |
0 |
-1 |
90° |
1 |
0 |
180° |
0 |
1 |
このように、X-Y平面の円の半径と位置Zを同時に観察することにより、二次元球面の構造を考察できる。
次に同時断面法を三次元球面に適用する。
座標(W,X,Y,Z)で指定される余剰四次元空間に三次元球面S3があると仮定する。球面の半径を1とすると、三次元球面は次の式を満たす。
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(3.6) |
この球面について、X-Y-Z空間の断面図と、W軸上の位置で表現する。
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(3.7) |
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(3.8) |
同時断面法を適用した三次元球面を次の図に示す。
図 3‑4: 三次元球面の同時断面図
角度θでのX-Y-Z空間の球面の半径と位置Zを次の表に示す。
表 3-2: 角度θでのX-Y-Z空間の球面の半径と位置Z
角度θ |
X-Y-Z空間の球面の半径 |
位置Z |
0° |
0 |
-1 |
90° |
1 |
0 |
180° |
0 |
1 |
本節では、三次元球面を二次元球面と軸上の位置に分けた。しかし、三次元球面を別の方法で分けることもできる。その方法を次節で考察する。
座標 (W,X,Y,Z) で指定される余剰四次元空間に三次元球面S3があると仮定する。球面の半径を1とすると、三次元球面は次の式を満たす。
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(3.9) |
この球面について、W-X平面の断面図と、Y-Z平面の断面図で表現する。
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(3.10) |
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(3.11) |
これはハインツ・ホップが1931年に発見したホップ・ファイブレーションである。
同時断面法を適用した三次元球面を次の図に示す。
図 3‑5: 三次元球面の同時断面図 (別の方法)
角度θでのW-X平面の円の半径とY-Z平面の円の半径を次の表に示す。
表 3-3: 角度θでのW-X平面の円の半径とY-Z平面の円の半径
角度θ |
W-X平面の円の半径 |
Y-Z平面の円の半径 |
0° |
0 |
1 |
90° |
1 |
0 |
180° |
0 |
1 |
ここで、角度θ = 0° のW-X平面の円と、角度θ = 180° のW-X平面の円を接続できる。なぜならそれらは同じ半径0を持つからである。さらに、角度θ = 0° のY-Z平面の円と、角度θ = 180° のY-Z平面の円も接続できる。なぜならそれらは同じ半径1を持つからである。
したがって、角度θは多様体の回転角度と解釈できる。
この回転は、円を裏返す。たとえば、Y-Z平面の円は回転角度θ = 180°で裏返る。そのため、この回転は、通常の自転とは異なる奇妙な自転である。
この奇妙なスピンを「円環自転(円転)」と呼ぶこととする。また通常の自転を「球面自転(球転)」と呼ぶこととする。
ここで、三次元球面を次のように表現する。
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(3.12) |
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(3.13) |
この三次元球面は、同時断面法により、次の図で表現できる。
図 3‑6: スピン1の粒子の波動関数(W-X-θ)
図 3‑7: スピン1の粒子の波動関数(Y-Z-θ)
上記の円環はスピン1の粒子の波動関数と解釈できる。複素関数で次のように表現できる。
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(3.14) |
次に、三次元球面を次のように表現する。
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(3.15) |
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(3.16) |
この三次元球面は、同時断面法により、次の図で表現できる。
図 3‑8: スピン1/2の粒子の波動関数(W-X-θ)
図 3‑9: スピン1/2の粒子の波動関数(Y-Z-θ)
上記の円環はスピン1/2の粒子の波動関数と解釈できる。複素関数で次のように表現できる。
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(3.17) |
ここで、三次元球面を次のように表現する。
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(3.18) |
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(3.19) |
変数nは整数である。偶数nの円環を偶円環と呼ぶこととする。また、奇数nの円環を奇円環と呼ぶこととする。
本論文で、スピンを三次元球面の回転と解釈した。なぜ、三次元球面の回転が、通常の三次元空間の角運動量と同じ角運動量を持つのだろうか?
本節では、三次元球面が通常の三次元空間とつながっている可能性を考察する。
一次元の螺旋空間は次のように構成できる。
図 3‑10: 一次元螺旋空間の構成
図の各ステップでの変換を次の表で説明する。
表 3-4: 一次元螺旋空間の構成
Step |
構成方法 |
1 |
円の一点を除くと、円弧となる。 一方、線分の一点を除くと、二点の端ができる。 |
2 |
それらの端を結合する。 |
3 |
これを繰り返すと、多くの円を連結できる。 |
4 |
円の向きを変えると、一次元螺旋空間を構成できる。 |
一次元の螺旋空間は複素数の行列表現で次のように表現できる。
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(3.20) |
変数 W,X は余剰空間の座標である。変数 R は余剰空間の半径である。変数 Θ は余剰空間内の角度である。
記号 {E, I} は複素数の行列表現である。
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(3.21) |
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(3.22) |
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(3.23) |
通常空間の座標 x は波長 λ で次のように表現できる。
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(3.24) |
図 3‑11: 一次元螺旋空間
さらに、両端を結合すれば、一次元螺旋円を構成できる。
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(3.25) |
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(3.26) |
ここで、 n は整数である。変数Θは、螺旋円の大円の回転角である。変数 rは、螺旋円の大円の半径である。変数 Rは、螺旋円の小円の半径である。変数 {W, X} は余剰空間の座標である。変数 x は通常空間の座標である。
複素数の行列表現 {E, I} と複素数 {1, i} は交換する。
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(3.27) |
この一次元螺旋円は、次の図で表現できる。
図 3‑12: 一次元螺旋円
これと同じことを二次元でも実施できるだろうか?それを次の節で考察する。
二次元の螺旋空間は次のように構成できる。
図 3-13: 二次元螺旋空間
図の各ステップでの変換を次の表で説明する。
表 3-5: 二次元螺旋空間の構成
Step |
構成方法 |
1 |
二次元球面の一点を取り、二次元円盤とする。 一方、二次元空間の一点を取ると一次元円状の端ができる。 |
2 |
それらの端を結合する。 |
3 |
これを繰り返すと、多くの二次元球面を連結できる。 |
4 |
二次元球面の向きを変えると、二次元螺旋空間を構成できる。 |
二次元の螺旋空間は三角関数で表現できない。また、二次元の螺旋空間は複素数で表現できない。そのため、二次元の螺旋空間は存在しないと推測する。しかし、三次元の螺旋空間は存在する可能性がある。それを次の節で考察する。
三次元の螺旋空間は次のように構成できる。
図 3‑14: 三次元螺旋空間
図の各ステップでの変換を次の表で説明する。
表 3-6: 三次元螺旋空間の構成
Step |
構成方法 |
1 |
三次元球面の一点を取り、三次元球体とする。 一方、三次元空間の一点を取ると二次元球面状の端ができる。 |
2 |
それらの端を結合する。 |
3 |
これを繰り返すと、多くの三次元球面を連結できる。 |
4 |
三次元球面の向きを変えると、三次元螺旋空間を構成できる。 |
三次元の螺旋空間は四元数の行列表現{E, I, J, K} で次のように表現できる。
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(3.28) |
変数 {W, X, Y, Z } は余剰空間の座標である。{Θ1, Θ2, Θ3} は余剰空間内の角度である。Rは余剰空間の半径である。
四元数の行列表現{E, I, J, K}は次の通り。
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(3.29) |
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(3.30) |
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(3.31) |
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(3.32) |
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(3.33) |
通常空間の座標 (x, y, z) は波長 {λ1, λ2, λ3} で次のように表現できる。
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(3.34) |
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(3.35) |
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(3.36) |
図 3-15: 三次元螺旋空間
さらに、両端を結合すれば、三次元螺旋球面を構成できる。
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(3.37) |
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(3.38) |
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(3.39) |
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(3.40) |
ここで、{n1, n2, n3} は整数である。{Θ1, Θ2, Θ3} は、螺旋円の大円の回転角である。変数rは、螺旋円の大円の半径である。変数Rは、螺旋円の小円の半径である。変数 {x, y, z} は通常空間の座標である。
四元数の行列表現 {E, I, J, K}と四元数 {1, i, j, k}は交換する。
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(3.41) |
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(3.42) |
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(3.43) |
この三次元螺旋球面は、象徴的に、次の図で表現できる。
図 3-16: 三次元螺旋球面
一次元螺旋空間には複素数が対応した。一方、三次元螺旋空間には四元数が対応した。三元数が存在しないため、二次元螺旋空間は存在しないと推測する。
三次元螺旋空間内の位置は通常の三次元空間内の座標と解釈できる。従って、三次元球面の角運動量は、通常の三次元空間内の角運動量と解釈できる。別の言葉で言えば、量子力学のスピンは粒子の回転と解釈できる。
本論文で、スピンの次の性質を導出した。
(1) スピンの二価性
(2) スピンの角運動量
今後の課題は次のとおり。
(1) ディラック方程式の導出
本論文は、三次元空間の波動関数として三次元球面を導入した。
その三次元球面を四元数関数で次のように表現する。
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(6.1) |
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(6.2) |
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(6.3) |
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(6.4) |
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(6.5) |
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(6.6) |
これはホップ・ファイブレーションである。
角度 θ に対する座標 (W, X ) を次の図に示す。
図 6-1: スピン1の粒子の波動関数
回転角度が180度の四元数関数fの値は、
回転角度が0度の四元数関数fの値の(-1)倍となる。
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(6.7) |
回転角度が360度の四元数関数fの値は、
回転角度が0度の四元数関数fと同じ値になる。
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(6.8) |
この多様体をスピン1の粒子の波動関数と解釈する。
この多様体の回転角度を波動関数の位相と解釈する。
この多様体の表面積を波動関数の絶対値と解釈する。
ここで、角度 θ を半分の角度に変更にする。
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(6.9) |
すると、四元数関数は次のように表現できる。
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(6.10) |
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(6.11) |
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(6.12) |
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(6.13) |
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(6.14) |
回転角度 θ に対する座標 (W, X) を次の図に示す。
図 6-2: スピン1/2の粒子の波動関数
回転角度が360度の四元数関数fの値は、
回転角度が0度の四元数関数fの値の(-1)倍となる。
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(6.15) |
回転角度が720度の四元数関数fの値は、
回転角度が0度の四元数関数fと同じ値になる。
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(6.16) |
この多様体をスピン1/2の粒子の波動関数と解釈する。
この多様体の回転角度を波動関数の位相と解釈する。
この多様体の表面積を波動関数の絶対値と解釈する。
カール・グスタフ・ヤコブ・ヤコビ[7]は、1841年にヤコビ行列を導入した。
写像 f が座標 (x, y) を座標 (u, v) に変換すると仮定する。
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(7.1) |
すると、変数 u は座標(x, y)の関数u (x, y)と解釈できる。
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(7.2) |
同様に、変数 v は座標(x, y)の関数v (x, y)と解釈できる。
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(7.3) |
関数u (x, y)と v (x, y)に対し略記 u, v を使用する。
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(7.4) |
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(7.5) |
関数の偏微分として次の略記を使用する。
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(7.6) |
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(7.7) |
このとき、ヤコビ行列Jを次のように記述する。
(ヤコビ行列)
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(7.8) |
ヤコビ行列は導関数の一般化であるため、ヤコビ行列の略記として、導関数の記号を使用する。
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(7.9) |
ヤコビ行列Jの行列式 |J | をヤコビアンと呼ぶ。
(ヤコビアン)
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(7.10) |
本論文では、多様体の表面積を立体角の関数の積分で表現する。
本節では、極座標、複素数、四元数をヤコビアンで立体角に変換する。
一次元球面 S の表面上の位置(x, y) を次の極座標で表現する。
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(7.11) |
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(7.12) |
極座標のヤコビアンは次のとおり。
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(7.13) |
一次元球面 S の表面積 A を次のように表現する。
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(7.14) |
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(7.15) |
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(7.16) |
ここで立体角 ω を導入する。
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(7.17) |
表面積 A を立体角 ω で次のように表現する。
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(7.18) |
半径 r を立体角 ω の関数とすると次の式が成立する。
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(7.19) |
ここで次の新しい球面調和関数を導入する。
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(7.20) |
この球面調和関数で表面積 A を次のように表現する。
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(7.21) |
一次元球面 S の表面上の位置 (x, y) を次の複素数で表現する。
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(7.22) |
一方、次の公式が成立する。
(オイラーの公式)
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(7.23) |
従って、次の等式が成立する。
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(7.24) |
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(7.25) |
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(7.26) |
複素数のヤコビアンは次のとおり。
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(7.27) |
一次元球面Sの表面積Aを次のように表現する。
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(7.28) |
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(7.29) |
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(7.30) |
ここで立体角ωを導入する。
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(7.31) |
表面積 Aを立体角ω で次のように表現する。
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(7.32) |
半径rを立体角の関数とすると次の式が成立する。
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(7.33) |
ここで次の新しい球面調和関数を導入する。
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(7.34) |
この球面調和関数で表面積 A を次のように表現する。
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(7.35) |
この立体角ωはスカラーだが、これを次のように複素数にする。
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(7.36) |
本論文では、この立体角を複素立体角と呼ぶ。
そのため、表面積 A を次のように表現する。
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(7.37) |
二次元球面 S の表面上の位置 (x, y, z) を次の球座標で表現する。
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(7.38) |
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(7.39) |
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(7.40) |
球座標のヤコビアンは次のとおり。
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(7.41) |
二次元球面 S の表面積 A を次のように表現する。
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(7.42) |
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(7.43) |
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(7.44) |
ここで立体角ωを導入する。
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(7.45) |
立体角ω で表面積Aを次のように表現する。
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(7.46) |
半径rを立体角の関数とすると次の式が成立する。
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(7.47) |
ここで次の新しい球面調和関数を導入する。
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(7.48) |
これにより球面 Sの表面積 A を次のように表現する。
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(7.49) |
三次元球面 S の表面上の位置(τ, x, y, z) を次の球座標で表現する。
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(7.50) |
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(7.51) |
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(7.52) |
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(7.53) |
球座標のヤコビアンは次のとおり。
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(7.54) |
三次元球面Sの表面積Aを次のように表現する。
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(7.55) |
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(7.56) |
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(7.57) |
ここで立体角ωを導入する。
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(7.58) |
立体角ω で表面積Aを次のように表現する。
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(7.59) |
半径rを立体角ωの関数とすると次の式が成立する。
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(7.60) |
ここで次の新しい球面調和関数を導入する。
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(7.61) |
これにより多様体Sの表面積 A を次のように表現する。
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(7.62) |
三次元球面 S の表面上の位置(τ, x, y, z) を次の四元数で表現する。
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(7.63) |
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(7.64) |
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(7.65) |
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(7.66) |
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(7.67) |
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(7.68) |
これはハインツ・ホップが1931年に発見したホップ・ファイブレーションである。
ホップ・ファイブレーションのヤコビアンは次のとおり。
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(7.69) |
三次元球面Sの表面積Aを次のように表現する。
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(7.70) |
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(7.71) |
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(7.72) |
ここで立体角ωを導入する。
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(7.73) |
立体角ω で表面積Aを次のように表現する。
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(7.74) |
半径rを立体角ωの関数とすると次の式が成立する。
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(7.75) |
ここで次の新しい球面調和関数を導入する。
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(7.76) |
これにより多様体Sの表面積 A を次のように表現する。
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(7.77) |
三次元球面 S の表面上の位置(τ, x, y, z) を次の四元数で表現する。
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(7.78) |
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(7.79) |
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(7.80) |
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(7.81) |
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(7.82) |
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(7.83) |
四元数のヤコビアンは次のとおり。
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(7.84) |
三次元球面Sの表面積Aを次のように表現する。
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(7.85) |
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(7.86) |
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(7.87) |
ここで立体角ωを導入する。
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(7.88) |
立体角ω で表面積Aを次のように表現する。
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(7.89) |
半径rを立体角ωの関数とすると次の式が成立する。
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(7.90) |
ここで次の新しい球面調和関数を導入する。
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(7.91) |
これにより多様体Sの表面積 A を次のように表現する。
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(7.92) |
この立体角ωはスカラーだが、これを次のように四元数にする。
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(7.93) |
本論文では、この立体角を四元数立体角と呼ぶ。
そのため、多様体 S の表面積 A を次のように表現する。
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(7.94) |
表 7-1: 自転等
用語 |
意味 |
自転 |
回転軸を含む物体の回転。 |
球面自転 |
円の裏返しを含まない自転。 |
円環自転 |
円の裏返しを含む自転。 |
表 7-2: 螺旋空間等
分類 |
用語 |
空間 |
螺旋空間 |
円 |
螺旋円 |
球面 |
螺旋球面 |
本論文を作成するにあたり、貴重な助言を頂いたNS氏に心より感謝いたします。
[2] Kaluza T. (テオドール・カルツァ), Zum Unitätsproblem in der Physik (物理学における統一問題について), Sitzungsber. Preuss. Akad. Wiss. Berlin. (Math. Phys.), Pages 966-972 (1921).
[3] Klein O. (オスカー・クライン), Quantentheorie und fünfdimensionale Relativitätstheorie (量子論と五次元相対性理論), Zeitschrift für Physik, A37(12), 895-906, (1926).
[4] Rauch H. et al. (ラウチ 他), Verification of coherent spinor rotation of fermions (フェルミ粒子のスピノール的回転による干渉効果の検証), Phys. Lett., Volume A54, Pages 425-427, (1975).
[5] Werner S. A. et al. (ウェルナー 他), Observation of the phase shift of a neutron due to precession in a magnetic field (磁場内の歳差運動による中性子の位相変位の観測), Phys. Rev. Lett., Volume 35, Pages 1053-1055, (1975).
[6] Einstein A. & de Haas W. J. (アインシュタイン&ドハース) Experimenteller Nachweis der Ampereschen Molekularströme (アンペールの分子電流の実験的証明), Deutsche Physikalische Gesellschaft, Verhandlungen 17, Pages 152-170, (1915) .
[7] Jacobi C.G.J. (ヤコビ), De Determinantibus functionalibus (関数の行列式について), Journal für die reine und angewandte Mathematik, Volume: 22, Pages 319-359, (1841).