第五章・もしもの時の“沈脱……そして再上艇”マニュアル
講師・中村了 撮影と編集・TEAM N.W.タツノリ&ホエール


■みなさん 浮いていますか〜? バリバリ釣れる夏休みシーズンです。が、暑さでへばった方は水に浸かって頭を冷やしてみてはいかがでしょう?

以前より提案していた
再乗艇の練習をしてください。いや、絶対にしなくてはダメです!

というわけで今回のコラムは私
中村がこの場を借りまして、カヤッカーのカヤッカーによるカヤッカーの為の講座を行います。つかみは軽いのですが、実は結構マジであります。

■さて、事の発端はお客様との応対からはじまります。

このお客様。仕事が忙しく、お店に来る時間も無い為にインターネットでカヤックを購入されました。

“安全、安定、フィッシングに最適!”このセールスで決定!
(“危険、漕げば安定、釣りも出来ます”じゃ誰一人買いませんから)

よせばいいのに某ダム湖でナイトカヤックフィッシングを敢行し、真横で魚に潜られて見事に沈脱。(転覆して艇を放棄すること)

おまけにPFD(フローティングベスト)装備をもしていなかったとのこと…

ネット購入の最悪のパターン

しかしながら現代インターネット時代でそのような事態は致し方ないのかもしれません。

今回の事故で命を失う大事にならなかっただけ良し。

こりゃ考えなけりゃなりません。
下手すればカヤック禁止になりかねません。

事故はあくまでも本人の責任ですが、とにかく僕らでやれることはやっておこう!ということで、この場を借りて筆を執らせていただきました。

■というわけでカヤックフィッシングの言い出しっぺとしての責任を背負いつつ、
シットオントップカヤック転覆復帰大撮影会を敢行するべく、カメラマン役のTEAM N.W.と休みを合わせ伊豆へと向かった訳であります。

え?なんでわざわざ伊豆まで…?なんというか…せっかくの休みですから…なんですな…まあ、いいじゃありませんか〜(汗)。

釣りも思いっきり楽しむ腹もありました〜(笑)。

堅いことは言わんといてくださいな。


■さて、落水前、いや釣りをする以前の装備。

大切なのは
PFD(フローティングベスト)。

カヤックフィッシャーマンなら必ず装備装着します。(
絶対です)

特に釣り用ではなく、浮力のある
カヤック用をお勧めいたします。

さて今回使用するPFDは高階救命器具
MTIドラド
カヤックフィッシング用として開発されたPFDなのであります。

勿論、背中には浮力体が簡素化してあてバックシートに当たってポジションが変わることはありませんし、ポケットもあり、ペンチホルダー標準装備の優れもの。

しかも安価で超お勧めであります。

ちなみにカヤック用のフローティングベストは股紐がありません。したがって
両サイドのベルトや肩のベルトをしっかりと締めます

極端に言えば軽くヤキブタ状態になるくらいがベストです。

釣り用のベストを使う時は必ず股紐を装着してください。

PFD(フローティングベスト)の各ベルトをしっかりと締めます。
体に密着させてください。


■今回落水再乗艇に使う艇はウィルダネスシステムズの
ターポン120
ナカムラのセカンド艇です。

一般に汎用性の高い艇ですし、販売艇数は圧倒的に多いので、あえてこの艇を選択しました。

勿論、
リーシュコードも装着します。

パドルと艇またはアングラー、そしてアングラーと艇を繋ぎます。

風が強い中で落水したら、艇はアッと言う間に流されてしまいます。パドルも流されたら大変。
必ずリーシュコードで繋いでおきましょう。

リーシュコードは専用の物がありますが、ナカムラはシマノのエンドロープ(BIG)を愛用しております。

安い所だと犬のお散歩ロープですね。100均で売っているものです。

肩のベルトも忘れずに。もちろんリーシュコードも。


■能書きが長すぎました。

それでは気分を出して落水します。(どんな気分じゃ)

落水!体張ります。

まず、大切なのは
落ち着くこと。

道具も流されているかもしれませんが乗艇を優先させます。

写真を見てください。
“いい湯だな〜”を唄っております。
(ウソ。そのくらいの余裕が欲しいところです)

いい湯だな〜ではなくて真面目にやれよー!
カヤック用のライフジャケットだとこれだけ浮くのは当たり前なんです

まずこの時点で注意が必要なのは
リーシュコードの絡みです。

パドルのリーシュコードも絡んでいるようでしたら、外して、別に繋いでおきましょう。

荒れた海で転倒は普段からのイメージトレーニングと実践。
覚悟を決めておくことが必要です。

水の中でオシッコ中…ではなくて絡まるリーシュコードをほどいています

■さて、リーシュコードの絡みを取りました。

パドルも無事確保。

次はひっくり返しになった艇を
復帰します。

艇の真横にポジションし、船底に手を回して
出来るだけ遠くの凹みに指を掛けます

キールの凹みやドレインの穴が良いでしょう。そのまま
ぶら下がる要領で艇を復帰させます。

シットオンカヤックは船底重心です。簡単に戻りますが、あらかじめ指の掛ける場所を確認しておきましょう。

ターポンシリーズはキールに指を引っ掛けて艇を起こします。
出来るだけ遠くの凹みや突起物を掴んで体重を乗せてぶら下がる要領だと簡単に戻せます。

体重を乗せて…

ほらね。ここまでくれば工程の半分は終了。
あとは乗るだけ。


■準備は整いました。乗艇します。

まずは艇の真横のポジションのまま。

反対側のトグルや突起物を掴みます

引きつけるようにして
バタバタ足

引っ掛けた手を引きつけつつうつ伏せに乗艇します。

勢い余って反対側にドボンしないようにバランスをとってください。

このときライブジャケットのポケットなどの突起部分や手前のトグル部分や艇のフックが引っ掛かる場合がありますが、逆の手で手前のトグルや艇の縁で体を軽く持ち上げたり、艇を軽くゆらしながらバランスを取りつつ、うつ伏せ状態に乗り込みます。

仕上げはうつ伏せから
正常なポジションへの移行です。

仰向けになるような要領でお尻をシートにポジションさせます。

足を軽く曲げてバランスを取りつつお尻、足を正常な位置にポジションさせて終了です。

次のモーションに移行するにはどのポジションが良いか考えながら練習したら良いでしょう。

落水→艇の横からうつ伏せ→仰向けになる要領で正常ポジションとなります。

こんな風にポジションして…

バタバタ足で一気に乗り込みます。
とりゃー!って勢い余ると頭からドボン注意。

バランスを取りつつこんな感じでうつ伏せになります。

あとは仰向けになる要領でお尻をポジショニング。簡単です。


後ろからの乗艇方法もあります。

サーフボードにまたがり乗る要領でズルズルと乗っていく方法です。

ただし、ラダーがあったり、バンジーコードやロッドホルダーを装着したままだと
不可です。

またがり乗る前に整理をしておくことが必要となります。

この再乗艇方法は
荒れた海などで確実に乗艇する方法です。

先の乗艇する方法がうまくいかない方にはお勧めであります。

こんな風に後ろから…

大晦日の曙ではありません(笑)。
後部装備のバンジーコードのが引っかかって、一気に行けないのであります。
ズルズルとバックシートまで行きます。

■どうですか?イメージできたでしょうか?

あとは
現場でトレーニングあるのみ。

トレーニングといってもそんなに難しいものではありません。

もちろん艇の形状やタイプによっても違いはありますので是非とも実践して確認してください。

大切なのは

◆パニックにならないこと

◆次の動作を考えてポジションすること

です。
何度も安全な海で仲間と一緒に練習してスキルを上げてください。

練習の段階で事故したらしょうがないので、
事故の無いようにお願いいたします。

とにかく、再上艇の練習は必要ですが、まず第一にそんな状況に陥ることはないうように!それが一番大切です。

TEAM N.Wのホエールもしつこく書いてるみたいですが、
沈脱しそうな海にはまず出ない!浮いている途中に荒れそうになってきたらすぐに撤退する!これを肝に銘じてください。



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