第十一章・カヤックフィッシングと気象
〜「海快晴」を活用しよう〜



■今回の内容はベテランの方なら既に実践されていることだと思いますし、何をいまさら?となるでしょうが、あくまでもカヤックフィッシングをこれから始める方や始めたばかりの方に向けて書いておりますのでご了承ください。

さて、最近ではとかくカヤックの性能、パドルの性能などがクローズアップされがちですが、カヤックフィッシングを、”安全に、そしてさらに楽しむ”ためには、まずは
「天候の把握、及び読み」だと私は考えています。

まず、季節に合わせたウェアを着用し、PFDを装着するのは当然です。

ですが、海で遊ぶ以上、考え得る万全の安全装備をしていても、どんなにいいカヤックや高いパドルを使っていても天候の把握・読みを誤ってしまえば、一瞬で命の危険が迫ってくるスポーツだということを認識しておくべきです。

カヤックフィッシングはその性格上、一般的にはオープンデッキのシットオントップカヤックを使います。

シットオントップカヤックはいわゆるリジット艇と言われるツーリング用シーカヤックと比較すると初心者でも乗りやすく、入門しやすいのが売りです。

その分、海に出るリスクを理解しないまま始めてしまう方も出てきてしまう懸念があります。

また、スピードが出ると言われているモデルであっても、ツーリング用のシーカヤックと比較すれば
シットオントップカヤックの走破性はかなり低いものだと認識しておくべきです。

いずれにしても、一歩カヤックで海に出ればシートの下30cmは未知の海が口を開いています。また、例えば1km程度はパドリングでは軽ーく漕げる距離ですが、とても泳いで帰れる距離ではありません。(特に荒れた海では・・)

落水からの再乗艇の練習は絶対に必要ですが、海が荒れれば再乗艇もどんどん難易度が上がってしまいます。

自然を相手にするスポーツである以上、命の危険と隣り合わせになる可能性が常にあるということを十分に理解した上で海に出るべきです。

その中で、パドリングスキルの向上というのはリスク回避の上では大切な要素になってきます。

効率の良いパドリング(まずは特にフォワードストローク)を覚えれば体力の消耗を防ぎ、長時間漕ぎ続けることができるため、パドリングの基礎ができていない方よりは、よりリスクは低くなるでしょう。

これについては正しい漕ぎ方を学び、とにかく漕いで練習するしかありません。

しかし、どれほどパドリングスキルが優れていても、
天候の判断を誤ってしまえば一瞬で命の危険にさらされることも十分ありえることは忘れてはいけません。

過去に、様々なマリンスポーツでベテランと呼ばれている方が命を落とす悲しい事故の例はあります。シーカヤックでもそれは例外ではありません。

一度海が本気で荒れてしまえば人間の力では対処できないということは認識しなければならないのです。

もちろん、ある程度風が吹いていないと成立しないマリンスポーツもあります。荒れた海で限界を競うマリンスポーツもあります。

しかし、我々がやっているのはカヤックフィッシングです。
海が荒れた状況では「そもそも釣りが成り立ちません」

風が吹いている状況下で出艇を迷った時、もしも海で死亡事故になったら悲しむ家族や恋人、友人の顔を浮かべてみてください。

また、行方不明になったケースを想像してみてください。

行方不明の場合、まずは捜索に時間がかかり、その間、残された家族や友人は生きた心地がしないでしょう。

さらにライフジャケットを着ていなければ、もっと多くの捜索時間がかかり、最悪の場合、見つからない場合も少なくありません。

その場合、死亡認定まで時間がかかり、その間は生命保険等がおりないというようなことにもなります。その間、ご家族の暮らしはどうなるのでしょうか。

また、もし見つかったとしても、ほとんどの場合、遺体での対面となり、事態は最悪です。

こうした事態にならないようにするためにも、ライフジャケットの着用はもちろんのこと、
気象についての正しい知識、そして十分な情報収集というのはとても重要です

「カヤックフィッシング」においては、どんなに荒れた海を漕ぎきったことよりも、
「荒れる前に撤退する」「荒れる予報の海に出ない」その勇気こそが賞賛されるべきだと私は考えています。

繰り返しになりますが、そのために一番大切なのが「天候の把握、及び読み」なのです。


■では、一体どのように「天候の把握、及び読み」を行えばいいのか??

もちろん、天候についての専門的な知識があればいいのですが・・・実際はそうもいきません。

カヤックフィッシングを始めてから、天気図等を見て海に出るようにしているので、少しは等圧線・前線・気圧配置と、実際の海上の天候の相関関係も感覚では分かってきた部分もあります。

しかし、生兵法は怪我のもと・・・気象予報士でもない私には、なかなか読み切れるものではないことも同時に痛感しました。また局地的な天候の変化は広域の天気図では判断がとても難しくなります。

ですから、まずは
「優れた気象情報」を入手し、それをうまく活用することが最大の命の危険の予防策だと思っています。

ちなみに、気象情報をチェックせずに海上に出るのは自殺行為です!

そこで、私が使っている気象情報サイトとその使い方をご紹介しておきます。

それが海専門の気象情報サイト

「マリンウェザー海快晴」


名前が長いので「海快晴」と省略して呼んでいますが、これまで、数多くの天気予報サイトを試してきて最終的に「海快晴」をメインで使っています。
(サブとして、気象庁予報ベースのGPVを見ていますが、話が複雑になってしまうので、こちらは今回は省略します)

海快晴は携帯電話の課金制公式コンテンツです。
加入方法等、詳しくは「海快晴」のHPでご確認ください。

●マリンレジャー・海快晴のHP
(画像をクリックするとPCページが開きます)

携帯でアクセスし、登録してご利用ください。
加入方法は以下の通りです。

下記のURLをダイレクト入力
http://umikaisei.jp/



↑↑通常の携帯電話からはこのQRコードから一発でアクセス!

私はiPhoneを使っているのですが、アンドロイドも含め、海快晴はスマートフォンにも対応しています。


↑↑アンドロイド携帯の場合、アンドロイドマーケット(TM)でウミカイセイで検索。


↑↑iPhoneの場合はサファリを開いてURLをダイレクト入力し、ホーム画面に追加しておくと便利。

では、海快晴の魅力をまず三点上げてみます。


【魅力その1・現場でチェック可能】
繰り返しになりますが、「マリンウェザー海快晴」は携帯電話の公式コンテンツです。

つまり、自宅で翌日の釣行場所を決める際に活用することはもちろんのこと、海に出る前にチェックでき、さらに海上でもチェック可能です。

 
さあ、最新の風の具合はどうかな?

風や波の予報は6時間ごと(1日に4回)に更新され、最新の情報に変わっていきます。
場合によってはいきなり予報が変わることもありえます

携帯電話の気象情報サイトなら、
海に出る前、海の上で、いつでもどこでも見れるわけです。


【魅力その2・ポイント数が多い】
海快晴の魅力は、まずメッシュが細かくポイント数が多い点にあります。
しかも、
そのポイントが海に設定されています。

普通の天気予報のサイトですと、市区町村など主要な都市の天気ぐらいしか出ていないと思います。

これらの予報は陸上にメッシュのポイントが置かれているため、風の予報はまったく当てにならないと言っても過言ではありません。

海の情報も、例えば「相模湾」とか「東京湾」など、かなり大ざっぱな情報しか出ていないことが多いですよね。

海快晴では主要と言われている釣り場やマリンスポーツ、プレジャーボートのポイントの
海のピンポイントの独自の風や波の情報が出ています。

その数はこれを書いている2011年5月現在で
全国約8000ヶ所以上です。

後ほどご説明に出てくる「最も大切な風の予報」も「海のピンポイントの予報」になっています。

これまで使ってきたサイトでは陸上の地点で出されているため、実際に海まで行って、風が吹き荒れる海を呆然と目の前にして帰ってきたことが何度もありました。

それが「海快晴」を使ってからは大幅に減ったことは事実です。


【魅力その3・独自の予報システム】
次に海快晴の予報システムの魅力として、京都大学の防災研究所と共同研究開発した独自の解析システムを使っているところにあります。

京都大学防災研究所との共同研究開発の中では、常に実際にある海上のブイの実測値との検証を続け、修正、改良を加えてきています。

さらには、台風などの高潮や高波などによる海の事故や災害時に、実際にどれぐらいの波や風があったのかをこの独自で開発した解析システムを使って、シュミレーションしています。

ですから、予報などに計算された値が、実際により近い数値であるということが証明されているわけです。

それをマリンレジャーに応用しているので、
信頼性や情報精度がかなり高いということが言えます。

1時間毎の風の予報データは、
NCAR(アメリカ大気研究局)によって開発された局地気象予測モデル「WRF」を用いて、海快晴による独自の解析システムで計算されています。

最近は釣り場の事故も多いと聞きますので、カヤックフィッシングはもちろんですが、堤防などの陸ッパリでの安全面でもご活用いただきたいところです。

ちなみに、これが海快晴のトップ画面

かなり多彩なコンテンツがありますので、最初は使い方にとまどうかもしれません。
そこで、ここからは、私、ホエールなりの海快晴の活用法をご紹介してみます。


【気象予報士による独自概況をチェックしよう】
概況とは、いわゆる予報文です。

私が海快晴で最も頻繁に使う機能は後ほどご紹介するピンポイント予報なのですが、ピンポイント予報は局所的な地形などで予報が極端になるケースがあります。

まずは前提となる大まかな天気の流れを知っておいた方が無難です。

 
概況へはトップページの天気図アイコンか、概況コーナーからアクセス

 
天気図、風と波の画像と概況文


これにより、天気図をチェックできたり、分かりやすい文章によって
おおむね穏やかなのか、大気が不安定なのか、前線が活発なのか等を把握しておくことができるので、ざっと目を通しておくことをオススメします。

例えばここで「大気が不安定」と概況で言われている時などは、たとえこの後ご説明するピンポイント予報で問題無さそうな予報が出ていても十分注意が必要なわけです。


【ピンポイント予報を詳しく見てみる】
まず、カヤック出艇場所かその付近のピンポイントを探します。全国約8000ヶ所以上もあるので、なかなか大変です(笑)

ジャンルや地域から探す

このピンポイントは各カテゴリー別に、フィッシング、ダイビング、サーフィン、ウィンドサーフィン、プレジャーボート、ヨット、海水浴、カヤックなどと分かれているので、そこから探していく方が良いかと思いますが、エリア別にもなっているので、北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、四国、中国、九州などから探してから、カテゴリー別に探していくこともできます。

地名から検索も可能

ただし、情報が欲しい場所が、たとえばフィッシングのポイントに無くてもサーフィンやプレジャーボートのポイントにあったりすることもあるので、
カテゴリーにとらわれることなく自分の必要な場所があればMyリスト画面に登録しちゃいましょう!

これがMyリスト画面

よく行くポイントに関しては
「Myリスト画面」に登録しておけば、次からは楽ラクにアクセスが可能です。

もし、残念ながらご自身のホームグラウンドがピンポイント予報にまだ存在していない場合は一番最寄りの予報をチェックします。
※もしくは、海快晴のお問い合わせにメールすると、もしかすると、そのポイントが追加されるかも。

ちなみに、私のホームは東京湾の内房側なのですが、沖合も含めてピンポイント予報にしっかりと各所ピンポイント予報が存在しています。

カヤックは意外に機動力がある乗りものです。ですので、ホーム一箇所のピンポイント予報だけではなく、
最低限、出艇場所の左右のポイント、そして沖合の予報も同時にチェックすることをオススメします。

ポイントによって方角も地形も変わるので、当然気象の影響の受け方も変わるからです。

実際に釣りをする場所の付近の予報も見ておこう

例えば、私がよく行く船橋さんばんせ海浜公園(2011年5月現在被災による閉鎖中)の場合は「さんばんせ海浜公園」の予報だけではなく、南に位置する「稲毛海浜公園沖」と西側の沖合に位置する「東京ディズニーランド沖」の予報も同時に必ずチェックするようにしています。


【ピンポイント画面・TOP】
さて、これがピンポイントの予報トップ画面です。

ピンポイントの予報トップ画面

このようにメニューが並んでいます。

ヲ天気
ヲ風
ヲ波
ヲ潮
ヲ日の出、日没
ヲ海面温度
ヲ注意報・警報
ヲエリア全体を図で見る


これらを全てチェックします。

では、それぞれの項目をチェックしていきましょう。


【ピンポイント画面・天気】
まずは天気から見ていきます。

ここでは晴れ、雨、曇りなどを見ることはもちろんできるのですが、1時間ごとの気温も同時に見ることができます。ここが重要です。

1時間ごとの気温も分かる!

例えば、ドライスーツを着るとして、そのインナーの枚数をどうするべきか!とか、夕方から急に冷え込むからアウターを一枚予備に持って海に出ようとか、
気温が分かるということは当日のウエアリングの想定ができるわけです。


【ピンポイント画面・風】
カヤックフィッシングにおいて、ここがもっとも重要です。

その日、
カヤックを海に出せるか出せないかは、ほぼ風に左右されると言っても過言ではありません
(※無風でもウネリが強すぎてカヤックを出せなかったり、濃霧や雷の注意報警報が出てカヤックを出せないケースもあります)

強風時にはカヤックは流されます。流し釣りでは適度な風は歓迎なのですが、あまりにも強い風ではカヤックが流されるスピードが速くなりすぎて釣りが成立しなくなります。

さらに強い風になってしまうと、シットオントップカヤックで走破できなくなります。

つまり、遭難です。

カヤックが漕いでも進まない、漕いでも戻れない等ですね。
実際、海上保安庁さんに救助を要請されるケースの多くが強風による航行不能や再乗艇不能だそうです

これが海快晴のピンポイント予報・風画面

風速、風向が1時間ごとに72時間先まで細かく表示されています。

この精度が高く、細かい予報によって、カヤックの安全な航行計画が立てやすくなるわけです。

また、風は波とも関係があります。

波にはウネリと風波の二種類があり、風が強ければ風波が発生します。

強風が吹くと水面が白く割れ始めます。
これをよく釣り人は「ウサギが跳ぶ」と表現するのですが、カヤックは白く割れた波を横から受けることに非常に弱いのです。弱いというは転覆しやすいということです。

ちなみに、具体的に何メートルならカヤックは出れますか?と聞かれることがあるのですが、風向とそのポイントの特性によって変わってきてしまうため、こればかりは断言はできません。

ただし、
おおよその目安として、5〜6m/s以上になっていたら、海上では白い白波が発生しやすくなってくるので要注意です。

とにかく風速は弱いほどカヤックフィッシングは安全になりやすく、
風速が強いほどリスクは大きくなると覚えておいてください。


【風表と風裏について】
少し海快晴の使い方から離れてしまうのですが、ここで風裏と風表のお話もしておきます。

例えば、私のホームの一つである三番瀬は南西に開いています。

南西に開いた場所で南寄りの風が吹くと風表になり、北寄りの風の時は風裏となるわけです。

つまり・・・

海から風が吹いている状態が「風表」。

陸地から風が吹いている状態が「風裏」です。


再びピンポイントの予報トップ画面です

実は、ピンポイント予報ではそのポイントが向いているおおよその方角まで表示されているのです。

この表示はあくまで目安ではありますが、実はこれも「海快晴」の非常に優れた機能の一つだと思っています。

ポイントの方角と風の方角を見ればそのポイントが風表なのか風裏なのかが“ある程度"分かるわけです。

ただし、出艇ポイントによっては方位は差異が生じるため、
正確にはウェブの地図や現地ではコンパスで調べる必要があります。ですので、私はコンパスは常に携行しています。

コンパスの携行を!

出艇場所の方角と風の方角を見ることによって、
前日の予報で出艇場所を選ぶ大きな目安となるのです。

では、風表と風裏、具体的にどう違うのか?を検証していきます。


【風表】
先ほど書いたように、風表とは海から陸にむけて風が吹いている状態です。

風表での強風時は海面が非常に荒れやすくなります

ちなみに、↓↓↓の状態が南西に向いた船橋三番瀬で南の10m以上の風が吹いた時のものです。

風表11mオーバーの海面

沖まで真っ白になっているのが分かると思います。
この状態ではカヤックフィッシングどころか、カヤックを出すこと自体、自殺行為です。

こういう予報画面ですね……
もちろん、この日は海に出れません!

想像してみてください。
もし海上で急に風表の強風に吹かれると・・・かなり危険な状況になってしまいますよね。

ただ、逆に言えば、風表の場合は強風で荒れていることが一目瞭然のため、海面の状況を目視して出艇を断念したり撤収する決断は下しやすいとは言えます。


【風裏について】
次に風裏とは、陸から海に風が吹いている状態です。

例えば南向きのポイントの場合には北風が吹いている時ですね。

基本的には
風裏の方が海面自体は荒れにくいです。

ですから、少々風がある時は風裏を探してカヤックを出すことが多くなります。

ただし、
風裏には意外な落とし穴があります!

ここは十分に理解しておく必要があります。

それは、風裏では一見すると海が荒れていないことが多いため、実際は非常に強い風速にもかかわらず海にカヤックを出してしまうことがあるのです。

そういう面ではある意味で風表よりも危険と言ってもいいかもしれません。

風裏とは、岸から海に向かって吹く風なので、カヤックはどんどん沖へと流されていきます。

気がついたら遙か沖・・・そして、いざ帰着しようと思って
カヤックの先端を岸に向けると強烈な向かい風に吹かれてしまうわけです。

それがカヤックを漕いでも漕いでもカヤックが進まず岸に近づかないような風だったら命の危険につながってきます。

もちろんそんな時には海に出ないことが望ましいのですが、もしそういった場面に襲われた時は無理に出艇場所に戻ろうとせず、風に対して斜めにすすんだり、もし風に流される方向に着岸できそうな場所があれば、そこを目指した方がいいです。

出艇場所に戻ることにこだわりすぎず、最も安全に着岸できそうな場所に着岸する、これは覚えておいてください。出艇場所から遠い場所で着岸しても、車は歩いて取りに行けばいいのです。

ちなみに、この状態が南西に向いた三番瀬で北の8mの風が吹いた時のものです。

風裏8mの海面

先ほどの風表に比べれば海面自体はさほど荒れていませんが、実は岸からの北風が強まっており、岸に向かって戻ろうとすると向かい風であまりスピードが全然出ない状況になっています。

我々はこの時、予報より早めに風速が強まったことを判断して早上がりしたので問題無かったのですが、この後さらに風速は強まる予報になっていたので、もしも海の状況に気づかずにそのまま浮いていればかなり危ない状況に陥ってしまいます。

現場で風を感じて不安がよぎる前の時点で、すぐに岸に上がることが大切です。

一見、海面が荒れにくい風裏こそ過信せず、風速が強い時は最初から出艇を諦める勇気が重要です


【沖で強風に襲われないために】
最初から非常に強いレベルの風が吹いていれば海にでは出ないでしょうが、場合によっては午前中は凪いでいて、午後から急に前線の通過でこのような風が吹くこともありえます。

つまり、海快晴のような細かい気象情報をチェックしていないと沖合で突然強風に襲われる可能性もあるということです。

それは事故に直結しやすいことを意味します。

1時間ごとの風予報をチェックしておくことがいかに大切かをお分かりいただけると思います。

風速の弱い予報が出ていても、夕方以降や翌日に強風の予報が出ている場合、風の吹き始めが早まる可能性がかなりの頻度で起こっています。

こういう予報画面の時は要注意!

↑↑の画面を見ると、
午前中はなんとかカヤックができそうな印象を持たれるかもしれませんが、昼から猛烈な風が吹くと予想されています。僕ならこの予報の時に海には絶対に出ないです!

また、ここまで極端ではなくても風が吹く方向性にある場合、いくら予報では風が弱い時間帯であっても、沖で風が吹き出した段階で素早くそれを察知して早めに撤収を判断することが必要です。

取り越し苦労で死ぬことはありませんが、楽観しすぎて天候を舐めていると死亡事故になる可能性が高まるのです……。


【波】
では、またピンポイント予報の画面の話に戻りましょう。

次に外洋に面した場所では非常に大切な波の予報についてです。

ピンポイント画面の波の予報をクリックすると、このような画面が出てきます。

波高と周期が1時間ごとに表示され、波の方角も示されています

基本的には波高の数字が大きく出ていれば波高は高くなり、小さくなっていれば波高は低くなるわけですが、実は、いきなり大波がくるケースは
ウネリの周期とすごく関係が深いので覚えておいてください。

この
周期の秒数が長いとそれだけウネリのエネルギーが強いのです。

ですから、たとえ波高の数値が小さくても、沿岸にウネリが入ってきた時に大きい波になって崩れる場合があります。

サーフィンなどでは波高よりもむしろ周期を重視されます。

周期の数値に要注意!

海快晴ではウネリの周期が秒数で出ていますが、
目安として6秒や7秒になってくると周期が比較的長く注意が必要になってくると思っていいでしょう。

台風などが遠方で発生し、遠くから来るウネリの時はこれが10秒とか11秒などになってきます。

参考・台風の時の波予報画面

もしもこの時、波高がたとえ0.2mや0.3mというような表記であっても、
周期の秒数が大きければ、実際には30分や1時間に1本、集約したウネリのエネルギーがドッカンと打ち寄せてきて人間の身長以上のウネリがいきなり来たりすることがあります

一見穏やかに見えるので、こうしたたまに入ってくる大きなウネリに襲われて、堤防釣りなどの人が亡くなっているケースが少なくありません。

波も風もないし、今日は穏やかだなと思っても、台風が日本の南西沖にあるような時に南西方向に開いているポイントでは危険なこともあるので、このページは是非チェックしておいてください。

また、波も風と同様にポイントの向き、ウネリの向きとの関係があります。それを見るのが波向なのですが、
海快晴では波向も1時間ごとに表示されています

また、そのポイントの特徴なども把握しておく必要があります。

我々カヤックフィッシャーマンが浮く沿岸付近の場合は海底の地形によってウネリの向きや強さ、波の崩れる高さが変わってくるのです。

地域によっていろいろな地形があるので一概には言えませんが、いくつか例をあげてみます。

例1・岬

例えば、
岬の先端部分は左右、正面、様々な方向からの波のパワーが集中しやすく、おもわぬ大波がくることがあります

例2・急激に浅くなっている場所
(分かりづらい絵ですいません…汗)

青いところが海水で、黒いところが海底というイメージです。

こちらのように急激に浅くなっているところも要注意です。

海が荒れてくるとどうしても浅い場所に避難したくなるのですが、
深い場所から急激に浅くなる場所では、逆に波のパワーが一気に狭い範囲に収束され、大きな波が起きやすいわけです。

ですので、釣り人が好きな沈み根には要注意です。

沈み根はカヤックフィッシングでは魚の付き場として狙い目となるポイントではありますが、ウネリの周期が長い時に浮いて釣りをするのは危険なこともあるわけです。

一見穏やかな海況の日に、ウネリが入ってきた時にいきなり沈み根の上で波のパワーが凝縮されてドッカーンと割れることがあります。これは非常にカヤックが沈しやすい波になりますので注意が必要です。


【波向と風向の関係】
海快晴ではポイントの向き、風の向き、波の向きが全て見ることができ、総合的にポイントの海の状況を把握できます。これが素晴らしいとろです。

 
風向、波向を両方見よう

遠くから来るウネリ、そして風の影響で出る風波の方向が完全に同調すると、予想以上に波が大きくなるので注意しておいてください。。

ただし、
逆にウネリと風の方向が全く違う場合の注意も書いておきます。

ウネリの周期が長くとも、波高が小さく風裏の時は一見、海は完全に穏やかに見えることが多いのですが、実際にはウネリ自体は強いエネルギーを持っているわけです。

こういう時、急に風が強まったり、風の方向が少し変わったりするだけで、いわゆる船乗りの人達が「今日は海がぐちゃぐちゃだ」というような波が不規則にいろいろな方向から寄せてくる状況に一気に陥ってしまうことが多いのです。

これは、潮の流れと風向きが違う場合にも同じような状況となることがあります。

いろんな方向から波が来ると、
カヤックをどっちに向けても横から波が浮けるようなとても危ない状況となるわけです。

風とウネリの向きが一緒の時は見た目や予報で荒れている、波が大きくなるというのが判断しやすいケースが多いのですが、
ウネリの向きと風の向きが違う時にも油断は禁物です。

いずれにしても、風が強すぎる時、ウネリが大きすぎる時は海に出ないことが安全にカヤックフィッシングを続けていくことにつながります。

また、沖に出ると方角の感覚が狂います。

前述の通り、私は常にコンパスを持って海に出ています。

コンパスの携行を!(二回目)

これで
海上にいても岸の方角、風の方角、ウネリの方角を常に把握することができるので、やはり持っていて絶対に損はないアイテムです。


【ピンポイント画面・潮】
ピンポイントのトップ画面には満潮と干潮の時間が出ていますが、「詳細」のところをクリックすると、1時間ごとのタイドグラフが表示されます。

1時間ごとの詳しい数値入りのタイドグラフが表示されます

潮の干満はカヤックフィッシングにおいて大切な要素です。やはり潮の動いている時間は魚の活性が上がります!

しかし、実は
安全面でも潮は重要な要素です。

場所によっては大潮の
時間帯によっては潮の動きが川のように潮が流れて、カヤックが翻弄されてしまうようなケースもあります。

赤い目印の場所に注意!

ちなみに写真は富津岬の先端なのですが、このように、
急激に狭くなっている場所では潮は想像以上に速くなります。

潮が急激に絞られ、太く速く強烈な流れになりやすいのです!

必ず干満の大きさ、時間ごとの動きは把握しておきましょう。

たとえば、この富津岬は私がカヤックフィッシングを始めた頃に通いに通って経験を積んできた場所ですが、写真の場所は大潮の潮の動く時間帯では逆らって漕いでも進まないほど潮が速くなるケースがありました。

それ以来、
こういった潮が速くなるであろうエリアには近づかないようにしています


【離岸流(リップカレント)】
また、普通の砂浜から出る場合でも、沖へ向かう潮の流れが強く発生している場合もあり、それを離岸流(リップカレント)と言います。

離岸流のメカニズム
またも分かりずらい絵ですいません…

これは、波が高いほど、ウネリが強いほど発生しやすくなりますが、海底が砂の場合には、その砂が潮や波によって常に動いているので、離岸流の場所も変わります。

サーフィンなどでは、その離岸流をうまく利用して沖へ出るのですが、その離岸流は、実は一般的にはとても危険で、よく夏場の海水浴場で流される事故は、この離岸流が原因となっている場合が多いです。

この離岸流に逆らって泳ぐことはできません。
オリンピック選手でも強い離岸流に逆らって泳ぐことは不可能なのです。カヤックでも同様の可能性が考えられます。

ですから、それを見つけて、そこから避けることも必要でしょう。

また、もし流されているとわかった場合には、岸へ向かって漕ぐ(泳ぐ)のではなく、岸に向かって斜めに漕ぐ(泳ぐ)か、もしくは真横に漕いで(泳いで)、
離岸流の発生しているエリアから外れることが重要です。

離岸流の幅は、通常数メートルから数十メートルくらいになっている場合が多いので、慌てず、冷静になることが重要です。

でも、離岸流を見分けるにはそれなりの経験が必要です。

目安としては、波が割れていない場所や、ゴミなどが集まってくる場所があれば、そうした場所で離岸流が発生している場合が多いと思われます。

でも、慣れていないとなかなか見つけづらいので、よくその海を知っている地元のサーファーや漁師、また良く来ているカヤックフィッシャーマンなどにその海のことを聞いてから海へ出ることをお勧めします。


【日出/日没】
カヤックフィッシングになっていると、ついつい遅くまで粘ってしまいがちです。

日出/日没

日没時間をよく把握して、確実に余裕を持って暗くなる前に着岸するようなスケジュールを組んで行動しましょう。

日没時間には片付けがもう済んでいるぐらいの気持ちの余裕が欲しいと思います。


【海面温度】
あくまでも海の表面温度なので、実際の水中の水温とは違ってきます。

あくまでも表水温!

海面温度の方がだいぶ温度が高くなりますが、フィッシングおいての一つの目安になるでしょう。


【注意報・警報】
海快晴でもここは赤い字で書かれているように、必ずチェックして欲しいところです。

乾燥注意報などは問題なのですが、濃霧、強風波浪、雷などの注意報や警報が出ていないかどうかを必ずチェックしましょう。

もちろん、
カヤックの航行に影響する注意報や警報が出ている時は海上に出ないことをオススメします。

例:このような表示の時は海に近づかない方が無難です!


【画像で風と波をチェック】
エリアごとの広域図による風や波の状況を画像でチェックしておくことも重要です。

このアイコンが目印です

 
ピンポイントだけではなく広域の状況を把握するのに役立ちます

ピンポイントだけで見ると良さそうに見えても、実際は沖合は荒れている、エリア全体的には荒れている……といったケースもあるかもしれません。当然、そういう場合は注意が必要になってきます。


【「雨どこレーダー」を活用しよう】
「雷」と「ゲリラ豪雨」は特に夏場において安全面で注意したい気象状況ですよね。

もちろん夏場以外でも、
局地的な低気圧の通過というのは同時に強風や高波を誘発します

そのために「雨どこレーダー」の機能を活用していただくことをオススメします。

 
ゲリラ豪雨対策に!

雨雲の予報を6時間先まで画像でチェックできます。

更新はなんと30分ごと!

通常の予報に比べて圧倒的に細かい予報なのです。

画像のように強い雨雲がかかる予報が出た時は雷やゲリラ豪雨、突風や風向の急変に注意が必要です。

このページは
現場で特にマメに見ておきたいページですね。


■以上、大変長くなりましたが、それだけこの海快晴のピンポイントページ1ページから読み取れる情報は多いということです。


ただし!!気象予報はあくまでも気象予報!

これを忘れてはいけません。

当然ですが、
予報は外れることもあるから予報なのです。

とにかく
現場で天候の変化、雲の動きなどには、よく目をこらして耳をすましてください

予報は出艇できる範囲内でも、実際の海を見て
予報より荒れていると感じたら出艇しない

出艇して釣りをしている中で、予報にはない風や波を感じて、
危ない兆候が出てきたと思ったら即撤収!

これが安全で楽しいカヤックフィッシングライフを長年続けていく秘訣です。

もちろん、予報は外れることがあるわけですから、スキルアップも欠かせません。

自分の艇とパドリングの現状で漕げる範囲以外には行かないようにする、パドリングの技術を上げる、サーフゾーンの場合は波がある場合での着岸の練習をする、再乗艇の練習をする、ウエアリングをしっかりする……こういったスキルアップもやっていきたいところです。

ぜひ、海快晴を活用しつつ、臨機応変な判断をしてカヤックフィッシングを楽しんでください!


原稿作成:TEAM N.Wホエールこと赤澤克哉

校正協力:海専門の気象予報士・小川和幸様




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