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シトロエンCXパラスの七不思議


1.ハイドロニューマティック・サスペンション
 シトロエンといえば、ハイドロニューマティック。エンジンをかけて待つこと3〜4秒、まず後ろからピョコって持ち上がり、続いて前がグググって上がり、やっと走れるモードになります。ちなみに、ハイトコントロールは3段階、通常走行用(低い)・悪路走行用(中間)・メンテナンス用(高い:このモードでは走行不可)でした。全体的にはロールが大きいですが、限界は高く、直進でスピードを上げると車高がやや沈み、直進安定性等は最高でした。

2.オートセンタリング・ステアリング
 例えば交差点で右折待ちの場合、ステアリングを右一杯に切った状態で、対向車線の車列の切れ目を待ちますよね。通常の自動車は、このときステアリングホイールから手を離しても、タイヤは右に切れたまま(前進を始めないと元に戻らない)です。が、しかし!この車は、手を離すとステアリングが自動的にセンターに戻り、タイヤが正面を向いてしまうのです。うっかり手を離し、気がつかずにアクセルを踏むと、右転回すると思っていたのに直進してしまいます。

3.セミオートマチック・トランスミッション
 現在のAT車は、発進時ただアクセルペダルを踏んでいるだけで、自動的にシフトアップが行われます。また、急激にアクセルを踏むとキックダウンと呼ばれるシフトダウンが行われます。この車は、違います。ペダルレイアウトは、通常のAT車と同じくアクセルとブレーキだけですが、発進時には必ずシフトセレクタを「1」に入れておかなければなりません。加速チェンジは、加速後アクセルペダルを離し、シフトアップした後、再度アクセルを踏み込むことになります。つまり、MT車のクラッチペダル操作のみ、車が代行してくれる、という仕組みです。

4.リア・ホイールアーチ・カバー
 通常の車は、前後ともホイールアーチからタイヤは全体が見えています。が、この車はリアのホイールアーチのところに、ボディ同色のカバーがねじ止めされ、横から見るとリアタイヤが上半分隠れているようになります。理由は定かではありませんが、当時としては非常に空力を意識したデザインだったので、そのあたりの絡みかも知れません。当然リアタイヤ交換時には、このカバーをいちいち外してまた付けるという作業が発生します。ただし、1で説明したメンテナンスモードのお蔭でジャッキアップが楽で(メンテナンスモードまで車高を上げておき、一杯に伸ばしたジャッキを所定の位置に置き、エンジンを切ると車高が下がり、結果ジャッキアップされた形になる)、この利点と相殺といったところでしょうか。

5.リアウインドウ形状
 この車は4ドアセダンですが、トランクリッドは垂直になっており、リアウィンドウは車の後端まで傾斜して続いています。そして、特筆すべきは、センターに向かって凹曲している(車内方向に凹んでいる)のです。空力もあるのでしょうが、例えば雨の日は、屋根から流れ落ちる雫がセンターに集まり、後方の左右の視界は確保される、という利点があります。

6.運転席廻り
 スピードメーターはドラム型で縦に回転し、スピードを数値で知らせてくれるのです。(スロットマシンを思い浮かべてください。)当時としては、画期的な「アナログデジタル・メーター」だったのでしょう。外車にありがちな「マイル表示」でなくて、良かった。
 また、ウインカーも不思議。まず、レバーではなくスイッチで、ステアリングを握った左手の中指を伸ばすとやっと届くくらいの位置にありました。左を押し込むと左ウインカー、右を押し込むと右ウインカー、真中の位置がウインカーなしの状態です。しかも、転回終了後ステアリングを元に戻しても、スイッチは自動的に切れません(バイクのウインカーと同じ仕様)。

7.ふかふかシート
 さすが、大統領専用車、ブラウンレザーのシートはまるでソファの様。もちろん、運転開始直後はすべる感じがするのですが、体温でシートが温まってくるとぴたっと吸い付き、くるまれたような状態(柔らかいバケットシート状態)になります。スポーツ走行向き、とはいいがたいですが、しなやかな油圧サスペンションと相まって、なんとも贅沢な乗り心地を提供してくれました。


この車は、友人の知人から30万円で購入。その人は、2台のオーナーで、もう1台はいすゞの初代ピアッツァ(走る「マヨネーズ容器」か「縦半割タマゴ」と言われていたやつ)で、当時の店主からすれば、「何で日本車を残して外車を売るんだろう」と思ったものです。(その後の修理費用の高さで、あとから納得しましたが)
こんなヘンテコな「外車」を、免許取得後最初に自費で購入して乗っているあたりから、店主のクルマ遍歴のすごさ(異常さ)を物語っていると思いませんか?

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