髑髏の騎士・解析

 

人外の者どもに仇なす者

預言者である謎の人物。ガッツ、キャスカを異次元から救い出した。因果に身を任せ、運命に対峙し、特異点にすべてをかける者。その
行動から生身の人間ではないと思われる。人外の者としてあげられるのが使徒だが、恐らく彼は使徒ではない。ガッツの烙印が反応
しなかった事、異次元に自力で突入したと言う事からだ。使徒はベヘリットが無ければ異次元の扉を開く事ができない。その事は伯爵
やワイアルドの様子から伺える。自らの力で入る事ができるのならば、異次元に居る者と同種であると考える事ができるが果たして?
 
1.覇王ガイゼリックとの関係
作中での髑髏の騎士と覇王ガイゼリックの関係、この繋がりは必然性が高いので、関係を持たせた上で話を進める。ガイゼリックは千
年前、戦乱の時代に終止符を打ち、大帝国を一代で築き上げた皇帝である。「ドクロの王様」と言うおとぎ話から、次のことが分かる。大
きな都を築き上げ、国民に重税を荷し、都は享楽のるつぼと化した結果、ドクロの王様の所業を見かねた神様が天から五人(四人?)の
天使を遣わし、その都を雷と大地震で一夜のうちに地上から消し去ってしまう。
 
ここでの疑問は降臨した4,5人の天使の話だ。まず天使と聞いて誰もが思い浮かべるのが「ゴッド・ハンド」。しかし、シャルロットの話
から、ここでの出来事は千年前の話と分かるのだが「ゴッド・ハンド」と考えるとどうもおかしい。蝕の周期は「216年に一度」だが、逆算し
ていくと(5人目(フェムト)・・・2年前、4人目・・・218年前、1人目・・・866年前)千年前には誰一人として存在していないはずなのだ。黙
示録には「五度 太陽が死せるとき・・・」と記されている事から蝕は五度しか起こっていないと言うのが事実のようだ。過去に起きたであ
ろう4度の蝕で、因果の流れに背き、誰一人としてゴッド・ハンドに転生しなかった場合、千年前に4,5人の天使が居たという話は成り立
つ。しかし、ゴッド・ハンド曰く、時の接合点で予測しえない事が起こる確率はごくごく微小だと言う。魚が跳ねたところで川の流れはゆら
がないと言う事実も考慮すると、4度も連続でゴッド・ハンドが転生しなかったと考えるのは無理がある。それにこの仮定は4人のゴッド・
ハンドが蝕なしで元からいないと成り立たない。もしかすると、ここで登場する天使は我々が知るゴッド・ハンドではないのかもしれない。
 
再生の塔の地下に眠る都には幾つもの烙印を刻まれた死体がある。これは単純に考えると何者かによって捧げられた者であると解釈
できる。しかし遺体の損傷があまり目立たないのが気に掛かる。千年前は使徒がいなかったと考えると説明はつく。ゴッド・ハンドが人を
使徒に転生させているので、ゴッド・ハンドの存在が無ければ使徒の存在も有り得ないと言う理由からだ。蝕を重ねるごとに使徒もまた
数を増やしていったに違いない。
しかし、天使が降臨したであろう断罪の塔と旧ミッドランドのある再生の塔が地理的に離れていることを考えると、烙印が刻まれた死体
は蝕の際の生贄だとは安易に考える事ができなくなる。烙印の本来の意味は、昔の刑罰で罪を侵した者に見せしめの意味も込め、罪
の印として額に付けられたものである。再生の塔の最下層にある死体は損傷しておらず、烙印が押された個所が全て額であるという事
実からこれらは全て、人の手で行なわれたものであると考えることができないだろうか。モズグスの「覇王ガイゼリックによって幽閉され
た賢者が・・・」と言う発言から罪人を拷問、または幽閉する際、王であるガイゼリック直々による命令(判決)である事が分かる。この事
から直接でないにしろ、烙印を刻んだ人物こそガイゼリック本人であると考えられる。
そして、ガイゼリックの風貌で気に掛かる彼の紋章。胸と盾に刻まれているが、これが太陽と月を現しているように思われ  
る。月が太陽を隠す様、まさに日蝕そのものを表現しているようだ。これらの裏付けから、蝕の根源は全てガイゼリックにあ  
ったのではないだろうか。  
使徒もゴッド・ハンドも元は人間であり、その種としての行い自体が全て意味のあるものだとすると、「蝕」は自然現象では  
ないと言える。それにあたり、もし、賢者が天使長と呼ばれるあの人物に転生し、なおかつ賢者(=罪人)の額に烙印が刻まれていたの
であれば「蝕」はこれらの出来事をモチーフにされたと考える事ができる。もちろん蝕の際、生贄に刻まれる烙印の模様も同様である。
 
2.ボイドとの関係
断罪の塔でのモズグスの話から、覇王ガイゼリックによって幽閉された賢者が、拷問の中、王の罪を神に訴え続け、天使を降臨させた
と言う話がある。旧ミッドランドと、断罪の塔が地理的に離れているのはともかく、「ドクロの王様」との繋がりはあるだろう。この話に出て
くる賢者とボイドとの関わりはあるのだろうか。ボイドの拷問されたような顔から、そのように推測することも出来るが・・・。
仮に 賢者=ボイド、だとすると、ボイドは後から天使になったにも関わらず、現在、天使長と呼ばれている事に疑問が生じる。また、ゴッ
ド・ハンドは「人の造りし神ならざる神の子羊達よ」、「この世の神では救うことの出来ない・・・・」と言っている。グリフィスが異界で見た
神とは対をなす別の存在がある模様。それらを考えると、降臨した天使はゴッド・ハンドだと安易に考える事はできなくなる。偽りの歴史
が伝えられたのか、歴史が塗り替えられたのか・・・。髑髏の騎士とボイドとの因縁に何か関係がありそうだ。
 
異次元に突入した髑髏の騎士はボイドに一刀を浴びせようと剣を振るが、ボイドが呼び出した謎の空間により、剣先は髑髏の騎士の方
向に向けられ攻撃は阻止された。この謎の空間、空間を捻じ曲げた事、形状から、「クラインの壷」を彷彿とさせる。壷そのものではない
のは明らかだが、何かの表現として現されているのではないだろうか。「クラインの壷」と並ぶパラドックスの一つ「メビウスの輪」。これら
は、上と下、裏と表、凹と凸、外面と内面、これら全て対極のものでありながら、同一の存在を現している。
また、我々の現実世界での話だが、神秘的宗派グノーシス派による定義では、「魂と天使はシュジュゴス、即ち『対』であるとするのであ
る。天使は魂の双子であり、『天上の父なる神を見つめる』霊的な片割れである(天使/著・P.L.ウィルソン/平凡社刊)」と、されている。
クラインの壷の「同一の存在」、グノーシスの「魂の双子」。これらから髑髏の騎士とボイドとの関係に、一つの仮説を導き出す事ができ
そうだが・・・。
 
3.エルフとの関係
髑髏の騎士は鉱洞には昔、妖精が住んでいたと知っていた。そして、パックは髑髏の騎士からエルフの気配を感じたと言う。このことか
ら、髑髏の騎士とエルフには、何かしらの関わりがあると見ていいだろう。髑髏の騎士はリッケルトと遭遇した際、袋の中に入っていて見
えないはずの妖精の鱗粉(薬)に気付いたことから、エルフの気配は薬からも発せられていると考えられる。よって、妖精の鱗粉(薬)に
よって治癒された者からもエルフの気配を感じとることができるのではないだろうか。髑髏の騎士がこれに該当することも可能性の一つ
としてあげられる。もう一つはエルフと直接的な関わりがあったと考えられる。しかし、エルフの存在がどのようなものかが分からない限
り、話の発展性は乏しいだろう。ロスト・チルドレンの章でピーカフのおとぎ話が出てきたが・・・。おとぎ話だが関係はあるのか?

 

結論=推測する上での要素

・覇王ガイゼリックと賢者、ボイドとの関係   ・再生の塔の損傷していない遺体の説明
・蝕の周期と合わない「四、五人の天使」の説明   ・ガッツが生まれた状況を知っていた理由
・エルフの気配がする理由   ・ベヘリットを回収している理由