温泉ブーム、第一の法則とは

 温泉の魅力の第一は、温泉の成分や天然かけ流しなどの本物度も必要でしょうが、温泉のある場所の雰囲気、たたずまいがちゃんと創られているかが大切な温泉の魅力の条件でしょう。
 奥深い山の中にある人の知らない温泉の滝など自然のままがいいのではないかという意見もありますが、それはただの自然の中に湧く熱い湯であり、自然に触れるというだけの意味で温泉の魅力という訳ではありません、もちろんそれが好きな人もいますが、温泉好きの本流は雪舟庭のように温泉の造形の美を愛でることを楽しんでいるのではないでしょうか。
 魅力ある温泉には人の創造の手が必要で、人の創造の手が自然を生かして温泉に付加価値を付けると言えましょう。
 言い換えれば、創造の手を有するその人の価値観、センス、生き方が温泉のたたずまいに表現され、いろいろな人々の評価を受けると言えます。
 その創造の手のリーダーが、由布院温泉では溝口氏、中谷氏であり、黒川温泉では後藤氏などであり、現在の温泉ブームの火付け役とも言えましょう。

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温泉の魅力、個人の重視

 第二の法則は、個人の時間を大切にしていること言えるでしょう。温泉好きは、ほとんどの場合個人或いは少数の友人や家族等を単位としています。
 熱海温泉や別府温泉が人気がなくなったのは、団体を単位とし、浴衣に着替えるために温泉に入り宴席に突入するという宴会が主体であったため、派手な演出による大浴場方式で団体客のテンションを盛り上げるだけで、温泉の質のよさや価値は二の次であったことにあると言えましょう。
 これはこれで一時期の温泉の魅力であり、ブームでもありました、社員旅行は温泉が定番であった時期もあったのは確かです。
 大型ホテルで大きな部屋に大量の料理を出し、多くの人が一度に大浴場に入いるというビジネスモデルは、個人の時間を大切にするという、今の温泉ブームの流れとは対極にあり、言い換えれば、おじさんたち中心から、女性・カップル・家族中心への転換こそが今の温泉ブームの法則の要なのです。
 温泉も「大量画一生産から少量多品種生産へ」、「規模の経済から範囲の経済へ」という日本経済の動向を反映しているとも言えましょう。

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温泉の魅力、第三の法則

 由布院温泉も黒川温泉も、別府温泉などのように個々の旅館やホテルが客を外に出さずに取り込んでしまう方式ではなく、個性を生かしながら補完し、競い合いながら、町並み全体を統一的に整備したり共通の入湯手形などを作って、お互いの温泉などの資源を外部に開放して相乗効果を出すことにより人気を集めています。
 温泉宿各個の魅力と同時に地域全体の魅力を組織的に演出しトータルの温泉ブランドを創っているのです。
 大型モールなどの影響により、駅前商店街がシャッター通りになったといわれるが、個々の商店がバラバラに対応するだけでなく、由布院温泉や黒川温泉のように個人や個性を重視した開放組織の力を結集しないとモールなどの組織力に対抗できないのではないでしょうか。
 由布院温泉、黒川温泉は地域全体が一つの魅力を打ち出し、今日の温泉ブームを築き上げました。
気になるのは、最近の由布院温泉は全国ブランドになって以降、料金の高さやファッションあふれる都会並みの通りを見ると、少し、本来の温泉好きの方向とは一線を隔した感は否めません。

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