クリス・バズビー博士講演会 2011年7月18日 要点まとめ
(参考:ブログ『earthquake and stuff』の文字おこし情報)

(1) 放射線のDNAへの影響についてなど

(2) ICRPモデルの誤り、ECRRによる正しい被爆健康被害モデルについて

(3) 日本での独自調査、車のフィルターから検出された放射性物質など

(4) 日本での被害について、これからどうすればいいか助言など


 クリス・バズビー博士・・・1997に欧州で設立されたECCR(欧州放射線リスク委員会)の代表者。 低線量被爆について20年以上研究している。

 

【1.放射線のDNAへの影響についてなど】

放射線の電離性エネルギーは小さいが、まずそれがDNAにいかに影響するかを見て行く。
DNA(染色体)とは図書館(設計図)のようなもので、細胞の機能その他を決める。
放射線はそこで変異をひきおこす。図書館の情報を書き換えてしまう。
細胞は機能を失い、癌、白血病、遺伝病その他様々な疾病につながる。

放射線は吸収した線量によってはかられている。
この計測値は広範にわたる体内組織がそれぞれ受けた被爆の平均値にあたる。
しかし、体内被曝には偏りがあるため、
問題は個々のDNAを照射するエネルギー密度であり、全体の平均値ではない。
このエネルギー密度は、吸収した線量とは必ずしも呼応しない。

日本は被爆健康被害のモデリングにおいて非常に重要な国。
広島と長崎の生存者の被爆症状が、放射線障害の定義を作ることになった。
しかし、原爆の被爆では、外部空間での爆発により
体全体の細胞が、ほぼ同等のエネルギーによって被爆した。
これは、内部被爆の基礎を理解するには有効な考え方ではない。
内部被爆では、破壊エネルギーの密度が場所によって異なってくるからだ。

つまり、外部被爆は体全体の吸収線量を平均化して考える。
吸収線量だけを考えれば、熱で例えると、
火の前に座って体を温めても(全身に分散)、
石炭を口に入れても、平均化された吸収熱量としては同じだが、
実質は異なる。

体の中の細胞すべてに放射線を突き刺すとなると、1グレイ、1Svになる。
これが致死量に近くなる。
しかし内部被爆では、もっと小さな線量でも、
同じ細胞が繰り返し繰り返し照射されることになり、ダメージは大きい。




 
【2.ICRPモデルの誤り、ECRRによる正しい被爆健康被害のモデルについて】

ECRRでは、これに気付いたとき、新しいモデルを作成した。
科学においては、似たような状況を比較することが必要である。
だからICRPが広島の外部被爆被害者と、
チェルノブイリの内部被爆を比較したのは間違いである。

我々は、内部被爆の比重係数を核種によって計算した。
結果として作成されたリスクモデルは、2003年に発表されている。
それらは原子力施設周辺等で健康被害を受けている人々の実情と合致し、また被害を正確に予測した。
日本人や福島の人々にとってこれらがなぜ重要かというと、
このリスクモデルによって、この先の展開に関する答えが出るからだ。

我々は核実験時代にフォールアウト(放射性降下物)を受けた人々の研究をした。
ウェールズとイングランドのフォールアウトは計測され、特徴が観測された。
ウェールズとイングランドでは、癌患者の登録制度がある。
そのため我々はイングランドとウェールズで、
放射性降下物と癌の発生率をそれぞれ比較することができた。
結果としては、降下物の多い地域における癌発生率は、ICRPモデルの計算値の350倍にも達した。

原子力施設周辺の幼児白血病でも、同様の倍率における間違いが見られた。
我々が調べたあらゆる場所で、同様の間違いがICRPモデルの予測から見られた。
我々は、ICRPモデルからすればとても小さな被爆量の話をしている。
子供の白血病では、少ないときには100マイクロ以下の累積被爆。

その他疫学的研究からも、ICRPモデルが間違っていることは証明されている。
だがICRPは頑なな無視を続けており、これは世界中の科学にとって恥ずかしい話だ。
過去20年、ICRPの長はジャック・バランタインだった。
彼がこのICRPモデルの著者である。私は2009年に彼とであった。
そのときの話し合い(ビデオに撮られており、ネット上にある)において、
彼はICRPモデルの内部被爆に関しては最大900倍にもなる可能性があると認めた。
そして退職した彼は現在、今ICRPモデルを批判している。
現在「著者自身が間違っていると認めているICRPモデル」にもとづいて、
安全だとして、結果的に、人々に毒を浴びせている。

ECRRの委員たちは本物の科学者たちだ。
高名な生物学者や物理学者であり、実際に実験をしている人たちだ。
ロシア科学アカデミーの長も参加している。
これを言うのは、原子力産業は我々ECRRはただの環境活動家に貶めようとしているからだ。
しかし我々はICRPよりもずっと科学的な組織である。

スカンジナビアでチェルノの影響を研究した。
スウェーデンのマーティン・トンデルが1988-2004の人口調査を行った。
これは今回の福島事故において重要な意味を持つ。
彼はスウェーデン全ての地区で、セシウム137の濃度と癌発生率の関係を調べた。
セシウム137はただの代表選手というだけで、セシウムだけで癌が起こっているわけではないが。

トンデルは研究成果を発表した。
彼が発見したのは、100キロベクレル/平方メートルの汚染で癌の発生率が11%上昇する事。
これらの癌は主に被爆の十年後ぐらいに発生する。
これは、ICRPモデル予測の600倍ぐらい。外部線量で1年2mSv程度。
これは2003年のECCRモデル予測とほぼ合致している。

トンデルはこの研究のせいで排斥され、職を失った。
彼の上司は最近までICRPの議長だった人物だ。



 

【3.日本での独自調査、車のフィルターから検出された放射性物質などについて】

千葉-東京間を100日間走り続けた車、
また福島からの車のエアフィルターからのデータ。
セシウム134、137のピークがスペクトルを見るとはっきりと見える。
さらに高感度スペクトラムにかけると、多種の核種が見える。

「セシウム」「ヨウ素」「ラジウム」「カリウム」その他多数。

さらにα核種を測定する装置を開発した。
この写真に見える小さなぽつぽつした泡のようなものはα粒子の飛跡。
プラスチック上にできる。だから、フィルター上のα核種濃度を推定できる。
(写真は福島、100km圏のフィルターから採取した写真)

私の同僚が行っている研究によると、
東京の車のフィルターからもホットパーティクルは検出されている。
これらの放射性物質の塊、ホットパーティクル(微粒子)は、
目に見えるぐらいのもの。小さな埃の粒。
ただ、光ったりはしないのでただの埃に見える。

千葉フィルターから千葉空気中のセシウム濃度を計算すると、734mBq/1m3。
世界の核実験ピーク時代のセシウム濃度が2.7mBq/m3。
千葉市の空気中のセシウム137濃度は、核実験ピーク時の300倍。
福島においては2700mBq/m3。
この空気を呼吸器からとりいれると、
内部被爆はセシウム137だけでも0.3〜0.7ミリシーベルト(期間は不明)に達する。



 

【4.日本での被害について、これからどうすればいいか助言など】

日本にはがん患者の登録制度がない。
原子力産業は既に、どこの業界にも自分側の人間を送り込んでいるということを忘れてはならない。
最近、ウォルフガング・ワイス(ドイツ人)がWHOの健康被害調査委員長に任命されたが、
彼は健康被害に関して、「何もないだろう」と予測していた。
チェルノにおいて同様の調査が行われた結果を見れば、
今回の調査も「何もなかった」という結論になるのは目に見えている。

もし補償その他を本気で求めたいというならば、
今すぐに独立した研究機関を設置しなければならない。
(つまり、公的機関に任せていたら裁判で勝てるようなデータは永久に出てこない)

また、癌ばかりに注目してはならない。
調査は広範に及ぶ健康被害を全て拾う必要がある。
これらの健康被害は癌と「死因の競合」を起こしている。
(他の死因で亡くなった場合は癌死としてカウントされない等)

以下は、よく見られる健康被害。
感染症感染率の上昇、糖尿や甲状腺問題の悪化、高血圧等の循環器系障害、
心臓発作、心臓病、肺病、消火器系の病気、腎不全、
女性の不妊、関節炎など。流産・死産率が上がる。
出産時のトラブルが増え、幼児死亡率が上がる。

これからどうすればいいかという話をしよう。
第一に、まず毎時1マイクロ以上の線量が確認されている場所からは全ての人々を避難させる。
第二に、もしガイガーカウンターが自然放射線より高い値を示している場合、
それは放射性物質の存在を示している。
問題はγ線ではなく、ガンマ線の発生源である放射性物質なのだ。
だから、そういう場合にはきれいな水と食料を必要とあらば輸入しなければならない。

国連人権憲章によると、全ての人々は自己の健康を守る権利がある。
もし誰かがあなたの健康を害す物質で汚染するならばそれは傷害である。
誰かがあなたに毒を盛る、あるいは棒で殴るのと同じことだ。
だから、汚染された地域に残る人々は全て補償をうける権利がある。
汚染をひきおこした人々によって。

わたしの助言は、福島健康被害調査団・財団を設立することだ。
これは日本だけの問題ではない。世界の問題だ。
世界の原子力産業が責任をとるべきなのだ。
日本の東海岸を中心に、汚染を正確に計測する装置を設置し、
大気中の核種分析をしなけれぎならない。
ガンマカメラを使ってヘリで日本中を飛び、
地表のセシウム汚染度をきっちり調べなければならない。

福島第一の原子炉はいまだ核分裂をくりかえしている。
そのため環境から隔離されなければならない。
そして最後に、この事故の初期にあたって問題を過小化しようとした
科学者や専門家を裁判で裁かなければならない。
これらの多数の人々は実刑を受けるべきだ。




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