酪農学園大学
獣医寄生虫学教室(野生動物学)HP


研究室教員紹介
浅川満彦(1959年12月19日生) 所属:獣医寄生虫学教室(野生動物学)
略歴
 山梨県立韮崎高等学校(ここのサッカー部は、「中田」を輩出したので有名。ただし、剣道部だった私には関係ないけど)を卒業後、酪農大獣医学科に1979年、入学しました。その後、北海道大学大学院の博士後期課程に進学しましたが、たった七ヶ月で中退。今度は、酪農大に教員で戻りました。しかし、「チュータイ」という言葉は、私のトラウマだったのでしょう。つい最近、英国Royal Veterinary Collegeで研究の傍ら、このカレッジとロンドン動物園が共同運営する野生動物医学マスターコースを修了して、だいぶすっきりしました。

大学のセンセイとは?
 大学の教員・教官も、「センセイ」と呼ばれます。では、高校までのセンセイと、 大学のセンセイ。どこが違うのでしょうか?
 それは、「大学の教員は、まず研究を行い、それを背景に、教育しなければならない(キッパリ!)」という点です。  なぜならば、大学は、教習所のように単に勉強をする場所ではなく、「研究を活動を通じ、勉強をする方法を学ぶ場所」と規定されているからです。
 大学の講義を、研究もしないで、誰かの出した情報だけで行うのなら、そのヒトは、単なる「おしゃべり袋」です。そして、「センセイと、呼ばれる程の、馬鹿じゃなし」など陰口を叩かれます。 だから、我々大学教員は、表面上はノホホンとしていても、とても厳しい世界で生きているのです。
 さて、私も、「おしゃべり袋」といわれないように、まず教育の基盤である「研究」から紹介し、次いで、その果実である「教育」と、さらにその先にある「エクステンション」の順で掲載します。


研究ー俺のウンコの上でノタウチマワル回虫君、おまえは、何処から来たの?
1)宿主ー寄生体関係の生物地理
 昭和30年代のある晴れた日。機嫌よく、いつものように、庭で脱糞した汚らしい幼稚園児(すなわち私)は、自分の尻から出した回虫を眺めて、思いました。「おまえ達は、何処から来たの?」。
 昭和40年代、癒しの場になる前の保健室は、あくまでも暗く、その空気まで重く湿った、おどろおどろしい場所でした。特に、妖怪「ろくろっ首」が出没する山梨の学校ではね。その保健室で、とりわけ、不気味だったのは、郷土の英雄、武田信玄をも殺したという日本住血吸虫のライフサイクルが描かれた巨大な掛け軸。でも、私は、欲しかったなあ、あれ・・・。「それにしても、このムシは、何処から(山梨へ)来たのだろう」
 ある生物が、特定地域に分布した歴史を探る学問分野を、生物地理学といいます。
「なぜ、産業動物の大学で、野生動物を研究材料としたか」という質問を、良く受けます。 生物地理学では、人為的な影響で移動してきた家畜は対象とされません。人の手を借りないで分布した野生動物(の寄生蠕虫類)を、地史や系統分類などと絡めながら考察するからです。
 単なる趣味学問のごとき印象を与えますが、今日のように地球規模の温暖化などの影響で、寄生蠕虫症の地理的分布域が急激に変化しつつあり、「今後どのようなパターンで、病原性の高い寄生虫が拡散するか」などの予測も寄生虫学の使命の一つです。そのような予測をするには、やはり、これまで辿ってきた過去の歴史がベースになるのです。
 この問題を、野ネズミ類などの野生小哺乳類とその固有の寄生線虫類の宿主−寄生体関係をモデルにして考えています。フィールドは日本列島、ユーラシア大陸、北米大陸などの全北区と、一部、東洋区およびエチオピア区です。
 この研究を通して得た結論は、日本固有の寄生線虫相(ファウナ)は、偶然にできたものではなく、
1)氷期における日本列島の古地理や海峡、
2)陸橋上を含む植生などの古環境、
3)当時往来したとされる哺乳類(今は日本で絶滅した)からの宿主転換
4)島的な環境における線虫の絶滅現象
5)宿主ー寄生体関係の平行進化
6)移入ネズミ寄生の外来線虫種の偶発寄
などが複雑に絡み合って形成されたと推定されました。
現在も、科研費「日本産小哺乳類の起源に関する研究:特にヒマラヤ回廊に由来する動物の進化について」やその他の財団などから助成を受けながら、極東ロシア、中国、シベリアなど海外含め、フィールド調査を継続中です。

2)寄生虫の絶滅現象−生態学的駆虫法の魁
 生物地理学で得られた知見は、前述の病気の拡がりを予測する上で、示唆を与えるモデルにもなりますが、以下のようなテーマも二次的に展開しました。
多くの島には、アカネズミが広く分布します。そのような島にいるネズミの寄生虫を調べると、 a)H. kurilensisと Heligmonoides speciosusが存在する島(佐渡、壱岐、隠岐など)、 b)H. kurilensisはいないがH. speciosusが存在する島(対馬、大隈・トカラ諸島、伊豆諸島など)、 c)両種とも不在の島(利尻、奥尻)に分かれます。
もともとは、a)のようなファウナだったのが、地理的隔離された後、何らかの原因で絶滅して、しまったのではないかと考えています。島のサイズ、環境、その隔離年代の長短なども関係しましょうが、今、考えていることは、アカネズミの個体数の激減による寄生虫の絶滅です。今後は、フィールド実験を加え、宿主、寄生虫双方の個体群動態学を追ってみたいと考えています。このような研究は、生態学的駆虫法の魁になると目論んでいます。駆虫薬投与一本槍の従来の方法に、薬剤耐性の寄生虫出現や環境中への薬剤残留などへの防止にもつながり、期待が持てます。
 なお、対馬・壱岐を卒業研究にした本学獣医学科22期生岡田(旧姓 藤野)聖恵さんと山口繁さんともども、日本生物地理学会賞を受賞しました。また、マレーシアの野生動物保護センターに就職された後、北海道大学大学院に通う傍ら本学の非常勤研究員としていらしている23期生大沼学さん達は、北海道の島について卒業論文に選ばれ、フィル−ド調査では、どこからかカヌーを調達され、驚かしてくれました。なにしろ、島ですので、懐かしくも、嬉しい思い出一杯のテーマです。しかし過去の遺物ではなく、現在、大学院研究生として、坂田金正先生(佐渡の農業高校校長を定年退官された後、研究三昧されている)が在籍され、島の寄生虫について研究を続行させています。

3)環境および生態指標としての寄生虫
 二次林や草原環境を好むアカネズミと森林棲のヒメネズミにはそれぞれ固有の線虫種Heligmosomoides kurilensisあるいは H.desportesiが寄生します。ところが、大規模な森林伐採周辺の地域にいるヒメネズミにはアカネズミの線虫が高率に寄生する傾向があります。おそらく、アカネズミの侵入に伴う偶発寄生だと思いますが、この線虫を指標に、環境評価を試みたいと思っています。詳しくは、長野県の「大町市山岳博物館」の研究紀要に掲載されています。
 ある種の鉤頭虫と回虫の存在により、コノハズクというフクロウの仲間が、トガリネズミの死体を啄ばんでいることが示唆されました。これは、岡田英明さん(22期生:現在、知床自然センター・ヒグマ対策グループ主任)の卒業論文のテーマでしたが、トガリネズミにこれら寄生虫の被嚢幼虫が高率に寄生することは、既に、我々の調査で明らかになっていました。ところが、このような臭い動物を誰が食べるというのでしょう。実際、その死体が林道を歩くと、しばしば発見されるほど、餌としては無視されています。しかし、本学の動物病院に運ばれたコノハズクの寄生虫を調査することにより、このような宿主の食性の一端が判明しました。
 また、北海道では外来種として有名なアライグマですが、札幌羊ケ岡で捕獲された個体から、タヌキ回虫が初めて見つかりました。このことから、本来のタヌキの生息圏にアライグマが侵入していることを示唆させます。
 このように、寄生虫自体をマーカーとして、環境や動物の生態の一端を垣間見ることができそうなので、寄生虫のBiological tagとしての応用を模索しています。

4)形態、分類および系統
 ファウナ研究の基礎は、種の記載に始まる分類学です。何しろ、野生動物の寄生虫は、あまり調べられていませんから、20ほどの新種(新属や新亜種含む)を記載しました。記載は形態学により行われます。これは、今も昔も、そしてこれからも変わりません。また、特定のグループで多くの種の情報が集まると、系統の解析が可能となります。これからは、従来の形態に加え、DNAなどのような分子レベルからもアプローチを行っています。

5)線虫症の実験モデル
科研費「感染高感受性中国産レミングの感染症モデルをめざした実験動物化の研究」により、中国新疆でフィールド調査をしました。オニスナネズミの胸腔に寄生するLitomosa viteはフィラリヤ症の、また、野生ハムスターのHeligmosomoides yorkeiは消化管線虫症それぞれモデルになると考えています。また、Heligmosomoidesといえば、既に、マウスで継代され、実験寄生虫学の領域で使われるポリジルスが有名ですが、これと同属の種が、日本のアカネズミ類には4種います。このうち、H. kurilensisを用いた実験感染では、ほぼマウスと同様な生活史であることが突き止められましたが、病変形成がとても強いことが判りました。病理の系統比較なども検討中です。

6)診断と疫学
   これまで、外来種や動物園動物含め、哺乳類が中心でしたが、ここ数年、鳥類と爬虫類についても調べています。また、動物園や保護センターなどからの寄生虫症診断の依頼も多く、そのほとんどが日本新記録や数十年振りの発見など、症例報告として公表価値のあるものが、続いています。現在、日本産野鳥の寄生線虫類の分類と疫学を中心に博士論文を執筆中の大学院生・中村茂さんが、日本産野鳥とペット鳥の寄生線虫の研究をしています。文部科学省科研費助成として、今年度、「野生動物および動物園動物の保護増殖計画上問題になる寄生線虫症に関する疫学的研究」が採択され、中村君ともども、張り切っています。

7)地域の自然史(誌)および保全生物学の対象としての宿主−寄生体関係
  前段に述べたように、日本に存在する在来種とその寄生線虫類に見られた宿主ー寄生体関係も、歴史的存在であり、生態系レベルの多様性を構成する要素であるということが、お判りいただけたと思います。そのような見方は各地域の自然誌編集の段階で、その地域地域の寄生虫も取り上げようという自治体が登場されました。
 たとえば、「安曇村誌」(長野県安曇村)や「小田深山の自然」(愛媛県小田町)で、それぞれの野生哺乳類の寄生虫について担当しました。また、国立科学博物館、大阪市立自然史博物館、徳島県立自然史博物館、大町市立山岳博物館、利尻町立博物館、根室市立博物館(準備室)、環境省および厚岸町立水鳥舘などの自然史調査の一環に、寄生虫調査も組み込まれ、美しい鳥や昆虫などと肩を並べて、それぞれの地域の自然の中の寄生虫相を探ってきました。
 このような寄生虫の自然史研究の集大成の一つに、目黒寄生虫館(世界で唯一の寄生虫専門の博物館)から発行された「日本における寄生虫学の研究第6巻」への執筆がありました。本来、医寄生虫学の書物ではありますが、誠に嬉しい動きで、励みになります。今後も、日本各地の博物館を拠点に自然史としての寄生虫を調査継続いたします。
 この積み重ねは、「固有の寄生虫も自然界の宝。絶滅させるな!」というような寄生虫保護運動のベースになると、固く信じます。

8)「環境寄生虫学」教育の教材開発
 これは、限りなく教育に近いテーマではありますが、自然史研究の積み重ねは、宿主ー寄生体関係をコアにした環境教育も可能だと考えています。たとえば、野ネズミ類については寄生虫学実習書である「獣医寄生虫学検査マニュアル」(文永堂)に執筆しました。このようなものを活用しつつ、「生きた動物を野外で見せるー>動物の死体を解剖するー>寄生虫を取り出す」といった実習を計画しています。そのための、教材開発にも着手し始めました。  野外実習でバードヲッチングするのは、珍しくない。解剖や寄生虫検査は当然。しかし、これを一連のつながりで、実習させるのは前例がありません。この実習により、動物体内外を行き来する視点が、涵養されることになりましょう。そのような大学は、唯一、我々の酪農大しかありません。
 野ネズミ類の寄生虫に初めて出会ったのは、1981年、私が学部3年生の時に、野幌森林公園で採集したものでした。あれから20年以上経ちましたが、判らないことだらけ。むしろ、研究を続ければ続けるほど判らないことが増えます。しかし、夢は拡がりました。

研究業績(ここ3年間の英語で発表したもの)
1)Tenora, F., Koubkova, B. and Asakawa, M. (2000): Hokkaidocephala baeri (Rausch, 1976) n. comb. (Cestoda, Anoplocephalidae), parasite of Apodemus argenteus (Rodentia) from Japan. Acta Univ. Agr. Silvic. Mendel, Brno, 48: 41-45.
2)Asakawa, M., Barus, V., Tenora, F. and Murata, K. (2000): A scanning electron microscope study of Thelazia (Thelaziella) aquillina (Nematoda: Spirurida) obtained from a captive Ciconia boyciana (Aves). J. Yamashina Inst. Ornithol., 32: 24-30.
3)Nakamura, S. and Asakawa, M. (2001): New record of parasitic nematodes from five species of the order Anseriformes in Hokkaido, Japan.  Jpn. J. Zoo Wildl. Med. 6(1): 27-33
4)Asakawa, M.et al. (2001): Collection record of small mammals in Xinjiang-Uygur, 1998 and 1999 with brief review of its mammalian fauna. Biogeography, 3: 13-31.
5)Asakawa, M. et al.(2001): Parasitic nematodes and acanthocephalan obtained from wild murids and dipodids captured in Xinjiang-Uygur, China. Biogeography, 3: 1-11.
6)Hasegawa, H., Murata, K. and Asakawa, M. (2002): Enterobius (Colobenterobius) pygathrichus sp. n. (Nematoda: Oxyuridae) collected from a golden monkey, Pygathrix roxellana (Milne-Edwards, 1870) (Primates: Cercopithcidae: Colobinae). Comparative Parasitology, 69: 62-65.
7)Asakawa, M. et al.(2001): Parasitic nematodes of pet tortoises in Japan: clinical and ecological view points. In: (Innis, C. and Willette, M. M. Eds.) Proceedings of Association of Reptilian and Amphibian Veterinarians 8th Annual Conference: Joint Conference with the American Association of Zoo Veterinarians, September 19-23, 2001, Florida, USA: 139-143.
8)Hagiwara, K., Asakawa, M. Liao, L., Jiang., Yan, S., Chai, J. J., Oku, Y., Ikuta, K. and Ito, M.(2001): Seroprevalence of Borna disease virus in domestic animals in Xinjiang, China. Vet. Microbiol., 80: 383-389.
9)Oku, Y., Wei, J., Chai, J.-J., Osman, I., Wei, J., Liao, L.-f.,Asakawa, M., Hagiwara, K., Kobayashi, K. and Ito, M.(2002). Meriones meridianus and Lagurus lagurus as alternative definitive hosts of Echinococcus multilocularis and E. granulosus. Exp. Anim., 51: 27-32.
10)Hasegawa, H. and Asakawa, M. (in press): Parasitic helminth fauna of terrestrial vertebrates in Japan. In: (Otsuru, M.et al. eds.) Progress of Medical Parasitology in Japan, Vol. 7, Meguro Parasitological Museum, Tokyo.

教育ー野生動物、寄生虫、そして自然史関連の科目群を担当
 以上述べましたように、野生動物と寄生虫の宿主ー寄生体関係を、分子・個体レベルから個体群や生態系までのレベルで、分子から形態、病理、臨床、生態、進化など側面から研究しています。これを基盤として、以下のような教育活動を行っています。

1)担当科目 次のような科目を本学で担当します
:野生動物学、獣医寄生虫病学実習、生物学実験(「野生小哺乳類の採集」および「野鳥の標本作製とサンプリング」を担当)、疾病の生態学、熱帯獣医学、獣医学演習、研究室実習、臨床獣医学入門(「野生動物の救護に関する意義と問題点」を担当)、哺乳類生態学(環境システム学部の専門科目)、博物館各論I・博物館演習(ともに全学対象)、家畜衛生学(短大部対象で、「寄生虫病」担当)。
これら内容について興味のある方は、大学生協で、前掲の寄生虫検査ハンドブックのほか、「野生動物学講義ノート」、「動物の衛生」(文永堂出版;寄生虫病と野生動物の衛生を担当)などが販売されていますのでご覧下さい。

2)卒業論文
  浅川の研究テーマに沿って、主に、以下の1から3のテーマに関する分野で卒業論文を作成します。

1:野生動物・動物園動物・エキゾチックペット動物の寄生虫(症)の臨床(診断・病理  など)、分類、形態、疫学、生物地理、生態などがメイン

2:寄生虫を指標にして、野生動物の生態(食性、分布など)を知る。あるいは、寄生虫の分布や拡大などに密接に関連する野生動物の行動や生態なども歓迎

3:でも、野生動物(医)学の研究基盤構築に関するものも許容します


 浅川を卒論指導教員として選んでくださった学生さんへは、以下の点を注意事項として守って頂いております。必要な技術、材料入手などを、浅川の指導のみならず、学内外の研究者や動物園獣医師などの協力の下、「研究室実習」として実施します。したがって、個人的な理由によるテーマの断念や変更などは、認めません。協力いただいた諸機関に多大な迷惑がかかり、次回からの協力要請が不可能になるのです。ご理解ください。
 また、これも対外的な部分に関わりますし、犠牲になった動物への報いにもなりますので、卒業論文の内容は、学会誌あるいは博物館紀要などで原著論文(短報含む)の「公表」を義務付けられています。 そして、当該論文で、諸君が第一著者を希望する場合、しかるべき学会(獣医学会、野生動物医学会、哺乳類学会、鳥学会など)に入会しなければなりません(会費を払う)。特に、将来、研究者や動物園獣医師など競争の激しい分野での就職希望者は、すでに公表された業績があること自体、大変有利に働くことになりましょう(「やる気」だけでは、認めてもらえないものですよ)。
 なお、フィールド調査を主体にすると考えられる方は、「普通自動車」、「アマチュア無線」などの免許が必要です。専用無線機を使用するためですが、持っていないと、通話料の高いケイタイを使うことになります。 参考までに、ここ3年間で、各学会雑誌・紀要などに卒業論文が公表された例を紹介します。
1)井手百合子ほか(2000): 有袋目と貧歯目を中心とするペット用輸入哺乳類の寄生蠕虫類保有状況.  野生動物医学会誌, 5(2): 157-162.
2)鈴木由香・浅川満彦(2000): 札幌市内のペットショップで販売されていたヌマガメ科など5科のカメ類における寄生蠕虫類調査−特にSerpinema属線虫の分布について. 野生動物医学会誌, 5(2): 163-170.
3)Nakamura, S. and Asakawa, M. (2001):  前掲
4)松本紀代恵・浅川満彦(2001):北海道利尻島で有害駆除されたウミネコの内部寄生虫調査.利尻研究, (20):9-18.
5)的場洋平ほか(2002): 外来種アライグマ(Procyon lotor)からのコクシジウム類Eimeria属およびIsospora属の初確認とトキソプラズマ抗体の保有状況. 野生動物医学会誌, 7(1): 13-16.

3)野生動物関連の進路
  卒論生の進路として、野生動物・動物園関連に斜里町役場ヒグマ対策班、マレーシア野生動物保護センター、阪神パーク動物園などあります。しかし、このような野生動物関連の職場は、とても少なく、新卒者では無理な場合も多いです。よって、卒業後も、コンタクトして下さい。

4)学生サークル関係
 サークルの教育の一環ですよ。野生動物生態研究会の顧問、アウトドア・ライフ研究会の副顧問です。そちらの方もヨロシク!

エクステンション ー野生動物医学のネットワークの調整業務ほか

 日本における野生動物医学レベルの底上げのためには、子供や一般市民などの日本国民のこの分野における、正しく、基礎的な情報が不可欠です。そして、その基盤となるものが、国民のこの分野における理解度。したがって、市民への啓発普及は不可欠なのです。そのためネットワークは図のようなものになります。ただし、教育・研究との峻別はできませんので、全部一緒に書き込みました。役職として、日本野生動物医学会幹事、北海道アライグマ対策検討専門委員、北海道委嘱事業として水鳥感染症の調査専門委員などがあります。啓発書として「いま、野生動物たちは」(丸善,共著)や「外来種ハンドブック」(地人舘、共著)など。招待講演、マスコミ対応ほか、可能な限り対応しています。以下に、卒論指導学生さんの伝言を掲載します(こういうことも、調整業務ですから)。

日本野生動物医学会学生部会酪農学園大学支部事務局からのお誘い
 野生動物に関わる分野は広範多岐に渡るため、大学の授業だけでは網羅する事が非常に難しい分野です。そのため2001年に野生動物関連の活動をこころざす学生が集まり、その活動をバックアップしていくためのシステムを構築しはじめました。酪農学園大学支部の事務局は獣医寄生虫学(野生動物学)に置かせてもらっています。今のところ勉強会の開催(研究発表・実習報告・輪読会など)や野生動物に関する情報の共有化などを行っています。学生部会について詳しく知りたい、参加してみたいという方はこちらをご覧下さい。(文責:的場洋平)

おわりにー最新情報
 浅川ですが、2000年10月から1年間の英国London大学Royal Veterinary College およびLondon Zooにおける野生動物医学と寄生虫病に関する研究留学を終え、多数の研究成果とともに、この分野では欧米でもっとも権威のあるMSc in Wild AnimalHealth(野生動物医学修士)の称号獲得しました(この不在期間、多くの皆様には大変ご迷惑をおかけしました。お詫びします)。ちなみに、日本人では3人目の授与者で、日本の獣医大教官・教員では初めてです。
 また、帰国早々、国の天然記念物マガンからのマレック病腫瘍病変、道立野幌森林公園産タヌキからの疥癬などが発見され、超多忙です(時に、疲れが顔に出ており不愉快な思いをさせますが、これもお詫びしておきます)。が、これも日本における野生動物医学のインフラ創りの起爆剤と、ポジテイブに捉えています。そのような背景から、動物園動物や野生動物に興味を持つ学生が、教室所属の如何を問わず実験室に出入りしております。興味のある方々は、どうか、浅川か、あるいは直属の卒論生に声をかけてください(可能な限り、私はともかく、彼らは機嫌よく対応するはずです)。以上