(最終更新日:2012/01/09、初版:2008/??/??)

カルマン症候群とは、性腺機能不全と嗅覚異常の合併症です。

国の難病に指定されており、平成21年10月1日から、公的負担制度の対象となってます。

この病気になっている人は比較的多く、

世界的に見て1万人に1人。

日本人男性で限定すれば、5万人に1人と言われています。

 

1.具体的にはどんな病気なの?

カルマン症候群をざっくりと説明いたしますと、

男性ホルモンの一つであるテストステロンと精子を

自力で作ることが出来ない上に、

臭いが分からないという嗅覚症状を併せ持った、合併症のことです。

テストステロンとは、身体に対し「男性らしい体つきを作れ」という命令が入ったホルモンで、

思春期から活発に分泌され、男子は成人男性らしい体つきになっていきます。

詳しい説明はググれば分かると思うので省きます。

普通の人を図で描くとこんな感じです。

 

 

脳には視床下部と呼ばれる部分があります。視床下部から、下垂体と呼ばれるところに、「睾丸にテストステロンと精子を作らせるようにするホルモンを作れ」というホルモンを分泌します。そのホルモンを「LH-RH」と呼びます(水色の吹き出し)。

これを受けた下垂体は、睾丸に「テストステロンと精子を作ってくれ」と命じます。テストステロンを作る命令が入ったホルモンが「LH」、精子を作る命令が入ったホルモンが「FSH」です。この2種類のホルモンを睾丸に送ります(ピンクの吹き出し)。

睾丸はこの2つの命令を受けて、テストステロンと精子を作ります。なお、LHのみしか受け取らなかった場合はテストステロンしか作られません。FSHのみしか受け取らなかった場合は・・・分かりません。

 

 

左の図はカルマン症候群の場合です。普通の人とカルマン症候群の人の違いは、視床下部から下垂体へのLH-RHを作り出す機能が働いていないという点です。

LH-RHがないため、下垂体はLHやFSHを作ることが出来ず、睾丸もテストステロンや精子を作ることが出来ません。また睾丸は働く必要がないためか、萎縮状態でして、とても小さく膨らみがありません。

嗅覚異常について。臭いを判断するところは、視床下部のLH-RHを作っているところにすごく近いところです。カルマン症候群の人は視床下部のその部分が働いていないため、せっかく鼻が正常でも臭わないのです。

視床下部の機能が働かない原因は、遺伝子です。かといって、僕の親、祖父母と、直近の親類にこの病気だった人はいないです(いたら子供産めないし)。この遺伝子は人間の劣勢遺伝子らしく(でも誰もが持っているわけではなく)、たまたま僕が巡り会わせで偶然その遺伝子を強く持ってしまっただけなのです。

また、視床下部は脳の裏側なので、視床下部を治療することは現代医学では不可能です。不治の病です。

 

カルマン症候群について、分類を図で描くとこんな感じでしょう。

ゴナドトロピン分泌異常症というものは、国の難病に指定されたものです。その中に性腺機能不全と呼ばれるものがあり、その中にカルマン症候群があります。

ちなみに性腺機能不全は類宦官症とも呼ばれます。これは、両腕両脚が普通の人に比べ極端に長い人の症状です。

 

2.カルマン症候群の人あるある

僕の経験や偏見も含んだ、カルマン症候群の人の治療前の特徴

簡単にまとめてみました。

要点 内容

嗅覚がない

鼻の機構は正常だが、脳が判断しないことによる。しかし生まれつき嗅覚がないため、自身がカルマン症候群だと分かるまでは、嗅覚異常の自覚がないまま生活している人が多い。普通の人は信じられないかもしれない。
そのため食事において風味が分からない。料理の焦げや火事などといった臭いによる身近な生活の危険も判断できない。アンモニア等の刺激臭も分からないが、刺激臭を嗅ぎすぎて後で気持ち悪くなったりする。
なお、鼻の機構が正常なため、湿布のアルコールやお寿司のわさび等のいわゆる「刺激」は分かる。

味覚は正常 もしかすると自覚が無いだけで、むしろ普通の人より敏感な人が多いかもしれない。
普通の人が突然嗅覚を失うと、一時的に味覚を失う、あるいは弱まるという話を聞いたことがあるが、カルマン症候群の人の場合は生まれつき嗅覚が無いため、味については普通に判断できる。
マイクロペニス ペニスが極端に小さく、性交が不可能である場合を言う。性的興奮による勃起はする人としない人がいるが、僕は勃起した。
性交には5センチは必要とのことだが、僕の場合勃起して3センチ弱、直径1センチも満たなかった。
精通がない FSHがないため、精子が出ない。よって子供ができない。
思春期がない テストステロンがないためである。よって、反抗期もこない。声変わりもしないため電話対応では女の子と間違えられる。いくらトレーニングしても筋肉も体力も発達しない。無駄毛も陰毛も生えない。体つきが、なよっとしている。
身長については後述する。
成長ホルモンは正常

テストステロンはないが成長ホルモンは正常のため、身長は伸びる。しかし普通の人は10代後半に身長が伸びるのに対し、カルマン症候群の人は20代になってからの人が多い。伸びる場所も胴はあまり伸びず、両腕両脚ばかり伸びる(類宦官症)ため、体のバランスが悪い。
成長ホルモンが出続けているため、20代後半になっても身長の伸びも止まらない。骨密度が薄くなるため骨折しやすい。

童顔 テストステロンがないため外見は老けない。いつまでも若く見られる。しかし体は確実に歳を重ねている。歳相応の体つきをしていないため、明らかに体が無理しているのを実感できる(子供の筋力体力で大人の身長並の体を支えているから)。
マイナス思考

これは人によるかもしれない。
テストステロンはプラス思考を促す効果があるが、テストステロンがないためマイナス感情むき出しになる。更年期障害のうつと同じ感じで、いつまでもくよくよする。

性欲が低すぎる 睾丸が萎縮しているため。エロ本見ても、エロビデオ見ても、あまり反応がない(あ、そう程度)が、なぜか僕は勃起する・・・。エロを見たいという感情は普通の人と比べて極端に低い人は多い。
また嗅覚がないため、女性フェロモンが分からない。恋愛に疎い要因の1つ。
合併症 僕はなかったけど、聴覚障害、視覚障害など、それ以外の障害との合併に陥りやすい。
誰かと一緒のお風呂が苦手 これも人によるかもしれない。
上述のとおり体が普通と違うため、恥ずかしさから温泉・銭湯が苦手な人が多い。
前立腺がんにならない 前立腺が未発達のため、前立腺がんには絶対にならない。

 

3.治療方法は?

僕が今やっている治療方法が一般的だと思うので、それを紹介します。

それはLHとFSHを皮下注射で打つこと。

LHの代わりとなるもので同じ働きをするホルモンがhCG、

FSHの代わりとなるもので同じ働きをするホルモンがhMGです。

 

まずはhCGを打ってテストステロンを生み出し、

思春期を起こし体を大人にします。

同時に睾丸が大きくなります。

ある程度睾丸が大きくなったら、hMGを打ちます。

そうすることで精子を作ることが出来ます。

 

ちなみにテストステロンもFSHも消耗品。

hCGもhMGも打つのは週に2〜3回程度必要です。

皮膚は注射を打ちすぎると硬くなるので、

それを避けるために、腕・お腹・太もも・お尻に打って順番に回しています。

金銭的には、hCGは1回600円前後、hMGが1回3000円前後の、大体3600円前後。

これだけでも月に3万円ぐらい必要です。

また、睾丸はテストステロンが体内に出来すぎると逆に萎縮して

2度と子供が産めない体になってしまいます。

これをネガティブフィードバックと言います。

睾丸は、テストステロンがありすぎても足りなくても萎縮するのです。

そこで2〜3ヶ月に1回血液検査をしてテストステロンの量を調べ、hCGの量を調整します。

血液検査の金額だけでも5千円必要です。

まぁ仕方がないですけどね。

あと注射をいつまで打つかですが、

FSHは子供産んだら別にいいのですが、

テストステロンは基本死ぬまで必要です。

 

子供を産む必要はないよっという人は、

テストステロンのみを皮下注射するという手段があります。

これなら月単位で1〜2回。1回の注射で500円ぐらいと安くいけますが、

前述のネガティブフィードバックが起こり睾丸が萎縮します。

人生設計において子供が必要かどうか、よ〜く考えた上で

テストステロンのみにするかどうか結論出したほうがいいと思います。

 

僕は結婚したいし子供がほしいので、

hCG、hMGに頼ってます。

 

嗅覚は残念ながら治療する方法がありません。

一生臭いが分からないまま過ごすことになります。

 

(平成22年2月追記)

平成21年10月1日から、公的負担制度の対象となりました。

僕は岐阜県在住で、岐阜の話しか分かりませんので、

岐阜県の情報を書かせていただきます。

公的負担制度とは、「患者が病院に払う医療費に1ヶ月ごとに上限を設け、

もし医療費がその上限を超えた場合は超えた分を行政が負担する」というものです。

その上限を「自己負担限度額」といいます。

ただし、自己負担限度額は病院ごとに同額設定されています。

つまりどういうことかといいますと、

例えば病院Aでは週2〜3回注射のために通院し、病院Bでは月1回血液検査をし、

自己負担限度額が1120円の場合、

Aの医療費が月合計3600円、Bの医療費が1回5000円だとすれば、

AもBも上限が1120円であるので、2つの病院で1ヶ月分で合計2240円で済むということです。

この場合Aでは1120円を超えた時点で、それ以降の通院は無料となります。

もう1つ例を出しますと、自己負担限度額が1120円で、

病院Aの1ヶ月の医療費が1000円、病院Bの1ヶ月の医療費が4500円ならば、

Aは上限に達していないので1000円、Bは上限に達しているので1120円で済み、

2つの病院で1ヶ月分で合計2120円(1000+1120)ということになります。

 

自己負担限度額は毎年の確定申告や源泉徴収票で分かる所得税課税年額で決まります。

所得税課税年額とは、源泉徴収票にある「源泉徴収税額」や、

税務署で発行される「納税証明書その1」にある「外源泉徴収税額」にあたります。

くわしくはこちらのページの一番下の表を見てください。

 

これにより、カルマン症候群に関する治療であれば、

毎回の注射(hCG、hMG、テストステロン)、血液検査等の費用が、

治療する各病院ごとで、1ヶ月の支払う上限が自己負担限度額で済むことになり、

経済的にだいぶ楽になります。

 

この公的負担制度は、カルマン症候群(というより、ゴナドトロピン分泌異常症)であれば誰でも受けられます。

ただし申請方法は都道府県によって異なりますので、ご注意願います。

 

またこの制度は、以下の条件があります。

そして制度を利用するのに一番大切な条件があります。

それは「申請する際、登録する病名は、ゴナドトロピン分泌異常症ではなく、下垂体機能低下症である」ということ。

ゴナドトロピン分泌異常症と下垂体機能低下症は違うと思います。

違いは、素人目線でごめんなさい、

というイメージしかないです。

しかし、今まで「カルマン症候群はゴナドトロピン分泌異常症の1つ」と説明しましたが、

なぜか行政からは「この制度を利用したいのなら、ゴナドトロピン〜ではなくて、下垂体機能低下症として申請しろ」

と言われます。

理由も聞いてみたらよく分かりませんでした(←しかも理由の内容も忘れた。よく分からないという印象だけはある)。

もしかしたら医学と法律の定義の違いなのかなと思ってます。

治療方法でみるとカルマン症候群は下垂体機能低下症の一部と同じですし、自己負担限度額の上限も同じですから

別にそこはこだわらなくていいやと思って

僕は下垂体機能低下症として登録しました。

 

条件や岐阜県の申請については、以下を参照してください。

難病センター

  1. 下垂体機能低下症
  2. ゴナドトロピン分泌異常症
  3. 申請方法

ぎふ難病情報センター

でもこの制度、大変ありがたいのですけど、

いつまで続いてくれるのか不安です。

 

4.今後の問題点

今僕が直面している問題点を書きます。

  1. 職場の人間がこの病気を受け入れてくれるか
  2. 20代後半からの治療で無事思春期を迎えられるか
  3. このハンディで結婚できるか(恋愛・結婚のパートナーが受け入れてくれるか)
  4. 産んだ子供にカルマン症候群の影響が出るのか
  5. 金銭面ではどうか公的負担制度によりほぼ解決か?
  6. 寿命はどうか
  7. 自己注射はできるか

思いつくだけでこれぐらいです。

それはまた、次のページで問題点をダラダラ書いていきます。

とりあえず「カルマン症候群とは」についてはこれでお終い。

 

 

戻る

 

更新履歴

初版:2008/??/??
2版:2010/02/??(公的負担制度追記。挿絵の編集しなおし)
3版:2011/02/07(リンク切れの貼りなおし)
4版:2011/01/09(カルマン症候群の人あるある編集しなおし)