
「モルモンフォーラム」創刊にあたって (1988年夏季 創刊号)
この雑誌「モルモンフォーラム」創刊号を発行するに際し、その趣旨を述べてみたい。本 誌は、モルモン教会に関心を持つ人々を対象とした、独立した雑誌である。内容としては、モルモン教に関する学術、情報、日本人の教会員による文芸の記事を 扱っていく予定である。
1967年 に「高価なる真珠」に出てくるエジプトのパピルスが発見されてすぐ、ヒュ−・ニブレ−は「高価なる真珠の新研究」と題する連載記事をエラ誌に掲載した。そ して、その末尾でニブレ−は、「モルモン教徒はもともと研究の苦労をいとわず、聖典の研究のために入手し得る資料は全てこれと取り組む姿勢であった」と述 べ(エラ誌1970年5月号、p.91)、 カートランドの預言者の塾でギリシャ語、ラテン語、ヘブル語が取り上げられていたことを読者に想起させている。またモルモン経や「高価なる真珠」を世に紹 介していわば先に試合を申し込んだのはモルモン教徒の方であって、末日聖徒は試合(意見のやりとり、そのための研究)を続行する責任がある、と呼びかけて いる。
モルモン教徒は、「最も善き書より智恵ある言葉を探し求めよ。また正に研究と信仰によ りて学問を求むべし」(教義と聖約88:118)という精神に沿って教育と学問に熱心で、真理の探究が奨励されている。そこで、モルモ ニズムの教義と歴史の学術的取り組みを、第一の柱とする訳である。
人は誰でも自分の置かれている状況を知りたいと望む。上記の真理の探究に関連するが、 モルモニズムに関連する重要な論文や記事、あるいはできごとの情報は、米国 で、英語で入手することはできても、分量や入手経路の問題もあって、日本ではなかなか手に入らない。そこで、本誌の役割の一部は、 モルモニズムの中心であるユタ州における情報を、適宜要約し伝えることであ る。
第三に、宗教は信仰者が実践するものであることに鑑み、日本における今日の信仰者の姿 が、詩、短歌、エッセー、小説、脚本などの文芸の形で表現される時、これを掲載していきたいと希望している。日本人の国民性や日本の文化と モルモニズムとの関連について、またその他日本固有の問題についても取り上げ ていきたい。さらに、日本の教会史にかかわる記事も随時掲載したい。
雑誌の名前「モルモンフォーラム」は、上記の三つの面やその他 モルモニズムに関連して、読者や論者が意見を交換する場としたいので、古代 ローマの都市で取引や集会が行われた広場(フォーラム)にちなんで「モルモンフォーラム」と名づけた。 モルモニズムに関心を持つ方々や読者の参加を大いに歓迎します。
今やモルモン教徒はユダヤ人の人口に並び、越えようとしているとい う。また、確かに日本では、回教徒の人数より多いことであろう。人々が信じていなくて も、コーランやユダヤ教文書を手に取って読み、調べるように、今やモルモン経や「教義と聖約」も教会外の人々が注目し、手に取って読む時がすぐそこにきて いると言えよう。そのような時期にあって、本誌がささやかであっても、教会内外の人々に何らかの役割を果たしていくことを切望するものである。読者の暖か い協力と忌憚のないご意見を衷心よりお願いしたい。