いちご100%二次創作小説完結編
東城Ver


〜ひき合う心、すれ違う想い〜

すっきりと晴れ渡った空。雲一つ無い青空が梅雨の終わりを告げていた。
気温は高いが湿気はない。多少ほこりっぽい気もするが、時折吹く心地よい風がそんな不満をかき消す。
7月中旬のとてもよい日より。思わずこの空気に包まれて寝てしまいたい―――――。

ビシッ!

そんな平和な空気を一瞬にして引き締める白い弾丸。
その弾は見事狙っていた人物に命中した。

「った〜〜〜〜〜・・・。」

2年4組、この陽気に耐えられなくなり熟睡してしまっていた真中淳平である。

「わたしの授業で寝るとは良い度胸だな、真中淳平!またR指定でも見てたのか!?」

先に書いた白い弾丸の正体は巨乳美人ティーチャーとして有名な黒川先生の投げたチョークだった。

「次のテスト1割引だからな!」

「ゲッ・・・」

その後の授業、真中は今までにない積極性で発言、挙手をした。

10分間休憩。
「おー真中ぁ。今日の授業、えらいはりきってたなぁ」

「うるせぇ。1割引って言われたらいやでもやんなきゃしょうがねぇだろ。90点とっても81点になるんだぞ!?」

「まーな」

人を多少バカにしたように笑う少年。学年トップながら裏の顔は(裏でもなくなってきてるが)美女、美少女を追いかける外村である。ちなみに彼の瞳を見たものは親類以外にいないという・・・・。
外村はハハッと笑うと双眼鏡を持って、外村の言う2,3年のお姉さま方の体育をのぞき始めた。

ったく・・・・

そんなことをブツブツ思いながら真中は授業中見た夢を思い出した。

――真中君、私、もういいや。恋するの疲れちゃったよ・・・。別れた西野さんとも仲良いみたいだし・・・――

自分を過去として切り捨てるかのような台詞。叫ぶ自分の背を向け暗闇の奥へと消えてゆく東城。短い夢だったが真中の心に不安を残すには充分なものだった。

ハァ・・・

真中は小さくも重いため息をついた。

−さつきも西野も、唯はオレのこと好きなんかわからんけど良い奴だ・・・。でもオレはさつきからはもらうばっかり、別れた西野とはまた最近仲がいい・・・。このままじゃ3人に失礼だよな・・・−

そして頭に浮かんだ1人の少女。

−やっぱりオレは−

キーーーーーンコーーーーーーンカーーーーーンコーーーーーーーーン

そこまで考えたところで真中の試行は4時間目へと続くチャイムによって消されてしまった。

2年6組。天地と東城がいるクラス。すでに4時間目に突入していた。

「・・・・さん。東城さん!」

「は、はい!」



窓の外を何気なくボーっと見ていた少女に声がかかった。
東城綾。豊かな胸に可愛らしい容姿で男子生徒に高い人気を持つ。嫌味のない性格なので女子からも好かれている。ほぼパーフェクトな美少女である。ただ一つなんがあるとすれば天性の天然ボケ・・・それもまたツボなのかもしれないが。
成績優秀で授業中にボッとすることなど普段ならないのだが・・。

「めずらしいわね、東城さんがボーっとしてるなんて」

「す、すいません!」

東城はあわてて謝ると、空を見ながら考えていたことをひとまず中断し、授業に集中した。

昼休み。

「綾さん!ここの問題教えていただけませんか!?」

そのルックス、性格(フェミニスト)で他の女子には多大なる人気を集めている天地。しかし東城にはあまり相手にされてないように見える。そんな天地が教科書を片手に近寄ってきた。

・・・・・・

東城からはなにもかえってこない。授業中と同じように外を眺め、なにか考え事院ふけっているようだ。

「綾さん?」

天地が東城の顔の前に手を出して振ってみる。それでようやく反応したかのように東城はハッとふり返り天地の方を見た。

「大丈夫ですか?具合が悪いなら僕が保健室に・・・」

「ううん、なんでもない。心配かけちゃってごめんね。ちょっと考え事してただけなの」

天地の親切をあわてた笑顔で断り、1つため息をついた。天地はその間をじっと見ている。しばらくして沈んでるように見える東城に声を掛けた。

「また、あの真中のことですか?」

東城はまたハッとした。たしかにそう・・・。
最近、元恋人だった西野との関係も別れたことを感じさせないようになっており、真中のことを好きだとアピールし続けているさつき・・・。

−私も真中君が好き・・・−

しかしそんなこと天地に言えるはずもなく、笑顔で

「ううん!そんなことないよ!この問題はここの例題と一緒だから、1回解いて持ってきてみてよ」

そう言って天地が離れていくと東城はまた落ち込んだような表情になってしまう。

−真中君、私のことどう思ってるだろう・・・−

やたらうるさいチャイムと共に、5時間目の授業担当の先生が教室に入ってきた。


放課後です。やたら早い展開には突っ込まないように。話を続けます。

「真中!一緒に帰ろう!」

「うわっさつき!」

真中が帰ろうと準備を進めていたところに、巨乳な美少女がのしかかってきた。
薄くピンクががっているように見える茶色の髪。つり目気味ではあるがそれもまた美人の要素を引き立てている。活発で真中大好きな17歳、美少女北大路さつき。
彼女は東城、西野、唯、達、真中のことが好きな者のなかでも1番アピールの過激な子である。
抱きつかれ、頭にGもある巨乳が覆い被さってきたことにより真中赤面。頬を赤く染めながらさつきを離すと、東城の方をチラッと見て言った。

「今日はちょっと用事があるから・・・」

「あぁん、そんなこと言わないで、ダーリンv」

真中はまた東城を見る。

−今日こそは・・・・−


「ふぅーん、とうとう東城さんに告白するんだ」

さつきが素っ気なさそうな態度でぼそっと言った。幸いクラスにいた人間は東城を取り囲む友達と真中とさつき以外ほとんど誰もいない状態だったのでさつきの台詞は誰にも聞かれずに済んだのだが。

「バッ・・・・そんなんじゃ・・」

否定しようとしてハッと思った。

−このままさつきにも中途半端なままじゃいけないよな・・・−

そう思って一呼吸置くとさつきを誰もいない廊下へと連れだした
そして正直に自分の決断を告げる。しっかりと正面のさつきを見据えて。

「・・・さつき・・今までありがとうな。今日オレは東城に告ろうと思ってる。でも・・これからも映研として友達として・・・」

真中はさつきの表情を見てドキッとしてしまった。泣いてはいないのだが今にも泣きそうな切ない笑顔。そしてさつきは口を開いた。

「そっか・・・結局東城さんには勝てなかったんだな、あたし。でも真中がちゃんと答えだしてくれて良かった。これからも多分あたし真中のこと好きだからよろしくね!」

さつきは一気にそう言うとすぐに走って教室に戻りカバンを持って走り、廊下の向こうへと去っていく。その間、真中は廊下の元いた場所に立ちっぱなしだったのだが、ドアを開け走り去るさつきとすれ違った瞬間、一瞬さつきが泣いてるように見えた。

「ごめんな・・・さつき」

いろんな物をくれたさつきへの、謝罪とお礼の意味を込めた台詞だった。

そのあとすぐに真中は教室に戻り、荷物を持つと、まだ東城が教室の中にいることを確認。そしてすぐに下駄箱へと向かった。そして東城の下駄箱へ小さなメモを1枚入れると自分が告白の場に選んだ場へと向かった。

「あら?なにかしら、この紙」

二つ折りになっていた紙を開け、内容を読んで東城はハッとなり、その紙に書かれた場所へと走り出した。

−大事な話がある。中学校の屋上に来てください−


今日はあの日、東城の姿をはじめて見たときと同じ夕焼けだった。赤く染まる空、燃えるような太陽。

「東城・・・来てくれっかな・・・」

真中は柵にもたれ、夕焼けを見ながらつぶやいた。


−・・・はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・−

東城は息が切れていることも忘れ、走っていた。

−真中君、なんの話だろう。大事な話ってもしかして・・・−

東城は大きな期待とそれに比例した不安を抱えて真中の待っているであろう、屋上へと向かう。

真中が東城を待つこと10分。真中はいよいよクライマックスを迎えようとしている夕日を相変わらずボーっと眺め、思っていた。
夕日をバックにして映える美少女。その子の正体は地味なクラスメイトだが同じ志をもつ少女だった。
そのころから自分の生活はかわった。勘違いから始まった恋や、積極的なアプローチで迫ってくる美少女もいた。幼なじみとの再会、同居、逃避行・・・。
しかし今自分はその出来事に終止符を打とうとしている。

−自分の選択は間違っていないのだろうか。もしうまくいったとしてその先、その女の子を幸せにできるのだろうか。自分だけ幸せになろうというのは都合が良すぎるのではないだろうか−

不安はたくさんある。そしてこれからも尽きないであろう。しかし自分は決心した。
1人の少女と共に、己の夢を追うことを。

そこまで考えを馳せたこところで背後からキィっとさびた金属がこすれる音がした。
真中の心臓が跳ね上がった。
そこに立っているのはあの日、空から降ってきた少女。


「東城―――」

真中は少女の名を呼んだ。息を切らせ、肩が大きく上下に動いているが目線はこっちを向いている。
そして東城がゆっくりと近づいてきた。しかし最初こちらを向いていた目線は近づくにすれだんだんと地面へと落ちていき、最後には真中から東城の顔は見えなくなる。真中の心臓も東城が近づくたびに鼓動が大きくなっていった。

「真中君、大事な話って・・・なに?」

東城は下を向いたまま訪ねた。その顔は夕焼けのせいもあるのかもしれないが紅潮して見える。いや、完全に顔は赤く染まっている。

そんな東城とは逆に真中は東城をしっかりとみていた。同じ所は顔が赤く染まっているところ。真中の心臓は限界点に達した。
声が震えそうになる、膝も笑いそうだが必死にこらえる。意を決し、真中は東城へと言った。

「東城・・・・オレは東城のことが好きだ。はじめて屋上で会った日から・・・。その時はその子が東城だってわからなかったけどクラスにいた東城にはだんだん惹かれていって・・」

そこまで言ったとき、東城が泣き出していることに気付いた。

「あの・・・東城?」

下を向いている東城の顔をのぞき込むと必死にワイシャツで涙をふき取っている。
そして聞こえるか聞こえないか位の小さな声で東城が言った。

「ありがとう・・・・ありがとう・・・・」

小さな声だったが真中の耳にはしっかりと届いた。
真中はそんな東城を愛おしく、そして今までつらい思いをさせてきたことを再び実感。
東城は震える声で言った。
「ありがとう、真中君。これからよろしくお願いします」

最高の笑顔と共に真中にとって最高の返事が返ってきた。
そして再び涙を吹き出す東城を真中は優しく包み込んだ。
東城も真中を自分に引き寄せるように抱きしめ返す。
まだ残っていた涙が真中のワイシャツを濡らしている。東城は真中の胸に顔を埋め、今叶った幸せをかみしめた。
しばらくすると東城が顔を上げ、真中を見つめ,微笑んだ。
美しい夕日に負けない笑顔。真中はその美しさにしばし見とれてしまった。
そして真中は東城の唇に自分の唇を重ねた。
最初東城は驚きの表情をしたが、すぐに真中からのキスを受けとめ、目を閉じる。
それは長い長い恋の終着。
深くて甘いキス。
そのキスに東城は永遠の愛を感じた。それは真中も一緒であろう。

そして東城の頬を幸せを示す一筋の涙が伝った。



10年後。若い夫婦が映画のロケ現場にいた。立場は夫が監督、妻は脚本家。
新人監督の挑戦として大きな話題を集めたその映画のタイトルは少年と少女達の青春ラブストーリーを描いたラブコメディ。

「いちご100%」






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