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ランメルモールのルチア






オペラ・データ

【作曲】
ガエターノ・ドニゼッティ(1835年)

【初演】
1835年9月26日 ナポリ、サン・カルロ劇場

【台本】
サルヴァトーレ・カンマラーノ(イタリア語)

【原作】
ウォルター・スコットの小説『ランマームーアの花嫁』

【演奏時間】
第1部全1幕 40分
第2部第1幕 40分
    第2幕 50分  合計 約2時間10分



あらすじ

【時と場所】 
17世紀、スコットランド

【登場人物】
ルチア(S): 領主エンリーコの妹
エドガルド(T): ルチアの恋人、エンリーコの敵
エンリーコ(Br): ランメルモールの領主、ルチアの兄
アルトゥーロ(T): ルチアの婚約者
ほか

【第1部】
時は17世紀、舞台はスコットランド。ランメルモールの領主エンリーコは、その権力を盤石なものとし宿敵に対抗するため、自分の妹ルチアを、裕福な貴族アルトゥーロと政略結婚させようとしていました。しかし、ルチアは、かつて雄牛に襲われたときに救ってくれた騎士エドガルドと愛し合っていました。この騎士エドガルドこそ、ルチアの兄であるエンリーコの宿敵だったのです。
ある夜、庭園で騎士エドガルドはルチアと会っていました。そのとき彼は、争いをやめてエンリーコに結婚を許してもらおうと提案します。ルチアは、兄の様子からそれにはまだ早いと言います。二人は指輪を交換してお互いの愛を誓い合い、その場を離れました。
 
【第2部第1幕】
領主エンリーコは、エドガルドからルチア宛の手紙を、途中で奪うことに成功しました。そして、その手紙を書き換えたのです。
ルチアがやってきたとき、エンリーコは裕福な貴族アルトゥーロとの結婚を強要します。自分には愛する人がいると訴えるルチアに、エンリーコは偽の手紙を見せます。そこには、エドガルドがルチアのことを裏切る内容が書かれていました。動揺し、落胆したルチアは、兄エンリーコの言われるままに結婚式に出席し、皆の前で結婚契約書に署名してしまいます。
ちょうどその時、式の会場にエドガルドが配下を従えて飛び込んできます。そして、ルチアを奪おうとしたとき、結婚契約書を見せられます。ルチアの署名を見て裏切られたと思い込んだエドガルドは、激怒して交換した指輪を投げつけました。そして、悲しみに崩れ落ちるルチアを背に、エドガルドは去っていきました。
 
【第2部第2幕】
荒れ果てたエドガルドの住処に、エンリーコが訪ねてきます。そして決闘を申し込みました。エドガルドは、夜明けに墓地にて落ち合うことを受け入れます。
一方、結婚式では祝宴が続いていましたが、ルチアが発狂して新郎のアルトゥーロを刺し殺してしまったことが人々に伝わります。そこへ、純白の花嫁衣装のルチアが、手を血で汚した姿で、人々の前に現れます。ルチアは狂乱し、悲しみと混乱の中で息を引き取りました。
夜が明け、墓地に現れたエドガルドは、ルチアが死んでしまったとの知らせを受けます。絶望したエドガルドは、天国での再会を願いながら自らを短剣で刺し、ルチアの後を追ったのでした。



解説(ポイント)

【1】 ルチア「狂乱の場」
 
『ルチア』と言えば、イコール「狂乱の場」とされるほど、第2部第2幕に評判の場面があります。ルチアが悲しみと絶望のあまり錯乱して、最後には死んでしまうというこの「狂乱の場」は、このオペラが作曲された時代、つまり19世紀前半にイタリアで流行したもので、『ルチア』はその流行の頂点の作品であり、現代まで残った数少ない名作のうちの一つです。当時の人々は、厳しい現実の中で、現実的でないもの、ロマンティックなもの、幻想的なものに強く惹かれ、それを劇場に求めていました。
 
【2】 プリマ・ドンナの晴れ舞台
 
「狂乱の場」はヒロインであるルチアの聴かせどころで、長大な場面です。そのため、このルチアを歌う歌手の力量に、このオペラの成功の全てがかかっていると言っても過言ではありません。それが「プリマ・ドンナ」オペラと呼ばれる所以でもあります。「美しい声」と訳される「ベル・カント唱法」は、オペラを歌うためのイタリアの正統な発声法のことですが、このベル・カント唱法を駆使して、ルチア役の歌手はこの「狂乱の場」を見事に歌い上げます。そしてこの後、ヴェルディの出現によって、イタリアでは新しく劇的な表現を主体とする発声法が形成されていきます。
 
【3】 ロマンティックな歴史物語
 
このオペラは、速筆のドニゼッティにしては珍しく、作曲するのに6週間もかけました。ところが、せっかく上演しようとしたところ、この頃、劇場が赤字続きだったため、稽古が思うようにはかどらなかったようです。しかし、初演してみると、オペラは大成功を収めました。スコットランドを舞台とした歴史小説をもとに、政略結婚やかなわぬ恋が描かれ、現在でも十分納得のいくストーリーであり、「狂乱の場」だけではなく、大規模なフィナーレや、その中で歌われる主要キャストによる六重唱など、名作の名にふさわしく聴きどころも多くあります。



おすすめディスク

【CD】
ボニング指揮
ロンドン交響楽団、アンブロジアン・オペラ合唱団
グルベローヴァ(S) シコフ(T) アガーケ(Br)
(録音1991年、TELDEC)
 
現代のプリマ・ドンナと言えば、やはりこの人、エディタ・グルベローヴァが筆頭に挙げられます。いくつかの録音がある中、新しい録音を選択。熟練の技を堪能できます。周りを固める歌手も良い出来。


【CD】
マッケラス指揮
ザ・ハノーヴァー・バンド、ロンドン・ヴォイセズ
ロスト(S) フォード(T) マイケルズ=ムーア(Br)
(録音1997年、SONY CLASSICAL)
 
初演版に1874年の改訂版のいいところだけを取り込んだミンコフスキ盤。バランスが良く、しかもおいしいというわけで、このオペレッタの決定版になりつつあります。このDVDでは最高の歌手たちが集まっており、必見です。


【DVD】
ランザーニ指揮、グリゾストミ・トラヴァリーニ演出
東京フィルハーモニー交響楽団、藤原歌劇団合唱部
デヴィーア(S) アルバレス(T) ブルゾン(Br)
(録音2004年、LA VOCE)
 
グルベローヴァと双璧を成すマリエッラ・デヴィーアのルチア。絶対的な安定感で安心して聴くことができます。ブルゾンの柔らかい声も健在。新国立劇場2002/2003シーズンで公演された『ルチア』と同様の演出で、その視覚的効果はすばらしく、オペラ入門者におすすめしたいディスクです。メイン・キャストのインタビュー付き。







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