渓流つり
渓流釣り序章
私の渓流での魚つりは、同じところに座ってたばこを吸いながら糸を垂れて、魚が回遊してきて、えさを見つけ咥えた時に釣るというような、池、湖などでする釣りとはまったく違います。魚の居るところに積極的に攻めていって(川を登りながら)糸を垂れ、えさの欲しがっている魚を探して釣る釣り方になります。
従って、川歩きなどの技術と体力が必要となりますし、行く場所によっては、登山の技術も要求されます。また、時に雨などのより、急に水量も増えることがあり、その時は岩魚と同じくらい臆病になって、早々と引き上げるのです。
私の釣りは今や”幻の魚”と言われている”岩魚”ばかりを追いかけている”釣り”なのです。岩魚は蛇を食べるというくらい獰猛ですが、一方では非常に臆病な魚です。一度人の気配を感じると、水の奥深い巣(エゴという)にもぐってしまい一日外へ出てこないほどです。
この付近にはたくさん生息しているところはありますが、決して乱獲はしません。

天然の岩魚(北アルプス西の渓谷)

北アルプス東の渓谷の岩魚(ある奥深い沢の源流)
(私には沢によってどうしても岩魚の顔つきが違うような気がしてなりません、どちらかというと北アルプスの東側の岩魚のほうが顔つきがやさしく整っているのです、、)
岩魚はどこにいる
私の一番のHOME GROUNDは北アルプスも一番山深い”黒部五郎岳”の近くです。まだ自然が多く残り、人気はほとんどありません。
滝の高巻き、薮こぎなど結構体力的にきついところもありますが、春には途中で、”タラの芽”、”コゴミ””山うど””ワサビ”といった山菜があちこちに顔を出しています。また、秋には”キノコ””山ぶどう”などが取れます。時にはカモシカ、猿、テンが顔を見せます。但し、熊も生息しています。
ある時、帰りにばったりと二匹の子連れの熊に遭ってしまいました。お互いに気がついてしまい、熊がこっちに向かって走ってきたときは、どうなるかと思いましたが、私の釣りの師匠が自分のリックを3メートル位のところで投げたとたんに退散していきました。それ以来、熊よけの”トウガラシガス”を常に携行していますが、、、

北アルプスのある沢にて

飲むことができるようなきれいな水を湛えた沢
この辺の水は本当にきれいで冷たい。7月でも一度水に浸かってしまうと天気の悪いときでしたら寒くて凍えます。

一枚岩(真っ赤な岩なのですが)でできた舐め滝
このようなきれいな水を足に感じ、しぶきを肌に感じ、耳に水音を聞きながら沢を登っていきます。周りから入る沢には天然のわさびがいっぱい生えています。時折大きな鳥が飛び立ちます。

心和む奥深い山の沢の音
沢の音を聞きながら、マイナスイオンをたくさん吸い込み、ただひたすらに毛ばりを振る。こんな贅沢が今の現代人の誰にできようか
奥深い美しい北アルプスの源流
私の釣りの師匠(Sさん)
私はひょんなことで出会ったこのS師匠に、源流つりの奥義と、隠れ沢を色々教えていただきました。元高等学校の校長先生をされていた方で本当にお世話になりました。最初はただ付いていくだけでしたが、そのうち少しづつ要領を飲み込めてくるようになりました。
まだ春の早い4月、5月は”えさつり”です。私はほとんど”ミミズ”を使っていますが、やはりちょっと面倒ですが、その川の”川虫”を取って使うのが成績はいいようです。ブドウ虫もいいですが、自分で探してくるのでないと非常に高価なえさになりますね。6月以降になりますと、俄然”毛ハリ釣り”の世界です。
私は、山の源流に近いところに主に出かけます。したがって、えさつりの場合は、いわゆる道糸の非常に短い”ちょうちん釣り”が主になります。

えさ釣り仕掛け
6月になって、山の源流の水も少し暖かになり、付近に高山植物も咲くようになりますと、山に虫が飛ぶようになります。いよいよ”毛バリ”のシーズンになります。
私はいわゆる”テンカラ”釣りです。これは、天気のいいときのほうがいいので、沢登りを楽しみ、付近の景色も楽しみながらということになりますので、のめり込むとちょっと辞められません。

毛バリ仕掛け
毛バリ釣り(いわゆる古来の日本式”テンカラ”)は非常に楽で面白い。うまくなると一歩歩くごとに、魚を拾いながら沢を登っていくような感じになります。えさと違って、岩魚との勝負は10秒以内てすんでしまいます。私の場合は、毛バリが水に浮くものを使いますが、岩魚が毛バリを見つけて水面にでたとたんにあわせます。

自作の毛バリ
早くても、遅くてもいけません。早いと岩魚は毛バリを咥えていませんし、遅いと吐き出しています。その間約0、5秒です。
テンカラの仕掛けは重りがありません。水面の自分がねらったポイントに、毛バリから落ちるようにする必要があります。これがちょっと馴れないと大変です。私がテンカラを始めたころ、某師匠から、”ワイングラスに水を入れ、5メータ離れたところから、竿を振り、毛鉤をいれる”練習をしろと言われました、、、。
それから、えさ釣りの場合ももちろんですが、テンカラの場合は特に岩魚に自分の存在に気づかれないように、淵に近づく必要があります。岩魚は大胆にえさをねらいますが、反面非常に臆病者でもあります。
一度食べ損なった餌は幾度でも追いますが、一度人間に気がつくと奥深い川底の岩の中の”エゴ”に入り、何時間も出てきません。従って、その日に先行者があったような沢ではもう釣りはあきらめて、花や景色を楽しめばいいのです。

仕事の疲れとストレスをしばし忘れ、こうして春から秋にかけての週末の何回かを過ごす。沢の音を聞きながら、川にそっと糸を垂れ、無心に岩魚を追い、沢の水で喉が乾きを癒す。時に岩魚を炙ってむしゃつくと、太古の時代狩りをした縄文人の気分になるのです。人は元々野生の中で生きてきたのでしょう。
骨酒
山の幸は様々です。そしてそれらを、ちょっといただいてきて、食卓に、、、。天然の”岩魚の骨酒”に”山菜の天ぷら”、ちょっとそこに途中で葉をもいできた”山椒”で山椒みそをつまにつける、秋は”舞い茸”と骨酒で一杯などという、無上のぜいたくにありつけます。

岩魚の骨酒
骨酒用には岩魚は塩などは何も付けずに焼きます。こんがりと少し余分に焼くくらいがいいです。焼きあがったらすぐ熱いうちにすぐに熱いお酒にいれます。岩魚のエキスがお酒の中に染み出てきます。
塩焼き
岩魚の塩焼きは一番簡単でポピュラーな料理方法ですが、ちょっとしたコツを覚えると本当においしい、岩魚の天然の味が楽しめます。
まず、岩魚を焼くときハラワタを取った後、なるべく岩魚に付いてる水分を取ることです。そして、塩をまんべんなく適度につけ、それからガスでなく、炭火などでゆっくりと燻すように焼き上げることです。昔は岩魚を串に刺して囲炉裏で温まりながら、ゆっくり焼いて食べたものです。
炭火で焼いている岩魚

天然岩魚のご馳走(塩焼き)
岩魚は本体の骨が非常に柔らかく、骨まで全部かんで食べることができます。カルシューム不足の人にはいいかも?
岩魚の燻製
作り方:
1、取ってきた新鮮な岩魚のはらわたをきれいに取ります。特に背中の血合いなどは丁寧にとったほうが良いです。
2、岩魚を塩水と砂糖、胡椒などを入れた液(ソミュール液)に一日くらい冷蔵庫などに入れ漬けておきます。この液はその人毎に色々な工夫があるようですが、私はほとんど塩を中心に多少胡椒などを入れる程度です。

3、漬けた後、水洗いをして、塩を落とします。なるべく流水で、あまりしょっぱくならないように充分に塩を落とします。
4、約4時間ほど、天火で乾かします。(この時、付近の猫に岩魚をさらわれないようにしてください、それとハエの卵を産み付けられないようにすることも大事です!)
5、燻製機に岩魚をつるし、好きなチップ(私はさくらを良く使います)で、約1−2時間ほどいぶします。
温度は100度位にしておきます。煙が良く出てくるように、チップがなくならないようにします。

燻製機
6、色がついてくれば、そろそろ出来上がりです。

色がかなりついてくる

岩魚の燻製
これで、冬の間の保存食になります。非常に香ばしい香りがして、岩魚の本来の味が残った食べ物になります。
岩魚の甘露煮
ちょっともったいないですが、岩魚も甘露煮ができます。本来の岩魚の味が損なわれてしまいますが、それなりに食べやすくまた長持ちします。たくさん釣ってきた時、また小さいのが多いときこの調理方法は一考があります。頭から、尻尾まで食べることができ、奥深い山の香りを楽しむことができます。
岩魚の甘露煮
作り方:
釣ってきた魚をきれいに内臓をとります。その後、天火で乾かすか、または、弱火でちょっと焼きます。

みりん、しょうゆ、砂糖、お酒(余計入れるといい味がする?)をいれた圧力釜で20-30分ほど煮ます。
このページの更新日: 05/04/15