
病膏肓に入る
DVDボックスが二つも発売中!
Vシネマ版「くノ一忍法帖」・レポート列伝
「なにしろ風太郎忍法帖といえば、妖艶なくノ一、というイメージが圧倒的に強い。例えば、九一年からコンスタントに製作されている、オリジナルビデオの忍法帖シリーズだ。第一弾が、本書(ネポ○注・「くノ一忍法帖」のこと)を原作とする『くノ一忍法帖』なのはいいが、なんと二弾目以降も、すべてタイトルが『くノ一忍法帖』なのだ。(中略)・・・もはや『くノ一忍法帖』というタイトル自体がブランド名として独り歩きしている。」
日下三蔵「忍法帖雑学講座5・忍法帖とくノ一」、山田風太郎『くノ一忍法帖』・講談社文庫版解説より引用。
てなわけでけっこう人気らしい。このシリーズ。で、実際に観てみたわけなんですが・・・
『くノ一忍法帖』
『くノ一忍法帖2・聖少女の秘宝』
『くノ一忍法帖3・秘戯伝説の怪』
『くノ一忍法帖4・忠臣蔵秘抄』
『くノ一忍法帖5・忍者月影抄』
『くノ一忍法帖6・自来也秘抄』
『くノ一忍法帖 柳生外伝』
原作は『柳生忍法帖』、なお今回に限りビデオも上下巻に分かれてます。
暗愚な君主に諌言を叩きつけ、出奔した堀一族。しかし彼らは無残な誅戮を受け、生き残ったのはただ七人の女。彼女たちの復讐は成し遂げられるのか。
物語は絵巻の紙面(よく見るとなかなかイイ出来)を語り付きで追っていくという斬新な演出で始まります。しかもこのナレーション、字幕付きの中国語。原作だと「堀主水一件」の章のとこ。
「そう、この物語は、ここから始まります」の語りとともに東慶寺までの死の行進のシーン。物陰からの視点とか文芸風な静物のカット、スローを用いた画面構成は横溝映画っぽくてナイスだと個人的には思った。絵は全編通して赤み重ためでクリアな印象。音声はかなり抑え目。
実はこの作品、いたるところでとってもつまんないという声があったから今まで観なかったんだよね。一部カルトな人気があるみたいだけど、それはどうも会津七本槍についてだよこれは。
1.上巻の見どころ・・・冒頭の東慶寺のシーン一連、七本槍の一言!
ゴス系改造学生服・・・香炉銀四郎
白着物とラクダのモモヒキにスニーカー履き、金髪サムライ・・・漆戸虹七郎
兜にゴーグルのお相撲さん・・・鷲ノ巣簾助
面頬被ってるのかと思ったら顔面黒塗り・・・平賀孫兵衛
ほぼ死神・・・大道寺鉄斎
どう見ても孫悟空・・・具足丈之進(犬ナシ)
京紅と濃い剃りあとの対比が悩ましいおネエキャラ・・・司馬一眼房
(後半さらに白のロングブーツちら見せで観る者を悩ませた)
そんな彼らがアナーキーなカメラワークとともに暴れまくる虐殺シーンは必見かもしれない。「キルビル」を先取りした派手過ぎる血しぶき(笑)!ただコマ切れ過ぎて観づらい、短いのが残念。
あ、あと第一作からの時の流れによって人間の領域を越えてしまわれた千姫様が見られます。これは『忍法聖千姫』のイメージなのかな。
2.くノ一忍法帖シリーズにしては…
多分、つまんないという評は裸とエロシーンがほとんどないからだと思われ。そういう点からすると忍法はシリーズ中屈指の素っ気無さでした。
いちおう紹介、堀忍法(あるんだよ)
紅孔雀 理論は卍の「赤朽葉」なんだよね、こういう引用はイイと思うよ。破瓜の血を投げつけて…というのに変更されている。
屍 蘭 味方一人の命を救いつつ自爆
髪吹雪 敵味方とも危なそう
乳波動 こんな名前の上、動きがイロモノなくせに敵味方とも凄く危ない
山彦返し 股間から敵の攻撃を吸収して口から発射
で、これらは食らうと身体が爆発したり分子分解されたりしてしまいますが、なぜか首だけは残る。
3.殿の、お帰りッ!!
この作品、観てくとストーリーやキャラの心理描写自体は以外と原作に忠実なのがわかる。
堀一族についてだけはなんの伏線もナシでえらい設定が付けられてるけど、それも無駄に時間割いて説明するとか、そういうことはしていない。
下巻では女人袈裟のシーン、Vシネでは真っ先にでも削られそうな芦名銅伯の秘密、妖婦おゆらの想い、獣心香のエピソード…十兵衛先生のアクションシーンもきっちり入ってます。
そんじゃそれらのどこらへんにインパクトがあったかというと、どれもなぜかうっすらとしか記憶に無い。
なんかこれさ、観賞後の数日間いろいろ思い出してみるんだけど、やっぱり七本槍なんだよね・・一眼房ヒゲ濃いとか、冒頭で力持ちだからって牛馬のごとく荷車曳かされてる鷲ノ巣簾助とかさ…
特に最後まで生き残る漆戸虹七郎こと田口トモロヲ。ひとりだけ「素じゃないのかそれは」とツッコミたくなるしゃべり、生首掲げて絶叫したりとキレ過ぎ暴れ過ぎのキャラ…。
さらにシリアスなシーンでの絶妙なボケ
とてもプロジェクトXの澄んだ声とは思われないような暴走ぶりでした。最後までおいしかった…。
原題・『自来也忍法帖』(文春ネスコ刊)
享保年間、江戸城にて儀礼の最中、父の名代にて登城中の藤堂蓮之介が怪死を遂げる。
この不祥事と引き換えに徳川家から提案された条件とは、 時の将軍家斉の庶子たちのひとりを婿に迎えることであった。
このわけ有りの縁談をめぐり、蓮之介の死因を究明せんとする妹、鞠姫。藤堂藩を乗っ取ろうと画策する服部蛇丸たち一党。そしてこの両者を振りまわす徳川の婿、石五郎と甲賀蟇丸主従。 さらに鞠姫を助ける怪傑、自来也の登場により事態は急展開をつづけていく。
いやこの作品ねえ、つっこみどころがないくらいよく出来てるんだよ・・・
前作以上にすっごくきちんとした時代劇という印象。いままであれほど怪電波の感が拭えなかった忍法描写もいたって硬派。アクションやエロシーンも幻想的できれい。
メイクのしかたを和装向けにしたことと、原作登場忍者数がもとから少なく、時間の都合で半端な消去形式の対戦方法にならなかった点が映像化の勝因だろうか。
正直DVD買うならこっちが良かった〜。
そんな作品に登場の忍法は以下のとおりでした
1.映像化オリジナルのもの
火焔乳 カエンニュウ、乳首で火焔放射。威力が凄い。
曼陀羅華 股間から花が咲いて催淫効果。唯一笑ってしまった。
舌乱舞 唾液が瞬間接着剤に。
2.原作と共通の忍法
淫魔乱 漢字は多分こんな。原作では「乳しぼり」。血をすべて愛液と変えて吸い出す。びるしゃな如来系。
精水波 五人の女性の愛液を対象の全身に塗ってはじめて成立する忍法。かけられると猛烈な女旱りのすえに筒涸らし状態で死ぬ。ストーリーの上で重要な鍵。
蘭奢待 腕を切り離して自在に操る。一定時間内なら接合できるらしい。
月の羽衣 月光と同じ色の布で身を隠す。
死人谺 シビトコダマ。死体の声帯や筋肉を遠隔操作する。作中名称出ず。
髪文字 切りおとした髪に念力をこめて飛ばし、文字として読ませる。
3.以下原作のみで登場の忍法
舌轆轤 ディープキス状態で相手の舌を捏ねてヤバイ形に造形してしまう
血縄 舌乱舞のもとネタか、こっちは血を利用。
くノ一蝋燭 毛穴から脂を出して全身に引火させる、自爆技。
・・・舌轆轤は映像化しやすそうだけど、ヤバイからなあー・・・ そしてなによりも徳川石五郎やってる人、原作の設定上唖で白痴ということでバカ殿メイクなんだけど、凄い演技です。ラストシーンでは役者魂を感じたよ。
このラストもほとんど原作どおり。歴史に名高いエロ公方の押付婿たちの悲哀をみごとに描き出してます。
忍者としてかつてないほど目立ちすぎた服装の自来也に惹かれつつ、(大嫌いなんだけど)石五郎も不憫で捨て置けない鞠姫のキャラクターも好ましいです。
これを最初に観れば他は・・・観なくてもいいかもしれない。
名君と名高い将軍吉宗の治世、殷賑をきわめる白昼の日本橋に、「上様御側妾総ざらえ」と肌文字を書かれた三人の女性が晒される。
この事件を仕掛け、倹約令に反抗せんとする尾張徳川家の宗春、そしてみずからの過去の醜聞をその証人もろとも抹消しようとする吉宗。
二人の争いは各配下の忍者、さらには江戸と尾張で分立した柳生の剣士や吉宗の落胤を自称する天一坊までも巻き込み、熾烈をきわめていく。
1.この作品に限り、レンタルがなかったのでDVDを購入。
ええ、買ってしまいました。思い切った奴です。通販だからそれほど恥ずかしくもないですけど。
本作は劇場公開版だそうで、気合いはいってるもようです。なにしろ・・・・
男対男(無論衆道含む)の原作世界に、無理矢理くノ一乱入させてるくらいですから。
2.で、どんな気合いの入り方だったのかって?
えーとぉ、いままでの作品の忍法がトンデモだとするでしょ?今回のはぁ、そう、
ごめん、おれが間違ってました。くらいだね。
さきほどこれを書くにあたってちょいと観直してみましたが、ひっくり返りそうです。なぜならシリーズ初の南蛮くのいちが出てるからだね。
3.さあもう、まずは見よこの忍法あんどあて字ってば。
母如礼縫亡 はい、大きな声で〜、「ボジョレー・ヌーヴォー」!技の前に「ナンバンヨジュツ〜」(忠実な音写、原義「南蛮妖術」。)も加えればなおグッド。要するに、読んで字のごとしよ。乳首からものすごい勢いでワインがっ。で、上様泥酔。しかもちゃんと栓がしてあって、ぽんと抜くところが効果音込みで大笑いだ。
でもってこのあと、酒まみれの上様はこのくのいちに哄笑されたまま襲われ、次なる南蛮妖術満天絵巻でそのさまを江戸の夜空に大写しにされてしまいます。そしてとどめはでかい電球をぶん投げるえれきてると来た。
いくら洋モノだからって、どうかしている。
と、いうわけで日本の忍者も負けていられない。無理矢理くノ一乱入の結果は如何に。
4.原作でのお楽しみは息もつかせぬ剣戟と無惨無常系忍法そしてホモ
・・・でした。それをお色気にしなきゃいけない。難しいですね。結果として一忍法につき一返し忍法というレートが成立した感があります。今回はね。
自在鋏VS自在笛 両方とも足止め系。これを小手先として激闘へ・・・
中足地獄VSふぐり提灯 前者、原作では大腸をたぐり出して操るといったものでしたが男性生殖器に変更。後者忍法により空気を大量に送り込まれて大破。
薄氷VS薄氷返し 前者これも原作忍法。肘から先の体温を絶対零度にできるというすごいもの。これに関してはビジュアル・対戦カードともにだんぜん原作のほうがいい。ぜひ一読を。
虹の架け橋VS橋崩し・五色玉 まあ色彩つながりということで。うっかり全裸くのいちの股間を覗くのは危険だという警句。
魔羅ん棒VS乳団子 こっちはエロつながりだね。しかし前者の棒は単なる枝きれだ、イイかぁ、それ〜?それに原作では屈指の男前である梵天丸が凝固した母乳で窒息死なんかしちゃダメ〜。
5.以上のごとく
狂った血戦がつづいていくわけなんですが、これ以上にラスト近くのどんでん返しにはもう驚きです。リメイン表示で観てると「あと何分もねえぞー」みたいな焦りが出てくるあたりで
突如現れる真の敵、歴史を変えた影の力とは・・・こんなエピソードがラストわずか数分に詰め込まれてうまくまとまっている。・・・ここのすたっふにはとうていかなわない。
えー、というわけです。くのいちたちの結束も強くて好感もてます。忍法部分のグルグルぶりはともかく、作りの丁寧さでまあおすすめの部類に入ります(嘘)
原題『忍法忠臣蔵』ね、講談社文庫刊がポピュラーか?
つながりで『妖説忠臣蔵』もチェックしとくといいかもね(何がどう)。
戦国の世より百年あまり経った元禄年間。刃傷沙汰により主君を失った赤穂浪士たちはその仇敵、吉良上野介の首を虎視眈々と狙っていた。
1.主観的原作版ストーリー解説
というわけで物語はあの討ち入りまでの、「虎視眈々と」しているあいだに進んでいきます。要はこのあいだに吉良の主君筋の上杉家が浪士たちにむけて刺客を放つわけです。
しかもそれがねぇ、さすが山風と言うか、だんだん刺客忍者どうしの内ゲバの様相を呈してくるわけですよ。なぜなら同じ上杉家でも、殿と家老でまったく逆の使命を下してんだから。
えー、で、その同組織内における相反する使命の履行というきわめて特殊な状態のうえで、男忍法VSくノ一忍法の図式はむろん欠かされてません。しかもー、真の主人公は部外者であるべきはずの伊賀者。うーん、なんたるゴーヂャス。
このね、伊賀者無明綱太郎。忠義を大義名分として上様の側妾になろうとした恋人をお床入りの瞬間に惨殺したというハードボイルド。そんな彼は色仕掛けで浪士たちを落とせという任務を拝命したくノ一どもの目付け役に・・・・というのが原作のストーリー。
無明綱太郎のニヒルはVシネじゃどんなふうにアレンジされてんのかしらね〜(喜)
2.とか思ってたら・・・
無明綱太郎、Vシネ不登場!!
ハードボイル度高すぎ、というか話しをややこしくしているのでカットされてしまったらしい。思いきったことするよなあ
だいたいこのシリーズ、 隠されたテーマがどうも「愛」らしくってさぁ。そういった意味ではこの綱太郎、Vシネヒーロー不適合なのかと。
結果として本編の主人公は能登忍び・くノ一組の頭各一名になってます。
3.暴走Vシネ忍法
テーマはどういうわけか「愛」、役者さんの演技もいままでのシリーズに比べてシリアス路線。がっ、忍法は爆笑度アップ!!
作った側の人には悪いんだけど、今回はアレ度の高い順に忍法紹介だ。
虹の浮橋 対男発情系。産卵するくノ一なんて初めて見たッ。これを破る浪士の羅切シーンも笑っちゃいけないけど必見。
虫食花 ムシクイバナ。これも発情系、なぜかビジュアル的に笑ってしまった。
沼地獄 敵の足元に底無し沼を作る。実用的だが自分がはまってしまうあたり、いかがなものかと。
南北杖 金目のモノはなんでも吸い付ける錫杖。肩こりにもよさそうだ。じつは原作忍法
陽炎地獄 名前はかっこいいんだけどねー。
魔羅蝋 子宮大動脈と海綿体がつながってしまう。忍法帖シリーズでも屈指のアレさかげん。かけられたお方の感想も秀逸。 わりとまとも忍法になってたのでこの順位。
歓喜天 これも原作忍法。男女入れ替わり系。映像化に際してはけっこう地味かつ硬派にまとめられてました。
一ノ胴 あんまり原作に忠実なので、かえってびっくり。
怒髪天 出ました髪の毛技。女優さんの声がワイルドでグー。
炎走り ダイナマイツ!!
金剛網 すっごいバリア。Vシネだと光学的忍法になっていた。
夢想愛 くノ一奥義。前作「通鬼交」に対するリベンジか?『忍法忠臣蔵』のエッセンスが凝縮された使い方にも感服。
4.爆笑とそのギャップ
全体としての印象は、「まとも時代劇のなかに突然入ってくる怪電波」というのが正直なところでしょうか。
いままでのシリーズもそんな感じだけど、今回はとくにギャップがすごい。コメディタッチを排したせいもあるんだろうけど。
ただしストーリー的には、くのいちたちのアイデンティティ如何というのが今回初めて打ち出されてて、新鮮でした。 暴走してるようで、最後はきちんと原作のツボを押さえてシャレがきいてるし・・・。
ただね、言えることはね、赤穂浪士フリークは見ないほうがいいかもしれませーん。なんとなくだけど。
原典は『秘戯書争奪』。
動乱の予兆を孕んだ幕末、第十三代将軍家定の治世。歴代将軍中もっとも病弱にして暗愚とされるこの公方に世継ぎを作らせるには、まず彼自身の陰萎早漏を治さねばならなかった。そのために必要な処方を記された文献は、中国隋唐時代の医学大全『医心方』のひとつ、房内篇のみ。この稀代の奇書をめぐり、幕府と朝廷、かつて文献成立に関わった日本医道界の二大宗家―多紀と半井(なからい)、そしてそれぞれの陣営に与する伊賀と甲賀の忍びの戦いが展開されてゆく。
1.すでにメインテーマが
そのものズバリ、なんだよね、これ。さし込んではる〜。もっとわかりやすくいうと「カーマスートラ」東アジア版、あるいは「男と女の事典」(中学生がよく立ち読みする本)古代版なんだよ。『医心方房内篇』っていう文献は。原作もねぇ、戦う前に必ず文献の通りに試してみたりしてるの、伊賀者が甲賀のくのいち相手に、 「房内篇の内容を実践でもって伝えてやる。」っていうたてまえのもとに(むろんそのあとは殺すべしという鉄則あり)。山ん中とか宿屋、ときには剣を交えている真っ最中に「男、女を仰臥せしめ・・・」なんていう暗唱に沿って実行。しかもこれに、暗唱してる奴が「この淫学坊の命名によれば・・・」とか親切に解説までしてくれる。
全編これだけど、やんなんないで読みすすめてしまえるところがさすが山風だぜ。後半の新忍法編み出しにいたるまでの凄惨さもすごい。ベリーサスペンス。たとえば文献を奪う方(多紀家の甥っ子、陽馬)と守る方(半井の娘、雪羽)でじつは同門の兄妹弟子のうえ恋人同士だったり、こんなテーマなのに忍者のなかで病的な男嫌いや女嫌いがいたりと、キャラがたいへん立ってていい。
2.細かいところにこだわり
今回は裸・・・じゃなくて衣装。雪羽は虚無僧に扮して伊賀者と一緒に逃げるんだけど、この装束がすっごく派手な赤。他にもマフラー巻いてるのがいたり、へんなミニ着物があったりと、おもしろかったです。なにしろくのいちがブラジャー装備だし。
3.原作からのアレンジ度
これは登場人物、忍法ともに結構変更点あり。たとえば主人公の陽馬の性格が、ワイルド系から正反対のおっとり青年になってたり、 女嫌いの伊賀者美少年がおかま(俗に言うおねえ言葉を使用。コレはコレでいい味出してた。むろん男嫌いくのいちと対戦、その場面での掛け合いは原作に忠実ながら珍妙。)になってたり、とか。しかも忍法に関してはくノ一全員がVシネオリジナル技!!
ここでは原典がもう品切れになってしまっていることもふまえて、ちょっと詳しく忍法紹介しときます。
まずは原作版くのいち忍法
妖虫耳切り虫 人間の耳垢が大好物のかみきり虫に三半規管を食い荒らさせる。
皮つるみ 相手の皮膚をさわり、その箇所を充血させて性器と同等の感覚をもたらす。これに対応する男忍法は「指姦」
くノ一血膠 経血を天日に干し、強力な接着剤として使用。敵の動きを封じる。
流れ鞠 投げつけると目つぶしになる。足裏にはさんで移動手段として利用したりもする。
甲賀流仕込み鞭 折り畳み式の鉄鞭。
髪縄 原料はむろん乙女の黒髪か。断崖から落ちかかった陽馬をすくい上げたりするほど強力。
紅涙鏡 自らの涙を相手の眼中に投げ込み、視界をすべて鏡面世界にする。一種のめくらまし
・・・まあこんなかんじなんだけど、どれもある共通点があります。はい、映像化が難しいあるいは地味すぎ。
そのためかどうかはわかんないけど、Vシネ忍法はこうよ。
繭蚕 股間から粘糸を出して相手を繭状に固め、窒息させる。
蟹泡地獄 股間から泡を出して相手を溶かす。
乳時雨 乳房から強酸性乳液を噴出させ以下同文。両乳をつかみ、ものすごい勢いで・・・。
千手観音 性交中に相手の肌をなで回し、さらに惑乱をもたらす。
こだま返し くのいち仲間のみに聞こえる超低周波での会話を、オシログラフ(?あの心電図っぽいやつね)で表現したところがナウと見た。
陰ノ網 ここからは原作からの忍法。数百人の男女の陰毛で作るそうな。この技が最初に出たせいか、作中だいたいの男忍法には「陰ノ」という枕詞がつけられている。
陰ノ舞扇 仕込み扇、原作では骨が鋼鉄で、鋏に変形していた。
陰ノ吹き針 だったと思う。たしか。
通鬼交 忍者分類を参照してください。単なる催眠術で終わってしまったのが惜しい。
しかし、これらを遙かに凌駕する忍法がこの作品には出てくる。それはなんと雪羽の忍法「愛は勝つ」!!詳しくは言えないけどね〜。
原作タイトル『外道忍法帖』
中島らもの『しりとり対談』で取り上げられてるのは、この作品ね。
天正年間、キリシタン大名大友宗麟により実施された遣欧使節のひとり、中浦ジュリアンがローマ法王から下賜された莫大な布教資金。
禁教と弾圧の闇に隠されたその行方を体内に秘める、宗麟の曾孫、マリア天姫を筆頭としたキリシタンくノ一と、それをねらう由比正雪麾下の甲賀者、張孔堂組。さらには公儀による再興を懸けた忍び一族、天草衆が加わり、三つ巴の死闘を展開させてゆく。
1.第一印象
「外道」なのにVシネ・・・。これがおれの第一印象でした。なにしろこの原作、スケールがでかい、でかすぎる。 登場忍者数はシリーズダントツの45人!いまだにどれが誰だか分からないくらい出てくる。15人のくノ一がひとつずつ「謎を解く鍵」である鈴を生殖器内部に隠されてて、それを奪い取ろうとする両陣営の忍者が計30名!
よくこれを映像化しようとしたよなあ
2.実際のところ
上記はあくまでも原作ストーリー。映像化にあたってはいろいろな都合から、多くの変更がなされてます。↓
舞台 長崎周辺→江戸、箱根
登場忍者数 45名→13名(くらい)
対立構造 キリシタンくノ一VS公儀
おもな変更点はこんなところでした。そしてこれはストーリーの進行上、まったく差し障りないことなんだけど・・・↓
目立ちすぎだ、天草衆。温泉にそのまんまの姿で来てしまうビジュアル系をメンバーに入れるのは、忍者としてどうかと思うが。
さらに舞台が江戸にもかかわらず主人公・扇千代といいかんじになる花魁、伽羅が長崎弁で話してたりするし・・・。
しかしいちばん驚いたのは、あの転びバテレンにして踏み絵の発案者、クリストファ・フェレイラが日本人だったことだ!
金髪ヅラに同色の付け眉毛、たどたどしい日本語を操りながらくノ一を孔雀の羽でなで回すところなんか、目が丸くなりっぱなしだったぜよ。
かつての拷問で羅切されて、手の指が全部ソレそっくりに変形してたり、キリスト教の教義に基づくSM論を延々展開させたりと、原作の変態ぶりがすごかっただけに、なんかある意味ではマトモな人になってたけどさ。
ちなみにフェレイラ師(演じた人じゃなくて)は切支丹ものの『山屋敷秘図』にも出てます。徳間文庫の山風妖異小説集「山屋敷秘図」に収録されてるので興味のある人は読んでみて。でもやっぱり、フェレイラはキリスト教に回心して縊死しなくちゃ・・・
3.忍法と裸
どうもね、前作に比べて低予算だったらしい。忍法描写とか小道具にもそれが反映されてて、惜しいです。 ただし裸関連はかえって充実してます。「そうれ、身体の芯から熱うなってくる」というせりふが二回くらい聞けた。 「鈴を出せーッ」なんて叫びながら強姦したりとか。(酷・・・。物理的に矛盾があるし)ラスト近くには「にっか〇ロマンポルノ!?」と見まごうほどの場面も有り。回るなってば
ここで恒例の登場忍法紹介。今回は映像化しやすいもの優先?使い手と技、対戦カード等はかなり翻案されてました。
不知火 暗示により視界に決して消えない炎の十字架を焼き付ける。単なる相討ちに終わったのを除けば、ほぼ原作通り。
とかげ舌 なんとこんな映像で表現されてた!必見。
死眼彫り 死に際の網膜写真。これも原作に忠実。
桜吹雪 発情系。原典「犬さかり」に該当?
月の水泡 股間で限りなく膨らむ風船に、女優さんもさぞドキドキだったでしょう。
山彦 もともとそうだけど最初と最後にちょこっとだけ。
吹き針 原作でのミカエル助蔵の技、「女性の陰毛で身体亀裂部分を縫い閉じる」はさすがにNGだったみたい。よって変更。
鱗ノ宮 天姫の忍法は、これのみだった。
雲雨傘 名称はたしか変更。きちんと飛ぶ。
指蚕 出てました。こう、ビャーっと。
琴蜘蛛 忍法より役者さんが強烈。
うつせみ 白土三平原理。
たしか、これで全部だったはず・・・
おすすめは、「とかげ舌」かな。忍法発動場面になるとキャプションがつくようになったし。
シリーズ第一弾、91年製作。
元和元年、落城寸前の大坂城。真田幸村麾下五人のくノ一にある使命が下される。その使命とは、「豊臣の血を遺し、徳川の築くであろう天下に祟ること」であった。
1.原作に忠実度
原作に忠実とはけして言えませんが、わりとうまくアレンジしてあって、メインテーマであるところの「男VS女」、「戦う母性」という構図はきちんと伝わっていると思います。映像の作りも丁寧なので、トンデモ時代劇的にはなかなかヒットかも。メインキャラは長曾我部盛親の妻で怪力鎖鎌妊婦・丸橋と、千姫率いる真田くノ一に敵対する伊賀者のひとり、雨巻一天斉。それと後半出てくる、まだ外道ではない徳川頼宣以外は全員出てます。
2.ファンとして気になる忍法の映像化
これはけっこうイイ。たとえば「筒涸らし」により生命力が流れ出て衰弱していく様子を ストロボ連発プラス特殊メイク、あるいはクリーチャーコマ撮り(少しずつ痩せて老化、ミイラ化していく!)で効果的に見せたりするところなんか気合いが入ってる。おれは「天女貝」で般若寺風伯役の丹古母鬼馬二が嬉しそうな表情をしていた点意外は許せるな、忍法描写については。ちなみに作中に出てきた忍法は以下の通り。
天女貝 やっぱり大苦痛でなきゃ、ダメ。
やどかり なんと千姫さまも施術されておられた!
月ノ輪 原作では単なる返り血だったが、映像化にあたり三日月形で表現。芸コマ。
幻菩薩 作中名称出ずも、ザコ戦で大活躍。ときどき呪文合戦になってたり。
夢幻泡影 これも原作どおり、坂道を転がるカプセルの中でダアダアやる大人は必見。ただし発音は「むげんあわかげ」。
筒涸らし 衰弱死どころか骨までドロドロに腐る。
百夜ぐるま 時間の関係でかなり弱。
恋しぐれ シャボン玉だった!
日影月影 忍法デモ場面での侍女割腹シーンまで再現!(ただし、血とかは見せない)
くノ一化粧 変身原理を「対象の乳房を吸う」にさすがに変更、でも侮れない演出。
3.忍法・裸以外でのみどころ
現代語まるだしなくノ一たちのかけあいと、千姫をも含めた仲のよさ。特に、なぜか一人だけおぼこであるお喬(だったかな・・・)の珍妙な言動は必見。胎児を他人に移す「やどかり」をされるのに際し、「まだ男も知らないのに〜」などとわめいたり、雑魚敵に服を溶かされ、全裸になったりしている(このシーン、少年向きエロコメみたいで笑える。敵も敵で「ウホーッ」とか喜んでるし。)。そういうところ、学園くのいちコメディ(何だそら)が好きな人にはたまらないかも。