筋骨格系の痛みに対する治療戦略の見直し

(悪性腫瘍、感染症、骨折などの明らかな外傷を除く)

過去60年間の筋骨格系の痛みの治療戦略は損傷モデルに基づくものでした。損傷モデルとは、椎間板や関節軟骨の変性、椎間板の突出、分離症、辷り症、脊柱管の狭窄など構造破綻のことです。

しかし、損傷モデルで生理学的に痛みを説明することはできず、また健常者にもしばしばそのような構造上の変化が見られることが分かってきました。

損傷モデルの究極の治療は外科的手術により構造を修復するということですが、その治療成績は必ずしも満足のいくものではありませんし、経済的負担も大きなものになります。

損傷モデルでは弊害があることも分かってきました。それは不安やあきらめの気持ちを与えたり安静保持や動作恐怖を植えつけることになります。これらは痛みの慢性化の要因と考えられるようになりました。

このようなことから、欧米では治療戦略の見直しが行われるようになり、新しく登場したのは生物・心理・社会的モデル(Bio-psycho-social model)です。

公的キャンペーン

腰痛に屈するな..。: Back Pain: Don't Take It Lying Down...

"Working Backs Scotland":腰痛の考え方を変えて、その影響を軽減"

いくつか国々では損傷モデルからゆっくりと脱却している。しかし米国では今も腰痛に関する時代遅れの考え方から抜け出せずにいる。先へ進むべき時である。

“70年間、我々は腰の「損傷」の概念と共に生きてきた。これ以上正当化するには欠陥がありすぎる。さらに、これは医原性である。これ以上研究を行う必要はない。その論理構成は、時を経て役に立たなくなってしまった”と、Hadler博士は述べている。

 

理学療法Vol.23No.1 痛みの行動学より

 

体温、血圧、心拍、呼吸数+痛み

5th vital sign 第5生命徴候

アメリカ医療施設評価合同委員会(JCAHO)2001年

痛み学講座ホームページより引用

 

痛みそのものが治療の対象となります。

急性痛に対しては、局所麻酔によるブロックや消炎鎮痛剤で対処可能ですが、慢性痛に移行してしまうとこれらの方法では対処困難となります。

慢性痛に対して、未だ確立した治療法はありませんが、認知行動療法(Cognitive behavior therapy)はなくてはならない方法です。

痛みの本態は筋・筋膜性疼痛症候群(Myofascial pain syndrome)と思われます。

 

「椎間板(膝の軟骨)が悪いから痛いのだ。だから無理はできない。」 左のような誤った認知を修正して、なるべく動くようにしたら、痛みが次第になくなっていった。

あなたはどちらの作戦でいきますか。

 

行動療法+認知療法=認知行動療法

              「手術後に痛みが続く患者さんのためのカラーカード(腰椎疾患を中心に)」 吉富製薬提供より

 

行動療法

家族や周囲の方々は、患者さんの痛みや苦しみに理解を示しながら、患者さんの痛みに対する前向きな行動には一緒になって喜んであげることが大切です。

無理をしないように少しずつ痛みを感じる動作を行って、ならしていきましょう。痛みを感じる動作を常に避けていると、かえって筋肉や関節がこわばって痛みが増し、悪化することがあります。

 

認知療法

「痛みのためにもう何もできない。」という考えから「痛くてもこんなにできる。こんなこともできる。」という積極的な気持ちに切り替えていきます。


行動療法と認知療法を組み合わせた治療法が認知行動療法です。その補助的な手段として自律訓練法やバイオフィードバック法が用いられます。

認知行動療法

穏やかな風景や楽しい場面を思い浮かべてみましょう。

「痛みなんかに負けないぞ!」と自分に言い聞かせましょう。

 

趣味や楽しいこと、自分の好きなことをしましょう。

 

*痛みに対するあなたの気持ちを日記や手帳に書き留めておくと効果的です。

 


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スライドショーで疼痛疾患のイメージをつかんでください。

 

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